
原発の安全性を確保するために、できる検査は全部するべきなのは当然でしょう。
全国民が願っていることですし、ストレステスト(耐久検査)はIAEA(国際原子力機関)が日本のみならず世界のすべての原発に対して実施する必要があると認めています。
「福島第1原発の事故を受け、ウィーンで開かれている国際原子力機関(IAEA)閣僚級会合の作業部会は6月21日、原発の安全性向上について協議し、すべての原発にストレステスト(特別検査)を実施する必要があるとの認識で一致した」(時事通信 2011/06/21-22:15)
菅首相がこのIAEAの結論を受け、6月中にストレステストの指示を出すべきだったという批判ならわかります。
しかし、このような安全審査をすべきではないという海江田経産相の姿勢は言語道断です。これを後押しする社説まで展開する読売新聞の論調は、経済産業省と電力会社の官業癒着に手を貸す姿勢をまだ続けるのかと批判されても仕方ないでしょう(産経は論外)。
下の記事5連発が7月7日深夜9時から8日2時にかけて、6時間以内にアップされたのですが、余りに露骨じゃないですか?
政府の原発対応、知事らの不満相次ぐ
全国知事会は7日、都内で原子力発電対策特別委員会(委員長・三村申吾青森県知事)の初会合を開き、出席した原発立地県の知事からは、原発をめぐる最近の国の対応に不満が相次いだ。 九州電力玄海原発を抱える佐賀県の古川康知事は、全原発でストレステスト(耐性検査) ...
菅首相の唐突な指示で全国の原子力発電所を対象に実施することになったストレステスト(耐性検査)を巡り、政府内の混乱がさらに深まっている。 原発再稼働の前提と位置づける首相と、一部の原発はテストを経ずに再稼働させたい海江田経済産業相らとの意見が対立し、政府 ...

社説:原発耐性試験 欧州以上に徹底せよ
政府対応に知事会、批判一色=「命守る気あるのか」-原発特別委が初会合

今だって福島原発事故をどうやって収拾するのか、まるで展望がないのに、万一、もう一回日本のどこかで原発事故が起こったら、もう救いがたい事態になります。
マスメディアもいい加減に観念して電力会社の広告料という甘い汁は忘れて、日本の将来を真面目に考えてもらいたいものです。
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【ウィーン樋口直樹】東京電力福島第1原発事故を受け、国際原子力機関(IAEA、151加盟国)の閣僚級会議が20日、ウィーンで開幕した。24日まで原発の安全対策を協議する。天野之弥事務局長は「事故に伴う社会不安に緊急に対応する必要がある」と強調し、世界中の原発を対象とした1年半以内の安全性評価の実施などを提案した。欧州連合(EU)が域内で行う原発のストレステスト(耐性試験)の「世界版」を目指す考えだ。
加盟国が地震や津波などを想定した原発の安全性評価を1年~1年半で実施。加盟国から事前に一括して了解を得たうえで、無作為に抽出した原発を対象にIAEAの国際的な専門家が相互評価「ピアレビュー」を加える。
天野氏は▽原発の立地や設計などに関するIAEAの安全基準を1年以内に見直す▽各国規制機関を完全に独立させ、日本で来年、07年に行われた安全性評価の追跡調査を行う▽世界的な緊急時への備えと対応システムを強化する▽IAEAの情報収集・提供能力を向上させる--ことも提案した。一方、海江田万里経済産業相は「事故の徹底的な検証を踏まえ、最高水準の安全性確保の対策を講じ、今後の原子力政策の進め方を検討する」と決意を表明した。
IAEAの機能強化や国際的な原発事故の損害賠償の必要性などを盛り込んだ宣言を20日に採択した。IAEAへの強制力の付与には踏み込まない。天野氏は閣僚級会議の結果を踏まえ、今年9月のIAEA総会で行動計画を提示する。
毎日新聞 2011年6月21日 東京朝刊
【Q&A/ストレステスト】厳しい条件で安全性評価 EUを参考に具体案
政府は原発の安全性を総合的に評価する「ストレステスト」を実施すると発表しました。
Q ストレステストとはどういうものですか。
A 厳しい条件の下で、さまざまな角度から機械やシステムが正常に動くか試すことです。安全性も調べます。その結果に基づいて、品質維持や危機防止のための対策を練ります。
Q どんな分野で使われますか。
A 品質管理や安全確認のため一般的に使われている手法です。複雑な機械、自動車、コンピューターなどに重い負荷をかけ、どの程度までなら機械、エンジン、データ処理装置などが壊れず正常に働くか、実際に試したり、コンピューターでモデルを解析したりします。例えば、通常考えにくいような大量のデータ処理や長時間連続運転などで耐久性を調べます。
Q 金融の世界でも使われると聞きました。
A 2008年秋のリーマン・ショックの後、米国や欧州の金融当局が銀行の健全性検査のため、いち早く導入しました。株式、債券、不動産などの市場が大幅に下落した場合、銀行にどの程度の損失が生じるのか試算したりするのです。市場環境の悪化で債務超過に陥る可能性が高いとなれば、銀行は資本増強を検討することになります。
Q 原発ではどのようなストレステストを実施するのですか。
A 政府は欧州連合(EU)をモデルに、具体的な方法を考えるようです。EUの場合、地震、津波、洪水などによって、原発の電源がすべて失われた場合を想定しています。原子炉や使用済み燃料プールを冷却する対策が準備されているのか検討します。放射性物質を大気中や土壌、海などに拡散させないための対策が十分にとられているかも調べます。
Q 日本でも同じ方法になるのですか。
A EUは東京電力の福島第1原発事故を踏まえ、6月から実施しています。原発の安全規制を担う各国当局が互いに評価結果を検証し合うのが特徴です。日本でもEUと似た内容になるとみられますが、具体的な方法はこれから検討します。
Q 定期検査などで停止している原発の再稼働に与える影響は。
A 原発が立地する自治体はストレステストの結果をみて、運転再開に同意するかどうか考えるでしょう。EUの場合、規制当局による中間報告まで3カ月半、最終報告まで7カ月かかる見込みです。短期間で結論を出すのは難しいようです。
(共同通信)
原発再稼働混乱 首相は電力「危機」を直視せよ(7月8日付・読売社説)
菅政権の下で原子力発電所の再稼働問題が混迷を深めている。1年以内に全原発が停止し、深刻な電力不足に陥ることも現実味を帯びてきた。憂慮すべき事態だ。
九州電力玄海原発(佐賀県)を巡り、地元の岸本英雄玄海町長がいったん表明した「再稼働の了承」を正式に撤回した。
菅首相がストレステスト(耐性検査)を行うまで安全は確認できないと唐突に発言し、海江田経済産業相の「安全宣言」を否定したためだ。政府のちぐはぐな対応に、町長は「国を信用できない」と怒りを露(あら)わにしている。
古川康佐賀県知事は、原発の安全に関する統一見解を政府に求めた。地元自治体の政府への信頼は地に墜(お)ちたと見ざるを得ない。
混乱を招いた責任は、首相にある。本来なら、事態の収拾を図らねばならない立場だ。だが、首相にそれを期待できるだろうか。
首相はこれまで「安全性が確認された原発は稼働させる」と述べてきた。それに従って海江田氏も玄海原発の再稼働を地元に働きかけてきた。
ところが、首相は安全確保には新基準が必要と方針を変えた。
後ろから弾を撃たれた形の海江田氏は「いずれ、私も責任を取る」と述べ、辞任の可能性にも言及した。独善的な首相にはついて行けないとの思いだろう。
安全確保のためのストレステストの必要性はわかる。だが、少なくとも数か月かかるという。玄海原発の運転再開は電力需要が急増する8月には間に合わない。他の原発の再稼働も、困難になる。
営業運転中の原発は全国で17基あるが、このうち5基が7月と8月に検査で停止する。北陸電力1社分に匹敵する500万キロ・ワットの電力供給が失われる計算だ。
電力制限している東京電力や東北電力の需給は綱渡りとなる。計画停電の可能性もある。
首相が、危機的な状況を認識していないのなら、あまりに無責任だ。自然エネルギーの普及を目指す「再生可能エネルギー特別措置法案」への執着もいいが、目の前の問題解決が先だろう。
首相は、「私が最高の首相だとはうぬぼれてはいないが、責任から逃れるわけにいかない」と述べている。課題を掲げるだけで、自らは積極的に動こうとしない人物の言葉とは思えない。
この首相の下では、日本経済は沈んでいくばかりだ。菅政権に一刻も早く終止符を打つ手立てを政界全体で考えるべきである。
