早すぎるゼ!KANさん!


最初に断っておくが、KANの時代が1987年~1982年だったという意味ではない。
KANは今も現役で活躍している。(一時期ほど活発ではないにせよ)
今回取り上げる最初のベストアルバム「めずらしい人生」が1987-1992年の間だったという意味合いである。
KANといえば一般的に「愛は勝つ」(1991年レコード大賞受賞)のイメージが強いし一発屋だと思われている節もあるが実はそうではない。それまでに実力を蓄え、認知度が上がりつつあったタイミングで、TVの人気番組(「やまだかつてないテレビ」)に取り上げられブレイクした。十分にブレイクの機運は高まっていたのだ。だが、ブレイクの規模が大きすぎて、尻すぼみになってしまったような印象になってしまった。(売れすぎるのもどうかと思う)元々実力があるので良い曲を書き、シングルヒットもある(たとえば「まゆみ」三ツ矢サイダーのCMソング)がヒットの規模が違いすぎてもう誰も憶えていないかも知れない。
実際この曲を収録したアルバム(「野球選手が夢だった」)が出たのは1990年7月、当初シングル化の予定はなく、KANがラジオのパーソナリティをやっていた在阪FM局FM802のヘビーローテーションに選定されたことをきっかけに同年9月にシングルカットされた。「やまだかつてないテレビ」に取り上げられたのは1991年1月からで、ブレイクは1991年上半期に訪れている。KAN自身も語っているが、1991年5月にリリースされた次のアルバム「ゆっくり風呂につかりたい」は「愛は勝つ」大ヒットのプレッシャーを感じずに作ることができたアルバムだった。(制作がブレイク前)良い感じで力の抜けたアルバムになっている。(前作「野球選手が夢だった」は売れようと力が入ったアルバムだったので余計にそう感じる)「ゆっくり風呂につかりたい」はブレイクのタイミングと重なったのでかなり売れたと思われる。(先行シングルの「イン・ザ・ネイム・オブ・ラブ」が自身も出演したドラマの主題歌になったりもした)
自分がKANを聴くようになったきっかけは御多分に洩れずアルバム「野球選手が夢だった」なのだ(決してシングル「愛は勝つ」ではない)が、トータルでよいアルバムだった。このアルバムをきっかけにKANのディスクグラフィーを遡っていくことになった。デビューアルバム「テレビの中」から直前の「HAPPY TITLE-幸福選手権-」まで購入し、以降のアルバムは発売時に買うようになった。(「MAN」まで)
「愛は勝つ」がレコ大を取った翌年、当たり前のように発売されたのがこのベストアルバム「めずらしい人生」である。初回盤には冊子が付属していたが、ライナーノート的なものではなくKANの写真集である。(子供のころからの写真が掲載されている=めずらしい人生である)
それまでの6枚のアルバムから選曲し、新曲を1曲、リアレンジして再録音した曲が1曲の構成である。(アルバム「Girl to Love」から3曲選曲されているのは時代を感じる)
この時代にしか作れなかったベストアルバムだが、今となってはいささか古い感じがする。1997年にリリースされたシングルコレクション「The Best Singles FIRST DECADE」の方が網羅的でよいと思う。
このアルバムのキモは新曲「めずらしい人生」だったが今は他のアルバムでも聴くことができる。新録の「東京ライフ」も同様だが、このアルバムのこの位置に収まるのには意味があると思う。複雑な心情をうたった名曲です。