クラシック音楽の境界線
クラシック音楽も作曲者が存命ならば同時代の音楽である。現代音楽ということになるのだろうか?かの佐村河内守も交響曲第一番を発表していたがクラシック音楽と呼べるのだろうか?(佐村河内氏は別の問題があったが…)
オーケストラを多用した(「スター・ウォーズ」の)ジョン・ウィリアムスはそれでもクラシック音楽とはいえまい。マイケル・ナイマンはどうだろう。彼の場合は限りなくクラシック音楽に近い気もする。クラシック音楽の境界線はよくわからない。
確実にクラシック音楽と呼べる境界線の向こう側にいる作曲家ラフマニノフ。
ラフマニノフは19世紀に生まれ20世紀中葉まで生きた。ピアニストとしても著名で“ヴィルトゥオーソ”と呼ばれる超絶技巧の持ち主だった。
ロシア出身であったが、後にアメリカに亡命した。第二次世界大戦時、ヨーロッパのユダヤ系音楽家が大量に亡命したが、それと事情は異なり、貴族だったラフマニノフ家はロシア革命により祖国を追われた。アメリカで成功し、最後はビバリーヒルズの自宅で亡くなった。
亡くなったのが1943年で電気式録音に間に合っている。
自身も演奏家だったので自作曲を自身が演奏したレコードが残っている。(SP盤の時代、当然モノラル)
自身の最も有名な曲「ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18」と、とにかく難しいので有名※な「ピアノ協奏曲第3番ニ短調 Op.30」のカップリング。
※アカデミー作品賞をとった「シャイン」はコンクールでこの曲を完奏したものの、そのあと壊れてしまった実在のピアニスト=デイヴィッド・ヘルフゴットを描いた映画だった。
オーケストラはいずれもフィラデルフィア管弦楽団だが時期が異なっている。指揮はストコフスキー(2番1929)とユージン・オーマンディ(3番1939-40)
録音が古いので音は良いとは言えないが、フルトヴェングラーの実況盤に比べれば、まともな音である。(思ったほど悪くなかった)少なくともピアノの音は比較的明瞭に聞こえている。
素人なのでテクニックの巧拙を語ることはできないが、一つ思うことはこの曲の演奏における一つの規範(スタンダード)が残っているということである。(第3番第一楽章のカデンツァは自らの楽譜のいずれのパターンでもない演奏だったようだが)作曲者自らが演奏し残したということはこれが作曲者の意図に近いということなのだろう。興味深い演奏だと思う。
ラフマニノフについてはこの二つの協奏曲の演奏頻度が高いと思われる。
たしかにロシア風の哀調を帯びた楽曲で美しい楽曲である。一度聴いたら忘れられない旋律が随所にある名曲である。クラシック音楽の風格十分である。
ただ、自分がラフマニノフで最も好きなのは「パガニーニの主題による狂詩曲」(の第18変奏)である。曲名通り伝説のバイオリニストパガニーニが残した主題をピアノとオーケストラで変奏した変奏曲集である。数秒から3分程度の変奏パターンが24個並ぶ曲だが、ひとつひとつは曲とも呼べないものである。その中でこの18変奏だけは3分程度のしっかりした曲になっている。ピアノが主旋律を弾いたのちオーケストラの全奏が入るところの美しさは筆舌に尽くしがたい。複数の演奏家・オーケストラでこの曲を聞いたがどれも素晴らしい(曲が良いのだろう)
20分程度の短い曲なのでCDでは協奏曲と同時に収録されることが多い。YouTubeでも聴けるかもしれない。
