以下の内容はhttps://retroaudio.blog.jp/archives/2025-12.htmlより取得しました。


以前、中華イヤホンブランドKZの「ZSシリーズを俯瞰する」という記事を書いたが、今回は同社のASシリーズを扱ってみたい。

ZSシリーズは膨大なバリエーションがありドライバの組合せも様々だが、基本ダイナミックドライバとBAドライバとのハイブリッドだった。(一部2DDや1DDの機種もあったが…)1DD+1BA(ZST型)が基本で、BAの数が増えていき1DD+4BA(ZS10型)や1DD+5BA(ZSX型)へ進化した。
一方のASシリーズだが、こちらはマルチドライバ(多ドラ)だが、ハイブリッドではなく使用するドライバはBAのみである。BAを複数台搭載し、3wayや4wayのように鳴らす仕組みである。
ZSシリーズなどのハイブリッド型は自然な低音域が期待できる(口径の大きな)ダイレクトドライバが中低音域を、高精細で高音再生が得意なBAが高音域を担当してより高音質を狙うものである。(「餅は餅屋」方式)
一方のBA型マルチは性能が高く小型のBAを複数搭載することにより、どの音域も高精細な再生を狙うものである。(「大は小を兼ねる」方式)

モニタイヤホンのベストセラーSHUREのSEシリーズは最廉価のSE215(ダイレクトドライバ1基)以外はこの方式である。(ただ、SE315はマイクロドライバ=BA1基のみ、SE425以上がマルチドライバ)
否応なく期待が高まるが、価格が10倍近く違うので同等というわけにはいかないだろう。

バリエーションについてはBAの数の違いということになる。
2018年発売のAS10はBAを片側5基搭載(両耳で「10」である)
AS06(2019) 片側3基(名機と呼ばれている)
AS12(2019) 片側6基
AS16(2019) 片側8基
ここまでが第一世代

この後名付けルールが変わり
ASF(2020)片側5基(「F」はFiveか?)
ASX(2020)片側10基(「X」はテンか?)
AST(2021)片側12基(「T」はTwelveのTか?)

その後しばらく空いてリブートされる
AS16Pro(2022)
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気合の一本でKZの本気を見せたと言われている。
その後、AS16ProX(2024)がリリースされた。同時にASFとASTの後継として
AS10Pro(2024)AS24Pro(2024)が発売された。

実はASシリーズはここまでである。
2025年以降AMシリーズに移行した。



KZといえどもBAをマルチで搭載するとZSシリーズのような価格では売れないらしい。5,000円オーバーの価格帯、AS24Proになると10,000円を超える。(ASTは15,000円を超えていた)価格帯やドライバ数ではZAシリーズと競合する。一般的には同じ価格ならハイブリッドの方が良いのではと思うが、ASシリーズは連綿としてリリースされていた。

自分が持っているのはASF(2020)とAS16Pro(2022)の二機種だが、この2機種の間には大きな差がある。

単純にBAの数以上の違いがある。
2020年と2022年との間にはKZの置かれた立場に違いがある。中華イヤホンのイメージ(ドンシャリ)をつくり、トップに君臨していたKZだったが、2020年頃からバランスの取れた良音中華イヤホンが出始め、2022年時点では他ブランドの猛追を受けて揺らいでいた。ZST-XとZSN ProXの成功で慢心していた(かどうかはわからないが)KZの凋落は絶頂を極めたあたりから始まっていたのである。

ASFは2020年、KZがZSシリーズの完成形というべきZSN ProXとZST Xをリリースした年である。ある意味KZの絶頂期であったわけだが、他社の台頭によりその後ヒットに恵まれなくなる。
その「終わりの始まり」の年にリリースされたモデルであった。AS10の後継モデルとして勢いで作った感が無くはない。高精細のはずが、音が籠った感じで聞こえる。得意なはずの高域も今一つである。
一方2022年のAS16Proは他社の良音イヤホンを意識して、ドンシャリだけではないバランスの取れた音を目指した感がある。ただ、ASFよりは良いがZASより良いかと聞かれれば少々疑問である。
BAはユニットが小さいのが特徴だが、ASシリーズの筐体はコンパクトとは言えない。むしろ、大きいくらいだ。BAの配置には配慮が必要なようでBAの数に関わらす大きめのボディとなっている。

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左がHBB-PR2 右がAS16Prp
あまりメリットは感じられないがBAならではの音を好む人が一定数いるのは間違いのないところ。
また、名前が変わったAMシリーズがどうなったのかも興味があるところである。


大河ドラマ「べらぼう」“写楽”の完璧な処理(NOT AUDIO)


(NHK大河ドラマ「べらぼう」のネタバレを含みます)

東洲斎写楽は謎の多い絵師である。
・写楽は突然現れ、短い期間(10カ月程度)でいなくなった。
・短い活動期間の間で、絵が変化している。(大首絵から姿絵)
そして、その最大の謎は写楽が「一体誰なのか?」だと思っていた。

しかし、現在の美術史家の間では写楽が「誰か」は謎ではないらしい。
1980年代ころまでは「写楽がだれか」論争は大層盛んで、美術史家のみならず画家、実業家、思想家など様々な人がそれぞれ論陣を張っていた。ありとあらゆる同時代の人物(蔦屋重三郎説さえあった)が「写楽」候補とされていた。
ただ、現在では写楽が「誰か」は学問的には特定されている。それは阿波の能役者 斎藤十郎兵衛という人である。
実は江戸末期(写楽の時代から100年後)の書物に「写楽(斎)は八丁堀居住の阿波の能役者 斎藤十郎兵衛」との記載があった。
この書があったのにこの説が無視されていた理由は、斎藤十郎兵衛の「実在」が証明できなかったからである。が、ここ三十年の研究で斎藤十郎兵衛の実在が確認され、「写楽は斎藤十郎兵衛」と特定されたということらしい。

翻って、大河ドラマ「べらぼう」でどう描かれたかというと…

平賀源内の存在を世に喧伝するいわゆる「しゃらくさい」プロジェクトが蔦屋重三郎を中心に立ち上がり、「チーム写楽」をつくって絵を制作した。その中心には喜多川歌麿がいた…
という「写楽=チーム説」であった。
「ふーん。面白いけど、斎藤十郎兵衛は無視かいな」と思っていたら、出ました!斎藤十郎兵衛。生田斗真が徳川治済との二役を演じるというウルトラCでの登場であった。
さらに斎藤十郎兵衛が写楽の絵を描いている!というシーンがあった。

一期(大首絵)と二期(姿絵)で絵の感じが違うということに関して、絵師が別なのではないか?とこれまでも言われていたが、べらぼうでは、一期は「チーム写楽」、二期以降は斎藤十郎兵衛が描いたと示唆されていたのだ。
さらに蔦屋重三郎が「写楽は斎藤十郎兵衛」ということを世間に流布しようとする描写もあり、現在の学説に鮮やかに繋がっている。

この辺りはこの時代に造詣が深い森下佳子の脚本の上手さだと思う。
以前、NHKで制作された『大奥』(よしながふみ原作森下佳子脚本)も非常に良いドラマになっていた。(まあ、これは原作マンガが名作だったからだが…)「大奥」でも男女逆転の歴史が自然な形で現在のわれわれの歴史に接続する「仕組み」が組み込まれていて単なる「ifの世界」物ではない、骨太な歴史物になっていた。

「写楽」の扱いについても「史実がどうか」は本当のところわからないが、最も矛盾のない形に収まったのではないだろうか。(写楽は「一人の絵師」派の人には納得できない話かも知れないが…)

大河ドラマ「べらぼう」は大名でも将軍でも貴族でもない市井の人(蔦屋重三郎)を主人公に、江戸の町人の暮らしを丹念に描いた点で特筆すべき作品であった。

2025年11月。久々のアルバム「Wormhole / Yumi AraI」発売で松任谷由実のテレビ露出が増えている。わかりやすくプロモーション(宣伝)だが、ユーミンクラスが出てくれるとなると番組側も時間を取って軽々しい扱いにはしない。
どこかの番組(NHK?)で本人が言っていたことだが、「松任谷由実は荒井由実を超えたいと思っていたが、超えられなかった(もう気にしなくなった)」的な内容であった。
どちらも同一人物なのだから、それはおかしな話なのだが、実際のところこの言葉の意味はよくわかる。

実際、「好きな曲ランキング(オールタイム)」の多くの割合を荒井由実時代の曲が占めている。
「みんなのランキング」のサイト(2025年11月19日現在)のランキングによると
ベスト10までで5曲が荒井由実名義。のこり5曲は松任谷由実名義だった。
「なんだ、そんなもんか」と思ったあなた、考えても見てほしい。ユーミン50年のキャリアの中で荒井由実時代は、ほんの数年(1972年から1976年オリジナルアルバム4枚)である。全キャリアの十分の一にも満たない期間なのである。
ベスト20位までを見ても11位に「あの日にかえりたい」12位に「海を見ていた午後」13位に「ルージュの伝言」とベストテンに入ってもおかしくない曲が並んでいる。(20曲中9曲が荒井由実名義)
これはすごいことで本人が「荒井由実時代を超えられない」と考えるのも無理はない。
これほど時間が経ってもエバーグリーンの名曲となっていることは、「若き天才」という修辞では語りきれない「本当の天才」の所業だったと言えるのではないだろうか。

もちろん前に書いた通り、荒井由実と松任谷由実は同じ人格である。名前が変わったとたん天才ではなくなったということは無い。
本人があまりに加熱する「荒井由実ブーム」から脱するために結婚を機に改名したと語っている通り、「荒井由実」でいることに嫌気がさしていた。歌手を引退するつもりだったらしい。
ただ、実際はそうはならず1年休んだ後、1978年から年2枚(!)のペースでアルバムをリリースしていくことになる。
80年代に入ると本格的な再ブレーク期に入り、1981年のアルバム「昨晩お会いしましょう」(12枚目「守ってあげたい」「カンナ8号線」収録)から1997年の「Cowgirl Dreamin'」(28枚目「最後の嘘」収録)まで連続でオリコン1位を獲得した。(17作連続!)
1984年。YとMを組み合わせた『ユーミンマーク』を前面に押し出したアルバム「No Side」(18枚目「ノーサイド」「BLIZZARD」「DOWNTOWN BOY」収録)以降さらにギアが上がった。以降アルバムリリーズは年1枚のペースになるが、売れ方が尋常ではなくなる。(世はバブル期に突入する)
さらに本格的なCD時代となる1988年の「Delight Slight Light KISS」(20枚目「リフレインが叫んでる」収録)以降8作連続で100万枚を突破する。(ちなみに最多の売上枚数を記録したのはベスト盤の「Neue Musik YUMI MATSUTOYA COMPLETE BEST VOL.1」(1998)の325万枚だった)
活躍の度合いに関しては決して荒井由実時代に劣っているわけではないのである。

それでも、である。
前出のランキングによるとベスト20位まで松任谷由実名義の11曲は以下の通り
1位 DESTINY (1978) 
2位 埠頭を渡る風 (1977) 
8位 リフレインが叫んでる (1988) 
9位 守ってあげたい (1981) 
10位 青春のリグレット (1985)
14位 ノーサイド(1984)
15位 真珠のピアス(1982)
17位 カンナ8号線(1981)
18位 春よ、来い (1993)
19位 NIGHT WALKER(1983)
20位 ジャコビニ彗星の日(1979)

ベスト20のこれ以外の曲は当然70年代の曲なので70年代の曲は12/20。それと地続きの80年代前半の曲が5/20。80年代後半が2/20。90年代以降が1/20。



松任谷由実・荒井由実の区切りを気にせずに年代で考えても初期の70年代が圧倒的に人気という結果になる。CDを売りまくった80年代後半から90年代の曲は3曲だけだ。
50年前の曲が今でも愛され続けているのである。
70年代、時代に先行していたユーミンは80年代以降、時代と寄り添って、ニーズにびったりマッチしてCDを売りまくり、2000年代以降時代と乖離し始めている感があるのではないか?最新アルバムがAiボーカルとの共演というのも「今一度、最先端」への憧憬なのではないだろか?(スミマセン、自分の妄想です)

図書館のCDコーナーで「Yumi Arai SINGLES」というCDを見つけた。

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松任谷由実のディスコグラフィからは黙殺されている、alphaレコードが勝手にリリースしたシングルコレクションである。
(様々なアーティストがレコード会社移籍のタイミングでこんなことをされている。ドリカムしかり、スピッツしかり、山下達郎しかり、だ)

シングルバージョンを集めているので曲によっては貴重な音源がある。なにより全体が70年代の雰囲気が横溢している。最近のベスト盤等に収録される際にはバーニー・ゴールドマンによるリマスターが行われるので、オリジナルにより近いのはこちらの盤であろう。
曲順はCD裏面に記載(写真)の通り。英文で書かれているが日本語タイトルである。
(ユーミンはある時期から表記するしないにかかわらず英文タイトルも付けているが、それではない)
収録曲
01. Velvet Easter
02. あの日にかえりたい
03. 12月の雨
04. 何もきかないで
05. 魔法の鏡
06. きっと言える
07. 空と海の輝きに向けて
08. やさしさに包まれたなら
09. 瞳を閉じて
10. ルージュの伝言
11. 少しだけ片想い
12. 返事はいらない
13. 翳りゆく部屋
14. ひこうき雲

なかなかに貴重なものと思っていたが、ヤフオク等をみると大量に出回っているみたいで普通に安価で買える。(買う価値があるかどうかはあなた次第)





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