CDP-XB920を買った
80年代後半(87年から89年頃)のCDプレーヤーを好んで使用していた。
1982年の登場以来、年々技術が成熟していく様を実感できた時期の機種だ。(ハイビット化、オーバーサンプリング技術・サーボ技術の進化)
90年代に入ると1ビットDACが主流になり、サーボもデジタルサーボ化され画一化が進んで行く。
同じ12cmメディアのDVDが出始めた90年代後半以降、CD再生はDVDプレーヤーのオマケ機能的な扱いになっていく。(処理系のワンチップ化=コストダウン)
SACDが登場した1999年以降CDのオリジネーターSONYはCDプレーヤーの生産をとりやめSACDに全振りすることになる。SONYはSACDをCDの純粋進化形とみておりSACDにCDも含まれているという考え方だった。そのSONYも2013年頃SACDプレーヤーの生産を終了している。(CDのメディアとしての終焉はその頃始まっている)
その80年代プレーヤーに同時多発的に不具合が発生し、ほとんどすべて処分したのが2022年7月の事。脱CDに向けて大きく舵を切り、CDプレーヤーが無い時代が数年続いた。(ポータブル、ミニコンポでは聴けた)
10年位前から新譜CDをほとんど買わなくなっていたので、それほど不自由を感じていなかったが、過去資産(特にクラシック)のCD再生に関して不満を感じ始めた。(ミニコンポの音がしょぼすぎる!)
とはいえ、今、CDプレーヤーを買おうと思うと超高級機か超エントリーしかない状態である。当然超高級機(50万円超!はザラ)は買えないのでエントリーということになるのだが、魅力的な機種がない。
同じ12cmメディアのDVDやBDプレーヤーでもCD再生は可能だが、オマケ程度(PCのプレーヤーで再生するのと変わらない)であろう。
現在、中古市場においてDVDプレーヤーはタダ同然である。もとより、リモコン完備のまともに動くもものは少ない状況である。2000年代以降ドライブ部分はPCと共用の汎用品になり、質感が低くなり寿命が短くなった。(コストダウンの影響)記録用があるのでDVDそのものに需要はあるが、DVD-VIDEOを見る機械としてのプレーヤーはニーズが無くなってきている。(プレステ2で見ていた時代が懐かしい。TSUTAYAが没落しNETFLIX、アマプラが勃興する時代)
自分的には専用機で聴きたい。それも、「そこそこ」ものとなると90年代以降の中古にならざるを得ない。それ以前だと耐久性に不安がある。
そんなこんなで、ウォッチはしていたが適当なものはなかなか現れない、と思っていたところで、今回のCDP-XB920がまあまあの価格で出ていた。(リモコンなしで13,200円)即購入した。

CDP-XB920のプロフィル
SONYだけが作っていた光学固定式CDプレーヤーの廉価モデル。1998年頃のもので多分最後期にあたる製品。光学固定式プレーヤーの廉価版にはCDの回転軸に載せるスタビライザーが無い機種も存在するが、この機種には付属している。(この機種のそれはチャッキングプーリーと呼ばれており、厳密にはスタビライザーではない)

光学固定式について。
通常の光学ドライブはディスクを回転させる軸を固定し読み取り側のピックアップレンズ部を移動させディスク上のデータを読み取る仕組みである。ディスクを高速回転させるモーター部分は重量があり固定するというはまっとうな考え方だと思う。一方の光学固定式というのはピックアップレンズ部を固定してモーターを含むディスク回転部を移動させてデータを読み込む仕組みである。ピックアップ部を動かすと軽量ゆえに微細な振動を発生させ無駄なサーボ電流を使用することとなり、音に影響がでる。という早い時期からCDプレーヤーをつくっていたSONYならではの視点で開発された機構である。(他社は追随しなかった。できなかった?)


デジタルサーボ技術が進化し問題にならなくなったのか、読み込み精度の要求度が上がって(同じ12cmメディアに数倍から数十倍のデータを保存するようになった)重たいモーターがあると追従できなくなったか、単純にコストの問題か、それ以降のディスクメディアで採用されることはなかった。特定の年代の一部SONY機だけに存在した方式である。
デジタルフィルターについて
この機種のもう一つの特徴は、デジタルフィルターにより、音を変化させることが可能だったことだ。今となってはピンとこないが、デジタル処理系のパラメータをいじって性質を変化させ音の違いを出すという仕組みである。通常の物の他に三種類のフィルターを持っている。パイオニアのレガートリンクコンバージョンとは考え方が違うが、音が変化するという意味では同じようなものである。
実際、音の変化は感じるが、どれが好みかははっきり決められないレベルの変化であまり有益ではない。フィルター3はアナログライクな音ということで20khzからのロールオフの傾斜が緩やかになっている(解像感もやや落ちる)これがやや変化が大きいが他の3つはさほど違いが無い。同時期の高級機には搭載されていないので、高音質のためのものではないと言える。


ちなみに自分が所有しているCDP-X3000にも同様の機能があったが可変フィルターの種類は2種類であった。(リモコンでのみ変更可能。CDP-XB920は本体ノブで変えられる。こちらの方が進化している)上位機種のCDP-X5000にはやはりその機能はなかった。

ファーストインプレッション
フィルター無しの素バージョンの解像感が高く、良くも悪くもCDっぽい音である。
90年代の技術的な成熟を感じられる1台であった。CDを聴く機会が増える予感がある。
前の方でスタビライザーではなくてチャッキングプーリーが載っているということを書いた。CDP-X3000ではそこそこの重さをもったスタビライザー(CDP-X5000ではスタビライザーを換えることことでチューニングができた)をただ載せるだけだったが、CDP-XB920では重さはあるが、磁石でチャッキングされ、本体の中に挿入される。それは本体の中でガイド的なものと接続されて回転している可能性がある。(本体の胴の部分に溝が彫ってある)
室温15℃程度の室温でCDを1枚聞いて取り出した際にチャッキングプーリーが相当に熱くなっていたので、回転部が何かと接続されていたのかもしれないと考えた。中がどうなっているかわからない。