このカメラを使ってはっきり分かるのは、ニコンは見かけ上のスペックや数値を追い求めてはいないということと、逆に感触や心地よさといった数値に表すのが難しいところを突き詰めようとしていること。
例えば細かい点だが、Z6の各ボタンは、押し心地や出っ張り方が微妙に異なっていて、それによってブラインドでも押し間違えることがないように配慮されている。各ボタンの部品を共有化した方がコストや手間を減らせる上、スペックに表れない地味な部分なのに、あえてそこにコストと手間をかけている。
またボタン類への色入れは表面にプリントするのではなく、彫り込んでそこにインクを流し入れているなど質感にもこだわっている。
さらにグリップ天面がボディーより高くなっていてしっかり握れたり、ボディーが小さくなりボタンの数を減らさざるを得ない中でも、必要なボタンはちゃんと残してくれていて配置も良く、GUIもとても良くできているので直感的に操作できる。
多くの人は気付かないくらい地味な職人のこだわりがたくさん詰まっていて、それが合わさって心地よさや自分の一部になってくれる感覚を生み出している。
初のフルサイズミラーレス参入で既にここまで精錬されているのは驚きだし、これほどのこだわりが詰まっていてこの価格設定はとても安いと思う。ファームウェアアップデートをかなり頑張ってくれて、AFの機能が増えたり、精度がかなり良くなっているというのも好印象。
Z7やZ6は信頼性に関してもかなりこだわっているようで、ニコンのHPには「マグネシウム合金を使用した堅牢なボディー、シャッターの耐久性、防塵・防滴性能など、D850と同等の高い信頼性を確保しています。」とあり、デジカメinfoではZ7について「このカメラは、これまで分解したカメラの中で最もしっかりとした防塵防滴のシーリングが施されたカメラだ。」とある。Z6クラスのカメラで上位機種のD850と同程度の信頼性は嬉しい。
D850とα7R IIIの耐水テストでは「テスト後に、α7R III はバッテリー室にかなりの量の水が入った。一方D850は、容易に解決可能な軽微な問題だけだった。」とのことで、ニコンもソニーも完全防水を謳っていないのは同じでも、信頼性においてはかなり差がある印象。
マウントに関しては、ソニーのEマウントは元々APS-Cセンサーのために設計された規格を無理やりフルサイズにも使っているみたいだが(デジカメinfoに「ソニーはAPS-CのNEXでEマウントを開始しているが、その時点ではソニーはフルサイズ機のことは念頭になかった」とある)、ニコンのZマウントはフルサイズのセンサーのために開発された最適な規格になっている。フルサイズのカメラを使うなら当然フルサイズ用に設計されたマウントのものを選びたい。他の目的のために作ったものを無理やり流用しているカメラにこだわりや魅力は感じない。
見かけ上のスペック(過剰な小型軽量化や連写速度など)を追い求めたり、精錬されておらず使いにくい新しい機能(EOS Rのマルチファンクションバーなど)を搭載するのは他のメーカーや海外製品に、またそれに飛びついて自ら実験台になるユーザーに任せておけばいいので、Nikonには引き続き地味なところや見えないところに徹底してこだわり、本当に必要なスペックと,
感触や心地よさ、質感や信頼性を追い求め、精錬されたいいカメラを作り続けてほしい。
今後もNikon以外は使えないなと思わせてくれるカメラ。