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一般に、たとえば工場の運転を差し止めるというとき、まだ完成していない施設の運転を差し止めるならまだしも、すでに運転をしている工場の運転を差し止めると、工場側に非常に大きな影響を与え、損害が生じる可能性も大きいわけです。だから、裁判所も運転差し止めの判断をするのはかなりためらうもの。
ましてや地域社会に電力というライフラインを供給している原発ならなおさら停めにくい。
したがって、今まさに稼働している原発の差し止めが認められた意味は非常に大きいです。
2020年1月17日、阪神大震災の発生から25年目の日。
愛媛県にある伊方原子力発電所3号機について、広島高等裁判所は、地震や火山の噴火によって住民の生命や身体に具体的な危険があるとして、運転を認めない仮処分の決定を出しました。

同原発は、定期検査が終了する4月に運転を再開する予定でしたが、これで検査終了後も運転できない状態が続く見通しになりました。
この伊方原発3号機が司法判断で運転できなくなるのは2017年以来2度目で、伊方原発の危険性は全国でも最も大きいという「お墨付き」が裁判所からつけられたことになります。

今回の仮処分では地震と阿蘇山の噴火の二つが大きな問題になり、そのうち地震については、伊方原発の近くにある活断層で地震が起きた場合の影響が焦点となりました。
四国電力は、四国から近畿にかけてのびる「中央構造線断層帯」は伊方原発から8キロ離れているとしたうえで、地震が起きたとしても対策をしているため重大な影響はないことを確認していると主張しました。
しかし、広島高裁は、伊方原発の敷地のごく近くにある地層の境目が活断層である可能性が否定できないと判断しました。
そして、この地層の境目から伊方原発の敷地までの距離は2キロ以内で、国の新しい規制基準で厳しく評価するよう定められている
「震源が敷地に極めて近い」
ケースにあたるにもかかわらず、四国電力は十分な調査をせず原子力規制委員会も問題ないと判断した過程には誤りや欠落があったと指摘しました。

また、広島高裁は、火山の噴火について、原発の再稼働をめぐる審査で使われている国の新しい規制基準そのものに疑問を投げかけました。
もともと国の新しい規制基準では、火山の噴火に対する安全性について原発の立地が火砕流が到達しないような適切な場所かどうかと、噴石や火山灰などが原発の運転に影響するかどうかという大きく2つの観点から評価することになっています。
このうち、原発の立地についての判断では、160キロ圏内にある火山が噴火した場合の影響を評価することになっています。
これについて、広島高裁は、規制基準は対象となる火山が噴火する時期や規模を事前に予測して備えられることが前提となっていると解釈できるとしたうえで、複数の火山の専門家の見解をもとに
「現在の科学技術の水準では噴火の時期や規模を的確に予想することは困難で、規制基準は不合理だ」
と指摘しました。

また、「噴火の影響」については、阿蘇山で破局的な噴火に準ずるような噴火が起きた場合の火山灰の量などが過小評価されていて、四国電力の対応やそれを認めた原子力規制委員会の判断は不合理だと結論づけました。
これまでに原発の運転を認めなかった司法判断では、地震と火山に対する安全性のいずれか一方が問題とされていましたが、今回の決定はその両方に疑問を投げかける形となりました。
阿蘇山の噴火の影響ということで言うと、四国にある伊方原発と同じ近さなのが、玄海原発ですから、こちらの裁判にも今回の判決は大きな影響を与えることになります。川内原発もほとんど変わりません。

しかし、この仮処分の決定は、1年後の2017年3月に大阪高等裁判所が取り消したので、高浜原発3号機と4号機は再び運転を始めました。
伊方原発3号機は、5年前に新たな規制基準の審査に合格し、2016年8月に再稼働しました。
しかし、定期検査中の2017年、広島高等裁判所が運転差し止めを命じる仮処分を決定し、その後、運転ができない状態が続きました。
そして、翌年の2018年9月、別の裁判長が決定を取り消したことを受けて、運転を再開しました。

それがまた、今回再度運転を差し止められたわけです。
これだけ裁判所が何度も危ないと判断する原発を、何度も何度も再稼働させ、他の原発も再稼働を狙い、原発の新設まで考えている安倍政権は狂っているとしか思えません。
まさに原発利権の漁りの最たるものです。

ところで、2011年3月11日の福島原発事故の時、国内には54基の原発が稼働していました。
調べてみると、現在も廃炉が決まった原発を除いても、まだ15原発33基の原発があります。
このうち、これまでに原子力規制委員会による新しい規制基準の審査に合格し、再稼働したのは、伊方原発3号機や玄海原発を含めて5原発9基もあります(うち6基が稼働中)。その他、再稼働審査を申請中の原発が12基あるので、最悪の場合、全国で20基前後の原発が稼働してもおかしくない状況にあります。
福島原発事故という、あれだけの未曾有の事故を経験しておきながらそれに一切学ばず、まだ原発を稼働しようとし続ける原発マフィア。
これに対抗するのに、司法の力に頼る運動には限界があります。
選挙という民主主義の力で、危険な原発を日本列島から一掃するようにするべきは、私たち日本に暮らす市民のはずです。

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原発の運転を差し止めるという判断が出ること自体が、今のおとなしい司法からは極めて異例の事。
それがもう4回目ということは、事実認定と法律解釈のプロである裁判官から見て、よほど原発が危険であると見えるということに外なりません。
それでも、原発を停める判断を裁判官の良心に頼って求めるだけの戦いでは非常に厳しい。
司法とともに選挙箱の過程=民主制による解決、つまり自民党・公明党政権をひっくり返すのが一番安全な道なのです(石破さんは東京電力べったりで原発超推進派)。
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毎日新聞<time>2020年1月18日 東京朝刊</time>
<time></time> 司法の場で同じ原発に対して2度にわたって運転差し止めの決定が下された。重く受け止めなければならない。
広島高裁が四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の運転差し止めを命じる仮処分決定を出した。
今回の決定は、伊方原発沖の近くを通る断層「中央構造線」は活断層である可能性が否定できないとして、地元住民への具体的な危険があると認めた。
活断層の有無に関する四電の調査に関しては不十分だと指摘した。その上で、政府の原子力規制委員会が安全審査にあたって「問題ない」と判断したことについても「過誤か欠落があった」と断じた。
2017年12月に出された広島高裁の決定は、阿蘇山(熊本県)が噴火した場合、火砕流が敷地に達する可能性があるため立地として不適だと差し止めを命じた。その決定はその後、四電の異議で取り消されたが、今回の決定は、噴火の影響を四電が過小評価したと結論づけた。
伊方原発3号機は現在、定期検査で停止中だ。4月27日からの営業運転を計画していたが、今回の決定は、山口地裁岩国支部で係争中の運転差し止め訴訟の判決が出るまで運転停止とした。
もともと伊方原発は、他の原発に比べても、安全面で大きな問題を抱えている。東西約40キロ、最小幅約800メートルの細長い佐田岬半島の付け根に立地している。このため事故が発生すれば、半島の住民は逃げ道を塞がれかねず、避難できるかどうかが不安視されている。
活断層の問題は今回争点になった伊方原発沖近くだけではない。沖合約6~8キロには国内最大級の活断層が走っている。今後30年の間には南海トラフ巨大地震が高い確率で発生すると想定されており、発生時の影響が懸念されている。
それだけに、伊方原発を巡って四電だけでなく、規制委に対しても安全審査の厳格化を求めた高裁の姿勢は理解できる。規制委はこの決定を軽視してはならない。
国内では6基の原発が稼働中で、12基が新規制基準の適合審査中だ。東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、原発の安全対策には万全を期す必要がある。
伊方原発3号機 運転再び認めず 「地震、火山の想定不十分」広島高裁、仮処分決定
2020年1月18日 東京新聞朝刊
四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転禁止を求めて、五十キロ圏内に住む山口県東部の三つの島の住民三人が申し立てた仮処分の即時抗告審で、広島高裁(森一岳裁判長)は十七日、運転を認めない決定をした。「四国電の地震や火山リスクに対する評価や調査は不十分だ」とし、安全性に問題がないとした原子力規制委員会の判断は誤りがあると指摘した。
運転禁止の期間は、山口地裁岩国支部で係争中の差し止め訴訟の判決言い渡しまでとした。
伊方3号機の運転を禁じる司法判断は、二〇一七年の広島高裁仮処分決定以来二回目。伊方3号機は現在、定期検査のため停止中で、今月十五日にはプルサーマル発電で使い終わったプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の取り出しを完了した。四月二十七日に営業運転に入る計画だったが判決の見通しは立っておらず、運転再開は当面できない状態となった。原発再稼働を進める国の方針にも影響しそうだ。
主な争点は、耐震設計の目安となる地震の揺れ(基準地震動)や、約百三十キロ離れた熊本県・阿蘇カルデラの火山リスクの評価が妥当かどうかだった。
森裁判長は、原発の危険性検証には「福島原発事故のような事故を絶対に起こさないという理念にのっとった解釈が必要なことは否定できない」と言及。四国電は伊方原発がある佐田岬半島北岸部に活断層は存在せず、活断層が敷地に極めて近い場合の地震動評価は必要ないとしたが、「敷地二キロ以内にある中央構造線が横ずれ断層の可能性は否定できない」とし、調査は不十分だとした。
火山リスクについても「阿蘇カルデラが破局的噴火に至らない程度の噴火も考慮するべきだ」とし、その場合でも噴出量は四国電想定の三~五倍に上り、降下火砕物などの想定が過小と指摘。その上で、原子炉設置変更許可申請を問題ないとした規制委の判断は誤りで不合理だと結論付けた。
四国電は決定に対し、異議申し立てをする方針を明らかにした。今後、広島高裁の別の裁判長による異議審で決定の是非が判断される見通し。
昨年三月の山口地裁岩国支部決定は、地震動や火山リスクの評価に不合理な点はないとし、申し立てを却下。住民側が即時抗告した。岩国支部の訴訟は二月二十八日に次回口頭弁論予定だが、判決期日は未定となっている。一七年十二月の広島高裁決定は、阿蘇カルデラで破局的噴火が起きた場合のリスクを指摘し、運転差し止めを命じたが、一八年九月に同高裁の異議審で取り消された。
◆「不服申し立てる」四国電コメント
四国電力は十七日、広島高裁が伊方原発3号機の運転を差し止める仮処分決定を出したことを受け「極めて遺憾であり、到底承服できるものではない。速やかに不服申し立ての手続きをする」とのコメントを出した。
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