
枝野経産相は、末尾のロイターの記事にあるように、東京電力の今後の特別事業計画について、
事業計画は株主や債権者からの協力が前提となっており、
「一義的には法律に基づいて株主や債権者の協力を求めるべきだ」
と語りました。
同時に、枝野経産相は政府が東電への賠償支援を行う原子力損賠賠償支援法について、
「この法律は株主や債権者の保護を目的にしていない」
とし、東電に融資する金融機関に何らかの負担を求める考えを示しました。
彼は従来通り、東電の破綻処理には踏み込みませんでした。
しかし、東電のステークホルダー=利害関係人=東電の原発で利益を得てきた者、の負担が「一義的に」=まず第1に、求められるとした点は上々だと思います。
これは彼の持論で、やはり、枝野経産相は頑固なだけに期待できそうです。
いきなりアクセル全開!枝野「原発ゼロ」経産相に脱原発を期待する

これに対して、全国銀行協会の永易克典会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は同日の定例会見で、末尾の産経新聞の記事にあるように
「債権放棄は想定していない。これまでの政府の議論でも、東電は(債権放棄の前提となる)債務超過にはならないという説明だった」
と述べ、不快感を示しました。
はい、そうです、三菱東京UFJは、東京電力に対する大口債権者です。
言っていることは自分の目先の利益だけなのです。
彼らのためになぜ我々が電気代値上げを甘受しなければならないのか。
東京電力3年間値上げを画策 ふざけるな! 悪あがきする東電は破綻処理しかない

株主というのは、普段から利益配当を受けて儲けています。
また、株価が上がれば儲けられます。
しかし、投資している会社が不祥事を起こして株価が下がれば損をして、倒産したなら投資したお金は回収できなくなる、というリスクを本来負っています。
債権者や社債権者も同様で、普段から利子・利息という利益があるからお金を貸しているわけで、逆に借り主が返済不可能になれば、貸し金が回収できないのは、利益に伴う当然のリスクなのです。
では、東電のステークホルダーは誰かというと、大株主も大口の社債権者も債権者も、全部、メガバンクや生命保険会社などの金融機関なのです。
ところが、何度も書いてきましたが、東電の賠償スキームは、東電とは無関係な国民・電力消費者が、税金と電気代値上げという形で負担を強いられる仕組みになっています。
原子力損害賠償支援機構に東電24億円、全電力会社で70億円出資 いずれは10兆円を全国民が負担

東京電力の貸借対照表によれば、純資産額は1.6兆円、金融機関からの長期借入金は3.4兆円にのぼります。これらについて、資産は売却し、借入金はカットして利子支払を減らすのが、会社整理の常道です。
それをせずに、いきなり、収入確保を目的とした料金値上げに走るというのは、一般企業であれば、到底説明のつかないことです。
福島原発事故 賠償基準公表 東電賠償資金は賠償支援機構頼み→全国民の電気代値上げ、税金負担

原子力賠償支援機構の仕組みは、国民の負担で、メガバンクなどを救済するという構造になっています。
これを、
「東京電力は潰すには大きすぎる公的企業であるから、その経営危機は、金融危機を招く。全国民のためにも、東電を救済することは国民経済にとって必要である」
と正当化する関係者もいます。
しかし、以前の金融機関への公的資金の導入、本当に必要だったか疑問ですが、は個別の経営危機に直面した金融機関に対してなされたのです。
抽象的にどこかの金融機関が破綻するかも知れないから、10兆円以上になる東電の賠償金を、国民が負担するなどと言うことが認められるはずがないでしょう。
東電を整理する中で、現実的・具体的に差し迫った危険が生じた金融機関が本当に出れば、それを救済すべきか判断して、どうしても必要なときだけ、公的資金を投入すればいいのです。

枝野さんは、あくまで東電を破綻処理しないと言っています。
それはそれで問題ですが、破綻処理するつもりはなくても、メガバンクに債権放棄を求めればもう次の融資や社債の引受けはないのですから、国民負担がないことが前提で事業を進めれば、早晩、経営は立ちゆかなくなり、破綻処理をしなければいけなくなります。
しかし、ダイエーを破綻処理したら、ダイエーの店で物が買えなくなりましたか?
JALを破綻処理したら飛行機が飛ばなくなりましたか?
ちゃんと、事業を続けながら、債務整理は出来るのです。

別に東電に制裁を加えるのが、賠償スキームの目的ではありません。
国民負担なく東電が賠償義務を果たせればそれでいいのです。
しかし、もともと、日本の電気代が高すぎるのをご存じですか?
東電の賠償義務を我々が電気代で払ってやる義理はこれっぽっちもありません。
メガバンクに債権放棄を求めれば、東電にはもう金を貸せないから東電はつぶれるけど、それでよろしいか。
金融機関がそう脅してきたときに、ならば破綻処理やむなしと枝野経産相が決断できるように、我々は断固として、電気代値上げと税金負担を拒絶し続けるべきです。

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東電の特別事業計画、株主・債権者の負担が適切でなければ却下=枝野経産相
[東京 15日 ロイター] 枝野幸男経済産業相は15日、ロイターなどとのインタビューで、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)の株主や債権者の負担について、東電が政府に提出する特別事業計画で「適切な対応」がされていなければ、同事業計画を却下するとの見解を示した。
枝野経産相は、「適切な対応」の具体的な内容については明言を避けたが、事業計画は株主や債権者からの協力が前提となっており、「一義的には法律に基づいて株主や債権者の協力を求めるべきだ」と語った。
同時に、枝野氏は政府が東電への賠償支援を行う原子力損賠賠償支援法について、「この法律は株主や債権者の保護を目的にしていない」とし、東電に融資する金融機関に何らかの負担を求める考えを示した。
東電は賠償資金の支援を受けるため、今後、取引銀行と負担の中身について協議に入ることになるが、枝野経産相の意向をどう反映するか、厳しい対応を迫られる可能性もありそうだ。
インタビューの主な内容は以下の通り。
──東電の株主や債権者にはどのような負担を求めるのか。
「一義的には原子力損賠賠償支援法に基づいて(東電や株主や債権者など)ステークホルダーの協力を求めるべきだ。東電が民間同士で協議して、東電がそれを盛り込んだ計画を提出したら、それを見て妥当かどうかを判断したい」
──具体的な負担が入っていないと、資金支援の前提になる特別事業計画は認可されないのか。
「法律には、ステークホルダーの協力を求めると記されている。被害者補償や原発事故の収束、電気の安定供給という法律の目的に照らして適切な対応 がされているかどうか。されていなければ却下される。具体的にどういう協力がなされれば、事業計画が承認されて、資金支援がなされるかは、今は言える段階 ではない。この法律は株主や債権者の保護を目的にしていない。法律の目的の3つの効果以外に資金を使えば、税金の無駄遣いだ」
──東電が破たん処理されるという選択肢はないのか。
「法的破たん処理すると、被害者の賠償債権が確保されない。関係会社など福島原発で働いている会社の債権も保護されず、収束の作業が止まってしまう。それは回避しないといけない。それが大前提だ」
──被害者の補償がなされ、一般債権が担保されるのであれば、法的整理できるのではないか。
「現在のスキームを作る段階では検討した。しかし、破たんした後に、債権の優先・劣後の順番を変える方がマーケットに悪い影響が出るという結論になった。それができないのなら、破たんさせないスキームでいくということになった」
──原発の再稼働に対する住民の理解が得られない場合、来年の夏も電力使用制限令が出されることになるのか。
「そうならないよう最大限努力したい。できるだけ早く住民の理解を得て、稼働できるところは稼働したい。ただ、来年の夏の電力供給がどうなるかは別次元の話だ」
「この冬は、一定の努力をすれば、使用制限令など出さなくても何とか乗り切れる見通しが立っている。来年の夏まではまだ(見通しが)立っ ていないが、火力発電などを増強する時間もある。産業用の節電をお願いをせず、どの程度節電できるのか。様々な努力をする時間はある。どういう状況だった としても、特に産業用電力に影響を及ぼさないように努力したい」
──省エネに向けた政府の支援をどう考えるか。
「家庭用の蓄電池や太陽光発電、省エネ機器の導入について、政府で積極的に支援していく。財政当局との相談も必要だが、できるだけ広範かつ強力、急速に進めたい」
──新しいエネルギー基本計画で原発のシェアはどの程度と考えているか
「原発に依存せずに成り立つように省エネと新エネルギーの促進に取り組む。これに最大限力を尽くす。それがどの程度のペースでどこまでできるかで、将来、原発にどのくらい依存するのかの議論のスタートになる。今、具体的な数字を言えないが、最大限やりたい」
(ロイターニュース 布施太郎、平田紀之)
全銀協会長「東電への債権放棄、想定していない」 経産相発言に不快感
全国銀行協会の永易克典会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は15日の定例会見で、枝野幸男経 済産業相が13日の閣議後会見で、東京電力の福島第一原子力発電所事故をめぐり、減資や債権放棄などを含め、金融機関や株主に一定の負担を求める方針を明 らかにしたことについて「債権放棄は想定していない。これまでの政府の議論でも、東電は(債権放棄の前提となる)債務超過にはならないという説明だった」 と述べ、不快感を示した。
欧州の債務問題について、「日本の金融機関も多少なりとも影響は受けている」としながらも、「リーマン・ショック以降の流動性危機のレベルとははるかに違う。EU(欧州連合)内で必ず解決案を出すだろう。本当の意味での危機ではない」と楽観的な見方を示した。

