以下の内容はhttps://retroaudio.blog.jp/archives/2024-06.htmlより取得しました。


前回のネタに引き続き中華イヤホンのお話である。

よく考えたら日本市場は、ほぼほぼ無線イヤホンが制覇している感もあり、有線のイヤホンを凄いスパンで出してくる中華勢にかなうわけが無い。と思ったりする。
完全無線イヤホンの利便性は高いがこの大きさにドライバ、アンプ、BTユニット、バッテリーを入れて設計しなければならない。形や稼働時間を考えると、音質は二の次になるような気もするがどうだろうか?
国内ではあまり意味のない記事になっているかもと思いつつ、最近買った1DDイヤホンを聴き比べてみよう。

エントリーは次の5機種である。CCA CRA+、TRN MT1・MT3、KZ Dfi・ZVX発売時期は2021年から2023年である。価格は1000円から3000円の間(実際の購入価格は800円から2000円程度)である。

参考までに国内メーカーのfainal E-3000(1DD)を同時に聴いている。
fainal E-3000は同社のEシリーズで、下から三番目の機種。実売価格4000円程度である。細い本体に6.8㎜のダイナミックドライバを1基搭載している。E-3000はリケーブル不可(上位機種は可能)、元々のケーブルは細く頼りない感じである。

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耳穴への固定はイヤチップのみで行うタイプで人によっては不安を感じるかもしれない。(棒が突き出ているように見える)
音はプレーンで良音、ボーカルがきれいに聞き取れる。低音をやや無理して出している感があるが、過剰ではない。一言でいうと「悪くない」だ。この機種を基準に中華1DDイヤホンを聴いていく。


それぞれ特徴があるが総合得点はMT3を除けば「悪くない」のfainal E-3000を超えている。
まずはTRN勢
MT3に関しては下位モデルのMT1をも下回る成績で「なぜ?」という感じであるが、性能と金額は比例しないということははっきりしているので驚くにはあたらない。ただマグネシウム合金を使った本体の質感は断トツ高かったのでそちらにお金が回っていると考えれば納得できるかもしれない。MT3はやや遠くで鳴っている感のある癖のある鳴り方だった。
MT1は安っぽいが汎用性が高い名機。前回の考察で1DD化の流れを作ったと書いたが、やはりかなりよい音である。中高音域の充実が聞きやすさを増している。この機種が1500円程度で買えるというのはすごいこと。(Aliなら1000円以下で買える?)発売から数年経ちMT1 Pro を経てMT1 MAXが現行モデルとなる。この機種はデップスイッチで音質の調整が可能になる。
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MT1無印でも良い感じだったが、この機種以降発売された中華イヤホン1DDはこの機種を超えていく…

CCAのCRA+が高得点。特に高音域のキラキラした感じは他の機種を圧倒した。ただ現在においてはプラスチック製の本体はやや見劣りする。金ピカの意匠もやや下品か?ただ音はかなり良い感じであった。さすがCCAという感じである。
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KZの二機種 DFiとZVXはともに2023年発売のモデル、機種の位置づけというかグレードもどっちがどうかわからない。価格差もほとんどない。KZはたまにこのような製品づくりをするのだが意味はわからない。(企画チームが複数あって、同時に開発しているのかもしれない)

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2023年のKZはいわゆる「ドンシャリ」一辺倒から脱して「一般的によい音」のイヤホンに転換していた時期であった。特に低価格の1DDにそういう傾向があったように思う。
この2機種は音の面では全く問題が無い、むしろ良音の機種に仕上がっている。しかも両機種ともオールメタルボディでU2000とは思えない質感を持っている。KZの底力はこういったところに現れるのかもしれない。どちらを買うかはデザインで決めてよいと思う。

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最初に書いた通り30点は「悪くない」点数である。どれでもそれなりの性能を持っているし、価格を考えれば失敗はしない。ただ、それぞれ個性があるので、本当の好みの一台に出会うためには情報収集も必要になる。(それも沼にハマる楽しみといえる)

※おまけで1DD以外のモデルの点数も掲載した。
今回紹介した1DDより少々前の機種でほんの少し価格が高い多ドラモデルである。点数がやや高いが僅差である。低価格1DDの性能アップはすごいと思う。
NRAは当時のベストセラーモデル。スキャンダルのせいで現在は作られなくなった1DD+1ESTモデルである。ESTの音が出ていようがいまいが、なかなかによい音だったと今回実感した。

低価格中華イヤホンのトレンドが変わってきていたのは感じていた。(1DD+1BA→1DDの流れ)


ここで簡単に低価格中華イヤホンの歴史を振り返っておこう。
(一部妄想や憶測が混じっているのでご注意ください)

中華イヤホンがクオリティの面でも注目され始めたのは、KZが低価格で1DD+1BAのマルチドライバイヤホンZST(初代)を売り始めた2016年頃のことだった。ロットによるバラツキや癖が強い音色等、問題はあったもののZSTはバカ売れし、その後のKZの行く道を決めた。
2017年にZST-PRO、2018年に同じ1DD+1BAモデルでほぼ同価格のZSN、2019年にZSN proが発売された。
こう書くとZSTはZSNに取って代わられたように見えるが、ZSTも併売されていたのでモデルチェンジということではなかった。それがはっきりしたのが2020年で、両モデルの完成形といえるZST-PRO XとZSN pro Xが相次いで発売された。KZの低価格1DD+1BAモデルはここでひとつの頂点をむかえた。

2021年、高音域のドライバにBAの代わりにESTを使用した新機軸のイヤホンが発売された。最初にCCAのNRAが出て話題をさらい、その後御大KZからZEXが発売された。

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ZEXとNRA
脱BA化の流れの一環ともとれるが、2021年にはもう一つ別の動きもあった。

KZのライバルと目されていたのはもちろんCCAではなく(CCAはKZ内の別ブランド)KBEARあたりだったろう。中華イヤホンにありがちなドンシャリ傾向ではない良質なイヤホンを作っていた。
しかし、もう一社のライバルTRNが2021年に発売した1DDモデルMT-1はU2000(国内価格は1600円程度)の価格帯ながら音が良いと評判になった。プラスチッキーで高級感は無かったが音は良かった。その後、中華イヤホン全体のトレンドが変わった感じがする。

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MT-1は中華の主流(特にKZに顕著)だった、低音の量が多く、同時に高音域も多めの音(いわゆるドンシャリ)とはやや異なり、中音域を充実させボーカルがきれいに聴けるイヤホンだった。今聞くとそれでも結構な低音の量なのだが、中音域が良く定位感も良いので非常に使いやすいイヤホンだった。
それまでは中華イヤホンでは1DDは1000円以下のモデルに多く使われており、それより上の価格帯は1DD+1BAに代表されるマルチドライバが主流だった。この機種以降 1DDの機種が増え、2022年あたりからU2000でも1DDモデルが主流になっていった。
2023年にはKZも本気の1DD機(KZは複合DDと呼称)を投入。TRNが先にリリースしていたチューニング機能付きの機種もデビューさせた。KZの巻き返しはすさまじく、これまで必要以上に量が多かった低音域をスッキリさせた複合DD機のチューニングは一般的な良音イヤホンになっていた。しかも、フルメタルボディで高級感が増した。
2024年現在の低価格中華イヤホンのトレンドはチューニング付きの1DDでU2000という感じなのかなと思っている。

U10000の中価格帯ではBA(バランスドアーマチュア)を使用した多ドライバ化は限界まで進み、それ以上増やせない(=増やしても意味がない)ところまで行った。スペック競争は一段落し中身で勝負の時代に入ったのかもしれない。
低価格帯ではBAに変わる新ドライバ(EST等)が出現したのち、良質な1DD(ダイレクトドライバ1発)が主力として展開され始めたのである。

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時代の徒花?CCA-NRA
一説によると「中華メーカーのチューニング技術の向上が1DDの質を上げた」とも言われているが、自分はマーケティングの問題だと思っている。
多ドラ化やマルチそのものがマーケティングによる(他社との差別化)のためのものであり、音質にさほど貢献していないのではないか?という疑問が常にあった。日本メーカーには多ドラのものは少なく、BAを搭載しているものはそれだけで高価である。そんな中1DD+1BAモデルを2000円以下で売られれば、国産モデルに(コスパ的には)勝ち目はないのではないか。
ただ、中華イヤホンにも弱みがあって日本国内の流通ルートを持っていないので、家電量販店等で購入できない。それとも関連するのだろうが、日本国内のオーディオメディアに広告出稿することが無いので雑誌等で取り上げられることがほぼない。(その分安いともいえる)日本のオーディオジャーナリズムからは完全に黙殺されている。
主な販路はネット通販ということになる。それでも無視できない程度のシェアは持っているのでないかと考えている。
中華1DDがU2000の主力となってきたのは多ドラでなくとも「勝てる」という自信の表れなのだろうか。(はたまた、原材料の価格上昇?1DD+1BAの価格帯は3000円を超えてきている)



ということで最近の1DDモデルを聴いてみた。
次回につづく

SHURE SE215は一体どのくらい売れているのだろうか。

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派生モデルのSE215SPE(スペシャルエディション)-Aの発売が2012年なので無印(オリジナルモデル)は登場から15年近く経っているのかもしれない。
SEシリーズの末弟として、最もシンプルなダイナミックドライバ一発の構造で安価であり、ウレタンイヤチップの遮音性の高さで特別な地位を築いている。(SE315以降のシリーズはSHUREが「高精度MicroDriver」と呼ぶバランスドアーマチュアドライバを搭載している)

もともとSE215無印はプロユースを想定したモニターイヤホン=味付けの少ないイヤホンだった。ケーブル長も162cmと一般ユーザーの使い勝手は良くなかった。
イヤホンの前側に接続部があり、そこに接続したケーブルを後ろに曲げて耳に掛けるスタイルは一般に「SHURE掛け」と呼ばれている。この装着方法はウレタンのイヤチップと相まって動いてもズレにくい。これもプロ用仕様であった。現在は安価な中華イヤホンもこの形のものが多い。(ケーブルのタッチノイズも回避しやすい)
SE215SPE-Aは一般ユーザーの好みに合わせて低音を強化、音楽鑑賞に特化したチューニングがなされている。ケーブル長も116cmで通常の用途で使いやすい。現在の販売の中心はSE215SPE-Aの方だろう。

今回のSE215はペイペイフリマで購入したのだが、その時点でSE215なのかSE215SPEなのかはわかっていなかった。(出品者が明記していなかった)
自分的には本体よりNICEHCKのBlackDawn(ケーブル)に興味があったので気にはしていなかった。5,800円(10%オフクーポン利用で5,220円)価格的には妥当な気がしたが、問題もあった。本体とBlackDawnのみでイヤチップが無かったのだ。SHUREはノズルの太さが一般のカナル型イヤホンと全然違うので汎用のイヤチップは使えない。自分の場合、所有していたSE215の予備で間に合わせたが、オークション等で購入する場合は注意が必要である。

今回、購入してから調べたところではSE215(無印)は本体が透明(クリア)と黒しかなく、それ以外はSE215SPEだそうだ。と。いうことでこの白はスペシャルエディションということらしい。

リケーブルに関して
以前、バランス接続(2.5㎜ピン)を試したくてMMCX版のNICEHCKの純銀コート(型式名が無い機種)を購入した。この時は銀コートのせいなのかバランス接続のせいなのか理由は不明だが、低域がやや減退し、中高域の解像感が上がった気がした。SHUREの純正ケーブルはとてもウェルバランスで品質の高さを実感できた。(リケーブル不要説)
今回のBlackDawnは台湾製の4芯5N銀メッキ無酸素銅を使用したケーブルで外皮は布巻で高級感がある。価格は69.9ドルで販売当初は60ドル引きの9.9ドル(日本では1500円程度)で売っていたらしい。「60ドル引き」の意味は不明だが、現在日本のAmazonでは5000円程度で販売されている。
NICEHCKは中国本土のメーカーだが線材は国産(中国製)の場合と輸入(日本製、台湾製、ドイツ製等)の場合と様々なバリエーションがある(価格に差ある)が、線材について某サイトによると「嘘が多い」と書かれていた。確かめる方法が無いことと価値が価格に比例するわけではないのはこの手の商品にはありがちなことである。(聞いてみないとわからない)
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NICEHCKは中華メーカーの中では比較的好きなブランドで(最初に買った中華イヤホンがNICEHCK DB-3)裏切られた記憶がない。今回のBlackDawnも質感は高く「1500円のケーブルではないな」という感じはする。布巻のためタッチノイズはほとんどなく、アルミを多用した端子類も軽量ながら高級感がある。
音に関しては中高音域、低音域ともに適度に再現し、悪いところは見あたらない。が、純正ケーブルとの差が圧倒的かというとそうではない気がする。(リケーブル不要説)
イヤホン側の端子が2PINなら他の機種とのマッチング等で楽しめるのに…という気もするが致し方無い。

イヤホン本体の音の話をしていないが、超ベストセラーでレビュー記事はいたるところにあるので今回は割愛させていただきます。

※自分的にはSE215SPEのトランススルーデザイン(ブルー)は唯一の弱点と考えていたので白ボディはとても良いと思っている。(ヘビロテモデルになるかも…)



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