わたしが仕事として受け持っている事柄は答えのない状態が多くあります。わたしが答えを見出していないという状態ももちろんありますが、わたしの中では解が見えているがみんなに咀嚼し摂取してもらうには長い時間が必要ということもとても多くあって、「容易に答えの出ない事態に耐えうる能力」が磨かれてきたように思います。
これは今日ではネガティブ・ケイパビリティとして人口に膾炙しています。
多くの受賞歴をもつ小説家であり、臨床40年の精神科医が悩める現代人に最も必要と考えるのは「共感する」ことだ。この共感が成熟する過程で伴走し、容易に答えの出ない事態に耐えうる能力がネガティブ・ケイパビリティである。
この高まりとあわせて、自分自身を抑圧しがちな傾向を持ち合わせていることにも自覚しています。わたしにとっては扱いが紙一重で混同しがちなので、改めてそれぞれを整理してみました。
ネガティブ・ケイパビリティとは
シンプルに言えば「わからないことをわからないままにしておける」能力です。
- 不確実性や曖昧さを受け入れられる
- 拙速な結論を避け、複雑な問題を多角的に検討できる
- 異なる視点を尊重し、対話を継続できる
自己抑圧とは
自分の感情や限界を無視して進み続けることです。
- 自分の限界を無視して無理を続ける
- 休息の必要性を認めない
- 自分の感情や体の声を無視する
わたし自身としては「曖昧さに耐える」という名目で、実は「自分を抑え込む」方向に進んでいた場面が少なくなかったように思います。
不健全な抑え込みは減らしてうまく付き合っていきたいので、明日のわたしへの申し送りとして勘所を言語化しておきます。
心身のシグナル
スーパーアーマー (すーぱーあーまー)とは【ピクシブ百科事典】のごとくダメージを受けながらも耐えて突っ切るところがあります。しかし実際は、「まだ大丈夫」「もう少し頑張れる」と体のサインを見過ごすことが常態化していました。
自分の感覚に注意を向け、疲労感や心の違和感が表れたときには素直に認めることが重要です。疲れを感じたら、思い切って短時間の休息を取る。これは決して「弱さ」ではなく、長期的な持続可能性を高めるための賢明な選択なはずです。
「待つ」ことと「抑える」ことの違いを認識する
ネガティブ・ケイパビリティの本質は「答えを急がず待つ」能力です。しかし、わたしはこれを「自分の声や感情を抑える」ことと混同していました。
例えば会議の場で、誰も発言しない時間が続くと不安になり、考えがまとまっていないにもかかわらず発言してしまうことがありました。しかし本当の「待つ」能力とは、その沈黙を尊重し、各々が考えを深める時間として活用することです。
「共同探索者」の姿勢を取り入れる
わたしが仕事で大切にしている「Problem vs Us」。この考え方を尊びつつも、問題を「解決」するムーブをとりがちな自覚があります。ここを意識的に「共同探索者」というスタンスを心がけていくと、自分としても組織としてももっと健全になれるかもです。
例えば、複雑な問題に直面したとき、「叩き台でもいいからわたし自身としての回答を出さないと!」と自分にプレッシャーをかけがちなのです。しかし、自分一人だけで立ってるわけではない、みなで向き合って共同で探索してるんだということを思い出すと、自分に過度な重圧をかける必要がないことに気が付かされます。この姿勢は対外的な関係だけでなく、自分自身との関係にも適用できると気づきました。
意識的な「降り方」を練習する
仕事でも趣味でも、何かに深く没頭すると、抜け出るタイミングを見失いがちです。特にわたしのように「最上志向」の強い人間は、「もっとよくできるはず」という思いに囚われがちです。
しかし、意識的に「今日はここまで」と決めて降りる練習が重要です。抑圧として悩みを自分の中に収めてしまうことがありますが、そこから降りると、別の景色がみえてくるはずです。