
今日の毎日新聞に、生活保護者にだけ、調剤薬局を一つに限定するという実験を厚労省がするという記事が載っていました。
調剤薬局を1カ所に限定へ 厚労省検討
毎日新聞2017年5月6日 07時00分(最終更新 5月6日 10時26分)
病院で処方箋を受け取った患者は、病院近くの薬局で薬を受け取ることが多いため、複数の医療機関を受診すると、通う薬局も増える。向精神薬に限ってみると、2015年度には全国4650人が同じ病気で複数の医療機関を受診し、重複して薬を受け取っていた。薬局が限定されれば、受給者にとっては多重投与による健康被害を避けられるメリットもあるが、利便性の低下も予想される。
厚労省は、生活保護受給者が自己負担なしで薬を受け取れる「調剤券」を、自宅近くなど決められた薬局でしか使えないようにすることを想定している。市販薬などを購入する場合の薬局は対象外。必要な薬がすべて1カ所で手に入るかなどの課題を秋までに検証し、来年度以降は全国に広げることを検討する。生活保護受給者数は約214万人。医療費は15年度実績で1.8兆円かかっており、保護費全体3.7兆円の半分を占めている。【熊谷豪】
利用できる薬局を他の国民と違って生活保護者だけ、一つに限定するという別異取り扱いは、それが合理的な理由がなければ法の下の平等に反する可能性があります。
法の下の平等 日本国憲法14条1項
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
厚労省の今回の方針の目的は
「複数の医療機関にかかって同じ薬を重複して受け取るのを防ぎ、生活保護費を節減するのが狙い。」
とあります。
しかし、医療費の抑制をしなければいけないのは、一般国民も同様です。むしろ、全国民全体の医療費からすれば、生活保護受給者の医療費など微々たるものです。
もし、医療費を削減するのが目的なら、生活保護者だけ使える薬局を限定するのには合理性がありません。
もし合理性があるとすれば、生活保護者が一般国民に比べて、同じ薬を二重に取得する割合が高いという特段の事情が必要ですが、記事からはそのような事情は読み取れません。
また、記事には
「薬局が限定されれば、受給者にとっては多重投与による健康被害を避けられるメリットもある」
とおためごかしの理由が載っていますが、そのようなメリットは一般国民にも同様にあるのであって、生活保護者だけをそのメリットのために、薬局限定というデメリットを甘受させる理由にはなりません。
生活保護を受ける理由の最大のものは高齢、次に病気ですから、薬局利用制限のデメリットを受ける割合は一般国民より生活保護受給者の方が高いのです。
結局、今回の厚労省による生活保護受給者だけを薬局限定に甘んじさせるという方針は、全体としての生活保護受給制限、まあ、いわばいじめにすぎないのです。
生活保護受給者ならば、税金で暮らしているのだから、不利益に甘んじても仕方ないという考え方は憲法秩序に反します。
なぜなら、生活保護受給権は憲法上の基本的人権である生存権の具体的な表れだからです。
生存権 憲法25条
薬局が一つしか使えないというデメリットだけを見れば、生きていけないほどの不利益には見えませんが、生活保護受給者への不合理な差別を許してしまえば、生存権、ひいては基本的人権全般への重大な脅威になるのです。



国家財政の中で生活保護費の占める割合など数パーセントであり、その中で医療費はさらに小さい割合しかありません。
国家財政のことを考えるならもっとやることがあるでしょう。
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