
福島県内に住む0~7歳の乳幼児約2千人の尿を測定した結果、141人から放射性セシウムが検出されたことが、2012年6月30日に分かったそうです。
親御さんたちの悲しみはいかばかりか。どの方も我が子を慈しみ、愛し、大切に育ててこられたのに。。。
そして、私は怒り、悲しむ前に、正直驚きました。
なぜなら、セシウムが体外に排出される期間を生物学的半減期というのですが、これは大人だと約一か月とされています。新陳代謝が激しく、体の小さい子どもたちだとこの期間は短くなります。今、尿からセシウムが検出されるということは、福島原発事故から一年数か月が経った今も、毎日セシウムを摂取しているということになるからです。
ということは、事故後、一年以上、ずっと体内にセシウムがあったままで、ゼロ距離で内臓に被曝し続けていた子もいるでしょう。
また、今回検出されなかった子供たちも、つい最近までセシウムを摂取していた可能性はあります。
福島の子供たちに、いつ、どういう形で、どんな割合で、どれほどの広がりで、放射線被曝の影響が出るかは誰にもわかりません。
我々人類には、放射能という化け物をコントロールすることはできないことを、謙虚に認めるべき時です。

「さようなら原発1000万人アクション」呼びかけ人の一人である内橋克人さんが1986年に出版された著書の中で放射線被ばくとがんとの関係について調査を行った米国のマンクーゾ博士の「スロー・デス(時間をかけてやってくる死)」という言葉を紹介しています。
『死は徐々に、二十年も三十年もかけて、ゆっくりとやってきます。原子力産業はクリーンでもなければ、安全でもありません。それは殺人産業といっていいでしょう』
スロー・デス。
嫌な言葉ですが、広島・長崎の被爆者の方々の原爆症=晩発性放射線被曝障害について多少なりとも知るものとしては、実感できます。内部被爆の恐怖。原爆投下から何年、何十年経っても訪れる病と死の恐怖。ピカドンに逢っていなくても受ける被害。
事故当時の枝野官房長官が「ただちに健康に被害のないレベル」という言葉を言うたびに、原爆症を知る多くの人が突っ込んでいたはずです。「ただちに健康被害=急性症状が出たらそっちの方が驚きだ。今の子供たちにいつ出るかわからない後遺症が怖いのだ」と。
原発ゼロ社会への希望はあります。
大飯原発では、原発再稼働が予定されている2012年7月1日も今日も反対運動が続けられ、uーstreamで生中継が続けられています。技術の進歩は市民の味方でもあります。
7月16日には東京の代々木公園に10万人が集まります。
今日、大飯原発が再稼働しても、また、運転停止に追い込めば良いだけのこと。1度はできたのだから、またできます。
原子力発電所を再稼働し、推進するのは同じ人のやる営み。我々がコントロールできる範ちゅうです。必ず止めることができます。
やりましょう。

(呼びかけ文はこちら)
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141人の尿からセシウム 福島の乳幼児2000人測定
福島県内に住む0~7歳の乳幼児約2千人の尿を民間の分析機関「同位体研究所」(横浜市)が測定した結果、141人から放射性セシウムが検出され たことが30日、分かった。うち3人が尿1キログラム当たり10ベクレルを超え、最高は4歳男児の17・5ベクレル。残る138人は10ベクレル以下で最 低は0・1ベクレルだった。
測定した尿からは、自然界にもともと存在する放射性カリウムも平均で約64ベクレル検出された。唐木英明からき・ひであき・東大名誉教授(食品安全)は「カリウムと比べてもセシウムの数値は低く、人体に影響があるレベルではない」とした上で「ただ、どのような経路で取り込まれたのか調べる必要がある」と話している。
同研究所によると、10ベクレルを超えた3人はいずれも家庭菜園などで自家栽培した野菜を食べていたという。
福島県によると、東京電力福島第1原発事故後、これほど多くの住民の尿についてセシウム検査をした例はない。同研究所は、内部被ばくした可能性がある乳幼児の健康管理のため検査を呼び掛け、昨年11月~今年1月、送ってもらった尿を無料で測定した。
測定した2022人のうち1881人は不検出。セシウムが検出された141人の平均は1キログラム当たり2・2ベクレルだった。4歳の男児2人が17・5ベクレルと14・0ベクレル、次いで4歳女児が12・0ベクレルで、この3人が10ベクレルを超えた。
唐木名誉教授は「子どもは代謝が早いのでセシウムは体内に蓄積せず排出されるだろう」と指摘した。
主婦連合会の佐野真理子さの・まりこ事務局長は「家庭菜園などの野菜は、自治体の検査の対象外となっており徹底されていないのが現状。検査の網の目を細かくして結果を広く公表してほしい」としている。 中国新聞 '12/7/1
毎日新聞 2012年06月29日 東京夕刊
<この国はどこへ行こうとしているのか>
◇「生産」より「生存」条件−−内橋克人さん(79)
「本当にあっけにとられました。悔しいというか、どう言ったらいいか……」
それまで、じゅんじゅんと説くように語り続けていた内橋克人さんが、その場面を振り返るときは何度か言葉を詰まらせていた。
今月15日、内橋さんは「さようなら原発1000万人アクション」呼びかけ人の一人として、作家の大江健三郎さん、澤地久枝さん、ルポライターの鎌田慧さんらとともに首相官邸にいた。藤村修官房長官と面会し、脱原発を求める750万人超の署名のうち、野田佳彦首相あての分を手渡すためだった。「藤村長官は、『私も、学生時代は毎日原爆ドームを見ながら大学に通いました』と言ってましたが、本心はどうだったのか」
政府による関西電力大飯原発再稼働の最終決定が伝えられたのはその翌日のことだ。かねて申し入れていた面会を、急きょ「前日」に指定してきた官邸の意図は何だったのだろうか。
大震災による東京電力福島第1原発事故から約1年3カ月を過ぎてなお、日本列島では放射能禍が続く。
「大飯再稼働が、なし崩し的な原発再稼働のスタートにならないようにしてください」。内橋さんは、面会終了間際にこう「念押し」の言葉を発した。藤村長官はうなずきもせず、無言で応じたという。
86年に出版された著書「原発への警鐘」の中で内橋さんは、放射線被ばくとがんとの関係について調査を行った米国のマンクーゾ博士の「スロー・デス(時間をかけてやってくる死)」という言葉を紹介した。文中、博士は言う。<死は徐々に、二十年も三十年もかけて、ゆっくりとやってきます。原子力産業はクリーンでもなければ、安全でもありません。それは殺人産業といっていいでしょう>
原発再稼働の決断を発表する野田首相の演説を聞いて、内橋さんの脳裏には約30年前のこの言葉がよぎった。
「首相は『私の責任』と言いましたが、これほど責任のない言葉はない。言葉の矛盾なんです。20~30年後、野田首相は、端的に言えば政権にいない。さらに野田さんがこの世にいなくなってから生まれてくる命へのリスクに、どう責任を取るというのでしょうか。また首相は『国民の生活を守るため』とおっしゃった。これ、言葉をご存じないんじゃないですかね。生活というのは人間の命あってのことです。生命あってはじめて生活なんで、人間の命というものをリスクにさらしながら生活を守るということはあり得ません。この言葉の空疎さ。今ほど、民意と政治がかけ離れた時代はないんじゃないですか」
この人が「人間の命」と口にする時、確かな説得力がある。「私的な話ですが」と前置きして、内橋さんは戦時下の光景について語り始めた。「神戸大空襲、終戦の年の3月17日と6月5日に、焼夷(しょうい)弾の下を逃げ惑って生きのびた経験があるんです。妙法寺川と天井川が合流する瀬に、たくさんの死体が浮いていました」。今回の大津波でも同じような光景があったはず、と被災地に思いをはせて言葉をいったん切り、こう続けた。「日本は依然として戦前と断絶してませんね。国民の合意なき国策決定のメカニズムも、階層社会と貧困も」
民意と政治。福島第1原発事故に、政治が素早く反応したのがドイツだった。大震災発生から2日後の3月13日夜、首相府に政権幹部が集まり、原子力政策についての対応を協議。翌14日には「原発維持」政策からの路線転換をメルケル首相自らが発表した。
翌月にはエネルギー政策転換のため、有識者による倫理委員会を発足させた。委員は、「リスク社会論」で世界的に知られる社会学者、ウルリッヒ・ベック氏のほか、政治、科学、哲学、宗教界などから17人。「メンバーには一人として、日本で言うところの『原子力専門家』と称する人はいない。そしてもうひとつ大事なことは、その提言に数字はほとんど含まれていない。技術者が数字をもてあそんだり、一般国民にわかりにくい専門的な言葉で事実を糊塗(こと)するようなことは一切ない」
国の未来を託された委員会は「安全なエネルギー供給に関する倫理」を論じた。何が決まったのか。「一言で言うと大きな判断基準、次の世代が、本当に人間が人間として生きるにふさわしい条件を持続し維持させることができるか。そのために今生きている世代の責任とは何か、ということです」。報告書をまとめたのは昨年5月末だった。
ひるがえって日本。大飯原発の敷地内には、活断層の疑いがある破砕帯が通っていると指摘されるが、政府は、専門家の意見を踏まえた原子力安全・保安院の対策で「安全基準をすべて満たしていることが確認された」と言う。「専門家づらした無責任な知識人は、最も倫理から遠い人々なんです。再稼働は福島以後の研究成果をすべて無視した決断です」
折しも国会では消費増税法案が衆院を通過した。原発再稼働と増税には、根本的な「矛盾」があると指摘する。「増税は、財政赤字のツケを次の世代に残さないために必要だ、というんでしょう。ツケを残さないといいながら、原発から出る放射性廃棄物のツケはどうなのか。命をリスクにさらす問題では、これからもどんどん未来にツケ回しする。これはもう政治ではない」
内橋さんは、「今考えるべきは生存条件だ」と語る。「経団連が、エネルギーがなければ産業が空洞化するとか、国際競争力が衰えるというのは『生産条件』を論じているに過ぎない。かつては物をたくさん作り、生産力を高めれば、人々の生活もよくなった。『生産条件』を上げれば、『生存条件』がよくなる時代もあった。しかし、21世紀の今、両者は対立するようになったんです。環境問題を見ても、労働問題を見てもそれは明らかです」。時折、テーブルをドン、ドンとたたいて問題点を強調しながら、極めて冷静に、論理的に説く。
野田政権の本質を「経団連かいらい政権」と断じる内橋さんは、これからの日本は「FEC自給圏」、つまり食料(Food)、エネルギー(Energy)、福祉(Care)の自給をめざす地域社会をつくるべきだと話す。
「被災地を含む多くの地域で取り上げてくれるようになりました。この三つを地域経済の中で循環させていくことで、十分に生きていける。原発がなくてもやっていけることは、全原発が停止した5月以降証明されている。電力会社の利益確保と経済界の要求に従うことはないんです」
語り終えた内橋さんの背筋が鶴のようにぴんと伸びた。穏やかな目には、未来を信じる光があった。【井田純】
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脱原発を求める声が広がる中、野田政権は「原発ゼロ」状態に終止符を打ち、原発存続にかじを切った。「原発の呪縛」の中、日本はどこへ向かうのか。識者に聞きます。
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■人物略歴
◇うちはし・かつと
1932年生まれ。新聞記者を経て、評論活動に入る。昨年、編書「大震災のなかで」を出版。著書「規制緩和という悪夢」などでは市場原理主義を厳しく批判。他に「日本の原発、どこで間違えたのか」など多数。


