以下の内容はhttps://raymiyatake09.hatenablog.com/entry/7710e15dd5f5e612ba60e64c59e62684より取得しました。


持ち味を生かす


 少年事件を起こすのは圧倒的に男の子が多い。
 
 私が今まで出会った少年事件で女の子はたった3人だけ。全員がそのとき17歳だった。全員がシンナーの問題(毒物劇物取締法違反保護事件)だった。

 3人では統計学的に何の意味もないのだが、少女達はみなお母さんとの問題を抱えていた。そして、自分を責めていた。その自己嫌悪に耐えられず、シンナーに逃避した。

 私の知る超優れた人は全員、根っこのところで楽観主義者だ。それは天然の場合が多いみたいで、私のような悲観主義者がなろうと思ってなれるものではないらしい。たとえば、日本有数の少年事件弁護士野口善國先生のご著作は、最新刊が「親をせめるな」。初めてのご著作が「それでも少年を罰しますか」。真に暖かく優しい人は楽観主義者だと、故灰谷健次郎が書いたのは極めて鋭いと思う。

 では、自分自身が自己嫌悪に囚われがちで、悲観主義者の私のような大人が、自分を責め続ける少女達にどう接するか。
 これが意外と難しくないのである。同病相憐れむ、というか、お互いに似ているので、自分を責めるほう、責めるほうに持っていく思考パターンがわかる。
 だから、少女の良い部分は彼女の自己嫌悪になる性質や行動の裏返しのところにあることがすぐわかる。優しさと優柔不断、暖かさといい加減は紙一重だ。
 そこで、学校への照会書の回答とか、彼女の日記とか、彼女との会話の中から、彼女が気づいていない、良き部分を具体的に教えてあげる。すると、彼女にもちょっとずつ希望が出て、やりたいことも話し出す。

 少年事件では、少年は、審判が終わった後の人生のほうがずっと長い。必ず、何度もまた自己嫌悪になり、自分を責める。そのときでも人生を投げ出してしまわないように、わずか数週間のかかわりの中で、なにか彼女らに伝えようとする。裁判官も調査官も鑑別所の技官も弁護士も。実は書記官も、護送の人も。

 だから、どんな人でも自分の持ち味を生かした専門家になれるのが、少年事件、いや、もっと広く実務法律家の世界だと言える。超優れていなくても、やれることはある。愛する人が死んだ、破産した、離婚する・・・弁護士事務所に、法廷に現れる市民は、人生最悪の体験をしていることが多い。そんな人々の人生の土壇場で、私のようにいつも自己嫌悪に陥りながら、常に自分を責めながらも、人を励ます仕事はできる。

 こんなふうに楽観的に物事を考えられるのは実に珍しいけれど。



以上の内容はhttps://raymiyatake09.hatenablog.com/entry/7710e15dd5f5e612ba60e64c59e62684より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14