解任された伊東正明氏(2020年)
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吉野家の伊東正明常務は、今月16日、早稲田大学が主催した社会人向けの「デジタル時代のマーケティング総合講座」に担当講師として参加。その中で、若い女性を狙ったマーケティング施策について言及した際、「生娘をシャブ漬けに戦略」などと述べたという。

この発言はインターネット上などで問題となり、伊東常務は、講座の翌日、早稲田大学に謝罪した。大学側は、注意勧告をするとともに、伊東常務について、講師を降板させる方針を明らかにしていた。

この事態を受けて、吉野家ホールディングスは、きょう午前、「人権・ジェンダー問題の観点から到底容認することの出来ない職務上著しく不適切な言動があった」として、伊東常務を解任したと発表した。解任は、きのう付け。

 

 

五輪憲章に抵触も 「女性たくさん」森氏発言の深刻さ

IOCのバッハ会長とのオンライン協議を終え、発言する東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長=東京都中央区で2021年1月28日午後6時21分(代表撮影)

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が3日、日本オリンピック委員会(JOC)の評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと女性を蔑視する発言をした。「いかなる差別をも受けることなく」と定めた五輪憲章にも反する内容で、組織トップのあからさまな差別発言に批判が相次いだ。【塩田彩、待鳥航志】

女性理事登用は「文科省がうるさく言うから」

 森氏の発言は、報道陣に公開されたオンラインの会議で、競技団体の女性理事の登用に関して飛び出した。「テレビがあるからやりにくいが、女性理事4割は、これは文科省がうるさく言うんでね」と、スポーツ庁が示した指針に沿った、女性理事を40%以上とする目標に言及。その後、「女性がたくさん入っている理事会が時間がかかります。(日本)ラグビー協会は(会議が)今までの倍、時間がかかる。女性が10人くらいいるのか、今は5人か。女性は優れており、競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。それでみんな発言される」と語った。

 さらに、「あまり言うと新聞に漏れると大変だな。また悪口を言ったと言われる。女性を増やしていく場合は、『発言の時間をある程度、規制を促しておかないと、なかなか終わらないので困る』と言っておられた。誰が言ったかは言わないけど」と発言。「私どもの組織委にも女性は何人いる? 7人くらいかな。みんなわきまえておられる。みんな競技団体からのご出身、また国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。お話もきちっと的を射ており、欠員があればすぐ女性を選ぼうとなる」と続けた。

「女性の発言を揶揄し、萎縮させる」

 性暴力に抗議する「フラワーデモ」の呼びかけ人で作家の北原みのりさんは、毎日新聞の取材に対し、「女性の会議での態度を揶揄(やゆ)することで、女性が意見を述べること自体を萎縮させる差別発言で、許されない」と批判。「昼間の会議では発言せず、女性のいない夜の会食で重要な決定をしてしまうような男性中心の文化が、コロナ禍での政治家の銀座通いなどで浮き彫りになっている。今回の森氏の発言はそうした文化を象徴している」と指摘する。北原さんは「森氏は、これまでも『神の国』発言などで批判されてきたが、『何か言ったらたたかれる』ぐらいにしか考えていない。今回の発言も、『本音を少しくらい言っても許される』と考えているのではないか。この発言を看過した組織委のもとでオリンピック・パラリンピックを開催すべきではない」と語った。

 志田陽子・武蔵野美術大教授(憲法学)も取材に対し、「飲み屋での雑談とは異なり、公人による公的な場での発言であり、見識を問われる。しかもオリ・パラは国際社会の関心事であり、日本の民度がこうした発言で見積もられてしまう」とコメントした。

 女性の発言が多いとした点については「議論が活発になることに、何の問題があるのでしょうか。むしろ、何かをそんたくして黙って案件を通過させてしまう人、議論によってもむというプロセスに寄与しようとしない人が、審議や評議の委員になっていることの方がおかしい」と指摘。「仮に時間を超過しても無駄な発言をやめないような委員がいるのであれば、男女に関係なく仕事に適性のない人。女性という属性で一般化すべきことではない」とした。さらに志田教授は「多くの国が努力を重ね、ジェンダー・ギャップを克服してきた中で、日本は年々取り残されている。これ以上、意識の低さを露呈し続けると、本当に他の先進国から相手にされなくなっていくのではないか」と危機感を示した。

 オリンピック・パラリンピック憲章は「スポーツをすることは人権の一つである。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない」「憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」と定めている。

 女性を蔑視する内容の森氏の発言は、憲章に違反する可能性が高い。この発言が3日午後に報道されると、ツイッター上では、「あからさまな性差別だ」「(会長を)即辞任すべきだ」などの批判であふれた。

 ウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長の望月優大さんは、森氏が「テレビがあるからやりにくい」など公開の場であることを意識した上で蔑視発言をしていることについて、「自分が立場ある人間として守るべき規範に対して完全に意識的に挑発的な態度を取っている。うっかりではない。この挑戦を漫然と見逃すことの影響はあまりに大きい。許容すべきではない」と指摘する。

 ジャーナリストの安田菜津紀さんも「森喜朗氏は『子どもを一人もつくらない女性が、年とって税金で面倒みなさいというのはおかしい』など女性蔑視の発言を繰り返してきました。そこから何も学んでいないのでしょうか」と批判。「こうした蔑視、差別の発言が繰り返されてきたのは、問題視されても『どうせそのうち、ほとぼりが冷めるだろう』がまかり通ってきたから。『通ってきた』というよりも、『通らせてしまった』のだと思う。だから、うやむやにしてはいけない」と訴えた。

 

 

維新、橋下氏発言に危機感 参院選控え火消しに躍起

若手議員「党の存亡に影響」

日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)が旧日本軍の従軍慰安婦を容認した発言が14日、波紋を広げた。与野党から批判が相次いだが、橋下氏はツイッターで当時は慰安婦が必要だったとの認識を繰り返し強調。党内からは「参院選への影響は避けられない」との声が上がった。

「慰安婦問題についてもっと日本人は歴史を勉強すべきだ」「世界各国の軍はどうだったのか」。橋下氏は同日、自らのツイッターで持論を改めて展開した。石原慎太郎共同代表も国会内で記者団に、橋下氏を擁護する姿勢を示し「軍と売春は付き物だ」と発言した。

与野党からの相次ぐ批判に、維新の国会議員団は火消しに追われた。橋下氏は議員団に「個人的な見解だ」とのメールを送信。これを受け松野頼久国会議員団幹事長は記者会見で「党としての決定事項ではない」と記者会見で繰り返した。小沢鋭仁国会対策委員長は国会内で記者団に「(参院選への影響を)最小限に抑えなければいけない」と強調。若手議員の1人は「党の存亡にも影響する」と危機感をあらわにした。

維新は各種世論調査で支持率が伸び悩み、自民党との対立軸探しに腐心している。国会議員団からは支持回復の起爆剤として橋下氏の参院選擁立論が強まっている。14日の国会議員団役員会で、出馬要請する方向となったが「時期が悪い」との声が出たためこの日の要請は見送った。

 

 

橋下徹氏、最終聖火ランナーに森喜朗氏を推薦「社会的に抹殺されたけど、功績ってものすごくあると思う」

橋下徹氏

 開会式の演出、特に最終聖火ランナーについて聞かれたコメンテーターで出演の元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は「僕が言うと、シャレかと思うかも知れないけど、真面目に言わせてもらうと、思想って大事だと思うんですよ」とまず発言。

 その上で「日本の思想として1回過ちを犯しても、ちゃんと反省、謝罪すれば許す社会になってもらいたいと思っている。小山田(圭吾)さんもそう。ちゃんと償えば再チャンレンジ。それからやってきたことへの感謝も絶対、日本のお国柄として一つの柱としてあると思うんです」と続け、

「これは真面目にね。森(喜朗・前五輪組織委)会長ね。今回、あの(女性蔑視)発言で大バッシング食らって、確かに世界的にはバッシシング食らう発言でしたけど、森さんがやってきた功績って、ものすごくあると思う。

本当に反省しているんだったら、もう1回、再チャンレンジと言うか。あそこまでやって、社会的に抹殺したような状況で…。ご年齢もご年齢ですからね。米子松蔭のような若い世代に対してはもう1回、人生の充足感を味わってもらうということであれば、森会長にもう1回、何か舞台を提供することはできないのかなって。人生の最後の充足感を考えた時に。本当にここまで引っ張ってきた功績を考えるとね」

と提案していた。