
公明党大阪府本部の新春年賀会が2012年1月13日、大阪市内で開かれ、橋下徹大阪市長と松井一郎府知事が出席しました。
橋下氏は「僕を生かすも殺すも公明市議の皆さん次第。一致団結して共に歩みを進めたい。来るべき国政選挙では維新の会ができることをさせていただく」、松井氏は「公明党の皆さんとともに大阪を変える第一 歩の年にしたい」と述べ、公明が大阪都構想に賛同すれば次期衆院選で同党に協力する考えを示しました。
橋下氏にはスピード感があるといって誉める人もいるのですが、確かに大阪ダブル選挙前に公明党と手を打つのは早かったです。2011年10月下旬には、今、大阪都構想の特別顧問をやっている堺屋太一氏が、大阪市天王寺区の創価学会関西池田記念会館に乗り込んで、公明党の自主投票を引き出しているのですから。
それ以外にもみんなの党や国民新党の支援も受けながら、「維新の会と既成政党の戦いだ」、だとか、「既成政党が大政翼賛会になっている」だのよく言えたものです。
橋下徹氏・大阪維新の会と公明党が裏取引 なにが維新の会と既成政党の戦いだ
政治決断も内容が正しければ、決断は早く、実行は速いほうがいいとなりますが、悪い内容の政策をよく検討もせずに行えば、これは「拙速」のそしりを免れません。
橋下前大阪府知事は2010年、現在の咲洲庁舎のビルを約85億円で購入しました。2011年3月の東日本大震災で、このワールドトレードセンタービル(WTC、大阪市住之江区)は天井など350カ所以上が損傷し、橋下前知事は、専門家から耐震性に関する指摘を受けて、同年8月、本庁舎からの全面移転を断念しました。
これについて、大阪府が庁舎として使うためにを耐震性や災害拠点としての有用性を十分調査せずこのビルを購入し、庁舎を一部移転したのは違法だとして、大阪府民82人が、2012年1月12日、松井一郎府知事を相手取り、購入当時の橋下氏に、ビル購入費や一部移転費用96億3千万円を返還請求するよう求める住民訴訟を大阪地裁に起こしました。
大阪 WTCへの府庁移転断念で大損!橋下府知事の大失政 なにやってんねん!
その購入の際、橋下府知事はそもそも十分な調査をせずに耐震性が極めて不十分な建物の購入・移転を決定し、かかった96億3千万円は違法な公金支出にあたる 、というのが原告の主張です。
提訴後の記者会見で原告でジャーナリストの西谷文和氏は
「橋下市長が拙速に独断的に購入・移転をしたことによって損害を与えた。庁舎移転は府議会で否決されているのに なぜ一部移転し費用を出したのか裁判で明らかにしたい」
と語ったということです。
予想通りの展開に、さすがの橋下市長も覚悟していたのでしょう、
「議会での議論などのプロセスをきちんと踏んだ決定で僕が賠償責任を負うことになれば、自治体の長なんてできなくなる。府庁移転反対の人は、訴訟ではなく選挙を通じて民意を実現すればよかった」
と泣きが入っています。議会で2回否決されたのに、維新の会を結成して押し切ってしまったのを「プロセスをきちんと踏んだ」というのでしょうか(笑)。
橋下府知事 府庁移転断念「僕の読み甘かった」と認める ならば府民は100億円の住民訴訟を!

(大阪府ホームページより)
この訴訟の法律上の最大の論点は、
「橋下府知事が旧WTCの購入を決めるときに、知事が通常果たすべき注意義務を怠らなかったか」
ということになります。この注意義務違反=「法的プロセスを踏んでいない」という点で、橋下氏が不利なのは
1 南海大地震が30年以内に発生する確率は6~7割で、その際、地震と津波による甚大な被害が大阪の沿岸部に発生することは公知の事実だった
2 他方、東日本大震災の際、わずか震度3の地震で、旧WTCが350カ所も損傷を受けたのも争いようのない事実
3 旧WTCへの府庁移転は、自民党などの反対で大阪府議会で二度否決されたのに、これを通すために大阪維新の会を結成して、橋下氏が強引に旧WTCを購入してしまったのも争いようがない
4 旧WTCが使用に耐えないことは、橋下大阪府知事が依頼した複数の専門家によって断定されてしまった
5 購入した旧WTCが使用できないことで、大阪府に莫大な損害が発生することは、橋下知事の下で大阪府が調査して明らかになっている
6 では、どうしてこのビルの危険性を事前に察知できなかったのか
などなどです。
橋下氏が普通の神経なら、絶体絶命と感じるところでしょう。
府庁移転断念問題で大阪府民に大損させた橋下徹府知事・松井維新の会幹事長は大阪ダブル選挙に出る資格なし

このビルを建てた大阪市と第三セクターにビルの欠陥の責任があるとは言え、だからといってそれをよく調査せずに買ってしまったとなれば、橋下氏が法的責任も政治責任も免れることは出来ません。
そして、現在できる最も良い策は、今日にも起こるかも知れない南海大地震が起これば甚大な被害が生じるのですから、ただちにビル解体に入ることなのです。本当に強い勝負師は「損切り」ができてなくては。
ところが、橋下前府知事も松井維新の会幹事長・大阪府知事も自らの過ちを認めることになるためそれをせず、このビルを維持し、府庁併存を強行してしまっており、大阪都構想を協議する会合もこの危険なビルで行われています。
付き合わされている職員はたまったものではないですし、ここに行かされる府民も危険にさらされています。
大阪府庁には現状維持で既存の建物を当面使えば良いのに、そんな簡単な決断も出来ない橋下氏らのどこに決断力とスピード感があると言えるのでしょうか。
大阪府市統合本部に結集した橋下市長・松井府知事と特別顧問の無能と無謀
さて、橋下氏が大阪府知事を辞めたことで、今回の住民訴訟の被告は橋下氏ではなく、松井知事となりました。維新の会の府知事候補の引き受け手が他に現れなかったのはここに原因があります。
橋下府知事の買った湾岸庁舎で1200億円の損害 維新の会、当然府知事候補に断られる
さらに、もし、この訴訟の終結前に、大阪府と大阪市が統合して大阪都になれば、一つの法人格となりますから、大阪市から大阪府が旧WTCを購入して大阪府が損害を被ったという問題がなくなり、この訴訟は訴えの利益がない、ということになるかもしれません。
スピード感満載の橋下氏と維新の会の「大阪都構想」には、尻に火が付いている橋下氏の裁判逃れの思惑もあるのでしょう。この裁判で大阪府が負け、大阪府が橋下氏に100億円近くを請求することになったら、彼は破滅なのですから。
そんな大阪都構想を手放しで賞賛しているマスコミや評論家、すり寄りおもねる既成政党(いまやこちらが大政翼賛会)には呆れてものが言えません。
持ち前の逃げ足の早さ、ならぬスピード感で、拙速極まりなかった旧WTC購入の責任追及を、橋下氏が逃げ切れるのかは予断を許しません。
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