
安倍首相に大阪都構想を誉められてはしゃぐ橋下市長 お礼に憲法「改正」手伝います!
昨日、2015年5月17日、大阪市を廃止して5つの特別区に解体するという大阪「都」構想の協定書の是非を問う住民投票と即日開票が行われ、反対票が辛うじて賛成票を上回り、否決されました。
その差、0.8%。70万票対69万票で1万票差。
これまで橋下維新の会とハシズムシリーズを150本近く書き、大阪「都」構想についても徹底的に反対し続けてきた私も開票速報にくぎ付けになっていましたが、ほんとうに心臓に悪い夜となりました。なにしろ、反対票が賛成票より多かったのは開票数%までで、あとはNHKが開票80%を超えたところで賛成票が多いまま、反対多数確定とテロップを流すまで、ずっと敗色濃厚な様相を呈していたからです。
まず、第一の感想は、憲法改悪の国民投票は絶対にやってはならないということでした。

大阪「都」構想を橋下氏が本格的に持ち出してから5年。この間、どれだけ多くのお金と時間、エネルギーがこの構想について割かれてきたことでしょう。
橋下氏が大阪府知事になってもう七年半になるのですが、大阪の景気は全く良くなりません。大阪府知事と大阪市長と議会第一党を維新の会が占め続けているのですから、その責任の大半は橋下維新と大阪「都」構想にあるといえます。
せめて大阪「都」構想論議と並行して、大阪が目に見えて良くなっていれば、橋下氏らの政治手腕が評価され、昨日のような敗北を喫することはなかったのです。
そして、大阪は大阪「都」構想の賛否に二分され、深く傷つきました。ノーサイドと言うのはたやすいが、長年にわたって争った市民の関係を修復するのは容易なことではありません。
そういう意味でも、橋下氏らのやってきたことの罪は大きいと私は思います。

これが、憲法「改正」国民投票として、日本全体のレベルで起こったらどうでしょうか。
国民が真に望んでいるのは、日本経済の成長や福祉などの充実なのですが、行政組織をいじる大阪「都」構想と同じかそれ以上に、改憲は日本の経済や福祉と何の関係もありません。
そして、争いの間、貴重な時間もエネルギーも無駄になり、大阪と同様に日本はかえってダメージを受け、二分された国論のもと相争いあった国民の亀裂は、長く我々の心と生活に傷跡を残すことになるのです。
昨晩、数時間、テレビの前で一喜一憂し続ける中で、これが日本国憲法が改悪されてしまうかもしれないという国民投票の速報だったら、本当に身が持たないだろうと思いました。
改憲のための国民投票の前哨戦、予行だと当事者が言っていた今回の住民投票。
もし、我々が、こんなふうに相争ってはならない、憲法「改正」の発議を国会に出させて国民投票をするようなことにだけはなってはならないという教訓を得たならば、大阪の方々も少しは報われると思っていただけるのではないでしょうか。
改憲を目指す安倍政権の最大の協力者であった橋下維新をストップしたという点でも、大阪市民の功績は本当に大きいです。
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マガジン9
緊急直前レポ「大阪都構想」住民投票は憲法改正国民投票の先行実験か?! - 佐々木大輔
いよいよこの週末に迫った、大阪市の住民投票。政令指定都市の廃止を問うという全国初のケースでありながら、たぶん大阪市民(府民も?)以外の人は、まったくと言っていいほど、関心を寄せていないのではないでしょうか? しかし「ほんまは大阪市民以外にとってもえらいこっちゃ」だと、読者ライターの佐々木大輔さんより緊急レポが届きました。今何が問題なのか? そして投票権のない大阪市民以外は何に注目をすればいいのか。大阪市民の方もそうでない方も、ぜひお読みください。
☆大阪市特別区設置住民投票とは?
5月17日(日)に実施される、政令指定都市である大阪市を廃止して特別区を設置することへの賛否を問う住民投票。橋下徹大阪市長を中心とする大阪維新の会が掲げている「大阪都構想」では、2017年4月に今の大阪市を廃止して、現在ある24の行政区 を「北区」「湾岸区」「東区」「南区」「中央区」の5つの特別区に再編、大阪市長ならびに大阪市議会を廃止し、各特別区に区長・区議会を設置。大阪市の仕事のうち教育や福祉などを特別区に、都市計画やインフラ整備といった広域行政を府に移すと定めている。
今回の大阪市の住民投票は、日本第二の人口をほこる政令指定都市・大阪市を解体するかどうか、という初の試みですが、全国的な関心が高まっているとはいえない状況です。
しかし、私たちが(大阪市民でなくても)この住民投票に関心を向けなければならない理由のひとつが、憲法改正の国民投票との関連です。
今回の住民投票は、一般の選挙に比べて、ほぼ無制限な「政治活動」が可能となっています。戸別訪問や買収などは禁じられていますが、費用の上限はありません。お金をもっている側、権力の座にいる側が、通常の選挙に比べても圧倒的に有利になっています。
とくに広報戦略において、その差は圧倒的です。例えば大阪維新の会は、広報費用に4億5000万円をつぎこんでいるといわれています。それだけでなく、既存メディアの報道が橋下市長の言動に集中していることや、市主催の住民説明会が橋下市長の独演会になったことなどを加えれば、その広報効果ははかりしれません。
こうした点において、今回の住民投票は、いずれ行われるかもしれない憲法改正の国民投票運動の先行事例だともいえます。安倍総理が橋下市長に肩入れし、「都構想に理解を示し」ている理由は、憲法改正国民投票を見据えていることにもあるのではないでしょうか。こういう観点からも、今回の住民投票には、ぜひ大阪以外の人にも最後まで関心をもってもらいたいと願います。
一方、大阪市内でも、はたして自分たちは何に投票するのかについて、有権者の間に十分な理解が進んでいるとはいえません。新聞調査でも、都構想について「理解があまり深まらない」「まったく深まらない」が合わせて50%となっているという状況です。テレビコマーシャルや毎日のように織り込まれるビラなど、シャワーのように浴びせられる情報が、かえって有権者を混乱させています。
さらに、ここへきて新たな問題が生まれています。橋下市長や大阪維新の会は、「『都構想』の反対派が、悪質なデマを流している」として、自身のツイッターや街頭演説、HPなどで「デマに耳をかさないで」と反対派への攻撃をはじめているのです。どちらが本当なのでしょうか?
以下は、「どちらがホントなのか?」と大阪市の有権者が混乱させられているポイントです。いずれも投票行動においては、判断を決める重要な視点です。
•住民投票で賛成が多ければ、大阪都になるの?
今回の住民投票で問われているのは、あくまで大阪市を廃止して特別区を設置するかどうかで、賛成が多くても反対が多くても、大阪「府」が「都」にはなりません。「大阪都」にするには新たな法律をつくらなくてはならないのです。しかし、橋下市長やメディアが「都構想」の言葉を使用するため、この誤解がぬぐい去られていません。このネーミングそのものが誤解を招く原因になっています。
•いったん大阪市を廃止して特別区にしたら、政令指定都市に戻ることはできるの?
大阪の経済が停滞を続けてきたことから、肌感覚として「橋下さんが『このままじゃあかん』言うてはるから、いっぺんやらしてみたらええやん」という大阪市民がいます。しかし都構想に慎重な人たちは「いっぺんやったら二度と戻られへん」と注意を促しています。
この点も最大の争点のひとつで、マスコミの調査でも「反対」に投票すると答えた人の大きな理由となっています(2015/5/12日経新聞)。
これに対し大阪維新の会は公式HPで「元に戻せる」と明言し、「できない」というのは反対派のデマだと断じています(大阪維新の会HP「都構想のデマが拡散中です!ご注意ください!」より)。
しかし、当の大阪市が市のHPで、明確に「戻せない」と否定しているのです。
(特別区の設置後に市に戻る手続)
Q.特別区設置後、大阪市を復活できるのか。:特別区は政令指定都市に指定される事はできますか。
A.現在の法制度においては、特別区が市に戻る手続は定められていません。政令指定都市は、市の中から政令で指定されるものです。
(大阪市HP 住民説明会における質問票への回答について/投票権者等については、こちら P.14)
•住民説明会で強調された都構想の経済効果「2762億円」は、国が認めているの?
「二重行政の解消」による経済効果については、何年にもわたって市議会で議論が行われてきました。大阪維新の会は当初、「効果は年間4000億円」といっていました。しかし2013年には976億円になり、2014年には155億円と、当初の1/25にまで減少しています。
しかもこの数字は、橋下市長が府市の事務方に「もっとしっかり効果額を積み上げてほしい」「数字は見せ方次第でなんとでもなる」と指示して、市営地下鉄やゴミ収集の民営化など、「二重行政の解消」とは言えない項目もむりやり計上したことが明らかになっています。そこで市が試算し直した結果、経済効果は年間1億円程度になりました。
問題は、先の住民説明会で配られたパンフレットです。これは大阪市と総務省で合意したとされる「特別区設置協定書」の中身を説明した印刷物として配布されましたが、そのなかに、「17年間で総額2762億円」の経済効果がある、と明記されています(「特別区設置協定書について(説明パンフレット)」P27)。
しかしこれについても、国は否定しています。
尾立議員)賛成派の方はこのパンフレットを使って、総務省が認めた意見書だということで住民に説明をしているわけでございます。ということは、これはデマだということになるんですが、そういうことでよろしいですかね。
高市総務大臣)この財政効果等については協定書案の項目に入っておりません。(略)総務大臣の意見の対象でもございません。
〈2015年5月12日参議院総務委員会〉
•投票用紙の設問の仕方も問題では?
今回の住民投票の投票用紙には、「大阪市における特別区の設置についての投票」「特別区の設置について賛成の人は賛成と書き、反対の人は反対と書くこと。」とだけ書かれ、有権者の最大の関心ポイントである「大阪市の廃止」が書いてありません。
このことを、反対派の急先鋒・藤井聡京都大学大学院教授が訴えています(維新の党は、テレビ各局に「藤井を出すな」と名指しで圧力をかけたそうです)。藤井さんの主張の根幹は、「『巨大な権限と財源をもつ政令指定都市・大阪市を廃止・解体し、大赤字の大阪府の借金に回すこと』が『都構想』の本質であり、経済のエンジンである大阪市の廃止は、大阪全体の停滞につながる」というものですから、これは見落とせない問題です(「大阪都構想」を考える〜権力による言論封殺には屈しません〜藤井聡氏ブログより)。
藤井教授は、投票用紙自体が「特定の判断を誘導」するものであり、すでに期日前投票が始まっている現状「修正することは不可能」と指摘して、司法判断の必要性を訴えています。
今回の住民投票の問題だけではなく、橋下市長がこれまで、根本的な経済対策に取り組むのではなしに、議会との対立をあおり、「都構想」だけに力を注いできたことが、今の大阪に大きな影響を与えています。
市役所の有能な職員が大都市局という部署に集められ、都構想に向けた協定書づくりなどの作業に従事させられてきました。そうして大阪が内向きになっている間に、他の大都市は生き残りをかけて必死に前向きな政策課題にとりくんできました。結果、大阪は横浜や神戸など、他の政令指定都市からも大きく遅れをとっています。
執拗な市職員たたきもありました。入れ墨調査にはじまった一連の市職員への抑圧的な行為や処分については、いくつも裁判が起こされすべて市側が負ける結果となりました。今、大阪市が前に進んでいくために重要なのは、本来は市民のために働く存在であるはずの職員のモチベーションを上げることです。
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最初にも触れたように、安倍総理は大阪都構想について「意義がある」などと理解を示す発言をしてきました。憲法改正とのバーター取引が、安倍総理や菅官房長官と橋下市長の間で取り交わされているといわれています。安倍総理からすれば、着々とすすめている改憲スケジュールの重要ファクターが、この大阪の住民投票勝利であり、橋下さんを改憲のために国政に呼び戻すことなのでしょう。
これまでの橋下さんの言動を見ても、いずれにしても橋下さんはそう遠くない未来に「大阪市長」ではなくなるだろうし、その後「大阪都知事」をめざすこともなさそうです。だからこそ今回の住民投票は、橋下さんが「好き」とか「嫌い」ではなく、純粋に「内容」で判断すべきと思います。(佐々木大輔)
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