
かつて澤村編集長が言っていた「売れなければ廃刊」という時代に逆もどりした感がある。
少し、心配である。








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10年後も「定番」いい音を選ぶ |
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発行年 |
月 |
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メイン特集 |
付録CD |
価格 |
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2006 |
12 |
無印 |
いい音と出逢える定番コンポ68 |
19世紀ギターの21世紀 |
1,500 |
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2007 |
12 |
2 |
いい音と出逢えるアナログコンポーネント64 |
マイスターミュージック傑作選 |
1,500 |
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2008 |
12 |
3 |
The Audio Systemオーディオを「組む」愉しみ |
なし |
1,500 |
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2009 |
12 |
4 |
ビートルズを「良い音」で聴くためのオーディオシステム |
なし |
1,500 |


2は2007年12月発行。アナログオーディオとしてレコードプレーヤーと真空管アンプをフィーチャーしている。
2000年代はiPod+iTunesによる音楽の聴き方に変化が訪れていた時代であった。CD-DAを圧縮してHDDに取り込み、持ち歩きどこでもどんな順序でも(なんなら所有するすべてのCDの曲を)聴ける時代が到来した。その下地の上にデータ配信(ダウンロード)によるハイレゾ音楽が視聴の中心となっていく(2010年代)ライトな視聴に関してはサブスクリプションによるストリーム配信が主流となっていく。(2010年代後半)
2007年とはどういう時代だったのか、音楽再生がデジタル一択(それもiPod一強)家庭でのオーディオがV(ヴィジュアル)を伴う5.1chサラウンドに大きく軸足を移していた時代である。ピュアオーディオを勢は勢いを失いそのダメージは今も尾を引いている。そんな中でピュアオーディオ勢が発見したのが「アナログ」オーディオだったのだ。2008年には日本でもiPhone3Gが発売されスマホ時代が開幕し、相いれないアナログと2極分化していく起点といえる時代であった。
本号の特集では2007年時点での商品の紹介はもちろんレコードプレーヤーの基礎的知識を手厚くとりあげ非常に良い内容である。初心者にも再入門組にも有益な記事が多かった。
真空管アンプの記事に関しても十分なボリュームがあった。
まあ、10年以上前の記事なので今、わざわざ手に入れるほどのものかといえば、(もっと内容の新しいもの(特に製品情報)もあるので)そうではないと思うが手許にあると便利ではある。(ちなみに自分は何度も読み返している)
2008年発行の3はメインの記事がコンポの組み合わせ。30万円から100万円の予算でコンポの組み合わせの提案が掲載されていた。今となっては現行モデルが少なく、あまり参考にならないであろう。

この頃はまだCDの需要もあり、高音質(と言われていた)新素材CDの特集があった。

2009年発行の4の特集は「ビートルズ」である。2009年といえばビートルズのすべてのCDがリマスターされリリースされた年である。オーディオ雑誌でも盛んに取り上げられていたが、不思議とこの時の事を覚えていない。当時、ビートルズのCDを買った記憶もない。あれから11年経ちレコードリリース50周年のイベント(「サージェントペパーズ…」以下のアルバムすべてで50周年記念リミックス版が制作された。ただし「レット・イット・ビー」は除く)もすべて終了している。それでも人気が衰えないのはすごいことである。
この号では「後世に残したいサラウンド文化遺産50」という記事があった。この頃まだDVD-AUDIOやSACDの多チャンネルものが多くリリースされていたことがわかる。過去の名盤をリミックスして5.1chサラウンド化。付加価値をつけて売るということが盛んにされていた。ビートルズの「LOVE」については本稿でも取り上げたことがあるが、オリジナルを大きく逸脱するものもあったようだ。現在DVD-AUDIOは絶滅しSACDは高音質の2chシングルレイヤーのみ生き残っている?そもそも家庭内でサラウンドを聴ける環境がある人はどれほどいるのだろうか。10年前にはそこそこいたと思うが今となっては…
「10年後も「定番」いい音を選ぶ」はAUDIO BASICより特集のボリュームが大きくて深堀だった。年1回の刊行で丁寧に作ってある感じがした。掲載されていた商品が果たして10年後に定番になっていたかは微妙なところだが(オーディオ市場のシュリンク具合は10年前の想像をはるかに超えるだろう)広告の少ないこういったMOOKは現代にこそ必要だと思う。(価格は倍くらいになってしまうかもしれないが…)