EOS1系を10年以上使っておりフジXも3年ほど併用しているユーザーです。
理由がありα9を導入してみましたが、意外と速射性に欠けるカメラだと思い
レビューしてみたいと思います。
以下では主にX-T2を比較対象として説明したいと思います。
ファームウェアはカメラ・レンズ・アダプタ共レビュー時の最新版です。
(α9はv2.00、T2はv3.00等)
1.シャッタータイミング
α9のシャッターフィールはそこだけを見ると1系によく似ています。
ストロークがありふかっとしてクリックがありません。
しかしこれは小型ボディではうまく機能しません。
EOS1系はグリップが完全にしっかりしており人差し指はフリーで繊細に使うことができます。
これ以上わずかでも力を入れたらシャッターが下りる、というポイントで構えます。
α9のグリップはT2よりは大きいものですが、この程度では普通の手の大きさの成人男性では余ります。
そのため人差し指第二関節近くまでがボディ支持に加わることになり、ストロークを繊細に
使うことができません。つまり多少アバウトにシャッターを切ることになります。
T2はスリムなグリップですが、割と親指を立てて引っ掛けるスタイルになっており、
その上でシャッターにクリック感を設けてあります。だからどこでシャッターが下りるか
一応ちゃんと分かり、総合的に1系に近いタイミング感で扱うことができます。
α9はメカシャッターだとラグが大きく、電車シャッターで電子音を出す場合は音量の調整が効かず、
無音にするとシャッタータイミングがとても分かりにくいです。この面では良いところを感じません。
2.顔認識/瞳AF
AF-C、T2は顔認識α9は瞳認識とした場合の話です。
まずα9はAF-ONボタンなどを使った親指AFが必要になります。
これはよくないUIだと感じます。
親指AFはファインダを覗きつつアイカップと眉部の骨の圧着で支持力を出し、
親指を少しフリーにすることでスムーズに成立するやり方と思います。
そうでないと即座に押せないと思います。
EVFだけで使うならばそれで問題ありませんが、ミラーレスのメインスタイルである
液晶ファインダの場合は、保持をしっかりさせた上で、AF-ONボタンを押し、
次にシャッターボタンを押すという形になります。ですからさっとカメラを向けて撮ろうと
するとどうしてもワンテンポ遅れがちになります。
親指位置にあるAF-ONでなく左側にあるC3に当てることも可能ですが、
その場合は左手が拘束されます。例えばノーファインダは本来顔認識が一番強みを
発揮するシーンですが、カメラを体から少し離して撮影しようとして、
ストラップを左手で引いて保持するようなスタイルはとれなくなります。
X-T2の場合は単にシャッターボタンを押すだけです。
また顔認識そのものにも差異があります。
サングラスのようなものをつけた場合の認識はα9の方がずっとよいですが、
普通の横顔はT2の方がずっと簡単に認識します。
またα9は一つの瞳にがっちり食いついて、ウォブリングしない半面、
顔のターンに弱く割と簡単に奥の目にもっていかれます。
T2は割とウォブリングしたがる半面、顔のターンには強く、瞳AF設定でなくても
撮ってみるとそれなりの位置のフォーカスになっていることが多いと感じます。
むろんウォブリング中は当然シャッターを逃します。その確率はレンズのAFスピードに
強く依存し、XF16-55/2.8のような高速レンズを使ってる場合の方が信頼性が高くなります。
α9もレンズに依存しますがT2より依存度が低いと感じます。
また全然顔でないものを顔と誤認識する確率もα9の方が低いです。
このように顔認識/瞳AFは優劣があり、α9は優秀だけども突出してるとまでは
言えないというか意外と普通のレベルだと思います。
3.液晶
EVFの表示ディレイはT2と同等に感じますが、液晶の表示ディレイがα9は少し大きいです。
液晶を見て撮影タイミングを図るスタイルはα9は多少難しく感じます。
またウェストレベル撮影に入る場合、単に指で起こして上から覗くと
α9はアイカップが画面にカブってくるので、液晶をつまんで手前に引くという
もう一段の準備動作が必要です。T2はカブらずそのまま撮影に入れます。
この様な点でも速射性に劣ると感じます。
4.ボタンカスタマイズ
α9はカスタマイズ可能なボタンもメニューも量自体は多いのですが、
相互のボタン位置を変えるというような発想に欠けるため使いにくいです。
例えばα9は再生ボタンが右側にありますがキヤノンやフジが左側にあるように、
左側にあるC3に割り当てようとするとそのようなことはできません。
5.ボティヒット
EOS1系は角がなく本来はこれが一番気を使わなくていいスタイルと思います。
T2は箱型ですがわずかながらRの面取りがついておりこれによって多少ましになっています。
箱型ライカなどもよく見るとやはり同様に微妙に面取りしてあります。
α9はシャープに見せようとしたのだと思いますがそのような上面の面取りがありません。
さらに悪いことに上面にデザインのために一つ多い段がつけられています。
このためにα9は角の傷がつきやすくボティヒットに気を使いがちなカメラになっています。
6.まとめ
今の状態だとα9は液晶中心またはAF-S中心スタイルの人にはあまり向いておらず、
AF-CとEVFを重点的に使う人にのみ向いていると思います。
容姿もよく資格も持っていたりして優等生だけど扱にくいお嬢様という感じの人がいます。
努力しているけど相棒としては機能しにくい、α9はそういうカメラだと思います。
僕は気に入っているEFレンズをウェストレベルで使うことを一番の目的に
導入しましたのでα9を使い続けるつもりですが、一般的な向きには価格と関係なく
X-T2の方がいいいと思います。細かいところまでよく配慮されています。
また完璧なカメラはこの世にないということも申し添えておきます。
両社の今後を楽しみにしています。