


テレビ朝日は4月19日、財務省の福田淳一事務次官を取材した女性社員がセクハラの被害を受けたとして、同省に抗議文を提出しました。
抗議文では
「取材の過程で福田氏からわいせつな言葉などセクハラ行為が相当数あった」
「女性社員は精神的に大きなショックを受けている」
「社会的に責任の重い立場にある福田氏が、優越的な立場に乗じて行ったセクハラ行為は到底看過できるものではない」
として、財務省に対し徹底的な調査と結果の公表を求めています。

同社によると、女性社員は1年半ほど前から取材目的で福田氏と会食するたびに、セクハラを繰り返されたということです。
女性社員は、このため自分の身を守るために会話を録音し、セクハラの事実を報道すべきだと上司に相談したというのですが、二次被害のおそれを理由に
「難しい」
と言われたため、週刊新潮に連絡し取材を受け、録音の一部も提供したということです。
セクハラ1年半放置!
そのまま、福田事務次官を担当させる!
ところが、セクハラについては自社で報道することさえできず!
これでは、自社の社員の人権侵害を黙殺し、同社員の犠牲のもとに福田事務次官への取材の機会を確保し、福田事務次官を擁護し、安倍政権に打撃を与えないように配慮した、としか言いようがありません。

まさに、報道ステーションなどで一見リベラルに見えるテレビ朝日が、被害者に対して自分のとこの顧問弁護士に名乗り出ろと言い続けた麻生大臣と財務省と何ら変わりのない、セクシャルハラスメントの被害の甚大性、行為の違法性に対する無知無理解な報道機関であるという事実を露呈したものと言えるでしょう。
なお、この事件で、女性社員が福田事務次官のセクハラトークを録音したことや、新潮社に持ち込んだことを批判する向きもありますが、全く間違っています。
セクハラは女性の性的自由を侵害する重大な違法行為です。ですから、女性社員は違法行為の被害者であり、自分の人権を守るための防衛行為を取ることは正当防衛として許され、違法でも倫理違反でもありません。
しかも、自分が所属するテレビ朝日はこの問題で福田事務次官に抗議してセクハラを辞めさせるとか、報道して追及するとか、この女性記者を担当から外すなど、なんら彼女を守る方策を取っていないのですから、女性記者としては自分で身を守る以外になく、自分を守るため、ないしは後々問題にするために証拠となる録音を取る行為は正当で、全く問題ありません。
そして、自分が所属するテレビ朝日が全く動こうとしないのですから、ちゃんと報道するという他社である新潮社に、この録音を持ち込むことにも何ら違法性も倫理違反もありません。
さらにはもちろん、この財務省の事務次官という重職にある人間が、取材中の女性記者にセクハラ発言をし続けるということを公にすることには、非常に大きな公益性があり、正当行為としてむしろ高く評価されなければならない行為です。
よって、女性記者に対して批判する者の言動は、不当であるばかりか、セクハラに対する二次被害を喚起する行為であって、鋭く批判されなければなりません。
今回のセクハラ事件は、財務省の腐敗した体質とマスメディアの人権無視の実態を明らかにしただけでなく、女性の性的自由に対する人権感覚を試すリトマス紙になっていると言えるでしょう。



テレビ朝日の抗議文(全文)は次の通り。
◇
2018年4月19日
財務省 大臣官房長 矢野康治殿
株式会社 テレビ朝日
取締役報道局長 篠塚浩
貴省事務次官による当社社員へのセクハラ行為に対する抗議
今般、当社の女性社員から、貴省福田淳一事務次官への複数回の取材において福田氏からセクシャル・ハラスメントを受けたとの申し出がありました。当社として調査をしてまいりましたが、取材の過程で福田氏からわいせつな言葉などセクハラ行為が相当数あったと判断いたしました。女性社員は精神的に大きなショックを受けております。
財務事務次官という社会的に責任の重い立場にある福田氏が、優越的な立場に乗じて行ったセクハラ行為は、当社として到底看過できるものではありません。またこのようなセクハラ行為は正常な取材活動による国民への的確な情報提供を目的とする報道機関全体にとっても由々しきことと考えております。
ここに厳重に抗議するとともに、貴省として徹底的な調査を行い、早急にその結果を公表するよう求めます。
以上
なのに、ここに持ってきてTOKIOの山口君の強制わいせつ事件!
安倍政権のさまざまな重大事件がすべて吹き飛んでしまったことが恨めしいです。
(だからといって、安倍政権をかばうために警察が書類送検しただの、マスコミにリークしただのと言う意見には、私は与しませんが)。
とにかく、粘り強く、安倍政権を追い込むしかありませんね。
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毎日新聞2018年4月27日 11時27分(最終更新 4月27日 13時05分)
財務省は27日、セクハラ疑惑で辞任した福田淳一前事務次官について、セクハラ行為があったと認定し、減給20%・6カ月の懲戒処分相当とする方針を固めた。支払いを保留した約5300万円の退職金から差し引く。同日午後にも発表する。
麻生太郎財務相は同日の閣議後記者会見で「財務省の信頼を落としたことなど、その点について処分をする」と話した。福田氏が、女性記者と2人で面会したことを認めたことも明らかにした。
一方、女性社員が被害を受けたと公表したテレビ朝日から事情を聴くことについては、弁護士を通じてテレ朝との間で調整が続いているとした。
政府は24日に福田氏の処分は見送った上で辞任を承認したが、退職金の支払いを保留。麻生氏は調査で懲戒処分に相当すると判断されれば、退職金を減額することを福田氏に了解させたとしていた。
福田氏のセクハラ疑惑は週刊新潮が報道。福田氏は「(報道された)やりとりをしたことはない」と疑惑を全面否定したが、「職責を果たすのが困難な状況になっている」として18日に辞任を表明した。【岡大介】
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福田淳一氏 |
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財務省は二十七日、セクハラ疑惑で財務次官を二十四日付で辞任した福田淳一氏の処分について、六カ月の減給20%の懲戒処分相当とする方針を固めた。支払いを保留している福田氏の退職金約五千三百万円から差し引く。二十七日午後にも発表する。
財務省は二十七日午後に野党が開いた合同ヒアリングで、福田氏の減給額は百四十一万円程度になると明らかにした。麻生太郎財務相は二十七日午前の記者会見で「福田氏は(女性記者と)二人で面会した事実を認め、財務省に迷惑をかけたことに関して事実認定した」と処分の理由を説明。財務省は国家公務員法で禁止されている「信用失墜行為」があったと判断した。
一方、福田氏が否定をするセクハラ行為の事実確認についてはさらに財務省として調査を続ける。麻生氏は「私どもとしては断定できません」とセクハラ行為の確認については現段階で言及を避けた。後に認定した場合、麻生氏は「その段階で(セクハラでも)検討する可能性もある」と述べ、追加処分もあり得るとの考えを示した。安倍晋三首相は二十七日午前、首相官邸で財務省幹部に対し、一連の不祥事を念頭に「財務省には厳しい目が向けられており、緊張感を持ってやってほしい」と伝えた。
財務省は福田氏が辞任した際、福田氏の処分に関する判断を先送りしていた。辞任後は現職ではなくなるため懲戒処分の対象からは外れるが、在職中に懲戒処分相当の行為があったと確認された場合は、退職金の減額があり得ると福田氏に約束させていた。
福田氏のセクハラ疑惑は、今月十二日発売の週刊新潮で浮上。福田氏は女性記者に対して、飲食店で「胸触っていい」などのセクハラ発言を繰り返していたとされる。報道を受け福田氏は「職責を果たすのが困難になった」とし辞任。その後、テレビ朝日が女性社員がセクハラを受けたと公表し財務省に抗議していた。
毎日新聞2018年4月19日 東京朝刊
同社によると、女性社員と福田氏の今月4日の会食時にもセクハラ発言があり、上司にセクハラ被害を報じるよう相談したが、上司は2次被害の懸念などから「報道は難しい」と伝えたという。「被害が黙認され続ける」と考えた女性社員は週刊新潮の取材を受け、2016年に録音した音声も提供したという。
会見した篠塚浩報道局長は録音の提供や一連の上司の対応について「適切な対応ができず、深く反省している。取材活動で得た情報を第三者に渡したことは報道機関として不適切な行為で、遺憾に思っている」と話した。
同社によると、今週月曜夜に女性社員が名乗り出たという。女性社員は、セクハラ行為を認めないまま福田氏が辞任したことについて「とても残念。全ての女性が働きやすい社会になってほしい」と話していたという。【屋代尚則、石山絵歩】
毎日新聞2018年4月19日 東京朝刊
週刊新潮が報じた財務官僚トップのセクハラ疑惑は、福田淳一事務次官が調査結果を待たずに辞任表明する事態に発展した。財務省は次官の聴取結果をもとに「全面否定」で当面の事態乗り切りを図ったが、与党内も含めた激しい批判の大合唱で外堀を埋められた格好だ。「不祥事」続きの安倍晋三政権にとって打撃は大きく、国民の不信感は一層高まることになりそうだ。
「週刊誌の記事は事実と異なる。他方、次官の職責を果たしていくことが困難な状況になっている」
福田氏は18日午後6時50分ごろ、疑惑発覚後初めて正式に報道陣の前に立ち、自らの辞任を表明した。同日午後2時20分ごろには国会審議で同省の矢野康治官房長が「そもそも加害があったかどうかに疑義が生じている」と発言したばかり。強気の姿勢はわずか数時間で崩れた。
「森友・加計」問題で安倍政権に対する批判が高まる中、今回の問題は財務省にとって異例の対応と誤算続きだった。
12日発売の週刊新潮がセクハラ疑惑を報じ、その後音声データも公表した。しかし、福田氏は16日、疑惑を全面否定し、麻生太郎財務相も「福田の人権は無しってことですか」などと語り、福田氏の主張を尊重。事実関係の解明に向けて、同省はセクハラ被害を受けたとされる女性記者に調査協力を呼び掛けるという「奇策」に打って出た。
過去に閣僚らの失言で更迭を即断してきた首相官邸も静観を決め込んだ。菅義偉官房長官は18日の記者会見で「財務相が必要な対応を行う」と語り、長期政権を支えてきた麻生氏に疑惑への対応を委ねた。
事態収拾に向けて動きが鈍い麻生氏と、それを見守る官邸--。官邸関係者の間でも「これは勝てないけんかだ」などとセクハラ疑惑で後手に回る対応を疑問視する声が広がる一方、「福田氏が否定しているから、辞めさせるのは難しかった」と擁護する声も漏れた。
セクハラ疑惑で政権への風当たりが強まる中、閣内でも野田聖子総務相が「(セクハラ被害は)家族でも言いづらい。(財務省の)関係者に話をするのは難しい」と批判。与党内でも福田氏の辞任圧力が強まり、18日朝には自民党の二階俊博幹事長と、公明党の井上義久幹事長らが東京都内のホテルで会談し、福田氏本人が説明責任を果たすべきだとの認識で一致した。会談では「福田氏の話は早くけじめをつけるべきだ」という厳しい意見も出た。
週刊新潮報道から約1週間が経過し、次官個人の疑惑が政権全体の「沈没」につながりかねない事態にまで発展。傷口を広げる中で疑惑を全面否定していた福田氏も、それを擁護していた麻生氏も辞任を受け入れざるを得ない状況に陥った。
ある自民党関係者は「女性の支持率が低いと感じていた安倍首相は『今回の問題はイメージが悪く、女性支援の政策を推進してきた努力が台無しになる。事態を早期に収拾してほしい』と考えていた」と解説する。福田氏の辞任発表後、テレビ朝日は女性社員がセクハラ被害を受けていたと明らかにした。政権を揺るがす事態になり、ある財務省幹部は「福田氏には組織から切り離して個人で戦ってもらう」と力なく語った。【大久保渉、朝日弘行】
首相へ風圧強まる
政府・与党は福田氏の辞任でセクハラ疑惑にひと区切り付けたい考えだが、福田氏を擁護してきたのは麻生氏だ。「森友学園」を巡る財務省の決裁文書改ざん問題に続き、セクハラ疑惑を泥沼化させたのは「身内に甘くてかばう」麻生氏の資質によるとの指摘も自民党内にある。それだけに、同党の重鎮は18日夜、「麻生氏の監督責任は避けられない。麻生氏は甘い」と指摘。財務次官の疑惑が麻生氏の責任論に波及することが避けられない状況だ。
同党の二階俊博幹事長は東京都内で「一日も早く国民に自民党が立ち直った姿をご覧いただけるように努力したい」と事態の早期収拾に努めると強調。森山裕国対委員長も「麻生氏には財務相として職務を続けてもらうのが国益だ。米国との経済交渉もあるので頑張ってもらいたい」と語った。
政府は18日、米ワシントンで19、20両日に開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に麻生氏を派遣することを持ち回り閣議で了承した。官邸幹部は「G20を終えて麻生氏が帰国するのは早くて22日。それで今しかないと考えたのではないか」と辞意表明のタイミングを推し量る。ただ、辞任表明は首相訪米と重なり、訪米の成果で内閣支持率の低下に歯止めをかけ、政権浮揚の足がかりにする首相の戦略はほころんだ。首相周辺は「訪米の成果が帳消しになってしまう」とうめく。
野党は、福田氏を更迭しなかった麻生氏の対応に焦点を当て勢い付く。民進党の増子輝彦幹事長は「麻生氏は罷免すべきだった」と批判。立憲民主党の辻元清美国対委員長は「次は麻生氏の任命責任が問われる」と麻生氏の辞任を求めた。
しかし、政府・与党は麻生氏を続投させる考えだ。麻生氏が辞任すれば、政権内のバランスが崩れ、政権運営が不安定化するからだ。ただ、今国会は6月まで続く。森友問題に関する同省の調査結果の発表も見込まれており、麻生氏が財務相にとどまれば、野党が追及を強めるのは必至だ。
支持率好転の兆しが見えない状況が続けば、首相が3選を目指す9月の党総裁選に向け、「ポスト安倍」の動きが強まる可能性もある。麻生氏が辞任するなどして自民党第2派閥の麻生派が安倍政権と距離を置くことになれば、出身派閥で党内最大勢力の細田派と麻生派を中心に議員を固めて圧勝を目指す首相の3選戦略も揺らぐ。首相を支持する自民党の閣僚経験者は「麻生さんが辞めたって、続けたって、どちらにせよ政権は苦しいよ」と語った。【村尾哲、立野将弘】
社説[福田財務次官辞任]麻生氏の責任は免れぬ
2018年4月20日 沖縄タイムス福田氏は辞任の理由について「職責を果たすことが困難」と述べ、混乱の責任を取ったとする。一方でセクハラ発言は否定。週刊誌は女性記者とのやりとりを録音した音声データを公表したが、これに対しても「自分の声かどうか分からない」「周囲は似ていると言っている」などあいまいな証言に終始した。疑惑は残ったままで、辞任による幕引きは許されない。
事実関係の調査として財務省は、記者クラブに加盟する報道各社に対し、被害を受けた女性がいれば同省が委託した弁護士事務所に連絡するよう依頼したが、セクハラ対応としては論外だ。「取材源秘匿」を生命線とする記者の立場からすれば、「名乗り出るな」と言っているのと同じだからだ。
調査するのが同省の顧問弁護士という点も公平さを欠く。
財務省では、森友学園を巡る決裁文書改ざん問題で佐川宣寿前国税庁長官が3月に辞任したばかりだが、この間、麻生氏の対応は後手に回っている。
麻生氏は、森友問題では、8億円もの不透明な値引きについて「手続きは適正」と答弁し続けた佐川氏を追認。今回のセクハラ発言も「実績を踏まえれば、処分すべきでない」「福田の人権はなしってわけですか」などと福田氏を擁護し続けた。
組織の長として問題に対処できておらず、麻生氏の任命・監督責任は免れない。
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「官庁の中の官庁」といわれる同省の次官引責辞任は、旧大蔵省時代の接待汚職事件以来20年ぶり。大蔵官僚などが収賄容疑で逮捕・起訴された事件は「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」とも呼ばれ、金融機関を監督する権力をかさに着て風俗店での高額接待を強要する官僚の姿が露呈した。セクハラ疑惑への財務省の一連の対応をみれば、体質は変わっていないと言わざるを得ない。
相次ぐ不祥事について安倍晋三首相は「行政への信頼が揺らいでいる。徹底的に調査し、うみを出し切る」と強調するが、森友・加計問題では首相自身や夫人の関与が問われている。そんな安倍政権下での調査に、果たして国民の納得が得られるのか疑問だ。
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否定し続ける福田氏に対し、テレビ朝日は、自社の女性記者が告発の当事者だと発表した。女性は1年半にわたりセクハラを受け、身を守るため録音。同社に告発報道を提案したが断られたため、週刊誌に情報を提供したという。
報道機関も、セクハラを軽んじる雰囲気に覆われていないか。女性記者が事実上名乗り出た後もなお否認を通す福田氏の姿をみれば、被害を軽んじる社会の雰囲気そのものが、セクハラをまん延させていると分かる。
世界的なムーブメント「#Me Too」がこの国で広がらないゆえんでもある。
財務次官辞任 問われる人権配慮と報道倫理
財務省の福田淳一次官が、セクハラ疑惑で辞任する意向を表明した。学校法人「森友学園」問題に絡んで辞任した佐川宣寿前国税庁長官と合わせ、次官級2人が不在となる異例の事態だ。
週刊新潮の記事がきっかけだった。複数の女性記者に「胸触っていい?」といったセクハラ発言を繰り返したとされる。音声データの一部も公開された。
セクハラは重大な人権侵害である。事実とすれば、到底許される行為ではない。
福田氏は記事の内容を一貫して否定している。名誉毀損きそんで新潮社を訴える姿勢も示した。これに対し、テレビ朝日は、自社の女性記者が福田氏からセクハラ被害を受けていた、と発表した。
福田氏があくまで否定するのであれば、司法に事実認定を委ねるしかないのではないか。
理解できないのは、財務省の対応である。官房長名で報道各社に調査への協力を要請した。被害を受けた女性がいれば、財務省の顧問を務める法律事務所を通じて、名乗り出るよう求めた。
セクハラ被害を訴え出るには、勇気が要る。相手が提訴の構えを見せる中では、なおさらだ。ましてや、財務省側の法律事務所に名乗り出る心理的な負担は、相当なものだろう。配慮に欠けた手法だと言うほかない。
記者は取材源を秘匿する必要がある。名乗り出るのは、取材源を明かすことに等しい。記者クラブ側が調査協力を「受け入れられない」と拒否したのは当然だ。
テレビ朝日の記者は1年半前から、福田氏にセクハラ発言を度々受け、「身を守るため」に録音した。上司に相談したが、「報道は難しい」と言われた。被害が黙認されてしまう、と週刊新潮に音声データを提供したという。
取材で得た情報は、自社の報道に使うのが大原則だ。データを外部に提供した記者の行為は報道倫理上、許されない。
取材対象者は、記者が属する媒体で報道されるとの前提で応じている。メディアが築いてきた信頼関係が損なわれかねない。
テレビ朝日の対応も看過できない。最初に被害の訴えを受けた際、会社として財務省に抗議などをすべきではなかったか。
記者を守り、報道のルールを順守させる姿勢を欠いていた、と言わざるを得ない。
福田淳一財務次官のセクハラ疑惑で、財務省は十九日、福田氏がなお報道などを否定していることから、顧問弁護士による調査を引き続き行う方針を示した。一方、次官職を代行する予定の矢野康治官房長も被害者への配慮を欠く発言をしており、野党は「財務省の調査は被害者が傷つくやり方だ」と主張し、調査手法の再考を求めている。 (白山泉)
週刊新潮が報じたセクハラ疑惑についてテレビ朝日は十九日、社内に被害を受けた女性社員がいるとして、同省に「優越的な立場に乗じたセクハラ行為は到底看過できない」と文書で抗議した。しかし、福田氏は同日朝、新潮が公表した録音が会話の一部だけだとして「全体としてみると、そういうことではない」と改めて全面否定した。
同日に行われた参院経済産業委員会で、矢野官房長は「本人(福田氏)が違うと言っている以上、事実をきちんと究明する必要がある」と述べ、従来の調査を継続する方針を示した。
福田氏のセクハラ疑惑を巡る調査では、被害を受けた女性に協力を求める手法が批判されている。矢野氏は十八日の衆院財務金融委員会で「弁護士に名乗り出て、名前を伏せておっしゃることがそんなに苦痛なのか」「週刊誌でかぎかっこ付きで世の中に述べておられる。その事実を教えてくださいという調査」と答弁。麻生太郎財務相も「週刊誌には言っても、守秘義務を守る弁護士に言えないのが理解できない」と述べるなど、同省トップらのセクハラ被害者への配慮を欠いた発言が続いている。
そもそも同省が、福田氏がセクハラ疑惑を全面否定したとする調査結果を十六日に公表した際に、福田氏への内部聴取を行ったのは矢野氏であり、十分な聴取が行われたかどうかに疑問が残る。
十九日午後には野党が同省に対して合同ヒアリングを開き、野党側は現在の調査方法の撤回を求め、「福田氏からしっかり聴取し、セクハラを認めて謝罪させるべきだ」(社民党の福島瑞穂副党首)と主張した。
麻生氏は同日、二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するため、米ワシントンに出発した。





