
ちょうど、本日2012年5月26日、私は兵庫県尼崎市と西宮市の境を流れる武庫川河畔で暮らすホームレスの方々のテントを訪問し、生活保護申請をして、路上生活から脱出しませんかと提案する活動に参加します。
生活保護は憲法が保障する基本的人権である生存権を保障するための最も重要な制度の一つです。
憲法25条1項 すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
もちろん、路上生活が「健康で文化的な最低限度」未満の生活である事は容易におわかりになると思います。
しかし、いったんホームレスになり、住居を失うと、住民票が取れなくなるので生活保護申請が非常に困難になります。住民票がある事は別に法律上の用件でも何でもないのですが、役所に一人で行っても追い返されてしまうことがほとんどです。
今回の活動は、弁護士が申請を援助すると少なくとも申請受理をしないという対応は取られないと言うことで、ボランティアで行うものです。
つまり、生活保護受給者が200万人を越えて過去最高だと騒がれていますが、本当に生活に困窮している人が皆生活保護を申請したら、200万人どころでは済まないのです。
生活保護受給を権利と捉えず、お上からのお情けなどと考えて良しとしない国民性と、福祉事務所での生活保護申請を受理さえしないという、下の本が指摘するいわゆる「北九州方式」などの抑圧によって、生活保護受給者数は圧縮されています。
それはとりもなおさず、生存権という人権侵害が膨大な数で日常化しているということです。
路上生活ほど「健康で文化的な最低限度の生活」からはずれた生活はありません。そんな生存権を侵害された人がまだ多数いらして、生活保護を受けずに、受けられずにじっと耐えておられる。それをそのまま放置している。
それこそが、実はこの国の生活保護問題の最も重要かつ深刻な問題です。
生活保護申請で妊娠・同棲・出産禁止の誓約書 生存権=「健康で文化的」な最低限度の生活を無視する行政

さて、テレビや舞台などで活躍する人気お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さんが、高額所得者であるにもかかわらず、母親が生活保護を受けていると、週刊誌で報じられ、批判されていた問題について、河本さんが5月25日、東京都内で記者会見を開き、母親が生活保護を受けていた状況について説明しました。
河本さんは「芸人は収入が不安定なため、今は高い収入があっても母親の生活保護を打ち切ることはできなかった。甘い考えだったと深く反省している」と謝罪したということです。
河本さんが生活保護費についておかあさんに
「もらえるものはもらっておけ」と言ってしまったと告白したというのは、
「お前にやる金はねえ!」
というギャグの裏返しだったんじゃないかと思うんですが。どうですか。ちがうかな。少なくともこんな大事になるとは思っていなかったんでしょうねえ。
今でも、生活保護申請のときに、親兄弟に役所からちゃんと調査は行っています。そんなに甘くないです。河本準一さんはお母さんが生活保護受給を始めるときには、まだ今ほど売れていなくて、援助する意志がないと答えたのでしょう。
まあ、とにかく、この問題は生活保護問題の一端しか表していませんから、この問題だけで生活保護問題を語るのは危ういと思います。
そして、ネタを見つけるとかさにかかって一斉にバッシングする風潮も危険です。

[単行本]
森川 清 (著) あけび書房
そんな河本さんの問題をわざわざ国会でも取り上げた自民党のパフォーマンスドール片山さつき議員は、この謝罪会見を受けて
「生活保護を受ける人の親族や資産に対する地方自治体の調査権限が弱く、執行体制を支える人員や予算も少ないので、これらを強化することが今回の問題の本質だ。『追及を弱めるな』という反響が多く来ており、自民党として、法改正や執行体制の強化に向けた提言を打ち出していきたい」
と述べました。この人は、上の本にあるように、生存権が基本的人権だと意識したことがないのでしょうね。
だいたい、生活保護申請をする人のみならず、その親族にお金持ちがいないか調査する部署を今以上に拡大して、そこにまたお金がかかったら、歳出削減にとって本末転倒なことには気付かないのでしょうか。
また、今回の問題を受け、厚生労働省は全国の自治体に対し、生活保護受給者を経済的に養うことができる親族がいる場合は、可能なかぎり家庭裁判所に保護費の返還を申し立てるよう求めることにしています。
しかし、はっきり言って、生活保護を申請する人は「落ちぶれた」人が多いです。
それまでに、家族・親族にずいぶん迷惑をかけていることもあります。親族に以下に財力があっても、もう援助は頼めないという人も多いのです。経済的に余裕のある親族がいたら、生活保護費の返還を申し立てるだなんて実態とかけ離れています。
たとえば皆さんの身内に生活保護受給者がいるとします。皆さんには経済的余裕があると言うことで、ある日、いきなり身内がもらってきた生活保護費をまとめて返せ、と言われたら、たまらなくないですか?
無茶すぎて、「自助」のレベルをはるかに超えています。
世間知らずの片山議員や世耕議員には是非下の本を読んで頂きたいものです。

また、生活保護制度は財政危機の中で目の敵にされていますが、無茶な議論も多いです。
たとえば、外国籍の人が生活保護を受給できることに疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、彼らから所得税も消費税も相続税も、およそ税金という税金は取っているわけです。
それなのに社会福祉だけは受けさせないなんて言う、やらずぼったくりが国家に許されるわけがないのです。
さらに、不正受給問題が大きく取り上げられていますが、1000件中3件の割合でしかありません。
また、自民党は、生活保護の不正受給を防ぐために、現金ではなく、現物支給にすべきだなどという物凄いことを言いだしています。住むところも食べるものも着るものも国家が支給するという考えです。
しかし、生活の基本的な事項である、どこに住み、何を食べるかという自由を奪われたら、もうそれは文化的な生活ではありません。
もちろん、犯罪を犯して刑務所に入れられれば、居るところも食べるものもお仕着せでも仕方ないでしょう。しかし、生活に困窮することは犯罪ではありません。むしろ、生活保護費を受給することは反社会的な行為どころか、基本的人権の行使なのです。
今、皆さん自身は生活保護を受けるほどは困っておられないかもしれません。
しかし、社会の底辺になってしまった人をさらに追いつめるような社会は、結局、誰にとっても生きづらい世の中なのです。
心に少しゆとりを持って、他者に寛容になりたいものです。
なお、私も財政赤字問題は深刻だと思います。しかし、福祉予算を削るとさらに景気が悪くなります。
財政赤字解消については、20年以上減税し続けた法人税や所得税を元に戻し始めたり、富裕層の方々に富裕税の負担をお願いする方法なども考えたらどうでしょうか。
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弱い者イジメはいやです
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