
勝利の女神 NIKKEの3周年記念のイベントが開催中だ。事前告知、公開生放送、広告展開といった具合にプロモーションもシナリオを持って行われている。その中でデジタルと印刷物の展開が面白かったので書くことにした。
秋葉原のエスカレーター横にかなり大きな広告が出ていたのだけど文字がジャギジャギでびっくりした。印刷データの作り方の詳細は書かないが、ぱっと見「ラスタライズを不要にかけた」とか、「フォントを印刷会社に渡し損ねた(今時はこんなことをする必要はないが)」といった、印刷物の入稿データミスというよりは、同時に印刷されているニケたちの解像度と揃っている感もあるので映像作成ソフトから書き出したのだろうと想像した。実際に秋葉原や新宿で展開された映像を見にいくと、そのワンシーンを流用したものがエスカレーターの広告だったので、思った通りであった。

最初は「印刷物のデータ作りがないがしろにされているなー」なんてデジタルと紙の優先順位を改めて実感する出来事だと思ったがふと振り返ると、3周年記念の生放送に実際に足を運ばれた人たちはチケットやポラロイド写真を模したお土産をもらっているのだった。
チケットはブラックライトを当てると今回フィーチャーされている敵が浮かび上がる仕組み。それだけならなんてことないギミックにしか過ぎないのだけど、実情を説明すると最後の晩餐をオマージュしたメインビジュアルでSNS告知をしまくり、誰がユダなのか絵に込められた伏線はなんなのかをユーザーに考えさ、記憶に植え付けたうえでの仕掛けなのでインパクトがすごくよく演出されている。

ここではエスカレーターの広告とは違って「デジタルを目にしてから印刷物を手にするまで」のシナリオがしっかりと設計されていて軽視しておらず、むしろ印刷ならではの仕掛けを巧みに使って、これから起きる出来事の不穏さを高める良い効果を生み出している。
引き剝がし式のポラロイド写真を再現したものに関しては実物が手元にないのでわからないが、ニス圧着ハガキの仕組みを使ってるのではないかと推測している。剥がすことで中身がわかるという、不可逆性を活かしたものとしてアナログを上手く使っていて、剥がすのはもったいないが誰がどんな様子で出てくるのかが気になるといった具合。あんまり詳細に調べていないけど全種類のラインナップを公式は特にアナウンスしていないので、もしかするとSNSの報告に載っていないヤバイやつがあるのかもしれない、といったところまでの広がりを見せていると思う。

広告とお土産を比較するとなんとなく思うのは情報伝達の手段はそれなりに、ユーザー体験に関わるものはとにかく手をかけるということだ。エスカレーターの広告のジャギジャギは手元に残るだろうかと思うとそうではなく、逆にチケットやポラロイドは残るし、一部の人しか手に入らないのも含めて特別感ある。
エスカレーターの広告の文字がジャギジャギなことに気がついたのは私がNIKKEとDTPの両方に関心があるからだ。反対に、例えば1ヶ月前に同じ場所にあったかもしれない他のソシャゲの広告の文字の荒さなんて私は覚えてない。ただし、手元に残るものには体験として仕掛けを仕込んでいて、それをSNSで見れば「欲しい」と思うし、リアルイベントに参加したいという気分にもなる。こういった形で同じ印刷物でも役割で手間のかけ方を変えているのは面白いと思った。
今日の物販