以下の内容はhttps://retroaudio.blog.jp/archives/2020-03.htmlより取得しました。


前回の記事でブルックナーの交響曲第四番の版(ハース版と原典版)について記述した。
どちらもカラヤン指揮BPO演奏なのだが時期や場合によって異なる総譜を使用することがある、ということだ。

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楽譜の改訂はどの作曲家でもありうる話なのだが、ブルックナーはとりわけ改訂の多い作曲家だ。以前読んだものの本によるとブルックナーは自分の曲に自信が持てず、また実際指揮者に演奏拒否されたりしており、自作に手を入れることが多かった。(作曲家自身による改訂)また、場合によっては弟子が演奏機会を増やすために改訂(主に短縮)したバージョンがあったり、当時知り合いだった作曲家で指揮者のマーラーが自身が指揮するウィーンフィルの公演用に改訂したバージョン(第四番)が存在したりした。(出版はされていない)

作曲家自身のものを含めてかなりの改訂があるのを、改訂を取り去り原典に近づけようとする動きが1930年代に起こった。(国際ブルックナー協会の設立とロベルト・ハースによる原典版の策定)ただ、作曲者自身による改訂もあるのでどれを元にどのように復元するかという部分で恣意的なものが入り込む要素があった。この第二次世界大戦前に行われた原典版の策定は第一次全集版(または旧全集版)と呼ばれている。

戦後、レオポルト・ノヴァークにより再度原典版の策定作業が行われた。これはハース版には複数の稿を合成したり、折衷したり、(ハースによる)補筆作曲の疑いがある箇所があるとノヴァークが主張したことによる。ノヴァークによる原典版策定作業は第二次全集版と呼ばれている。

 

ここで注意しなければならないのは、どちらも原典版復帰の作業だということだ。原典版に対する版は改訂版である。

例えば交響曲第四番の場合最初に出版されたのは1888年、ブルックナーの監修のもと弟子たちが改訂を行ったものだった。これが改訂版である。出版されたのだからこれが広く流布した。改訂版は弟子たちの手が入ることによりブルックナーらしくないなど批判が多く、原典版策定の動機となった。
(この曲の作曲自体は1874年に終わっていたが、ブルックナー自身が1878年に改訂し、さらに1880年に大幅な改定を行った=これを第二稿とよぶ。ブルックナー自身はアメリカ初演のために改訂を加えた1886年版で出版を意図していたようだが果たせなかった)

 

前回の記事でカラヤンの第四番の2回目の録音(75年版)は原典版と書いた。ハース版もノヴァーク版も上記の通り原典版なのだ。だから原典版とわざわざ言う場合ハース版でもノヴァーク版でもないが改訂版ではないという意味合いになる。


カラヤンの第四番について詳しい解説がYahoo知恵袋の中にあったので引用させてもらうと…

2013年1月19日 ブルックナー交響曲の「原典版」表記について…(白い雑種犬さんの質問に対するベストアンサーから引用)
 

例えば、カラヤン指揮ベルリン・フィルの「交響曲第4番」。

EMIに録音した1970年の演奏は、「ハース版」ほぼそのままですが、その後DGに録音した全集の演奏では、第4楽章のシンバルや第1楽章のティンパニなど、「レーヴェ改訂版」の影響を受けた改変が行われています。
それでも、「厳密にレーヴェ改訂版ではなく、ハース版を底本にしている」ことが理由で、「原典版」と表記しています。

引用以上

カラヤンはこの五年の間に変節してハース版にブルックナーの弟子レーヴェたちが改訂した部分を追加して演奏することにしたということなのだ。ただ修正が微細なため改訂版でもハース版でもなく「原典版」という表記をした。カラヤンがそうした理由はわからないが、曲としてそのほうが良いという判断があったのは間違いのないところだろう。

現在も決定版といえるものがなく、演奏者の判断(または好み)でいろいろな版で演奏、レコーディングされている。版が違ってもブルックナーの意図は伝わっている、と信じたいが・・・

古い企画もの。詳細は不明である。コーキ出版という出版社が訪問販売で売っていたものと思われる。全60枚。
音源はEMIのものを使用している。この商品がヤフオクに出品された時の商品説明によると60年代までの録音=レッグの時代のEMIのシリーズのようだ。

近所のハードオフでバラ売りされており1枚110円。発見した時点ですべて揃っていたわけではなく、ありものの中から5枚選んで購入した。
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14 ベートーベン 交響曲第五番
15 ベートーベン 交響曲第九番
46 ブルックナー 交響曲第四番「ロマンティック」
44 ブラームス  交響曲第一番
45 ブラームス  交響曲第四番

60枚というのはレコードの枚数で60枚で1作品が2枚にわたる場合番号が変わる。ベートーベン第九番はフルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団演奏のもの。録音データが一切かかれていないので詳細は不明だが、EMIで最も有名な1951年のライブ盤のような気がする。同じフルトヴェングラー指揮の第五番(こちらはウィーンフィル)とのカップリングで、第九は14と15の3面を使用している。
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14の解説部分 第九番の第一楽章だけが収録されている

録音自体は有名なもので演奏は良いが録音がイマイチというもの。疑似ステレオ(モノラル録音を電気的にステレオっぽくする)


ブラームスの2枚はいずれもジョン・バルビローリ指揮ウィーンフィルの60年代の録音のようだ。
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バルビローリ+VPOの演奏はかなり重厚。自分的にはアリである。


問題なのはカラヤンのブルックナー第四番。ジャケット裏面の表記ではフィルハーモニア管弦楽団とあるが、カラヤンの録音歴を調べるとそのようなレコードは見当たらない。
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記録によるとカラヤンはブルックナーの第四番を2回録音しているがそのどちらもBPOすなわちベルリン・フィルである。

カラヤンがフィルハーモニア管で録音していた時代も確かにあった。(=フルトヴェングラーがBPOにいた時代、フルトヴェングラーはカラヤンの登壇を許さなかった)不遇の中EMIのウォルター・レッグに見出されレッグのオーケストラであったフィルハーモニア管で録音を多数していたのだ。その関係も1960年には終わるので、フィルハーモニア管での録音だとすると1960年より前ということになる。

上記のヤフオクの説明文とも一致するのだが、どうもおかしい。レーベルを見てみると…
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Robert Haas Edition と BERLIN PHILHARMONIC OHCHESTRAの文字が見える

ベルリン・フィルでの録音だった。ジャケット裏がミスプリントということらしい。
そして上記のことからわかることは、このレコードが70年に録音されたものと言うことだ。
2回目の録音(75年)は同じBPOだが楽譜が原典版(ハース版ではなく)を使用していたからだ。

そしてこの謎のレコードセットの発売時期も70年代以降になるということだ。
結局それ以上のことはわからずじまいだったが...




2019年はCDの年だったが(個人的に)今年はレコードに回帰しつつある。

ユーミンのLP「リ・インカーネイション」(1983年2月21日発売)を買った。
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ハードオフで330円

これを機会に現有のユーミンのLPを聞き直してみた。
所有しているのは「リ・インカーネイション」を含めて以下の5枚。

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流線型’80(1978)昨晩お会いしましょう(1981)VOYAGER(1983)NO SIDE(1984)


シングル曲に限らずユーミンには有力曲が数々あり、アルバムの所々に登場して「おおー!」と思うのだが、1983年の「VOYAGER」あたりはアルバムほとんどがそんな曲であった。80年代の中盤から後半にかけてよく聞いていたということか。セールス的にも増大していく感じである。(CDへの切り替え時期と被っているのも興味深い)ちなみに映画「さよならジュピター」の主題歌だった「VOYAGER~日付のない墓標~」はこのアルバムには収録されていない。(上越新幹線が上越市を通らないみたいなことか…)
1984年のアルバム「NO SIDE」からはカッティングエンジニアにバーニー・ゴールドマン(世界的な大御所である)を起用し、音の深さが増した。(MYマークを使用し始めたのもこの頃、全面金ホイル紙仕様のジャケットなんて超バブリー)
自分のアルバムとのリアルタイムファーストコンタクトは1981年「昨晩お会いしましょう」だと思う。名曲「夕闇をひとり」「守ってあげたい」「A HAPPY NEW YEAR」が収録されている。個人的にこの5枚の中で一番好きなアルバムだ。

今回最小システムを組んで超ニアフィールドで聞いたが、十分に満足できる音だった。
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BOSEはベタ置きでもイケる

この時期アナログレコーディングかどうかわからないが、LPレコードで聞くほうが当時の意図した音に近い気がしている。

pioneerの普及型カートリッジでかなり多くの機種に搭載されていたであろうPC-110。中古市場でもよく見かけるが、全く触手が動かなかった。普通で魅力に乏しいカートリッジという印象だったからだ。今回針折れ品がジャンクに出ていたので買ってみた。
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ハードオフで110円

完全な針折れでチップどころかカンチレバーがない状態。どちらにせよ針部分を交換しなければ使用できない。
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ピントが来てないので分かりにくいが…

このカートリッジ形状もよく見かけるタイプで、グランツあたりのOEMかもしれない。
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形状が近いもののスタイラスが流用できるかもと思ってやってみた。
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同じくらいの大きさ角度で四角穴のXL-15

が、うまくいかなかった。(穴の大きさが違うらしい)

結局、スタイラスを買うまでこの個体が正常に動くかどうかわからないということになった。交換針としては安めな2970円(JOCO製。Amazon価格送料税込み)だがちょっと悩ましい。本体110円だし、使う見込みはあまりない。(1回ぐらいは聞くだろうが使い続けることは無いような予感がする)
考え中である。




前回、Lo-DのHT-L55はt4p規格のカートリッジを採用していると書いた。

ではt4p規格とは何なのか?

1980年代に松下電器産業(現Panasonic)主導で策定された規格で、リード線なしに差し込む(プラグイン)だけで使用できる(正確にはネジを1本締めなければならないが)カートリッジ+本体のことである。調整も不要でそれゆえ針圧や自重、サイズが同じである。(自重6gで針圧1.25g)松下のジャストLPサイズプレーヤーSL-10(1981年)に採用された。
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HT-L55のジンバルサスペンショントーンアーム部分 銀色のところがカートリッジ

SL-10は現在でも人気のモデルで蓋側にリニアトラッキングメカニズムを搭載している。(この辺りはHT-L55と同じ)標準カートリッジはMC型のEPC-P310MCだった。(そのためSL-10本体にMC用のヘッドアンプを内蔵していた)
この規格、それなりの広がりをみせ、提唱者の松下=テクニクスブランド始め、オルトフォン、シュア、GRADO、オーディオテクニカ等がカートリッジを製造していた。CD登場直前のレコードプレーヤー最後のあだ花ともいえる新規格だったが、業界はそれなりに期待していたのがわかる。
(業界統一規格は家庭用VTR(ベータ VS VHS)の例を見てもわかるが、非常に難しい。t4pは用途が限られるとはいえ各社がその規格のカートリッジを作成するというのは、期待(またはCD登場の危機感)が高かったことの現れだったろう)
そして、どうなったか…
日本においては急激にLP→CDという流れになり、レコードプレーヤー自体が作られなくなっていく。盟主松下電器が撤退した時点で事実上の規格終焉を迎えた。(80年代のうちには終わっていた?)

それでも自分がレコードプレーヤーを買った3~4年前にはシュアのM92Eあたりは普通に買えていたので、2000年代に入っても製造していたのではないだろうか。(t4pではないがM44Gも2018年まで製造していた)
2020年の現在、購入は非常に難しい。価格が2~3倍に跳ね上がっているからだ。(M44Gあたりはリーズナブルが売りだったのに…)まあ、プレーヤーの稼働品も少なくなっていると思われ、本当の終焉が近づいているのだと実感する。
調整を必要としない「ポン付けのカートリッジ」良いと思うんだけどなあ。




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