2025年11月。久々のアルバム「Wormhole / Yumi AraI」発売で松任谷由実のテレビ露出が増えている。わかりやすくプロモーション(宣伝)だが、ユーミンクラスが出てくれるとなると番組側も時間を取って軽々しい扱いにはしない。
どこかの番組(NHK?)で本人が言っていたことだが、「松任谷由実は荒井由実を超えたいと思っていたが、超えられなかった(もう気にしなくなった)」的な内容であった。
どちらも同一人物なのだから、それはおかしな話なのだが、実際のところこの言葉の意味はよくわかる。
実際、「好きな曲ランキング(オールタイム)」の多くの割合を荒井由実時代の曲が占めている。
「みんなのランキング」のサイト(2025年11月19日現在)のランキングによると
ベスト10までで5曲が荒井由実名義。のこり5曲は松任谷由実名義だった。
「なんだ、そんなもんか」と思ったあなた、考えても見てほしい。ユーミン50年のキャリアの中で荒井由実時代は、ほんの数年(1972年から1976年オリジナルアルバム4枚)である。全キャリアの十分の一にも満たない期間なのである。
ベスト20位までを見ても11位に「あの日にかえりたい」12位に「海を見ていた午後」13位に「ルージュの伝言」とベストテンに入ってもおかしくない曲が並んでいる。(20曲中9曲が荒井由実名義)
これはすごいことで本人が「荒井由実時代を超えられない」と考えるのも無理はない。
これほど時間が経ってもエバーグリーンの名曲となっていることは、「若き天才」という修辞では語りきれない「本当の天才」の所業だったと言えるのではないだろうか。
もちろん前に書いた通り、荒井由実と松任谷由実は同じ人格である。名前が変わったとたん天才ではなくなったということは無い。
本人があまりに加熱する「荒井由実ブーム」から脱するために結婚を機に改名したと語っている通り、「荒井由実」でいることに嫌気がさしていた。歌手を引退するつもりだったらしい。
ただ、実際はそうはならず1年休んだ後、1978年から年2枚(!)のペースでアルバムをリリースしていくことになる。
80年代に入ると本格的な再ブレーク期に入り、1981年のアルバム「昨晩お会いしましょう」(12枚目「守ってあげたい」「カンナ8号線」収録)から1997年の「Cowgirl Dreamin'」(28枚目「最後の嘘」収録)まで連続でオリコン1位を獲得した。(17作連続!)
1984年。YとMを組み合わせた『ユーミンマーク』を前面に押し出したアルバム「No Side」(18枚目「ノーサイド」「BLIZZARD」「DOWNTOWN BOY」収録)以降さらにギアが上がった。以降アルバムリリーズは年1枚のペースになるが、売れ方が尋常ではなくなる。(世はバブル期に突入する)
さらに本格的なCD時代となる1988年の「Delight Slight Light KISS」(20枚目「リフレインが叫んでる」収録)以降8作連続で100万枚を突破する。(ちなみに最多の売上枚数を記録したのはベスト盤の「Neue Musik YUMI MATSUTOYA COMPLETE BEST VOL.1」(1998)の325万枚だった)
活躍の度合いに関しては決して荒井由実時代に劣っているわけではないのである。
それでも、である。
前出のランキングによるとベスト20位まで松任谷由実名義の11曲は以下の通り
1位 DESTINY (1978)
2位 埠頭を渡る風 (1977)
8位 リフレインが叫んでる (1988)
9位 守ってあげたい (1981)
10位 青春のリグレット (1985)
14位 ノーサイド(1984)
15位 真珠のピアス(1982)
17位 カンナ8号線(1981)
18位 春よ、来い (1993)
19位 NIGHT WALKER(1983)
20位 ジャコビニ彗星の日(1979)
ベスト20のこれ以外の曲は当然70年代の曲なので70年代の曲は12/20。それと地続きの80年代前半の曲が5/20。80年代後半が2/20。90年代以降が1/20。

松任谷由実・荒井由実の区切りを気にせずに年代で考えても初期の70年代が圧倒的に人気という結果になる。CDを売りまくった80年代後半から90年代の曲は3曲だけだ。
50年前の曲が今でも愛され続けているのである。
70年代、時代に先行していたユーミンは80年代以降、時代と寄り添って、ニーズにびったりマッチしてCDを売りまくり、2000年代以降時代と乖離し始めている感があるのではないか?最新アルバムがAiボーカルとの共演というのも「今一度、最先端」への憧憬なのではないだろか?(スミマセン、自分の妄想です)
松任谷由実のディスコグラフィからは黙殺されている、alphaレコードが勝手にリリースしたシングルコレクションである。
(様々なアーティストがレコード会社移籍のタイミングでこんなことをされている。ドリカムしかり、スピッツしかり、山下達郎しかり、だ)
(様々なアーティストがレコード会社移籍のタイミングでこんなことをされている。ドリカムしかり、スピッツしかり、山下達郎しかり、だ)
シングルバージョンを集めているので曲によっては貴重な音源がある。なにより全体が70年代の雰囲気が横溢している。最近のベスト盤等に収録される際にはバーニー・ゴールドマンによるリマスターが行われるので、オリジナルにより近いのはこちらの盤であろう。
曲順はCD裏面に記載(写真)の通り。英文で書かれているが日本語タイトルである。
(ユーミンはある時期から表記するしないにかかわらず英文タイトルも付けているが、それではない)
収録曲
01. Velvet Easter
02. あの日にかえりたい
03. 12月の雨
04. 何もきかないで
05. 魔法の鏡
06. きっと言える
07. 空と海の輝きに向けて
08. やさしさに包まれたなら
09. 瞳を閉じて
10. ルージュの伝言
11. 少しだけ片想い
12. 返事はいらない
13. 翳りゆく部屋
14. ひこうき雲
なかなかに貴重なものと思っていたが、ヤフオク等をみると大量に出回っているみたいで普通に安価で買える。(買う価値があるかどうかはあなた次第)










