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体験をどこで表現するのか

「固有の体験」というのをここ数年はかなり意識している。みんながいう感想を自分がまさに抱いた感想のように話す人を見る機会が増えたからかもしれない。

 

入ったことのない店で「ここはトンカツがとびきり美味いんだ」と放つ滑稽さに近いとでも言えばいいのだろうか。店に入らないどころか、店の前を通ったことすら、その土地に足を運んだことすらない、そんなレベルにすらなっている気がする。自分の体験を大事にしたい、あなた自身の体験を大事にして欲しいという思いは、そういう状況に対する抗いなのかもしれない。

 

状況は変化していて「初心者の体験を眺めて楽しむ」というのも、はっきりと言語化され体験の消費の一つになったように思える。これはこれで大変で、ゲーム配信なんかで結構な人が状況を見守っていて、クリアしたらそのコンテンツの考察がコメント欄にバーって流れるやつは特に衝撃がデカかった。こんな風に「教える側と教わる側という関係性が生まれる瞬間が劇的に在る」という状況は、食べ頃になるまで待ってから食ってやろうとか、知識量(といってもたまたま早く触れただけのもの)がそのまま上下関係につながる人間の、学校の先輩後輩のような残酷さが現れてると思う。

 

「ネタバレがなくて界隈が優しいコンテンツだ」なんて話も聞くけど、そんなことはなく、こうやってエンディングまで黙っていて終わったら周囲がめちゃくちゃ考察について話し出すなんて状況が形式として良いなんてことになったらたまったものじゃない。

 

ミニチュアゲームでテレインといわれる家具などの小物が出てくるアドベントカレンダーを買った。facebookのコミュニティを眺めていたら出てきたもので、イギリスのNorth Star Military Figuresという会社の通販サイトで注文したものだ。

 

12月に入り、毎日開けているのだけど思った以上に楽しい。本棚だったり乱雑に置かれた木箱だったりがやたら愛おしく見えるのはミニチュアをたくさん持っているからだろう。テレインがないミニチュアは何もない世界に人が立っているだけのような感じがするが、あると急に生活がうかがえるようになり奥行きが見える。

 

最初は、毎日SNSにあげようかななんて思ったけど、少し考えてやめることにした。対して交流もない人から「明日も楽しみです♪」なんてリプライが飛んでこようものならまるで体験を横取りされたような気分になるだろうと思ったからだ。

 

 

SNSはもとよりインターネットのおかげで世界中の情報が手に入るし、コミュニケーションもたやすくなった今は「これが欲しい!」と思ったらイギリスからものを取り寄せることもすごい簡単にできる。自分の体験をこの手につかめる便利さが今ここにあるのに、それよりも他人の感想を食う方が楽で、おかしみをもって戯れやすい状況なのはなんとも言えない苦さがあるし、そっからわずかに離れてアドベントカレンダーのテレインを眺めて遊んでいるのは小さく、そしてぼんやりと豊かだなと思う。ブログの距離感はこういうところに魅力がある。

 

<テレインのアドベントカレンダーはここから買えます>

https://www.northstarfigures.com/prod.php?prod=19612

<今日の物販>

 

Burrows & Badgers: Second Edition: A Skirmish Game of Anthropomorphic Animals (English Edition)

Amazon

 

 




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