『苦手な35mmを克服するために。』 コシナ フォクトレンダー NOKTON classic 35mm F1.4 @m_yuuta25さんのレビュー・評価

35mmがとても苦手な画角である。
だがどうにもこの苦手を克服したくなった。

最近の私の主たる撮影対象は見知らぬ人である。
これに対し1歩踏み込みナマの感じを写したいと思った。

苦手だからと35mmには手を付けていなかったが、今一歩写真を高めたくこれを購入すると決めた。

少し軽いかと思われるが心地よいクリック感のある絞りリング。
円滑なピント合わせに貢献してくれるフォーカスリング。
α7IIIにマウントしてその小型軽量さをまざまざと見た。

ファインダーを覗いた。
ああ、これだ、これが苦手なんだ、と改めて思ってしまった。
凡庸すぎてしまいなんの誇張もない素を写し、撮り手の腕が見透かされてしまうようで苦手だ。

寄りと引きがことごとく写真に写る。
私が一歩寄ることに躊躇したなら、それが写真に表れる。
だからこそ、これはいい指標になるとも思えた。
自分がいま被写体に向き合えているか、それを如実に写してくれるレンズだ。

また、このレンズは一昔前のレンズのように絞りと撮影距離で性格が変わる。
この点もまた難しい。
いかに今まで良いレンズに撮らされていたかを痛感した。

このレンズは自身がどれだけ真剣に取り組めているかを見せてくれる鏡のようだ。