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似て非なるもの QDCとTFZ

有線イヤホンのイヤホン側のコネクタ形状のはなし。

中華イヤホンは通常2Pinを挿す形状なのだが、一筋縄ではいかない。
よく似た外観の通称QDCコネクタとTFZコネクタに互換性は無いと言われているが本当はどうなのか?…

と、その話をする前に、まずはコネクタのおさらいをしておこう。


有線イヤホンはまず、ケーブルが固定(交換できない)タイプとリケーブル可能なタイプに分かれる。国産(いや国内メーカー)のほとんどはリケーブルできない(高級タイプはその限りではない)このタイプは今回関係がない。

 
リケーブルできるものは、当然ケーブルと本体の接点となるコネクタ部分が存在するが、この形状がブランドによって異なる。統一規格が無いのがその原因だが、事実上のスタンダードというべき規格は存在する。有名なMMCXはハイシェアのSHUERやゼンハイザー等多数のメーカーが採用しており、スタンダードといえる。
ただ、中華イヤホンは独自の進化を遂げており、MMCXを採用することは稀である。(無いことは無い)
中華イヤホンの多くでは2Pinが採用されており、ケーブル側は凸(Pinが突出)でイヤホン側は穴が二つあり、そこに差し込むことでリケーブルする仕組みである。
汎用の2Pinと2PinCIEMは台座からPinが突出しているだけなので、多くの中華イヤホンに挿しこみ可能である。厳密にいうとPinの径がわずかに異なり挿せないことになっているが、挿そうと思えば挿せる。(直径0.03㎜の差)
ただ、汎用2Pin、2PinCIEMはケーブル側Pin部分の摩擦だけで保持するので、抜ける恐れがある。
その問題を解決しようとするのがTFZタイプとかQDCタイプと呼ばれる形態でPinの外側にプラスチックカバーを付けたものである。イヤホン側の凹部分はただ穴が開いているのではなく、本体から突出させる台座があるタイプが一般的である。Pinだけではなく台座の部分をカバー・保持してイヤホンと接続するのがこのタイプである。
このタイプも統一規格が無いため、この二つの形状が並立している状態である。(実際はもっとある)
実際、シェアが高いKZ(CCA)が主力モデルをQDC(KZ TypeC)にしているため、QDCの方が優勢のように感じるがどうなのだろう?


今回、「NiceHCK C16-5 NX-7 TFZ」というケーブルを購入した。新品で700円だった。

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C16の16は16芯の意味で―以下は線材を表してしる。後ろの-5は高純度銅線と銀メッキ銅線のミックス線の意味である。(-4は銀メッキ銅線、-3は高純度銅線といった具合)
はじめてはっきり「TFZ」を、うたったケーブルを買ったが、販売サイトには「NX-7,TFZに適合し、QDCにも使用可能」との記載もあった。
自分所有のイヤホンはKZ系、TRN系が多いのでQDCで使える方が勝手は良いが、どうなのだろうか?実際にやってみた。

まず、Pinの突出具合の違い
並べてみると相当ちがう。
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TFZ
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QDC

まず、もともとNX-7と同一メーカー(NiceHCK)のDB-2に装着。完全適合でシンデレラフィット。キッチリ収まりストレスなしである。(当たり前か)

一方、CCA C12に挿してみる。Pinは刺さることは刺さるが、突出している分、奥まで入らない。本体とケーブルのハウジング部分に2㎜程度の隙間ができる。
使えるといえば使えるが…といった感じ。自分は使わないだろう。
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試しに逆パターンQDCタイプのケーブルはNiceHCK DB-2で使えるかやったみたが、こちらは刺さらなかった。本体台座部分の大きさが適合しないらしい。

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このことから、突出している台座部分の大きさはパッと見わからないがTFZタイプの方が大きいのだろう。

互換性に関してはこんな感じ
 QDC◎← CCA C12 → △TFZ   QDC×← DB2 → ◎TFZ 
結局専用タイプを使う方が良い。それが嫌なら汎用の2Pinタイプを使う。
というのが結論であった。
※実は極性についても逆と言われているが、自分はあまり気にしていない。



以前、中華イヤホンブランドKZの「ZSシリーズを俯瞰する」という記事を書いたが、今回は同社のASシリーズを扱ってみたい。

ZSシリーズは膨大なバリエーションがありドライバの組合せも様々だが、基本ダイナミックドライバとBAドライバとのハイブリッドだった。(一部2DDや1DDの機種もあったが…)1DD+1BA(ZST型)が基本で、BAの数が増えていき1DD+4BA(ZS10型)や1DD+5BA(ZSX型)へ進化した。
一方のASシリーズだが、こちらはマルチドライバ(多ドラ)だが、ハイブリッドではなく使用するドライバはBAのみである。BAを複数台搭載し、3wayや4wayのように鳴らす仕組みである。
ZSシリーズなどのハイブリッド型は自然な低音域が期待できる(口径の大きな)ダイレクトドライバが中低音域を、高精細で高音再生が得意なBAが高音域を担当してより高音質を狙うものである。(「餅は餅屋」方式)
一方のBA型マルチは性能が高く小型のBAを複数搭載することにより、どの音域も高精細な再生を狙うものである。(「大は小を兼ねる」方式)

モニタイヤホンのベストセラーSHUREのSEシリーズは最廉価のSE215(ダイレクトドライバ1基)以外はこの方式である。(ただ、SE315はマイクロドライバ=BA1基のみ、SE425以上がマルチドライバ)
否応なく期待が高まるが、価格が10倍近く違うので同等というわけにはいかないだろう。

バリエーションについてはBAの数の違いということになる。
2018年発売のAS10はBAを片側5基搭載(両耳で「10」である)
AS06(2019) 片側3基(名機と呼ばれている)
AS12(2019) 片側6基
AS16(2019) 片側8基
ここまでが第一世代

この後名付けルールが変わり
ASF(2020)片側5基(「F」はFiveか?)
ASX(2020)片側10基(「X」はテンか?)
AST(2021)片側12基(「T」はTwelveのTか?)

その後しばらく空いてリブートされる
AS16Pro(2022)
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気合の一本でKZの本気を見せたと言われている。
その後、AS16ProX(2024)がリリースされた。同時にASFとASTの後継として
AS10Pro(2024)AS24Pro(2024)が発売された。

実はASシリーズはここまでである。
2025年以降AMシリーズに移行した。



KZといえどもBAをマルチで搭載するとZSシリーズのような価格では売れないらしい。5,000円オーバーの価格帯、AS24Proになると10,000円を超える。(ASTは15,000円を超えていた)価格帯やドライバ数ではZAシリーズと競合する。一般的には同じ価格ならハイブリッドの方が良いのではと思うが、ASシリーズは連綿としてリリースされていた。

自分が持っているのはASF(2020)とAS16Pro(2022)の二機種だが、この2機種の間には大きな差がある。

単純にBAの数以上の違いがある。
2020年と2022年との間にはKZの置かれた立場に違いがある。中華イヤホンのイメージ(ドンシャリ)をつくり、トップに君臨していたKZだったが、2020年頃からバランスの取れた良音中華イヤホンが出始め、2022年時点では他ブランドの猛追を受けて揺らいでいた。ZST-XとZSN ProXの成功で慢心していた(かどうかはわからないが)KZの凋落は絶頂を極めたあたりから始まっていたのである。

ASFは2020年、KZがZSシリーズの完成形というべきZSN ProXとZST Xをリリースした年である。ある意味KZの絶頂期であったわけだが、他社の台頭によりその後ヒットに恵まれなくなる。
その「終わりの始まり」の年にリリースされたモデルであった。AS10の後継モデルとして勢いで作った感が無くはない。高精細のはずが、音が籠った感じで聞こえる。得意なはずの高域も今一つである。
一方2022年のAS16Proは他社の良音イヤホンを意識して、ドンシャリだけではないバランスの取れた音を目指した感がある。ただ、ASFよりは良いがZASより良いかと聞かれれば少々疑問である。
BAはユニットが小さいのが特徴だが、ASシリーズの筐体はコンパクトとは言えない。むしろ、大きいくらいだ。BAの配置には配慮が必要なようでBAの数に関わらす大きめのボディとなっている。

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左がHBB-PR2 右がAS16Prp
あまりメリットは感じられないがBAならではの音を好む人が一定数いるのは間違いのないところ。
また、名前が変わったAMシリーズがどうなったのかも興味があるところである。


KZ ZASを買った

ペイペイフリマで8%引きのクーポンを使って3,933円の支払いだった。
ZASの出物が少ない中、比較的安価で、写真を見ると付属品も揃っているように思えたので、すぐに購入した。←これが良くなかった…(後述します)

ZASとは
中華イヤホンの雄KZのZAS(2021)はハイブリッドマルチドライバ(1DD+7BA)を搭載した名機の誉れ高いイヤホンで、後継機のZARが出た後でも販売は継続している。(KZではよくあることだが)
ZAX(2020)の後継機だが、音をより進化させ、ビルドクオリティも高めて、完成形と呼べる機種となった。KZの中華イヤホン界での地位はこの頃から相対的に下がっていくのだが、その最後のあだ花的な一台となった。(いや終わっていませんよKZは)
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本体の黄ばみについては説明文に記述があった

実際聞いてみると
噂に違わず、よい音であった。
KZの特徴はドンシャリと言われるが、ZASは量が多い低音域の質も、派手になりすぎない高音域も非常に良質だった。しかも定位感が、ずば抜けてよい。
派手で元気だけが取り柄だった中華イヤホンのイメージを覆す一本だった。
1本だけ買うならばZASだけあればよい(言い過ぎ?)と思えるクオリティだった。
ZAXとの比較では、ZAXは中華イヤホンの上質版という感じだが、ZASはイヤホン全般の中でも上質な製品という感じ。(違いはわかりますかね?)
買ってよかったと思えるはずだったのだが…


フリマアプリの陥穽

最初に断っておくが、出品者は何も悪いことをしていない。(詐欺だと言っているわけではない)買った自分が悪いのだ。何度も取引するうちに確認を怠ってしまい、情報弱者が陥りがちな間違いを犯してしまった。
全ては、出品のコメントに書かれていたし、写真の製品が届いたのは間違いない。
危なそうな記述があったのにスルーしたのは自分である。

この個体が偽物ということではない。前述のようにイヤホン自体の音は素晴らしく良く、使い続けるにしくはない。ただ、悔いが残る買物になった。

理由
①外装箱が無かった
KZのこのクラスの商品はウレタンの台紙にイヤホンを埋め込み、それを蓋としてその下側に、ケーブルとイヤチップを収納する外箱が付いている。最近のものはわからないが2020年前後の品物はそうだった。そしてその構造ゆえ、ポストインできるサイズ(厚さ3㎝)を超えている。だが、この製品は「ゆうパケット」で届いた。封筒の上からでも厚みが足らないのはわかった。説明文には箱の有無は書かれていなかったが、ウレタンの台紙を真上から撮った画像があった。(これをその下の箱もあると誤認した)
基本、本体にしか興味がないのだが、リセールバリューを考えると箱の有無は大きな違いだ。
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下はKZ AS16Proの箱

②ケーブルがZASのものではなかった。
これも写真をみれば気づけた点である。ZASのケーブルは8芯銀メッキで3.5㎜プラグがアルミ製のストレートである。この商品のそれは、汎用の廉価版についてくる3.5㎜プラグがプラ素材でL型のものだった。
基本、本体にしか興味がないのだが、ZASにしか付属しないケーブルは使ってみたかった…(本文には「付属品は未使用です」とあったのに)

③本体のノズルフィルターが無かった
①と②は些細な事。説明文にそう書いてあれば納得して買ったと思うので、少々残念なだけなのだが、③は本体にまつわることなので看過できない。
ノズルフィルターとは耳に差し入れるノズル部分の穴に異物が入らないようにするための板である。音を通過させるために普通小さな穴が無数に開いている。(大きなゴミは通過させない)
ただ、これとて「交換用ノズルメッシュフィルターを2ペア付けています」と本文に記述があった。それを読んではいたが「そういうものなのね」と深く考えなかった。まさかフィルター自体が無いとは考えなかったのだ。
ノイズフィルターは通常金属製のパンチングメタルがはめ込まれていると考えていたが、違うのだろうか?ノイズフィルター自身が無いということは有るのだろうか?

調べてみたら布製のフィルターというのがあり、擦ると破れることがあるらしい。が、この機種がそうかどうかはわからない。
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ノズル部分 ただの穴に見える

また付属してきたノズルフィルターと呼ばれるものは薄いシール状のもので、効果が期待できるのかどうかわからない。(簡単に破れそう)

こちらの確認不足ということで返品はしないで、受け入れた。(支払いをした)
ただ、今になって考えるとやはり納得いかないこともある。上の「付属品は未使用です」の記述はグレーだと思う。付属品と言っている以上ZASのものでなければならないのではないだろうか?この一点で返品できたのではないか?

あー、もやもやする。ZASが良い機種と分かっただけに余計もやもやする。

オヤイデのMMCX用ケーブルをペイペイフリマにて1299円で購入(中古品)
ペイペイフリマの商品説明には型式がHPC-MX/P-35G(R) と書かれていた。
オヤイデのMMCX用イヤホンケーブルの現行モデルは確かHPC-MXs(Sが付いている)である。商品写真をみるとプラグ形状が明らかに違っていた。型式が違うので違う製品と考えるのが妥当なのだが…得体が知れない。
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HPC-MXsのミニプラグ側端子はプラスティック成形のL型プラグである。本品は金物のストレートプラグである。明らかに違う。Sの有無でプラグか違うのか、と思っていたのだが、そうではなかった。(後述するが「S」の有無には別の意味がある)

自分が持っていた古いオヤイデのカタログに同じ(ように見える)ストレートプラグの製品が載っていた。その製品はHPC-SEという品名で、品名から想像できるが当初SHUREのSEシリーズ用に開発されたリケーブルであった。発売は2012年6月でSE215specialEditionが発売された年にあたる。だいぶ古い話だ。

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ただこの製品の3.5㎜プラグは「P-35SR」(ロジウムメッキモデル)という表記があり、本品の「P-35G」(金メッキ)とは異なっている。もともとP-35SRもP-35Gもオヤイデが単品で販売しているミニプラグパーツである。価格も違う。見た目は一番近いがHPC-SEではないということだ

そもそもHPC-MX/P-35G(R)という製品はオヤイデのカタログに載っていない気がする。

公式にオヤイデのパッケージ商品として売られていたのは下記の三製品

その違いをまとめた表を作ってみた



HPC-SEは線材に当時オーディオ用として広く使われていたPCOCC-A(古川電工製)を使用している。しかし、2013年に製造中止になり設計の変更を余儀なくされた。
2014年に発売開始されたHPC-MXは線材が「精密導体102SSC」に変更されている。それが一番大きな違いだが、同時にミニプラグ側がゆるやかにカーブした「モールド(成形)樹脂端子」に変更された。MMCX側も十字スリットが入ったものに変更された。
MXとMXsの違いだがミニプラグ(成形)の形状が緩やかなカーブから大きめのL字型に変更になっている。その他はMMCX端子がミリ単位で変わっている。(オヤイデ談)
品名が表す通りMXsはMXのマイナーチェンジモデルということらしい。


MXs登場の意味

MXが登場したのは上記の通り、線材が変更になって新設計のモデルが必要だったからである。それではMXsへのマイナーチェンジが必要だったのはなぜだろう。
実はMXはリリース後しばらくして、断線のため、自主回収と交換を行っていた。
その部位は3.5mmミニプラグ部分。成形されて緩やかにカーブしていた部分だった。そのためその部分をマイナーチェンジしてMXsがリリースされたのではないか。
MXsではより直角に近い大き目のL型形状が採用されている。


下衆の勘繰り

さて、今回購入したHPC-MX/P-35G(R)であるが、型式から考えて「HPC-MXのミニプラグ部分がP-35Gに変更されているもの」と考えられる。(R)はケーブルの色Redである。

ここからは想像(妄想または下衆の勘繰り)だが上記のようにミニプラグに問題があったとすれば、その部分を交換して(問題のあったミニプラグを切ってP-35Gに付け替えて)製品化したものではないか?つまり、販売できなくなった製品を改良し売るためのリファービッシュ品の型式なのではないか、ということだ。

その傍証といえるのが販売経路と商品の扱い方である。この製品はオヤイデのカタログに載っておらず自社の通販でも販売されていない。商品はビニール袋に「HPC-MX/P-35G(R)」というシールが貼ってあるだけのバルク品形態である。
また、この製品を扱っているのは自分が知る限りONKYO DIRECTのみである。価格は1,980円。HPC-MXの価格が5000円を超えていたことを考えると格段に安い。「訳アリ商品」の疑いがある。(オヤイデを語った偽物の可能性も排除できないが、ONKYO DIRECTならそれは無いかと…)


検証

安価に売っているなら納得した人が買えばそれでよい(リファービッシュでも関係ない)と思うが。少し調べてみた。
線を切って繋ぎなおしたなら、ケーブルは、少しは短くなっているであろう。
実測してみた。HPC-MXの長さはカタログ値120㎝である。
HPC-MX/P-35G(R)の長さは…120㎝だった。
切断・交換のリファービッシュ説には無理があるのかもしれない。

プラグ類を子細に眺めていると、疑問が生じた。

上記の表のようにHPC-MX以降MMCX用プラグの仕様が変更になり十字スリットが入ったはずである。
本品を見てみるとスリットが無いように見える。
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念のため他社製品(NiceHCK BlackDawn)の該当部分を見てみるとスリットを確認できた。
こうなると全くわからなくなる。

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十字スリットがHPC-MX以降の機種には採用されているので、無いのはHPC-SEのみである。HPC-SEのプラグを安価なP-35Gにリファービッシュした可能性が浮上してきた。
HPC-SEのケーブル長は130㎝である。切断して繋ぎなおしても120㎝は確保できるであろう。
ただ、それなら型式がHPC-SE/ P-35G(R)となるはずである。うーん。


結論

結局、このケーブルの正体は「全くわからない」というのが結論である。
HPC-SEとHPC-MXは線材が異なっているので別物と考えるべきだ。今となってはPCOCC-Aを採用していたHPC-SEの方がやや貴重ともいえるが、たぶん大差ないのだろう。

実際このケーブルを使ってみたが、前述のNiceHCK BlackDawnとの比較では、音がタイトになった感じがした。(BlackDawnは芳醇)
設計が古いせいか、ややタッチノイズがある。BlackDawnは布巻なのでタッチノイズはない。
HPC-MX/P-35G(R)のMMCX用プラグはキッチリ収まるが、外す際に相当な力が必要だった。これが個体差なのかスリットの有無が原因なのかはわからなかった。

大きく印象が変わらないなら買い換える必要は無いように思う。2000円程度の価格ならこの赤色が好きなら買っても良いとは思う。(以前この稿でも書いたがオリジナルケーブルの質がもともと高い)

PHILIPS SHE9710(ジャンク品)を買った
ジャンク扱いだが未使用品だと思われる品。(未開封だった)330円で購入。
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前ユーザーが購入した日にちがはっきりわかる。10年以上前の製品である。

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中華イヤホンが低価格帯を席巻する前、低価格、高音質で名をはせたモデルである。

元々はこの前の機種SHE9700(2009)がベストセラーモデルだった。実売価格2000円程度で良音だったため話題になった。「マツコの知らない世界」で取り上がられ一般的にも広く知られた機種だった。
このSHE9710(2013)はその後継モデルで付属品等に違いがあるかもしれないがやや価格が上がり(実売2980円程度)コスパは下がった。

PHILIPSはオランダのグローバル家電メーカ―だが日本でのオーディオ分野の展開はしていなかった。(髭剃りや電動歯ブラシは売っていた)Marantzとの関係のゆえか、オーディオ機器はその後も入ってこなかったが、このSHE9700の前あたりから、イヤホン、ヘッドホンの販売は強化される。一時期自分も使っていたSHP8900という開放型のヘッドホンが、適当なコスパで音は良かった。(“ゴールデンイヤー”がチューニングしている)ただ、どういう具合か途中から高級路線に転換して高価なモデル(X1とか)しか売らなくなり、そのうち見なくなった…

そもそも人々の関心がイヤホン、ヘッドホンに向き始めたのはいつことだろう

70年代後半以降80年代、90年代はポータブルオーディオの走り=ウォークマン(カセット)が発売され、音を持ち出して聞くスタイルが定着した時代である。この時代のイヤホンは本体付属のものを使うのが当たり前でつけ替えるという発想は無かったように思う。ヘッドホンは存在したがプラグの太さが違いポータブル機に挿すことはできなかった。イヤホンを買い替えるのはよほどの酔狂か壊れた時に限られた。ヘッドホンの用途は家庭内で深夜等に大音量で聞くためだった。(スピーカーの代替品)

2000年代に入り本格的なポータブル機iPodの出現(数千曲を持ち出せるようになった)とその後のスマートホンの普及が音楽の聴き方のスタイルを根本的に変えていく。
ストレージがHDDのiPod(後にiPod touchと区別するためにClassicと呼ばれる)がリリースされていた2001年から2009年の間、付属のイヤホンがあまり高音質ではないという理由(もしくはインイヤーのイヤホンが大きすぎるという理由で)買い換える人が出始める。ヘッドホンでも3.5㎜のプラグが一般化し選択肢が増える。自分の感覚では2010年前後から高級イヤホン(ヘッドホン)というのが出始め、50,000円を超える機種も登場した(初期のゼンハイザーやAKG)2010年前後からヘッドホン(イヤホン)のMOOK本が現れ始める。大型量販店にイヤホン試聴コーナーができ始めたのもこの頃なのではないか。
余談だがアニメ「けいおん」(2009)の登場人物が使用していたヘッドホンがAKGのK-701で「澪ホン」と呼ばれたが、これも当時50,000円超の価格だった。
イヤホン(ヘッドホン)に資本を集中することによって、相対的に家庭でのオーディオ機器というものが減っていき特にエントリークラスの消滅という現在の状況に繋がっていくのだが、それはまた別の話である。

スマホの普及とTWSの出現(2010年代後半)
日本において圧倒的なシェアを持っていたiPhoneがイヤホンジャックを廃したのはiPhone7(2016)だった。以降、一気に無線イヤホンにシフトしていく。特に日本においてはその傾向が強い。もう10年近くその状況なので有線のイヤホンは(日本では)絶滅しかかっているのかも知れない。
SHE97系もすっかり無くなって…と思ったら、無線イヤホンとして復活していた。SHE9700BT(2021)というのがその名前である。実機を見たことが無いが、かなり忠実に再現しているようだ。BTユニットをケーブル側につけるTWSではない無線タイプである。(現在の基準からするとかなり細いSHE9700の筐体にはBTユニット、アンプ、バッテリーを収納するのは無理がある。2025年3月現在2800円程度の価格で買えるようだ)

前置きが長くなったが…SHE9710を聴いた

実は同じ機種(SHE9711=白色)を使っていた。イヤチップが取れて無くなったため使わなくなったが、当時の印象は悪くなかったように記憶しているが…いかがなものだろう

良いところ
今回使ってみてまず、装着感の良さに驚いた。本家SHUREはじめ、ほとんどの中華イヤホンでシュア掛けがデフォルトになりつつある現在、ケーブルを耳に掛けないタイプのイヤホンは少数派である。
カナル型で耳穴に深く差すタイプであるが、本体が微妙に曲げられており、耳穴にフィットする。(Fainal Eシリーズは同じタイプだがイヤチップだけで支える形でやや不安定)イヤチップの形状、柔らかさも良好で違和感なく奥まで指すことができる。装着が上手くできると低域の質感量感ともに増す。

定位感がとても良い
ボーカルが前方の近いところに定位し、はっきりと聞こえる。一部の中華イヤホンのように隣の部屋で歌っているような感じではない。
解像感が高め
伴奏の楽器も解像感高めで細かい音も良く再生している。高音域もシャリシャリせずに、はっきり聞こえる。(しかもボーカルを邪魔しない)
低域も良く伸びる
中華イヤホンのドンシャリを聴いた後では、量的には控えめだが、十分に低域を再生している。当時の日本メーカーのイヤホンでは低域は重視されていなかったような気がする。

総じてバランスが良く、良イヤホンである。初代の2000円以下の価格なら間違いなくAクラスのイヤホンだろう。(3000円なら中華エントリーの上位との勝負になる)

ダメなところ
ケーブルのタッチノイズ 
これについては現在のイヤホンは相当改善されているため、だいぶ気になる。ケーブルにゴムのようなコーティングがあり、ケーブル同士が触れただけでも盛大にノイズが発生する。
全体の質感 

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全体的にプラスティッキーで高級感に乏しい。軽くて良いという考え方もあるが…
ボリュームがやや取りにくい
インピーダンスは16Ω、音圧感度は103dB/mWということだがiPodではややボリュームを上げ気味にした方が具合がよい。イヤホンの個性というべき点でダメということではない。
まあケーブルノイズ以外は欠点らしい欠点が無いというのがこの機種である。

現在普通に存在したらこの機種を選ぶだろうか?
欠点の少ない良イヤホンであることは間違いないし、価格次第では買っても良い(自分は330円で買った)とは思うが、メインで使うとなるとちょっと考える。
装着感が良いので「音の良い寝イヤホン」あたりが落としどころかな、と思っている。




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