実は一昨年から昨年にかけても放送されており(水曜日の21時)気づいた時に観る感じだった。後半の話数で若き日のジュード・ロウが出演(当然ゲスト)しているのを発見。さすがイギリスのドラマと思い、がぜん興味が湧いたが時すでに遅し、すぐに放送が終了した。
録画しておけばよかったと思っていたが、運よく何度目かの再放送が始まった。
今回は録画してじっくり見ているが、面白い。
原作から離れて制作されている話(短編で1時間はもたないのかも)もあるが、ホームズ役のジェレミー・ブレッドがやはりハマり役である。腺病質で細く、しかしながら意志が強いホームズ像を見事に演じている。最近のBBC版のベネディクト・カンバーバッチも良かったが、変わり者感はあるものの病的な感じがやや薄かった。何と言ってもホームズは”ヤクチュウ“=麻薬中毒(コカイン・モルヒネ=この時代は合法だがワトソンはこころよく思っていない)である。ギラギラとした目つきはジェレミーならではのホームズ像だ。
ホームズはそもそも正義の味方ではない。「真実」の信奉者なのだ。例え善人が善を成すために犯した犯罪でも真実を明らかにする。それを法的に追及するかどうかは別の話である。
全41話と書いたがホームズの物語(聖典)は60話ある、二つの話を一つにした『マザランの宝石』以外はそれぞれ一つなので42話分がドラマ化され、されないで残った作品が18あるということだ。(長編が二つと16の短編)
その中には到底ドラマ化できない作品(引退後のホームズの物語(「最後の挨拶」)や人種差別を扱ったもの(「黄色い顔」)、実在の犯罪組織を扱ったもの(「オレンジの種五つ」)実在の宗教団体を扱ったもの(「緋色の研究」)など)もあるがホームズ役のジェレミー・ブレッドが亡くなったことが途中で終わった一番大きな要因であろう。
NHKの放送順がオリジナルと全く同じかはわからないが、前半は同じだと思われる。(英文のシリーズタイトルが”Adventure of~“から”Return of~“に変わるが、これは原著の収録作とは対応していない)
第二シーズンの最終話(「最後の事件」)でホームズが消え、復活を果たす第三シーズン(「空屋の冒険」)からワトソン役の役者が変わっている。それゆえ、それ以前のお話と入れ替わることはない。
物語の順番に関しては原作(発表順)に全く則していない。バラバラである。原作にはワトソンの結婚問題があり順番が重要になる局面もあるにはある(結婚している時期にはワトソンはベーカー街にいない)のだが、ほぼ無視である。(物語上の問題は無い)それでも第三シーズン(20話)までは第一短編集(「冒険』」、第二短編集(『思い出』または「回想」)第三短編集(「帰還」または『復活』)までの3冊からのみ採られていた。この三作品のクオリティがやはり高いのか?
第Ⅳシーズン以降は長編二作と短編三作品の2時間スペシャル版を含み、第四短編集『シャーロックホームズ最後の挨拶』第五短編集『シャーロックホームズの事件簿』からも作品が採用されるようになる。
お話自体より演者(キャラクター)で持たせている感のある話数も出てくるように思う。(この辺りはしっかり見ていなかった前回放送の印象なので確かなものではないが…)
ともかく、2023年6月17日放送回から第四シーズンになりその冒頭は2時間スペシャルの『四人の署名』である。長編で二番目に書かれた作品で、最高傑作という人もいる。コナンドイルはシリーズを続ける気はなかったらしく、重要なキャラクターを結婚させている。
長編の二作目として冒頭の宝石の謎や異様な禿頭の兄弟登場等、仕掛けが盛りだくさんになっている。大がかりなクライマックスを持ち一作目『緋色の研究』とは相当雰囲気が異なっている。なによりシリーズ史上最も魅力的な依頼人メアリー・モースタン嬢が登場する。
刮目せよ!



