α7 III ILCE-7M3 ボディ
- 有効約2420万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSイメージセンサー「Exmor R」を搭載した、上級向けのミラーレスデジタル一眼カメラ。
- 高精度な手ブレ補正ユニットとジャイロセンサーを備える。手ブレ補正アルゴリズムも最適化したことで、5.0段の補正効果を実現している。
- 独自のAFシステム「4Dフォーカス」に対応。693点の「像面位相差検出AFセンサー」を配置し、コントラストAFを425点に多分割化し、検出精度が向上。
AFの迷い、サーチ駆動
SIGMA AF12-24mm F/4.5-5.6 EX DG |
CANON EF24-105mm f4L IS |
CANON EF100mm f2.8 MACRO |
CANON EF70-300mm f4-5.6 IS |
● 経歴を少し
ソニーは先代ミノルタ7D Digital(14年前)からA99まで6台使用してきた。他にキャノン、ニコン、シグマ、オリンパス。
ソニーαシリーズはレンズを含め全て売却。ソニーとは永遠に手を切るつもりだったがキャノンEFレンズに新たな可能性がでてきたので本機を購入。MC−11はまさに天からの恵み。シグマに感謝。
● 良いところ
1) ダイナミックレンジは比較的広く風景は扱いやすい。
2) EVFのピント拡大はミラーレスならではですごく便利。
3) 完全無音撮影が可能。
● 良くないところ
1) 露出補正ダイヤルは愚の骨頂
大手量販店でソニーのカメラ担当者に専用ダイヤルの使用意図を聞くが、明快に説明してくれた人に会ったことがない。なぜだろうか?世の中の多くのカメラは前後ダイヤルで特段不自由なく露出補正をしてきた歴史がある。
本機の絞り優先モードでは前後ダイヤルともF値で重複しているだけである。Mモードなら普通にF値かSSを変更すれば済む話し。どうしてもISO対応したいならホイール右で直ぐできる。ところでこのダイヤル、恐ろしく固い。親指と人差し指で摘まんで回さないとダメ。ゲーム機メーカーの受けネライ発想か。
2) AFの迷い
普段の撮影(AF-S、フレキシブルスポット)で、"食いつき"の迷いがそこそこ起きる。
*参考動画
AF-C (AF-S無効)ではあるが、シャッター半押し時の挙動を示す。AF-S撮影では動画よりサーチ駆動はもっと派手に起きやすい。なお、同じ被写体で6Dmk2、D750、OMD E-M1(ミラーレス、ハイブリッドAF)は瞬時に合焦する。SONYは像面位相差の測距点数ばかり強調するが、ミラー型位相差より明らかに検出能力は劣っている。
3) EVF映像は粗い
EVFから見える世界は発色(WB)、階調、輝度が人工的で粗い。リアルタイム映像は白飛びがとても起きやすく再生画像(EVF)と大きな落差がある。
4) ホールディング性は悪い
グリップは浅い。小指がはみ出す。しかしフルサイズだからレンズは概ね太くて重い。EOS R, Z6と比較しても握りの違いは明らか。純正の拡張グリップがあるが水平無視でいまだに違和感(1万円)。
5) 情報画面(DISP)は煩雑
他社はどこも大文字でシンプルな枠構成。水準器や輝度グラフが必要とはとても思えない。
6) 液晶はタッチパネルなのにタッチ変更不能。
7) 液晶は下方向に40度しか開かない。理解し難い中途半端。
8) タッチフォーカスでそのままシャッター切れない。パナ、オリは二度手間無用。
9) 液晶水準器は線が細く戸外でとても見にくい。頭上位置ではほぼ視認不能。
10) 電源オンから撮影まで2-3秒。OMD E-M1は0.5秒程度でシャッター切れる。
11) ロックオンAF、被写体認識がすごくアバウトで使いづらい。
12) 動画29分の壁
パナなどはSDカードの容量が許す限り連続撮影が可能。大事なスピーチ、スポーツで問題。
13) カスタムWBのセットが変則
バッグから出した白紙を左手に持ち、右手でシャッターが切れない。背面ホイールボタンは片手でシャッター押せない。戸外では白紙を良い角度で置ける場所を探さないといけない。こんなカメラ初めて。
14) パノラマ機能無し
歪曲無し超広角写真はすごくニーズが強かった。αフルサイズ機であったのにとても残念。
15) インターバルタイマー無し
なぜか連続撮影の間隔設定ができない。多機能レリーズを買い、電池を入れ、ケーブル垂れ下げて使う。
16) カメラ充電は最悪
コネクタを差し込むときゴムキャップが邪魔。ゴムキャップのめくれでカメラが置きにくい。充電中はカメラが使えない。別売充電器(\9,000)は必須。
17) 手振れ補正の冗長
カメラに5軸補正を完備しているのにレンズでもOSSを実装。ソニーはEマウント発足時の事情(レンズ依存型)を今日まで引きずっている。この重複コストは勿論、ユーザー負担。
18) Imaging Edge (現像ソフト)
Canon、Nikonなどと比べて操作性は実に良くない。ビューワとRAW現像が別モジュールでとても使いづらい。ユーザー設定は2項目だけ。表示は遅く15年以上前のレンダリング技術。
19) PlayMemories Home(管理ソフト)はカラーマネージメント非対応;
Windows PC、キャリブやったモニタープロファイルは使えず発色が狂う。SDからPCへの画像移動で必須。エクスプローラで移動するとカメラで情報不整合発生。なぜか動画だけはSDに残存し、毎回全ファイルを手作業削除。あり得ない膠着仕様。
● MC-11(v2.14)について
・ピントの拡大
EFレンズではカメラ「DMF選択」無効。AF-Sが基本。
ピントリング廻しても自動拡大しない。
しかしピント拡大をCボタンに割り当てれば拡大表示は容易。
拡大中のAFは効かない。
・EFレンズは動画AF-Cが効かない。
・手振れ補正
IS付きEFレンズはカメラ側手振れ補正は作動せず、IS:on必要。
IS無しEFレンズはカメラ側手振れ補正が作動してくれる。
なお、手振れ補正の効き具合「焦点距離」の設定が可能。
・最近のSigmaレンズ(for canon)
レンズ側「MO」でピントリングで自動拡大、拡大中のAF、動画AF-Cも効く。
● 満充電の撮影枚数
・RAW(平均25MB) : 約1,000枚
・JPG-L(平均9MB) : 約1,200枚
・充電時間 : 3時間15分(100%到達時)
*キャノンは1時間55分
● 総評
圧倒的なメディア戦略でネットの「よいしょ記事」は凄まじい量である。鳴り物入りで登場したこの「ベーシック機」で、なぜかレアな専用ダイヤルを装備。コンパクト化を目指したミラーレスで、なぜかレンズはバカ重く驚きの価格設定。手振れ補正は重複実装。現像ソフトは三流品。
ちぐはぐなコンセプトで高コストをふんだんに消費者に求めるソニー体質を見る。カメラの総合的な使い勝手は決して良くないと思う。その事に一番気付いてないのがソニー。
*添付画像のレンズは概ねソニーの1/2以下の価格
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