うちからリンクさせていただいている、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表の杉原浩司さんの「杉原こうじのブログ2」さんがウクライナ左派の「社会運動」が出した、トランプ米政権によるベネズエラ攻撃に対する声明を紹介されていましたので、孫引きでうちもご紹介します。
杉原さんは長年、日本と世界の武器取引に反対する平和運動を続けてこられた方。
それだけに、ロシアがウクライナに侵略戦争を開始した際に、欧米からウクライナへの軍事支援を是とするか否かについては非常に悩まれたようです。
トランプ大統領来日に反対する首相官邸前抗議運動でマイクアピールをされた杉原さん。
トランプ大統領と並んで情けないほど歓喜する高市早苗首相の「国辱」ものの姿。イスラエルのガザ・ジェノサイドに加担するトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦するという高市氏の判断能力の欠如が日本で暮らす市民も戦争に追いやる危険性がある。
結局、うちと同じでクラスター爆弾など違法な武器の供給以外は認める立場に立たれたわけですが、そしたら「今こそ停戦を」一派の即時降伏派からはうちやジャーナリストの志葉玲さん と同じく
「徹底抗戦派」
と呼ばれる始末(苦笑)。
違うがな、ウクライナがロシアに抵抗し続けるか停戦するかは主権者であるウクライナ市民が決められるっていってるの!
と何回言っても、停戦真理教の連中は判ろうとしないので、杉原さんも大変だと思います。
「国際紛争処理の専門家」伊勢崎賢治東京外国語大学名誉教授とウクライナ戦争即時停戦派・西側からの軍事支援反対派がひどすぎる(表題を一部変更し本文も一部訂正あり)
さて、今回ご紹介するウクライナの左派運動組織体である「社会運動」(Sotsial'nyi Rukh) は、親露派のヤヌコビッチ大統領がマイダン革命で追放された2015年ころに設立された左翼政治グループで、もちろん労働者の権利を守るためにはゼレンスキー政権とも対決しています。
同組織は民主的社会主義やエコ社会主義を掲げ、キーウやクリヴォイ・ログ、ハルキウなどの都市を中心に活動しています。
この組織は労働運動、フェミニズム、反ファシズム、環境保護などの分野で左派・リベラルな活動を展開します。
そして、ウクライナの市民社会や抵抗運動を支援し、国際的な左翼ネットワークとも連携しています。
もちろん、ロシアの侵略に対してはウクライナ国民の抵抗を支持し、募金集めや物資輸送、連帯行動に参加し、ヨーロッパの左翼団体と協力しています。
そして、「社会運動」は戦争下で孤立しがちな左翼運動の中で、ロシアへの抵抗とウクライナの社会変革を両立させる立場を取ります。
プーチン大統領に国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出したことにも「即時停戦」の邪魔になるからと反対したエセリベラルたちには、トランプ大統領に逮捕状を出せという資格がない。
トランプ大統領が国際刑事裁判所(ICC)に自分の戦犯訴追免除を要求し、応じなければ職員のみならずICCそのものにも制裁を科すと脅迫。今後もガザ、ベネズエラなどで戦争犯罪を犯す気満々だ。
杉田さんによると
『私も呼びかけ人の一人となっている「ウクライナ民衆連帯募金」がつながりを作ってきたウクライナ左派の「社会運動」(ソツィアルニィ・ルフ)による声明です。
極めて的確かつ重要な内容だと思いますのでご紹介します(翻訳はウクライナ民衆連帯募金)。』
とのことです。
ではさっそくお読みください。
トランプ大統領がベネズエラを国際法に反して攻撃し、マドゥロ大統領夫妻を拉致して拘束した目的はベネズエラの原油利権だ。トランプ大統領「我々は世界最大規模の米国の巨大石油会社を派遣し、それによって国のための利益を獲得していく」。
<ウクライナ「社会運動」(ソツィアルニィ・ルフ)声明>
米国によるベネズエラへの侵略の何が問題なのか?
2026年1月3日
1月3日の朝は、ラテンアメリカの諸民族にとって、そしてそれだけにとどまらず、民主主義と条件付きの平和に対する大規模な攻撃の始まりとなった。
米国の軍事作戦後、ニコラス・マドゥロ大統領が拘束され、動員を伴う非常事態が導入されたベネズエラの事態は、帝国主義的対立の激化を示す新たな表れであり、その影響は大陸全体で何百万人もの人々が感じることになるだろう。
ドナルド・トランプ政権の行動は、孤立した事件や「やむを得ない危機対応」ではない。カリブ海や太平洋での小型船舶の爆撃から制裁による封鎖に至るまで、これまでもそうであったように、これは力の誇示であり、国際法や司法手続き、調査を一切無視して暴力を行使する用意があることを示すものだ。麻薬取引やカルテルとの闘いといった口実は、侵略を正当化するために使われている。しかし、麻薬に精製される前の成分の大部分は、つい最近まで中国で生産されていたと言われている。ベネズエラ領を通過する麻薬取引の割合は、地域内の他国や海上ルートと比べてもごくわずかに過ぎない。
「麻薬カルテルと結びついた指導部との闘い」という言い訳は、トランプが最近、米国の刑務所からホンジュラスの右派元大統領エルナンデスを恩赦で釈放したことを考えると、特にシニカルに映る。彼はコカイン取引への関与で長期刑を言い渡されていたが、直近の選挙で同盟勢力を支援させるために釈放されたのだ。「テロとの戦い」と同様に、真の目的は防衛ではなく、石油や鉱物資源の支配、そしてワシントンに忠実な政権の樹立である。
同時に、物事をはっきりと呼ぶ必要がある。ニコラス・マドゥロ政権は権威主義的で抑圧的、そして深く腐敗している。ウゴ・チャベスの遺産やボリバル主義的レトリックを装っているが、社会主義的民主主義とは何の関係もない。破壊的な米国の制裁と並んで、経済崩壊、社会的惨事、超法規的殺害、生活の困窮、そして何百万人ものベネズエラ人の大量流出に対する責任は、まさにマドゥロ政権の政策にある。マドゥロ政権は、チャベス時代の大衆運動の成果や社会プログラムを無に帰し、この地域における左派思想を貶めることしかしなかった。民衆に寄生するこの体制は、治安機関、自由の制限、そしてとりわけロシアからの対外的支援によって維持されてきた。
クレムリンは、権威主義的な統治モデルを維持する上で、カラカスの主要な同盟者の一つとなった。ロシア外相セルゲイ・ラブロフは、2023年4月を含め、ベネズエラを何度も訪問している。これは、ウクライナに対するロシアの戦争への政治的支持を動員する目的で、ブラジル、ベネズエラ、ニカラグア、キューバを巡る歴訪の一環だった。ニカラグアのサンディニスタ革命の裏切り者ダニエル·オルテガほど露骨ではないにせよ、マドゥロ大統領は全面侵攻の初期からロシアへの「全面的支持」を表明し、国家機関やメディアはクレムリンの解釈を積極的に広めてきた。
しかし、マドゥロ政権をベネズエラ社会そのものと同一視するのは重大な誤りである。
大規模なプロパガンダにもかかわらず、多くのベネズエラ人は親ロシア的な言説を受け入れなかった。2022年のロシアによるウクライナ侵攻の最初の数日間から、デモが日常的に犯罪化され弾圧される国で、人々は侵略に反対する抗議行動に立ち上がった。ベネズエラ人はウクライナ国旗を掲げ、「Stop Putin」と叫び、自国政府とクレムリンの同盟を公然と批判した。
このウクライナへの連帯には深い根がある。ユーロマイダンの時代から、多くのベネズエラ人は、ウクライナの闘いを、腐敗した権力、外部からの支配、権威主義に対する身近で理解しやすい闘争として受け止めてきた。ウクライナへの共感は反戦感情だけでなく、外国からの影響に対する拒否感からも生まれている。それはマドゥロ政権の存続、そしてウラジーミル・プーチン政権の存続にとっても決定的であり、両者はいずれも国際刑事裁判所(ICC)の捜査対象となっている。
1999年以降、ウクライナとベネズエラは友好的な関係を築いてきた。その基礎は、当時のウクライナ外相ボリス・タラシュクが、当時のベネズエラ大統領ウゴ・チャベスに迎えられた時期に築かれた。注目すべきことに、チャベス時代にロシア連邦でベネズエラの領事を務めていたホセ・ダビド・チャパロは、2022年にウクライナ領土防衛国際軍団に参加し、ロシア軍によって破壊された都市の復興に携わった。
だからこそ、現在の米国の侵略は、マドゥロ批判をもってしても正当化できない。最近発表された「国家安全保障戦略」で、ラテンアメリカとカリブ海地域を「モンロー主義」の精神に基づく従属的な「裏庭」の役割に戻すと宣言した米国帝国主義は、自らの経済的・地政学的利益に合致しないあらゆる政権を地域から「一掃」し、同時に極右勢力を強化しようとしている。
コロンビアの進歩的政権の孤立化、メキシコの同様の政権への脅し、米国の納税者の負担によるアルゼンチンの極右政権との同盟強化、ジャイル・ボルソナロ率いるブラジルのネオファシスト的復古主義者への支援、エルサルバドルのブケレ政権による悪名高い巨大刑務所を、米国からの強制送還者の収容に利用すること 一 これらはすべて、ラテンアメリカにおけるワシントンの覇権回復戦略の一部である。象徴的なのは、トランプ前政権時代にもベネズエラ問題を担当していたのがエリオット・エイブラムスであり、彼はレーガン時代に反共独裁政権の「死の部隊」の訓練に関与し、エルサルバドルのエル・モソテ村で約1000人が殺害された事件を含む、中米内戦の犯罪の90%以上に責任を負っている人物だ。 外部から押し付けられる「体制転換」は、社会的惨事をさらに深刻化させるだけである。ベネズエラ難民に対するトランプの人種差別的政策と同様、この戦争は人命を軽視する政治の延長線上にある。たとえ直接的な大量犠牲が避けられたとしても(1989年に独裁者で麻薬密売人でもあったノリエガを排除するために行なわれた米海兵隊の侵攻では、少なくとも数百人の民間人が死亡した。ノリエガはそれ以前、地域の革命運動と戦う中でCIAの協力者だった)、外部からの不安定化はさらなる国内混乱を招くだろう。
さらに、「トランプ主義的」野党勢力による政権掌握も危険を含んでいる。マドゥロが社会主義のカリカチュアであるのと同様、民主主義運動のカリカチュアが、マリア・コリナ・マチャドの極右・超資本主義路線である。彼女はノーベル平和賞を受賞した後、それをトランプに譲りたいと公言し、自国に対する彼の介入を支持すると強調してきた。これに対し、マドゥロ主義に反対する左派の野党勢力は、ボリバル革命の失望した支持者をますます取り込みながら、軍事シナリオの拒否と、ベネズエラの運命は帝国主義の支配者ではなく、ベネズエラ人自身が決めるべきだと主張している。
マドゥロ独裁との闘いと、米国帝国主義との闘いは矛盾しない。それは、地政学的な駆け引きの中で人々が人質にされる、一つの対立の二つの側面である。だからこそ今日、ロシアの侵略に抵抗する中でベネズエラ人がウクライナに示してきたのと同じ連帯を、ベネズエラの人々に向けて語る必要がある。
ベネズエラ人民は、帝国主義のくびきと、略奪的なマドゥロ政権の人質となりながら闘っている。
ベネズエラよ、私たちもまた帝国主義に抵抗している!
米ウ首脳会談を前に、ロシアのプーチン大統領が「ウクライナが平和的解決を望まない場合、直面する全ての問題を『特別軍事作戦』という武力で解決する」と脅迫し、キーウに無差別攻撃。
編集後記
「米国のトランプ大統領がベネズエラを攻撃したのは石油だけが目的ではありません。ベネズエラではこの20年間、キューバ革命さながらの社会革命が展開していました。このままならカリブ海に第2のキューバが確立する。米国はそれを嫌がったのです。」(ジャーナリスト伊藤千尋氏)。
前回ご紹介した伊藤千尋氏の手放しでのマドゥロ政権賞賛とは真逆の、ロシアのプーチン政権と持ちつ持たれつの関係にあるマドゥロ政権に対する強烈な批判が印象的です。
中南米の現代史について、ウクライナの左派運動がこれだけ造詣が深いことに驚くとともに、自分の浅学さを反省しました。
これから勉強を始めることにします。
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ウクライナの左翼グループ「社会運動」(Sotsialnyi Rukh)への募金活動など、左翼としてのウクライナ連帯に取り組む韓国のグループ「社会進歩連帯」(사회 진보 연대)が、2025年12月5日に「社会運動」の活動家ミハイロ・ムスタフィン(Mychajlo Mustafin)にインタビューを行った。https://www.pssp.org/bbs/view.php?board=focus&nid=10561
ムスタフィンは、現在進行中の米露主導の「和平交渉」や、「社会運動」が侵略下/戒厳令下という厳しい状況下で取り組んでいる労働者の権利運動、パレスチナを含む国際連帯について語った。
また、インタビューの前に「訳者解説」として「社会進歩連帯」による情勢認識が掲載されている。11月に明らかになった米露合作の「28項目和平案」に始まるウクライナ和平をめぐる状況を手堅く分析しており、これ自体、重要な内容となっている。
「社会進歩連帯」は、1980年代以来の韓国左翼の二大潮流であるNL(民族重視)とPD(階級重視)で言うと後者に属するグループで、マルクス主義、新自由主義的なグローバリゼーション反対、連帯雇用を媒介とした労働運動の刷新、反貧困、東アジアの非核平和などを掲げている。
今回、「社会進歩連帯」は、このインタビューの転載を許可してくれたのみならず、正確な日本語への翻訳まで提供してくれた。深く感謝したい。 (以下、本文)
「ウクライナを排除した和平案は詐欺だ」 ウクライナ左翼「社会運動」ミハイロ・ムスタフィンさんインタビュー
訳:ソ・ダンビ(서단비)社会進歩連帯 光州全南支部 政策局長
社会進歩連帯は今年4月、ウクライナ左翼組織「社会運動」の活動家デニス・ピラシュさんが《LINKS》に掲載したインタビュー「左翼は侵略者を宥和するトランプ=プーチン協議ではなく、ウクライナの正義ある平和を支持すべきだ」を邦訳・掲載した。今回のムスタフィンさんへのインタビューはその続編として、戦争4年目を迎えた現在のウクライナの現実に対する「社会運動」の声を伝えるものである。
ウクライナを排除した米露主導「ウクライナ和平案」の実態
2025年11月27日、トランプの思惑に反してウクライナ戦争は終結しなかった。この日は、トランプが11月19日にウクライナを蚊帳の外に置いたままロシアと調整した「28項目和平案」をウクライナに受け入れるよう最後通告した「デッドライン」でもあった。 2月のリヤド会談、8月のアンカレッジ会談など、米露がウクライナ抜きで進めた協議はいずれも「ノーディール」に終わった。しかし水面下での交渉は続き、その結果として11月18日に米ネットメディア「アクシオス」がスクープしたのが「28項目和平案」である。 この「28項目和平案」は、事前に全く知らされていなかった米政権関係者や共和党内部を混乱させた。ウクライナと欧州は強い衝撃を受けた。ウクライナが決して譲歩できないと明言してきた領土・安全保障問題、さらにはロシアの戦争犯罪に関する項目まで、ほとんどがロシアに有利に書かれていたからである。 クリミア半島とドンバス(東部のドネツク州、ルハンシク州)に対するロシアの支配を事実上認め、ロシアが現在占領していないウクライナ領土まで譲渡し、ウクライナのNATO加盟を永久に禁止し、戦時行動を全面的に免責するという条項を含むこの案は、10月末に米特使スティーブ・ウィトコフとロシア特使キリル・ドミトリエフ(ロシア直接投資基金総裁)が調整したため、「ウィトコフ=ドミトリエフ案」とも呼ばれる。 11月26日、ブルームバーグ紙がウィトコフ、プーチン側近ウシャコフ、ドミトリエフの通話録音(いわゆる「ウィトコフ流出」)を入手・公開したことで、この和平案が極端にロシア寄りであることはさらに明白となった。通話の中でウィトコフは、ウシャコフに「トランプは合意形成のため大きな裁量を与える」と語り、ゼレンスキーの訪米前にプーチンが先にトランプへ電話をするよう促していた。ドミトリエフはウィトコフに「和平案はロシア側の提案に最大限近いものになる」と述べた。
実質的に米特使がクレムリンに交渉戦術を助言し、ロシアに有利な案、つまりウクライナ領土の譲歩を示唆していたのである。この録音が公けになり、ドン・ベーコン議員など重鎮の共和党議員らがウィトコフの解任を要求する事態となった。 11月末、スイス・ジュネーブで米国、ウクライナ、欧州(独・仏・英)による多国間・二国間協議が行われ、さらに12月初旬の米露協議でも同案の細部が調整されている。しかしトランプが望む「短期的成果」を得るのは容易ではない。こうして2025年、ウクライナを排除して米露が主導した「ウクライナ和平案」は軒並み行き詰まった。4年を越える戦争は再び厳しい冬へと入っている。
ウクライナ左翼の現状評価と活動
戦争4年目の現実、そして最近の米露主導協議についてウクライナ左翼の声を聞くため、社会進歩連帯は「社会運動」にインタビューを依頼した。しかし、ロシアによる重要インフラ攻撃の影響で電力不足が続き、インタビューは延期された。そのさなか、11月19日にトランプがウクライナを排除したままロシアと協議した「28項目和平案」を提示し、情勢が大きく揺れ動いた。 「社会運動」は2015年に設立されたウクライナの左翼政治グループで、民主的社会主義・エコ社会主義を掲げ、キーウ、クリヴィー・リフ、リヴィウを中心に活動している。独立系労組(鉱山労組・鉄道労組など)と緊密に連携し、労働者の自律的組織化を重視する「社会運動」は、法律2980号(重要インフラ労働者補償法)の履行闘争、復員兵の不当解雇裁判支援、労組権利擁護、年次社会フォーラム開催、国内避難民・軍人家族支援など、現場活動と政策提起を並行して行っている。
「社会運動」活動家のミハイロ・ムスタフィン
「社会運動」はロシアの侵略を帝国主義的侵攻として規定し、ウクライナの武装抵抗を支持する一方、西側の新自由主義的再建プランやゼレンスキー政権の労働権縮小に批判的で、「ロシアの戦車と西側の銀行」に対する二重の闘いを主張してきた。 また国際連帯を重要な柱とし、ウクライナ連帯欧州ネットワーク(ENSU)、ウクライナ・グローバル連帯ネットワークで活発に活動し、国際舞台でウクライナ左翼を代表する声を上げている。社会進歩連帯も2022年にタラス・ビロウスの論文「自決権とウクライナ戦争」を翻訳・掲載し、同年12月にはブラジスラフ・スタロドゥブツェフを招いて講演会を開き、「社会運動」への連帯基金支援も行ってきた。 インタビューに答えた「社会運動」の活動家ミハイロ・ムスタフィンは、今回の「28項目和平案」をめぐる騒動について、トランプ政権が「ウクライナを偽りの和平協定に屈服させるため、ロシアと積極的に協力していることを示した」と評価する。現実的に「ウクライナが虚構の平和協定に署名させられる可能性は少なくない」が、「そのような平和は決して正義とは言えない」と強調する。 彼が言う“正義ある平和”とは「西側の強固な安全保障によって支えられるもの」である。それが不十分であれば、「ロシアがいかなる停戦もためらいなく破ってきた」ことを見てきたからだ。また彼は、これだけでは不十分であり、「正義ある平和とは、国際法を守り、クリミアを含むウクライナ領の占領を終わらせ、戦争犯罪の捜査を促進することだ」と述べる。
ムスタフィンは現在の情勢を「周辺国へ勢力を拡大し従属させようとする準ファシスト権力と対峙している」と捉え、「安易な平和主義にすがるのは私たちにとってあまりにナイーブだ」と挑発的に語る。これは「花ではファシズムと闘えない」という「社会運動」の一貫した主張である。 同時に彼は、欧州でよく語られる「安全保障か、福祉か」というジレンマの前提を覆すべきだと主張し、「攻撃されたときに備えて自らを守れる力を持つべきだ」が、「富裕層に課税することで」そのジレンマを解決すべきだと述べる。 侵略を受けた国の最前線で活動する「社会運動」のこうした主張は、ウクライナの抵抗を支持するのか、支持するとすれば “どのような” 抵抗を支持するのか、そして(特に侵略を受ける側の)安全保障問題について左翼はいかなる立場を取るべきか――この点で意見が割れた韓国の社会運動にとっても多くの示唆を与えてくれる。 今回のインタビューを通じて読者は、ロシアの侵略に抗して闘うウクライナ左翼の声を聞くだけでなく、戦争の只中で日常生活に生じる問題に対応し、政府政策に抗し、国際連帯を模索する「社会運動」の多層的な活動の一端をうかがうことができる。戦火の中でも、また日々の困難な活動の中でも時間を割いてくれた「社会運動」とミハイロ・ムスタフィン氏の献身に深く感謝を申し上げたい。 ※ 以下の[ ]内は、読者の理解を助けるために訳者が補足した説明である。
以下、インタビュー本文
戦争の現実と左翼の役割
――戦争が4年目に入りました。ウクライナの労働者や一般市民が直面している最大の困難は何でしょうか。「爆撃の下でも日常は続く」という自負の背後に隠れている現実、とりわけ必須インフラ労働者や国内避難民が直面している具体的な困難についてお聞かせくださいますか?
ムスタフィン:この3年間にわたって続く全面戦争は、ウクライナ社会全体に深刻な影響を与えてきました。同時に、社会的・経済的に脆弱な層にとっては、とりわけ破壊的な影響となっています。例えば、ウクライナの主流社会では、絶え間ない攻撃の中でも日常的なサービスが機能し続けていることに大きな誇りを抱いてきました。しかし、爆撃やドローンの下でも[労働者たちが]働き続けざるを得ない状況そのものへの批判はほとんどありません。特に民間部門では、高いサービス水準が当然視されている場合が多いのです。 国内避難民は、戦時下でさらに不利な立場に置かれています。 [占領地域から非占領地域への]大規模な人口流入は深刻な住宅危機を引き起こし、都市部のアパート価格は2022年以降急騰しました。同時に、国家の能力[財政]は限界に達し、国内歳入の大半は国防に充てられ、社会支出は外国援助機関に依存しています。極めて限られた資源のもとで国家による住宅支援を得ることはほぼ不可能です。民間市場の方が状況は多少ましですが、国内避難民は依然として家主からの不信や差別に直面しています。
――「社会運動」は、集会や選挙といった伝統的な政治活動が制限される戒厳令下においても、法律・心理支援から労働権キャンペーン、兵士とその家族への支援に至るまで、多様な活動を続けてきました。戒厳令が社会保障縮小の口実として悪用される状況の中で、左翼組織の活動にはどのような意義があるとお考えですか?
ムスタフィン:私たちの活動は、戦時下であっても人々が自らの権利と尊厳のために闘うことができ、また闘わなければならないことを示しています。これは、戒厳令が社会保障や労働権を縮小するために悪用されてはならないという事実をウクライナ政府に思い起こさせるものです。同時に、国際問題に対する私たちの立場は明確であり、世界はロシアの侵略に立ち向かうウクライナ民衆の闘いを必ず支持すべきだということを示しています。
つまり、ウクライナ国内にさまざまな問題があるとはいえ、それらについて政府を公然と批判しつつ、ロシアの侵略に抗して闘う、私たちのような左翼組織が存在するという事実です。
国内的課題:新自由主義とオリガルヒ体制への対応
――「社会運動」は、民営化・規制緩和・反労働政策を含む政府の新自由主義的アジェンダを継続的に批判してきました。戦時下で政府の経済政策はどのように変化し、「社会運動」はどのように対応してきたのでしょうか。
ムスタフィン:2022年以前から、ゼレンスキー政権の経済政策は、無計画さと一貫したビジョンの欠如によって特徴づけられていました。とはいえ、一般的にはソ連時代の法律を「近代化」し、外国投資を呼び込むという名目で、新自由主義的アプローチと規制緩和へ向かう傾向にありました。全面侵攻直前、政府は「非効率的に運営されている」「収益性の低い」とされる国有資産の大規模民営化プログラムを開始しました。この計画では、最終的に国有鉄道まで売却される予定でした。 しかし戦争の中で、まさにこうした企業こそが国家の生存を可能にしていることが明らかになりました。国有鉄道会社ウクルザリズニツャは、ロシアの爆撃で線路や駅が破壊された後でさえ、しばしば最小限の遅延で運行を続けていることで知られています。国有郵便サービスのウクルポシュタも、前線地域でも営業所を維持し、全面侵攻初期の数か月間は占領下でも窓口を開け続けました。 これは政府の目に「国有」という概念を復権させましたが、それでも政府は労働権や社会保障への攻撃を続けています。私たち「社会運動」は法律相談を提供し、こうした政策が戦時下においては決して「正常」ではないというメッセージを広めることで対抗しようとしています。一般に、戦時下において国家は、実体も定かでない民間投資家にすべてを外注するのではなく、国民と経済を支えるために介入することが期待されているのです。
2025年7月にキーウで行われた反腐敗デモに参加した「社会運動」メンバー。彼らのスローガンは「あなたが私たちに腐敗を与えれば、私たちはあなたたちに革命を与えるだろう」。
トランプ=プーチン交渉と「正義ある平和」の条件
――3月、「社会運動」はリヤドでのトランプ=プーチン会談を「侵略者を宥和するやり方」であり、「大国による世界分割への回帰」だと鋭く批判しました。その後のアンカレッジ会談、そして最近のウィトコフ流出事件まで、米露交渉はウクライナにどのような意味を持つのでしょうか?
ムスタフィン:アンカレッジ会談から多くの時間が経ち、その後の展開は、控えめに言っても険しい道のりでした。トランプおよび彼の政権がウクライナにより友好的になったかのように見える希望の瞬間もありましたが、そのたびにロシアとの突発的な和解によって挫かれてきました。 最近のウィトコフ流出事件は、現米政権がロシアの極端な[最大主義的な]要求に屈する準備があるだけでなく、ウクライナを詐欺的な和平協定に屈服させるためにロシアと積極的に協力していることを示しています。一方、欧州の同盟国はあまりに分裂しており、実行可能な代案を提示できていません。そのため、ウクライナが虚偽の和平協定への署名を強いられる可能性もかなりあります。しかし、そのような和平は「正義」とはほど遠いでしょう。
――では、「社会運動」が考える「正義で持続可能な平和」の必須条件とは何でしょうか。ウィトコフ=ドミトリエフ案を「詐欺」だと見る理由は何ですか?
ムスタフィン:持続可能な平和は、西側による強力な安全保障によって裏打ちされていなければなりません。私たちは、そのような保障が存在しない場合には、2022年以前も、そして以後も[全面侵攻以前のドンバス戦争への介入でも、全面侵攻後でも]ロシアがいかなる停戦でもためらうことなく破ってきたことを目撃してきました。これこそがウィトコフ=ドミトリエフ平和案が詐欺である主な理由です。
たとえ「米国の保証」が含まれると言っても、それがどのように機能するのかは不透明であり、何よりも重要なのは、特に現(トランプ)政権の姿勢を考えると、いざ危機となった時に米国が本当にその保証を履行するのか極めて不確実であるという点です。 とはいえ、たとえウクライナが強固な安全保障を得たとしても、それだけでは正義ある平和は実現できません。正義ある平和とは、国際法を擁護し、クリミアを含むウクライナ領の占領を終わらせ、戦争犯罪の捜査を促進するものでなければなりません。 しかし西側は、そのような平和協定を交渉できる立場にありません。これは大部分が西側自身の過ちによるものです。西側は、ウクライナに真に力を与えることでロシアを彼らの条件によってではなく交渉の場に引きずり出す機会を逃しました。それは可能だったのです。2022年末の反攻が成功した後、西側がウクライナに対し、ロシア軍をもう一度撃退するのに十分な資源を提供していたならば。しかしそれは起こりませんでした。
現在、私たちは平和の条件を指示できる位置にはありません。少なくとも、ロシアが受け入れることを望む条件を提示するのでない限り。
そのため、ウクライナは正義なき平和をもたらす妥協を受け入れるよう強いられています。しかし、そこから導かれるのは、そのような平和が最低限持続可能でなければならないということだけですが、現状ではそれすら望み薄です。むしろ、トランプの平和構想は、次のノーベル平和賞授賞式までだけ作用し、トランプが賞を逃した瞬間に破綻するよう設計されているかのように見えます。あの悪名高いガザ地区の「和平案」がどうなっているかを見れば明らかでしょう。
国際連帯の原則と課題
――「社会運動」はこれまで、パレスチナ民衆への明確な連帯を表明してきました。ウクライナ連帯運動とパレスチナ連帯運動の間に連帯が欠けている現状をどのように見ていますか?
ムスタフィン:私たちは、今年8月に(キーウでの)パレスチナ民衆との連帯行動に参加したことを誇りに思っています。ウクライナについての議論にパレスチナを含めること、またその逆も、同じように重要だと考えています。結局のところ、両民族とも隣国の拡張主義と帝国主義によって抑圧されているのです。状況が完全に同じというわけではありませんが。ウクライナ連帯運動とパレスチナ連帯運動の間に連帯が欠けているのは、何よりも双方の対話と理解の不足に起因すると考えています。しかし、相互理解と支援の余地は十分にあると確信しています。
キーウで行われたパレスチナ連帯行動
米国との関係ゆえに[対外政策が]大きく制約されているウクライナ政府でさえ、パレスチナ民衆に一定の連帯を示す機会を見いだしています。ウクライナはパレスチナ国家を一貫して承認しており、ガザに人道支援を提供しています。ゼレンスキー大統領は国連演説でパレスチナの例を国際連帯の失敗の一例として明確に挙げました。 パレスチナ民衆がウクライナを自分たちと同じ帝国主義侵略の被害者とは見ていないかのように語る人々もいますが、実際には、世論調査が示す通り、パレスチナの人びともウクライナが自分たちと同じく帝国主義侵略の被害者であることを理解しています。これは何よりも教育と対話の問題なのです。 〔訳者注:パレスチナ政策調査研究センター(PCPSR)が 2023年9月28日~10月8日にヨルダン川西岸地区とガザ地区で実施したArab Barometer第8波調査によれば、パレスチナ人の70%がロシアのウクライナ侵攻に反対すると回答した。西岸とガザで顕著な差はなかった。標本数は1,189名(西岸790名、ガザ399名)、誤差範囲は±3%。Palestinian Center for Policy and Survey Research, “ARAB BAROMETER 8 in Palestine, Report II: Palestinian perception of international actors and international relations,” 19 February 2024.〕
――ロシアによるウクライナ侵攻以降、一貫した国際主義を築くために、世界の左翼は何を見直し、転換すべきだと考えますか?
ムスタフィン:世界の左翼は、世界に対する自らの前提を見直さなければなりません。私たちはいま、客観的に見て、近隣諸国へと勢力圏を拡大し服従させようとする準ファシスト的な権力と対峙しているのだという事実を認める必要があります。そのような時期に、古典的で耳ざわりのよい[安易な]平和主義にしがみつくことは、私たちにはあまりにナイーヴに映ります。 過去一世紀にわたって勝ち取ってきた部分的な社会保障や労働権でさえ、当然のものではないことを理解すべきです。もちろん、これは客観的な安全保障上の脅威を緊縮の口実として利用する保守派に屈するべきだという意味ではありません。むしろ私たちはこう主張すべきです。「そのとおり。攻撃された場合に備えて自分たちを守る力は必要だ。しかし、それは福祉国家を解体することでではなく、富裕層に課税することで達成されるべきなのだ」と。 私たちは、民主主義と社会的成果の双方を守るために努力しなければなりません。そして、それこそが世界の平和を実現するための道なのです。