世の中にはサイボーグのような超人がいる。紹介するのは、98歳の現役のオーケストラ指揮者ウイルヘルム・プロムシュテット。米国生まれのデンマーク人。ここで言う現役とは正真正銘の「現役」のことで、10分か15分申し訳程度に舞台に現れて棒を振るという程度の話とは全然違う。NHK交響楽団正規の定期演奏会、その回の全曲を指揮するというのである。普通トータル1時間半は掛かるからその間舞台に出続けて手を振り続ける。さすがに椅子が用意されているが、それでも並みの体力・知力ではないことは容易に想像できる。まず、98歳の眼と耳の能力について、普通人がどんな状態か考えてみてほしい。
指揮者と言えば、オーケストラの低音高音の音程や弱音強音を正確に聞き分けてリハーサルできちんと指導しなければならない。それに細かいオーケストラのスコア譜にも演奏のリアルタイムに瞬時に目を通さねばならない。TV画像を拝見すると眼鏡なし。高齢者にコンタクトレンズは不適だから全くの裸眼と思われる。去年N響定期を振りにデンマークから飛来された折にはこれが日本での見納めと思ったが、なんと今年も10月の定期演奏会の指揮者として飛来され、1週間数回の定期全曲を指揮された。まさにサイボーグとしか言いようがない。それからここだけの話だが、私が心底同氏をうらやましいと思ったのは強靭健康な腎臓・泌尿器系の持主に見えるからである。高齢者ならここで私が言わんとすることは直ぐに察しが付くと思う。分からないという人は、まだ高齢の域に達しない幸せな御仁である。
話は飛ぶが、RECOCA(私は)85歳。プロムシュテット氏の年齢まで13年ある。自分はそれまで生きて活動したいか。まず、そうしたいと思っても無理である。なぜなら同氏のようなサイボーグの存在は世界人口80億人のうちオンリーワンの確率だからである。比べてみよう。日本の宝くじで1億円当たる確立は1千万分の1。これでも、当たるわけないとあきらめていますよね~。つまり、あと13年生きて活動したいという願望は宝くじで1億円ゲットするより1千倍難しいのである。
さらに言えば、私が仮に天から今後13年の命の余裕を与えられたとしても素直に喜べるかどうか逡巡するのではないかと思う。2025+13=2038。そう、南海トラフ巨大地震発生期として予測される中央値に突入するからである。おそらくそれに加えて富士山も噴火するであろう。地震だけで予想死者数30万人。これだけでは収まらない。地震後数年以内に死亡する、いわゆる災害関連死が控えている。直近の能登地震のケースでは関連死者数は地震直接死者の2倍になった。これを参考に考えれば、(30万+60万)+αで南海地震後数年以内の死者数は100万人を数えるかもしれない。関連死は地震後のインフラ不足による環境悪化が原因であるから被害を被るのは高齢者、老人が大半だろう。従って、仮に私が地震噴火を生き延びたとしても、間違いなく関連死の範疇に入ってしまうと思う。13年生き延びてそんな惨めな生涯の終わり方をしたくはない。これはRECOCA(私)の隠れた本音である。
