
オーディオ現行機ではなく過去の機種にスポットを当てる、ユニークなオーディオ誌である。当然だがオーディオメーカーの広告がほとんどない稀有な雑誌である。表四(裏表紙)だけはオーディオメーカーの広告で、自分所有の号では1冊を除いてすべてマランツの広告だった。(1冊はオルトフォンだったが、この号はレコードプレーヤー特集の一角でオルトフォンのSPUカートリッジが取り上がられていた=オーディオ誌としては正しい)

マランツはパッと見、いつの広告かわからない。(機種の顔がほとんど同じため)
メーカーの広告がないということは忖度なしの記事が書けるということだ。(このことについては「ゴールデン横丁というブログ?の中の「ステレオ時代ゴル横支部」というところに編集長の澤村さんが書いた記事「ステレオ時代でございます」に創刊の経緯等が詳しく書いてある)
ムック形式の本で売れなければこれ一冊で終わりということで、創刊号(2013年12月)には澤村さん(と牧野さん)の思いが詰まった(全部入りの)内容になっている。
圧巻は巻頭のNEC A-10(プリメインアンプ)の特集でこの時点で30年前(1983年発売)のアンプをとりあげるなど正気の沙汰ではない。しかも、オーディオメーカーとしてはマイナーなNECの製品だ。

この記事で初めて知ったことが多いのだが、A-10初号機(無印)は約200台しか生産されなかったそうだ。中身に30万円近いコストがかかっているのに、10万円以下の価格設定だった。(そりゃ作れない)
当然、A-10初号機にはお目にかかったことはない。中古市場で見かけるのはⅢやⅣが多いようだ。
A-10Ⅱは下位機種であったA-7をグレードアップしてリザーブ電源を強化したモデルで、コストダウンと性能の底上げをバランスさせた機種となっている。それでも超弩級の電源が搭載されており、当時でも好事家の間で話題の機種であった。(一般にはそれほどでもない?)

この機種を正面切って取り上げ、当時の中身とデザイン両方の開発者にインタビューをした、立体的な特集は読みごたえがあった。(多分この号の後でA-10の中古価格は上がったのではないだろうか)
その他、中古オーディオを本格的に扱った「総額9万円以下で組む」や…

ラジカセ

コンパクトカセット(テープ)

レコード

その後、連載記事となる「ブランドストーリー」はアキュフェーズ

と、全部入りである。この他にもiPodや真空管ヘッドホンアンプ等の記事があり、トレンドにも目配りしている感があった。
前述の「ステレオ時代ゴル横支部」の中に「牧野さんと実質二人で作ったので刊行が遅れた」という記述があった。ほとんど個人雑誌のような作り方をしているので、このような濃い内容なのだなと思った。ある意味幸せな雑誌である。
この創刊号は一時期中古市場でプレミアがつき5,000円近い価格で売っていたが、今はそんなことはないのではないかと思っている。新古書店あたりでは単なる古雑誌として売られることもあるので見つけたら買いである。
















