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シベリアの収容所で獄死した「プーチンの天敵」ナワリヌイ氏の死因について、欧州5か国がプーチン政権による毒殺だったとする声明を発表。

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ロシア軍がウクライナの各都市に最大規模の空爆をして教育機関や産科医院などで民間人を殺戮。ウクライナ兵士の捕虜を射殺。カソリック教会の活動を禁止。プーチン大統領の政敵ナワリヌイ氏を北極圏の刑務所に移送

 

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 ロシアのプーチン大統領の政敵で、プーチン大統領の宮殿のような私邸の存在を暴いたりしたことから

「プーチンの天敵」

と呼ばれたアレクセイ・ナワリヌイ氏はプーチン政権によってシベリアの収容所に送られ、先のロシアの大統領選挙直前の2024年2月に謎の獄中死を遂げました。

ロシアの反体制派ナワリヌイ氏がシベリアの刑務所=矯正労働収容所で死亡。懲罰房に27回入れられ絶え間ない寒さにさらされ3年間の拷問に苦しんだ。プーチン大統領の政敵として「殺された」「処刑された」が正しい

 

 

 このナワリヌイ氏の存在はロシア政府にとってはタブーで、プーチン大統領もナワリヌイ氏の名前を口にしたことが殆どありませんし、日本の親露派陰謀論者は黙殺していて、存在がなかったかのように扱っています。

 

単行本 – 2021/11/27

ヤン・マッティ・ドルバウム (著), モルヴァン・ラルーエ (著), ベン・ノーブル (著), 熊谷 千寿 (翻訳)

 

 

 そのナワリヌイ氏が毒殺されたということは何度も独立系メディアが報道してきていましたが、とうとう南米のヤドクガエルに含まれる致死性の毒「エピバチジン」によって獄中で殺害されたとの声明を欧州5か国が発表しました。

ロシアのプーチン政権が侵略したウクライナ東・南部4州の「強制併合」を宣言してから丸2年。「プーチンの天敵」ナワリヌイ氏の死は毒殺だったとロシア独立メディアが報道。トランプ氏はプーチン氏と親しいと誇示

 

 

 

 この声明を発表した英国、スウェーデン、フランス、ドイツ、オランダの5カ国によると、ナワリヌイ氏の遺体から採取したサンプルを分析した結果、

「エピバチジンの存在が確定」

したとのことです。

 もちろんこの蛙は南米にしか生息しない毒ガエルですから、ロシアでは自然界に見つからない物質だということです。

 そしてこの共同声明は、ナワリヌイ氏が刑務所で死亡したことから、

「シベリアの流刑地に収容されていたナワリヌイ氏にこの毒を盛る手段と動機、機会を有していたのはロシア政府のみだ」

「ロシアは自然死と主張したが、エピバチジンの毒性と報告された症状を考慮すれば、毒殺が死因である可能性が極めて高い」

として、ロシアの責任を追及する必要があると結論付けました。

 

 

 これまでもプーチン政権が政敵や政府を批判するジャーナリストを何人も暗殺しており、プーチン氏も出した旧KGBからの伝統である神経毒ノビチョクも良く使っています。

 そして、これらの反ロシア政府も人物を暗殺するのは見せしめですから、むしろこれ見よがしに世間に殺害と殺害方法がわかるように相手を殺してきました。

 ナワリヌイ氏自身、亡命時代に一度は毒殺されかけて救急搬送され一命をとりとめたこともあります。

読売新聞ウクライナ側要請で「和平後押し」か、露の富豪・アブラモビッチ氏に毒物症状…数時間視力失う』よりロマン・アラモビッチ氏

 

1998年当時のリトビネンコ氏

BBC 『ロシアの元スパイ毒殺 プーチン大統領が「おそらく」承認=報告書』より1998年に記者会見する、当時ロシアの情報将校だったリトビネンコ氏(モスクワ)と、病院で治療を受けるロシアのリトビネンコ氏。

 

2020年9月15日、毒殺未遂で搬送されたドイツの病院で、家族に囲まれるアレクセイ・ナワリヌイ氏
Photo: Alexey Navalny 

クーリエ・ジャポン『「反体制派指導者ナワリヌイの妻にも毒が盛られた」FSB(ロシア連邦保安庁)毒殺の手口』より

 

 

 しかしさすがに国際的に有名な野党指導者だったナワリヌイ氏をロシア大統領選直前に殺したとなるとまずいので、これまで使ったことがない毒物を使って、自然死のように見せかけて殺したのでしょう。

 もちろん、プーチン政権はこれまでもナワリヌイ氏の死への関与を一貫して否定してきましたし、タス通信によると、今回の共同声明についても

「西側のプロパガンダによるデマ」

と一蹴しています。

「プーチン大統領の天敵」ナワリヌイ氏の葬儀で数万人が「戦争反対」「プーチンなきロシア」「ロシアは自由になる」との声を上げる。数日経った今も墓参者と献花の列。ロシアの民主主義はいまだ死なず。

 

 

 いま、ロシアとウクライナの和平協議をアメリカのトランプ政権が進める中で、ゼレンスキー大統領が2024年5月に任期が切れているのに大統領選を経ておらず、民主的正当性に欠けるというロシア側の主張が問題になっています。

 選挙への介入はお手の物のロシアにとって反ロシアの先頭に立つゼレンスキー政権を倒すチャンスだとみているわけです。

 親露派のトランプ大統領は早期の大統領選をウクライナに求めているようで、ゼレンスキー大統領も2か月の停戦が実施されれば大統領選を行なうと表明しています。

 ウクライナ全土をロシア軍が攻撃しているこれまでの状況ではウクライナで大統領選を行なうのは不可能でした。

 第二次大戦中はイギリスも8年間も総選挙が行えない時期がありました。

 ロシアのプーチン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領は「非合法」な大統領であり停戦交渉しても文書に署名する権限はない、とまた言い出したので、プーチン大統領がいかに非合法な大統領か振り返ります。

 

 

 しかし、このナワリヌイ氏毒殺を受けて、プーチン大統領の政治的正当性もあらためて問われなければならないでしょう。

 ナワリヌイ氏は殺されてしまいましたが、その他にもプーチン大統領に対抗して出馬しウクライナ戦争終結を訴えようとしていた候補者が何人もいたのに、全員立候補さえ認められませんでした。

 おまけにロシアでは電子投票制度が導入されているのですが、自宅では投票できず職場でするように強要されるので、投票データの不正操作が疑われています。

ロシア軍の兵士を確保するために中絶の権利を否定。プーチン大統領の政敵ナワリヌイ氏は移送され行方不明。リベラル派の大統領候補は立候補禁止。このプーチン政権の人権侵害がウクライナ侵略を可能にしている。

 

 

 だいたい、ロシア大統領選挙の投票箱って透明になっていて、誰に投票しているかわかるようになっているんですよ。

 

 

 ですから、プーチン大統領が87%の得票率で圧勝したことになっているのですが、それはロシアの大統領選には秘密選挙という選挙の普遍的な大原則がなかったことも一因です。

www.youtube.com

ロシア大統領選挙で投票率7割以上、得票率9割でプーチン大統領が「当選」。最大の政敵ナワリヌイ氏を刑務所で死に追いやり、対立候補の立候補を認めず、占領地域では武装兵士が投票させた選挙に正当性など全くない

 

 

 また、ロシア大統領選では占領地の法秩序を変更してはならないというハーグ陸戦法規に反して、ロシア軍が違法に占領しているウクライナ4州でも投票が行われ、しかも選挙委員が武器を持った憲兵などを引き連れて各家を回って投票を強制する不正行為が頻発しました。

 これらの普通の国の選挙なら明らかに選挙不正で、ロシア大統領選挙全体の効力が無効とされるべき事態です。

ロシア大統領選挙で投票率を上げるために占領しているウクライナ4州では武装兵士が投票箱を持って戸別訪問。反戦運動が高まらないように発展途上国から兵士を人身売買で確保。これがプーチン政権の「民主主義」だ。

 

 

 ですから、ウクライナの大統領選のためにロシアとウクライナが休戦できるなら、ロシアも大統領選を改めてやり直すべきなのです。

 

ロシア大統領選でウクライナ侵略反対の反戦候補の登録を拒否しプーチン氏と親政権の4候補だけに。国連の委員会がロシアにウクライナからの子ども強制移送をやめるよう要求。ロシア軍は即時無条件に完全撤退せよ。

 

平和主義掲げる独立系候補、ロシア大統領選への出馬認められず 新党結成へ | 時事通信ニュース

有罪評決を受けたトランプ氏を「迫害を受けている」と擁護するプーチン政権が、野党結成を目指す大統領候補者や動員兵の帰還を求める女性らを「外国の代理人」=スパイに指定。市民を迫害しているのはロシア政府だ。


 

編集後記

この記事を書いたのが2011年。

ロシア下院選の選挙不正に抗議する反プーチンデモで逮捕者多数 モスクワの春が来ますように

 

この記事を書いたのが2012年。

プーチン大統領批判の露女性バンド「プッシー・ライオット」に禁錮2年の実刑判決 表現の自由がないロシア

 

 

その後、2014年にはプーチン政権によるクリミア半島侵略が起こるわけです。

そしてこの記事が2015年。

「私はシャルリー」 失われたのがイスラム教徒の命と言論の自由でもそう言ってくれますか

 

 

侵略戦争の前には必ず国内での言論弾圧がある。

伊勢崎賢治氏ら親露派陰謀論者たちは、今度の総選挙でも一言も高市首相に反対する声を上げませんでした。

高市早苗政権が誕生した日本も戦争は他人ごとではないのです。

 

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ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏=2018年10月、モスクワ(EPA時事)

ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏=2018年10月、モスクワ(EPA時事)

  • 猛毒を持つヤドクガエルの一種=2013年1月、コロンビア中部メデジン(AFP時事)

 【ロンドン時事】英政府は14日、2024年2月に獄死したロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏について、死因はヤドクガエルの皮膚に含まれるエピバチジンという猛毒だったとの分析結果を発表した。声明で「ナワリヌイ氏の抵抗(の広がり)を恐れたロシア政府が、この毒で彼を標的にした」と断言した。

ナワリヌイ氏妻「死因は毒殺」 西側で分析、独房写真も公開―ロシア

 英独仏など各国研究機関の共同作業で、ナワリヌイ氏の体内から採取されたサンプルからエピバチジンが検出され、これが死因である可能性が「極めて高い」と確認された。エピバチジンは南米に生息する野生のヤドクガエルが持つ強力な神経毒。飼育下のヤドクガエルはこの毒素を生成せず、ロシアでは自然界に存在しないという。

 声明は「シベリアの流刑地に収容されていたナワリヌイ氏にこの毒を盛る手段と動機、機会を有していたのはロシア政府のみだ」と糾弾。英政府は分析結果を受け、化学兵器禁止機関(OPCW)に対し、ロシアが化学兵器禁止条約に「明白に違反した」と申し立てを行った。

 

 

反体制派ナワリヌイ氏は「毒殺」、欧州5カ国声明 ロシアは否定

Muvija M
2026年2月15日午前 10:56 GMT+91時間前更新 ロイター

反体制派ナワリヌイ氏は「毒殺」、欧州5カ国声明 ロシアは否定 | ロイター
反体制派ナワリヌイ氏は「毒殺」、欧州5カ国声明 ロシアは否定


 欧州5カ国は14日、2024年2月に収監先の刑務所で死亡したロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が「毒殺された」とする共同声明を発表した。写真は獄中のナワリヌイ氏。2023年9月撮影(2026年 ロイター/Yulia Morozova)
[ロンドン 14日 ロイター] - 欧州5カ国は14日、2024年2月に収監先の刑務所で死亡したロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が「毒殺された」とする共同声明を発表した。
英仏独とスウェーデン、オランダの5カ国は共同声明で、ナワリヌイ氏から採取された検体を分析した結果、エピバチジンが検出されたとしている。エピバチジンとは、南米に生息するヤドクガエル由来の毒素で、ロシアで自然には存在しない。
ロシアはこれまでナワリヌイ氏の死への関与を一貫して否定。タス通信によると、今回の共同声明についても「西側のプロパガンダによるデマ」として一蹴した。
ナワリヌイ氏の妻のユリアさんは交流サイト(SNS)に「夫が毒殺されたことは当初から確信していたが、今や証拠が示された。欧州諸国が2年間にわたって綿密な調査を行い真実を明らかにしてくれたことに感謝する」と投稿した。
共同声明は、ナワリヌイ氏が刑務所で死亡したことから、ロシアには毒物を投与する手段、動機、機会があったと指摘。「ロシアは自然死と主張したが、エピバチジンの毒性と報告された症状を考慮すれば、毒殺が死因である可能性が極めて高い」とし、ロシアの責任を追及する必要があると結論付けた。

 

 

ロシア反体制派ナワリヌイ氏、「ヤドクガエル」に含まれる毒で殺害 欧州5カ国が声明

2026.02.15 Sun posted at 10:29 JST
  
リトアニアの首都ビリニュスに設けられた仮設の追悼所。死亡したロシアの反体制指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の写真と花が供えられている=2024年/Petras Malukas/AFP/Getty Images

 

(CNN) ロシア政府への批判を公言していた反体制派指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏が2年前に死亡した問題で、欧州5カ国は14日、南米のヤドクガエルに含まれる致死性の毒「エピバチジン」によって獄中で殺害されたとの見解を示した。

声明によると、ナワリヌイ氏の遺体から採取したサンプルを分析した結果、「エピバチジンの存在が確定」した。ロシアでは自然界に見つからない物質だという。

声明を発表した英国、スウェーデン、フランス、ドイツ、オランダの5カ国は、ナワリヌイ氏が極北の刑務所に収容されていた当時、ロシア政府には「この毒を投与する手段と動機、機会があった」との見方を示した。

また「手段と動機、国際法を無視する姿勢を併せ持っていたのはロシア」だけだとも指摘した。

ロシアの当局者はナワリヌイ氏の死への関与を繰り返し否定しており、ロシアのタス通信は14日、ヤドクガエル説を「プロパガンダ」と一蹴する外務省のザハロワ報道官の発言を伝えた。CNNはロシア大統領府にコメントを求めている。

今回の声明は、ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議の場で発表された。ナワリヌイ氏の死は2024年の安保会議の期間中に公表された。

2年前の会議ではナワリヌイ氏の妻、ユリア・ナワルナヤさんが涙ながらに登壇し、会場から総立ちの拍手を受けていた。

2024年のミュンヘン安保会議で登壇したユリア・ナワルナヤさん/Tobias Hase/dpa/Getty Images
2024年のミュンヘン安保会議で登壇したユリア・ナワルナヤさん/Tobias Hase/dpa/Getty Images
14日のミュンヘン安保会議で発言したナワルナヤさんは、「2年前、私はここミュンヘンにいた。あれは私の人生で最も恐ろしい日だった。私は登壇して、夫アレクセイ・ナワリヌイが毒殺されたことに言及した」と振り返った。

ナワルナヤさんはこれに先立ち、X(旧ツイッター)への投稿で、「夫が毒殺されたことは最初の日から確信していたが、今や証拠がある。プーチン(ロシア大統領)が化学兵器で殺害した」と指摘した。

さらに「2年間にわたって綿密な調査を行い、真実を明らかにしてくれた欧州諸国に感謝する」と表明。「ウラジーミル・プーチンは殺人者だ。自らのすべての犯罪の責任を問われなければならない」と訴えた。

 

 

 

「カエル毒」でナワリヌイ氏殺害 欧州5カ国、採取の検体分析

ロシア反政府活動家のナワリヌイ氏=2019年12月、モスクワ(AP=共同)
2026年02月15日 07時05分共同通信
 

【ミュンヘン、キーウ共同】英国やフランス、ドイツなど欧州5カ国は14日、2024年にロシア北極圏の刑務所で死亡した反政府活動家ナワリヌイ氏の検体からヤドクガエルに含まれる毒素を確認したと発表した。ロシアには収監中のナワリヌイ氏に毒物を投与する動機も手段もあったとして「毒殺されたと確信している」と表明した。

 ロシア当局はナワリヌイ氏の死因を「自然死」としている。

 発表によると、検体からヤドクガエル由来の「エピバチジン」が検出された。ヤドクガエルは南米に生息しており、入手経路や投与の方法には触れていない。

 一方、タス通信によると、ロシア外務省のザハロワ情報局長は14日、5カ国の発表について「情報操作だ」と反発した。

 ナワリヌイ氏は20年8月にも毒殺未遂に遭っており、欧米はロシア連邦保安局(FSB)が猛毒の神経剤ノビチョクを使ったと断定している。

 5カ国は今月14日、ロシアが化学兵器禁止条約に繰り返し違反しているのは明らかだとして、化学兵器禁止機関(OPCW)に通知した。ほかの2カ国はスウェーデンとオランダ。

 

 

 

【特別寄稿】毒殺未遂を経て最後までプーチンを震撼させたナワリヌイの実像とは?

読む  教養

2024/03/26


SNSや調査動画などを駆使し、獄中からも最後までプーチン政権の裏側を追求してきた反体制派指導者ナワリヌイ。「自由なロシア」のための長年の活動からノーベル平和賞の有力候補とされ、2021年には人権擁護や思想の自由、民主主義の発展に貢献した個人・団体に与えられるEU「サハロフ賞」を受賞しました。日本で唯一の関連書『ナワリヌイ プーチンがもっとも恐れる男の真実』(NHK出版より2021年11月刊行)より、ナワリヌイ氏の死をめぐる最新状況を加筆したNHK解説委員・安間英夫氏の解説を特別公開します。
*本記事は、NHK出版公式note「本がひらく」より、一部を編集して転載したものです。

写真提供:Alamay/PPS通信社
写真提供:Alamay/PPS通信社

ナワリヌイを通じて見るプーチン体制
 ロシアの大統領・プーチンは、ナワリヌイのことを「ブロガー」、「ベルリンの病院の患者」などと呼び、その名前を決して口にしない。まるで存在を認めないかのようだ。
 ナワリヌイは、南アフリカのネルソン・マンデラやソビエト時代の反体制作家アレクサンドル・ソルジェニーツィンらの名前をあげて比較される。人権や民主主義、言論の自由をめぐって、プーチン体制の映し鏡と考えられ、プーチンがもっとも恐れる存在とされている。
 ロシアの政治に関しては、プーチンやプーチン体制についての本が数多く出版されている。これに対してナワリヌイについて書かれた本はそんなに多くない。メディアでは、プーチン大統領と対峙する政敵として頻繁にニュースとして取り上げられてきたが、まとめて記されたことは少なかった。『ナワリヌイ プーチンがもっとも恐れる男の真実』は、ドイツとイギリスに拠点を置く新進気鋭の研究者たちが、あまり知られていないナワリヌイの実像に多角的な視点から迫り、そこに映るプーチン体制の姿を考察しようという試みである。
 ナワリヌイとそのチームの真骨頂は、強大な権力をふるうプーチン政権の裏側を、映像や資料を駆使して具体的に明らかにすることだろう。2021年1月に公開された調査動画のタイトルは「プーチンのための宮殿」。ロシア南部の黒海沿岸に建設された豪邸をドローンで撮影するとともに、豪華な内装の劇場やカジノをCGで再現し、建設費は総額1400億円と指摘。プーチン大統領と親しい資産家などが建設費を負担したとして、「世界最大の賄賂」だと主張している。
 政権側は否定する一方、プーチンに近い実業家がホテルとして建設しているものだと名乗り出た。このことは、プーチンに近い人間が富や利権を分け合っているという、ナワリヌイが指摘した実態をかえって裏付ける結果となり、人々は「絶対的な権力は絶対的に腐敗する」実例と受け止めたことだろう。
 こんなに汚職の疑いや不条理がはっきりしているのに、なぜプーチンの人気が衰えないのか。ナワリヌイがなぜ有力な政治家として支持を集めないのか。抗議行動が頻繁に起きてもなぜ政権がひっくり返らないのか。ロシアやプーチン体制に特殊性があるのか。『ナワリヌイ プーチンがもっとも恐れる男の真実』は、こうした疑問の答えを導くヒントを与えるものとなろう。

ナワリヌイとは何者か
 ここで、ナワリヌイについて振り返っておこう。
 反体制派の野党指導者であるアレクセイ・ナワリヌイは、1976年、モスクワ近郊で生まれた。2000年、リベラル派の野党のメンバーとなり、2007年から、国営企業の少数株主として企業の不正などを追及する活動や、インターネットでプーチン政権の汚職を告発する活動をはじめ、2010年ごろまでには、若者たちに人気のブロガーとして名前を知られるようになった。
 一躍有名になったのは、プーチンが大統領に復帰することを決めた2011年から大統領選挙のあった2012年にかけての抗議行動だ。プーチン政権の腐敗ぶりや下院選挙の不正を追及し、プーチン政権与党の統一ロシアを「詐欺師と泥棒の党」と厳しく非難。これが多くの人たちの支持を集めた。ナワリヌイは、その後も野党指導者、反体制派として活動を続け、プーチンの政敵ナンバー1と言われるまでの存在となってきた。
 内外に衝撃を与えたのは、2020年8月の毒殺未遂事件だった。ロシア国内を航空機で移動中に突然体調を崩して意識不明の重体となり、ドイツの病院に搬送されて治療を受け、奇跡的に意識を回復した。原因の究明にあたったドイツ政府は、ナワリヌイが、旧ソビエトで開発された神経剤「ノビチョク」と同じ種類の物質に攻撃されたと発表し、内外でプーチン政権に対する批判が強まった。
 それでもナワリヌイは2021年1月、療養先のドイツからロシアに帰国。『ナワリヌイ プーチンがもっとも恐れる男の真実』の冒頭は、帰国する航空機の描写から始まっている。到着したモスクワの空港で、過去の刑事事件で執行猶予付きの有罪判決を受けながら出頭の義務に違反したという理由で逮捕された。その後、裁判所がナワリヌイの執行猶予を取り消し、収監されたままとなっている。

ナワリヌイが持つさまざまな顔
 ナワリヌイはさまざまな顔を持つ。弁護士、ブロガー、反体制野党指導者、抗議行動のリーダーなどだ。さらに革命家、独裁者、ポピュリスト、差別主義者という言い方もされる。
 『ナワリヌイ プーチンがもっとも恐れる男の真実』では、反汚職運動家、政治家、抗議活動家の三つの側面から分析しようという試みをとっている。ただそれぞれの活動の時期が重なっているうえ、明確に区別がつきにくい。たとえば、選挙運動のなかで政権や与党の汚職を追及するし、抗議行動も行う。いつからいつまで反汚職運動家、次は政治家、その次は抗議活動家という時期で区切って説明できるわけではなく、時系列も前後している。
 ナワリヌイがプーチン政権の映し鏡と考えると、プーチン政権の歩みを時系列で整理しておく必要があるかもしれない。

①2000~2008年 プーチン大統領時代(第1回目 2期8年)
2008年 プーチン 大統領をいったん退任後、首相に就任
②2008~2012年 メドベージェフ大統領時代 プーチンは首相(1期4年)
2011年 プーチン 大統領復帰表明 下院選挙 大規模な抗議行動
③2012年~ プーチン大統領時代(第2回目 2期12年)
2014年3月 クリミア併合 プーチン支持率急回復

 プーチンが最初に大統領に就任した2000年5月からすでに21年になるが(2021年10月時点)、プーチンはずっと大統領を続けてきたわけではない。憲法で連続3回の立候補が禁止されていたため、2008年、いったん大統領を退き、2012年に復帰した。プーチンは、首相にいったんなったとはいえ、最高指導者、最高実力者として20年以上にわたってロシアを統治している。

 一方、ナワリヌイの主な活動は次のようになっている。

①2000~2008年 プーチン大統領時代(第1回目)
2000年 野党ヤブロコ入党
2007年 ヤブロコ党除名
国営企業の少数株主活動 反汚職活動を開始
②2008~2012年 メドベージェフ大統領時代 プーチンは首相
2009年 キーロフ林業顧問
2010年 アメリカ・イェール大学留学
2011年 下院選挙で抗議デモ組織 政権与党を「詐欺師と泥棒の党」と非難
③2012年~ プーチン大統領時代(第2回目)
2012年 プーチン大統領復帰前後 抗議行動で身柄拘束
キーロフ林業に対する横領罪で起訴
2013年 キーロフ林業に対する横領罪で有罪判決
モスクワ市長選挙立候補 第2位 予想外の善戦
2014年 自宅軟禁 フランスの化粧品会社イヴ・ロシェに対する詐欺罪で有罪判決
2017年 メドベージェフ首相に関する動画「彼を〝ディモン〞と呼ぶな」公開
2018年 大統領選挙 ナワリヌイは立候補を認められず プーチン大統領再選
2020年 毒殺未遂事件 ドイツの病院で療養
2021年 帰国後、逮捕
動画「プーチンのための宮殿」公開 収監

 このように見てみると、ナワリヌイのさまざまな活動は、プーチンが初めて大統領に就任してから20年あまりとそっくり重なっている。
 ナワリヌイを見ることで、プーチン体制が反体制派を抑えるためにより厳しく、権威主義的な傾向を強め、強権的、独裁的とまで言われる体質に推移していったようすが浮かび上がってくる。

 

 

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