マイクロフォーサーズ、究極の標準レンズ
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開放F1.2 |
風景撮影の例(鴨川河川敷) |
屋外におけるボケ(やはり、ボケの質は高いですね) |
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本レンズによる撮影(色味が少しあっさりめ(?)) |
比較用(パナライカ 25mm F1.4(旧型)) |
付属フードを装着した状態(右側は12-100mmPROレンズ) |
しばらくの間、マイクロフォーサーズ環境の標準単焦点レンズ(35mm判換算50mm相当)としては、パナライカ25mm F1.4(旧型)を使用してきました。
発色のよさや温かみのある独特の描写には満足度が高いのですが、他方で、旧式レンズゆえに、絞り羽根の動作音が非常に目立つのです。屋外での撮影であれば全く問題ないのですが、室内での撮影となると、カチャカチャ気になってしかたない・・・ということで、パナライカ25mmF1.4に代わる「標準単焦点レンズ」として、本レンズを導入しました
(いつものことですが、“中古並品”です)。
【操作性】
オリンパスPROレンズに共通の操作性です。
そもそも、単焦点レンズで、手ぶれ補正機構も内蔵していないので(手ぶれ補正については本体に全面的に依存)、その点でも操作に迷うことはないでしょう。
【表現力】
メーカーが「ボケの美しさを追求した」というだけあって、マイクロフォーサーズ規格のレンズとは思えない、美しくも滑らかなボケを提供してくれます。この点は、さすがに「価格相応」です。
他方で、パナライカ 25mm F1.4と比べると、発色は“あっさりめ”という印象を受けました(E-M1 MarkII、「ナチュラル」のカラーバランス設定にて撮影した画像を、比較用に添付します)。ここは、好みの分かれるところでしょう。
発色はパナライカ25mmの方が・・・とも思うところですが、結局のところは、設定やRAW現像である程度コントロールはできますので、そこまで気にすることもないかと思われます
(なお、本レビューの添付画像は、すべて“jpeg撮って出し”です)。
また、オリンパスPROレンズというと、(私も常用する)12-100mm F4.0 PROなどを筆頭に、“パキパキの高解像”が代名詞です。しかし、本レンズは、解像力にパラメーターを振っているようなレンズではありません
(そもそも、ボケの美しさと解像力を同時に追求することが困難です。もちろん、現代の単焦点レンズとして必要な水準の解像力は、絞り開放から(合焦しているところについては)確保しています)。
なお、絞ってしまうと結局はこのレンズの“味”−−ボケの美しさ−−が背景に退いてしまいますので、基本的には絞り開放か、それに近い絞りで運用するようにしています。
カメラに馴染んでいない方々からは、「ズームレンズでカバーできる焦点距離のために、わざわざ単焦点レンズを導入する意味は何なのか(意味がわからない!)」と問われることもあるのですが、単焦点レンズの存在意義は、「ボケの大きさ、美しさ」と、「レンズの明るさ」にこそあります。もっとも、そんな「違い」にこだわる人々も、どんどんと“少数派”になりにけり・・・です
(そもそも、現代において猛威を振るっているスマホカメラのレンズからして、単焦点が基本であるわけでして・・・)。
【携帯性】
マイクロフォーサーズ規格の標準単焦点としては、間違いなく大柄です。
もっとも、標準単焦点のくせに、レンズ14群19枚−−下手なズームレンズよりも枚数が多い!−−という、贅沢な構成になっていることを踏まえると、大柄で重さもそれなりにあることは、甘受しなければならないでしょう。鏡筒もPROレンズ仕様の金属筐体ですし・・・。
なお、全体的なサイズ感としては、12-100mmPROレンズよりは小柄、(かつて所有していた)12-40mmPROレンズとは似たようなもの・・・というところでしょうか
(並の標準単焦点レンズと比べると、本レンズは相当に大柄です)。
【機能性】
基本的にはE-M1 MarkIIやE-M10 MarkIIといったオリンパスボディと組み合わせていますので、AF速度、精度とも不満は感じません。
他方で、付属のフードが(単焦点レンズとしては)かなり大柄で野暮ったく、フードをつけたままカメラバッグに入れるにはかさばります。しかし、そこは写りとのトレードオフです。
プラスチック製とはいうもののきちんと固定される造りになっており、遮光性もきっちりとしていそうなので、フードの機能自体には、不満はありません。
【総評】
マイクロフォーサーズ規格における標準単焦点レンズとしては、本レンズが“最高峰”となります。
ボケの美しさについてはメーカーもPRしているところではありますが、実際に使ってみて、マイクロフォーサーズ規格の標準単焦点レンズとしては、やはり一歩抜けているという感を、強く抱きました。
発色はややあっさりめですが、そこは、撮影者が事後に調整してくれ・・・ということでしょう。あっさりめだからこそ、調整のしがいがあるという見方もできます。
また、(発売から3年程度と)世代が比較的新しいので、当然といえば当然ですが、絞り羽根もAFも、ほぼ無音で動作します。カメラ本体を電子シャッターに設定しておけば、室内の撮影でも大いに威力を発揮します
(絞り羽根の露骨な動作音がなければ、もうしばらくパナライカ25mmF1.4で戦っていたのかもしれませんが・・・)。
F1.4のレンズに慣らされていると、“F1.2だから革命的に明るい”ということも(正直)ないのですが、わずかであっても、室内撮影においては「明るい」ことは正義です(シャッタースピードなりISO感度なりに、余裕をもたせることができるのですから)。
他方で、本レンズは、14群19枚構成という、単焦点レンズとは思えないレンズ構成になっています。そのことによる画質面でのメリットがあることは事実ですが、他方で、レンズが多いがゆえに、(条件が悪いと)ゴーストが出ることも否定はできません。もちろん、コーティングや補正などの努力によって、できる限り低減しようとする姿勢は示されていますが、この点についても、「トレードオフ」の関係になっているのかもしれません。
満足しているところ、気になっているところと書いてきましたが、全体としては「マイクロフォーサーズ規格における、究極の標準単焦点レンズ」という評価に落ち着きます
(標準単焦点レンズをあれこれと乗り換えてきても、結局たどり着くのは“本レンズ”なのでしょうか・・・)。
- レベル
- アマチュア
- 主な被写体
- 風景
- 夜景
- その他