
日の丸デカすぎ!
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高市早苗自民党と吉村洋文日本維新の会は2026年の通常国会で日の丸を傷つける行為を処罰できる「国旗損壊罪」を制定する方針です。
なんと、2025年10月20日に署名した両党の連立政権合意書に盛り込まれていて
「『日本国国章損壊罪』を制定し『外国国章損壊罪』のみ存在する矛盾を是正する」
と明記されているんです。
自民党は実は野党時代の2012年に法案を国会提出し、廃案になっています。
しかし、高市早苗総裁は刑法を改正し、国旗損壊罪の新設を目指していたんですが、これに右翼の維新が乗ったというわけです。
今の刑法でも、他人の日の丸を汚したらもちろん器物損壊にはなるんですよ。自分の日章旗を汚しても罪になるとか国家主義、国粋主義以外の何者でもありません。

右翼ぶりを発揮すれば人気が出ると思っている両者。
日本維新の会が人気挽回のために参政党の猿真似をして極右路線を打ち出し自民党との連立を狙う。憲法9条2項を削除し国防軍や軍法会議を明記、集団的自衛権の行使を全面的に容認するトンデモ改憲案を発表。
2021年の議員時代に高市首相はこの国旗損壊罪を法案化する運動をしようとしました。
その際、高市氏は
『日本が、諸外国の法制度と正反対に、「自国の国旗損壊等」については刑罰規定が無く、「外国の国旗損壊等」については刑罰を設けている理由ですが、奥野信亮(しんすけ)法務部会長が法務省刑事局に確認して下さったところ、「敗戦国なので、このような形になり、そのままになっている」ということだったそうです』
とコラムに書いて説明していたのですが、これが真っ赤な嘘。
もちろん法務省がこんな説明をするわけがなく、高市氏は毎日新聞に追及されてあえなくこのコラムを削除、法案も廃案になりました(笑)。
全く、高市早苗首相の妄想と虚言癖はとどまるところを知りません。
【#自民党に殺される】高市早苗新総理が就任最初の記者会見で安保3文書の改訂と軍事費増額の前倒しに言及。トランプ政権は2022年の4倍の年22兆円の軍事費を要求。物価高で苦しむ国民を殺す気か。
村野瀬代表がこう一喝しておられます。
『物価高や円安など国民生活に直結する問題への対応は遅く軽く的外れなのに、国民生活を一つも良くしない国家主義優遇に励む高市早苗内閣は国民にとって有害です。
こういう国家主義的強化に多くの関心が集中している政治家に国民のための政治はできるはずもないと、日本国民は見切るべきです。』
そもそも、現行法は他国の国旗損壊に対する処罰規定があるが、日の丸は対象外となっているのには理由があります。
まず、日本の国旗に対してそれを燃やしたり汚したりすることには日本政府の悪行に対する抗議という意味があり得て、これは日本国憲法が保障する基本的人権である表現の自由を保障するという目的から、刑法では罰するべきではないわけです。
しかし、同じく憲法の理念である国際協調主義(前文、98条1項)からは、いくら表現の自由といえども、外国の国旗を損壊することまでは許されないという発想があるんです。

参政党の極右ぶりに抗議するために掲げられた日章旗。
参考記事 村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより
高市早苗の軽重を問う (4) 「高市早苗政権が作りたいらしい国旗損壊罪は悪法で愚法」の巻
ところが、参政党が10月27日、日本を侮辱する目的で国旗などを傷つける行為を罰する「日本国国章損壊罪」を盛り込んだ刑法改正案を、参院に単独で提出しました。
何しろ7月の参院選で14人も当選して15人になったので、予算を伴わない法案なら単独で出せるようになったのですが、それが選りによって「日本国章損壊罪」の制定ですよ!
全く市民の生活が楽になるわけでもない不要不急もいいところの法案なんですが、その急伸した参院選で✖を書いた日の丸を掲げて参政党の国家主義に抗議した人がいたからこの法案を出したというのです。
参政党はここんところ見せ場がなくて支持率が下がってきたからここで右翼ぶりをアピールなわけですが、どんだけ高市政権に媚び媚びで、しかも自分ファーストな発想なのか。
#参政党 が、日本国旗を冒瀆する目的で損壊・汚損する行為を罰する「#国旗損壊罪」法案(刑法改正案)を参院に単独で提出しました。#自民党 や #日本維新の会 も国旗損壊罪の新設を目指しており、3党が協力すれば成立する可能性があります。https://t.co/nen3leEA1r
— 東京新聞政治部 (@tokyoseijibu) 2025年10月27日
神谷代表は「公共の福祉」の観点からこんなアホな法案も許容されるとか言っているんですが、公共の福祉は人権と人権の調整原理です。
たとえば、表現の自由も相手の名誉権を毀損することまでは許されないから名誉毀損罪が刑法に制定されているような場合を言います。
国旗が損壊されても誰の人権も侵されないでしょうが!
全く憲法知らずの憲法語り、いや憲法騙り。
もはや憲法とも言えないようなトンデモ憲法案を発表するだけはありますよ、とことん無知な参政党!
参政党が国旗損壊罪創設法案を初の単独提出した件について。
— へずまりゅう (@hezuruy) 2025年10月27日
演説中に傷付けられた日本国旗を見せられ本当に苦しかったと思います。
だからこそすぐに動いてくれたことに国民として感謝しています。 pic.twitter.com/zD6YuTRuM8
参政党の法案に賛成するのはこういう手合い!
『今の憲法にはあるのに?参政党の創憲案で消された私たちの「権利」』(毎日新聞)。参政党の新日本憲法(構想案)では権利という言葉は一度も使われず義務ばかりで基本的人権に関する条項がゼロの独裁国家宣言だ
参考記事
kojitakenの日記さんより
立憲、宮城知事選で参政旋風にのまれ埋没 衆参議員支援も前県議大敗(朝日)
編集後記

我が村野瀬代表は
『不定期連載、「」では、高市政治の欠陥や弱点や悪政ぶりをいろいろな角度から問い、高市早苗首相の首相としての適性の低さについて検証していきます。
日常生活で政治の話になった時などの活用をよろしくお願いします。』
とおっしゃってます。
基本的人権へのセンス抜群な村野瀬玲奈さんのこの連載、お勧めです。
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参政党が「日本国旗損壊罪」法案を参院に単独提出 神谷宗幣代表、自民・維新と「ぜひ一緒にやりたい」
2025年10月27日 20時20分 東京新聞
参政党は10月27日、「日の丸」を傷つける行為を罰する「日本国国章損壊罪」を盛り込んだ刑法改正案を、単独で参院に提出した。参政党が単独で法案を提出するのは初めて。
自民党と日本維新の会も、20日に署名した連立政権合意書で、来年の通常国会で「日本国国章損壊罪」を制定すると明記しており、参政党の神谷宗幣代表は「ぜひ一緒にやりたい」と呼びかけた。
◆「他国の国旗も、自国の国旗も大事にされなければいけない」
刑法改正案を参院に提出する参政党の神谷代表(左から8人目)ら=国会で(佐藤哲紀撮影)
参政党の刑法改正案では、日本を侮辱する目的で日本国旗などを損壊・汚損した場合に「2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金」を科すとしている。現行の刑法には、他国の国旗などに対する「外国国章損壊罪」が規定されており、それに準じた内容となっている。
神谷氏は国会内で記者団に対し、「他国の国旗はだめで、自国の国旗はいいというのは、いびつだった。他国の国旗も、自国の国旗も大事にされなければいけない」と話した。
法案提出後、記者団の取材に答える神谷宗幣代表=国会内で(村上一樹撮影)
また神谷氏は、7月の参院選で参政党の街頭演説が、「バツ」印を付けた日の丸を掲げた市民らの抗議を受けたことがあったと指摘。「国家に対する冒瀆(ぼうとく)にもなり、早めに法制化しようと選挙中から準備を始めていた」と説明した。
◆「公共の福祉に照らせば、表現の自由で認められるものではない」
参政党はその参院選で14議席を獲得し、非改選議席と合わせて15議席まで勢力を伸ばした。参院では、11議席あれば予算を伴わない法案を単独で提出できる。
神谷氏は「参政党として初の単独法案提出で意義がある」と強調。これまでは国会議員が文書で内閣に答弁を求める「質問主意書」を多用していたが、今後は「質問主意書は極力出さず、すべて法案という形で出す方針に変える」とも語った。
日の丸
刑法改正案の成立に向けた自民、維新との協力については、「目指すところは一緒。こちらからも働きかけるが、向こうからもお声掛けがあれば、ぜひ一緒にやりたい」と話した。自民、維新両党と参政党が賛成すれば、衆参両院とも過半数に達する。
「表現の自由」との関係については、神谷氏は「人権はすべて公共の福祉による制約がかかる」と主張。「国をおとしめることによって多くの人権が傷つけられる。公共の福祉に照らせば、表現の自由で認められるものではない」と述べた。(村上一樹)
「国旗損壊罪」がとことんダメな理由 法案に自民保守からも異論
毎日新聞
2021/2/20 12:00(最終更新 2/22 12:16)
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3875文字
臨時国会開会に伴い、掲げられた日本国旗=国会前で2019年8月1日午前6時59分、玉城達郎撮影
時まさにコロナ禍である。ここで自民党の右派議員たちが繰り出そうとしているのが、刑法の改正により、日本国旗を侮辱目的で破くことなどを罰する「国旗損壊罪」の新設であった。「え、今……?」と絶句したのは記者だけではあるまい。同じ自民党の参院議員、西田昌司さん(62)や民族派団体「一水会」代表の木村三浩さん(64)も首をひねっている。【吉井理記/統合デジタル取材センター】
自民党の議員連盟「保守団結の会」で代表世話人を務める城内実衆院議員や、同会顧問の高市早苗前総務相らが新設を目指す「国旗損壊罪」とは、「日本国を侮辱する目的で国旗を損壊・除去・汚損した人は、2年以下の懲役か20万円以下の罰金を科す」というものだ。
なぜ必要なのか? 刑法は92条で「外国国章損壊罪」を定めている。それなのに日本国旗の損壊罪はない。米国やフランス、ドイツ、イタリア、中国などには自国国旗の損壊罪があり、これは独立国として当然である。ゆえに日本でも国旗損壊罪を作ろう――ということだ。
思わずうなずきたくなるが、日弁連の憲法問題対策本部で副本部長を務める伊藤真弁護士は「果たしてそうでしょうか。もっともらしい理由ですが、この考えにはいくつもの矛盾や問題点が潜んでいます」と苦い顔で首を振る。伊藤さんは資格試験指導校「伊藤塾」の塾長として、法曹界志望者にはおなじみだ。
「まず『外国でもやっているから日本でも』ということですが、米国では確かに連邦法や州法で国旗である星条旗の尊重を課し、冒とく行為を禁じる法律がありますが、例えば連邦法の『国旗保護法』に対しては、米連邦最高裁が1990年に『表現の自由』を保障した合衆国憲法修正第1条に反するとして違憲判決を出して以降、この法律は事実上無効となっています」
米最高裁の判断は、「象徴的言論の自由」を侵してはならない、という考えに基づいているという。
「国旗は尊重すべきだとしても、時の権力を批判する人たちが自国国旗を焼くといった行為は、権力に対する抵抗や反対の意思を象徴する行為であり、これは表現の自由として認めなければならない、という考えです」
伊藤さんが続ける。「例の国旗損壊罪は、この『象徴的言論の自由』を侵すことに他ならない。そもそも日本国憲法が21条で表現の自由を保障しているのは、多数派が不愉快に感じがちな少数意見や異論・異端の表現を守らなければならない、という考えからです」
香港の民主化運動では、中国当局に抵抗する市民が中国国旗(五星紅旗)を燃やし、国家安全維持法によって有罪・投獄されているが、伊藤さんは「自民党は中国共産党と同じことをやりたい、ということにしか見えません」と辛辣(しんらつ)である。
「さらに言えば、高市氏らは第二次大戦で日本と軍事同盟を結んでいたドイツやイタリアを例に引きますが、両国とも戦後は国旗を制定し直しているんです。ナチス党旗であるハーケンクロイツを国旗に制定したドイツに至っては、戦後は国旗を変えたのみならず、これらの掲揚すら禁じている。『外国もやっているから……』というなら、日本もドイツやイタリアのまねをするのでしょうか?」
各国の歴史はそれぞれ違う。これを無視し、外国を引き合いに出すのがいかに無意味か、という指摘である。
ちなみに、国旗・国歌法が成立した99年、政府は「(国旗・国歌法の)法制化にあたり、国旗の損壊等を新たに刑罰の対象とすることは考えていない」とする答弁書を閣議決定(6月11日付)している。この政府答弁との整合性をどう取るか、という問題もある。
「さらに言えば、『侮辱を加える目的で』もあいまいで、これでは当局がいくらでも恣意(しい)的に運用できる。高市氏はインタビューで、国旗の損壊は『国旗が象徴する国家の存立基盤を損なう』『多くの国民が抱いている国旗への尊重の念を害する』と述べていますが、本当にそう感じているのなら、高市氏らは、日本という国はそれほど脆弱(ぜいじゃく)で、国民の誇りや自信はその程度だと考えているのでしょうか。『愛国派』『民族派』の人こそ、怒っているのではないですか」
ならば、と訪ねたのが民族派団体「一水会」代表の木村さん。東京・高田馬場近くの事務所には、日の丸の旗はもちろん、作家・三島由紀夫の遺影、5・15事件を起こした海軍中尉・三上卓の写真が並んでいる。伊藤さんの言う通り、木村さんは怒っていた。
「もちろん私は日の丸の旗を大切にし、尊重する者の一人です。でもね、国を愛する気持ちもそうですが、国旗への敬意、尊重の念というものは、『お上』が法律で国民に押しつけるものではないでしょう。このような法律を作ることには断固反対です」
87年の沖縄国体で、反戦活動家、知花昌一さん(後に読谷村議)が、ソフトボールの試合会場に掲げられた国旗を引きずり下ろし、焼く事件があった。この知花さんとも木村さんは議論を重ねた。
「沖縄には沖縄の事情がある。戦後、米軍政下に置かれ、県民の生命は軽んじられ続けてきた。だからこそ、沖縄の人たちは72年の『祖国復帰』を日の丸の旗を振って喜んだんです。しかし復帰後も米軍基地が置かれ、現実は何も変わらなかった。信じていた日本に裏切られた、という思いは理解できる。だからといって燃やすことは受け入れられませんが、敬意や尊重の念は、自然に芽生えるからこその敬意のはずです」
「治外法権」にも等しい米軍への優遇を定めた日米地位協定の改定を訴える木村さん。2008年の北海道・洞爺湖サミットの時には、イラク戦争(03年)に踏み切った米国への抗議活動を展開した。
「この時は星条旗ではなく、ブッシュ大統領(当時)の写真を示して抗議したよ。自国・他国を問わず、国旗を大切にするのは当然のこと。国旗損壊罪は、それをわざわざ法律で国民に教えるみたいで、日本人の良識を疑っているのか、とすら思えるね。そもそも、日本の尊厳や威信、国土を傷つけているのは、日本国旗を破る人たちではなく、外国軍である米軍に軍事基地を置かせている現実そのものではないか」
さて、冒頭の参院議員、西田さんである。西田さん自身、実は「保守団結の会」のメンバーである。
「先月だったかな、会の集まりで国旗損壊罪を新設するという刑法改正法案を出したい、と聞いたんです。その時は黙っていたんだが、違和感があってね……」
最初に思ったのが、「なぜ今なのか?」だった。
「外国だろうが自国だろうが、多くの人にとっては、国旗を傷つけてはダメだ、というのは分かりきったことです。なのになぜ今、この法律が必要か。その根拠となる『立法事実』がないんです。今の日本で、日の丸の旗が燃やされた、といったことは問題になっていないでしょう。逆に、法律を作ろうとすれば『ならばやってやろう』といった政治運動に火を付けることになるのではないか」
読者も日本国旗が破られた、燃やされた、などという事件はほとんど見聞きしたことはないだろう。中国、韓国などの反日デモや集会で報じられた程度か。

1974年、田中角栄首相訪問時のインドネシアの反日デモ。群衆が日本製自動車や略奪商品を燃やしている=インドネシア・ジャカルタ市内で
余談だが、「アジアの反日国家は中国や韓国、北朝鮮だけで、東南アジアなどは親日国家」という主張を見ることがあるが、戦後早い段階で反日デモが吹き荒れたのがインドネシアやタイなどの東南アジア諸国だった。74年の田中角栄首相(当時)のインドネシア訪問では、反日デモが激化し、田中首相は宿舎をヘリコプターで脱出して空港に向かわざるを得なくなったほど。対日感情が好転するのは後の福田赳夫首相(当時)が日本の軍事大国化を否定した「福田ドクトリン」(77年)を明らかにしてからだ。
それにしても、だ。
立法事実がないなら、なぜこの法律を作ろうとしているのか? 木村さんは「日の丸を利用した政治家の『売名行為』にしか見えない」と憤っていたが……。
西田さんはどう見るか。
「彼らは彼らなりの良識がある。それは疑わない。でも、私に言わせれば、ある種の『成功体験』で動いている面もあると思う」
自民党は09年の総選挙で旧民主党に破れ、下野した後、安倍晋三前首相を総裁にして、「タカ派」的な発言や色彩を強めて政権を取り戻した。自民党は野党時代の12年にも国旗損壊罪と同じ趣旨の法案を提出したが、衆院解散で廃案になった経緯がある。
「今年も選挙の年だが、コロナ禍で自民党に逆風が吹いているでしょ。だから『我々は保守政治家だ』と支持層にアピールするため、『日本国旗の損壊罪がないのはおかしい』といった主張を出してきたようにも映るわけです。私は『保守』を売り物にしたり、声高に看板に掲げたりしてはだめだ、と思う。もし本当にこの法律を国会に出そうとするのなら、私は声を上げますよ」
記者は日の丸の旗には愛着があるし、燃やされるのを見て良い気持ちはしない。だが「国旗」と名付けてみても、その実体は布きれに過ぎないとも言え、仰々しくまつりあげて神聖視するのもどうかと思うし、国旗が破られないように法律で守るより、「表現の自由」を守るほうがはるかに大切だと思う。
再び前出の伊藤弁護士。「国旗が国家を象徴するのならば、その国旗が象徴する国家そのものに、国民が自然に敬意を払える国づくりをすることが先決でしょう。つまり、まともな政治をすること。コロナ禍のさなか、このような法律を作ろうというのは、それができていないことの裏返しに思えます」
議論百出の「国旗損壊罪」。こんな法案を本当に国会に出すのか。自民党の良識に期待したい。
ファクトチェック
深掘り
吉井理記
毎日新聞
2021/4/14 12:00(最終更新 4/14 14:23)
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English version
3185文字
臨時国会開会に伴い、掲げられた日本国旗。自民党の「保守団結の会」が、刑法を改正し、新たに日本国旗損壊罪を新設しようとしているが、党内にも反対論は強い=国会前で2019年8月1日午前6時59分、玉城達郎撮影
気になる話を耳にした。自民党の議員連盟「保守団結の会」が今国会での実現を目指す「日本国旗損壊罪」の新設について、である。なるほど現在の刑法には、日本国旗を破ることなどを罰する条文はないが、同会のリーダー格、高市早苗前総務相らはその理由を「法務省刑事局は『日本が敗戦国だから』と説明している」と主張するのだ。ちょっと待ってほしい。刑法が作られたのは1907年。「敗戦」は関係あるの? 法務省に確認すると事態はおかしな方向に……。【吉井理記/デジタル報道センター】
「自民党法務部会長が法務省に確認した」
国旗損壊罪については2月20日付毎日新聞デジタル(https://mainichi.jp/articles/20210219/k00/00m/010/211000c)で詳しく報じた。自民党内の保守議員や民族派の大物も反対する問題だらけの法案である。
ざっくりおさらいすると、刑法は92条で、侮辱目的で外国の国旗を破ることなどを罰する「外国国章損壊罪」を定めているが、日本国旗に対しては同じような規定はない。諸外国には自国国旗の損壊罪がある。だから日本も刑法を改正し、日本国旗損壊罪を作ろう――というのが「保守団結の会」の主張だ。同会顧問の高市氏らが1月、下村博文政調会長に今国会での法案提出を要請し、下村氏も賛同している。
さて、なぜ外国国旗の損壊罪があって日本国旗損壊罪はないのか?

高市氏のコラムの一部(毎日新聞の取材後に削除)。法務省刑事局が「敗戦国なので、このような形になり、そのままになっている」と説明したとあるが、法務省刑事局は「そのような説明はしておりません」と全否定する
新しい法律を作る根拠となる事実(立法事実)に関わる核心部分だが、高市氏は自身のホームページの1月27日付コラム(https://www.sanae.gr.jp/column_detail1293.html)で次のように書いていた。
<日本が、諸外国の法制度と正反対に、「自国の国旗損壊等」については刑罰規定が無く、「外国の国旗損壊等」については刑罰を設けている理由ですが、奥野信亮(しんすけ)法務部会長が法務省刑事局に確認して下さったところ、「敗戦国なので、このような形になり、そのままになっている」ということだったそうです>
「『敗戦国』は関係ありません」
「敗戦国なので……」というくだりが言わんとすることが「保守」、あるいは右派の言説になじみのない読者には分かりにくいかもしれない。こうした政治家や活動家らに取材してきた記者がかみ砕くとこういうことだ。
日本は第二次世界大戦の敗戦による連合国軍総司令部(GHQ)の占領政策によって、自国を尊重せず、むしろ戦勝国など外国を重んじる「自虐」的な価値観を持つようになった。外国国旗の損壊罪はあるのに、日本国旗の損壊罪がないといった法体系にもそれが反映されている、ということだ。
何せ法務行政をリードする自民党法務部会長の問い合わせに、刑法を所管する「法務省刑事局」がそう答えた、というのだ。思わず「そうなのか」とうなずく人もいるかもしれない。記者も受け流すところだった。
ファクトチェック「誤り」
だが、少しでも法律をかじったことのある人は首をひねるはずだ。というのも現行刑法は1907年制定。国会図書館所蔵の「改正新刑法解釈」(1907年5月、東京法学会編)などを見ても、当時から外国国旗の損壊罪があっても、日本国旗の損壊罪はどこにもない。
早速、法務省に確認する。「敗戦国なので、このような形になり、そのままになっている」といった趣旨の見解があるのか?
刑事局の栗木傑参事官の答えはシンプルだった。「いえ、そうした見解は持っていません。現行刑法に外国国旗の損壊罪があり、日本国旗の損壊罪がないことと、日本が敗戦国であることとは関係ないと考えています」

1999年6月11日付の政府答弁書。刑法に外国国旗の損壊罪があって日本国旗損壊罪がない理由について「刑法制定時の具体的な論議は必ずしも明らかではないが、国家の威信の保護の在り方として刑罰をもって強制することが適当か、という根本的な問題がある」などとしている=2021年4月13日、吉井理記撮影
過去の政府答弁書でも「全否定」
やはり……。実は国旗・国歌法が国会で議論されていた99年、当時の小渕恵三内閣は、刑法に日本国旗損壊罪が設けられていない理由について、「刑法制定当時(1907年)の具体的論議は明らかではないが、国家の威信の保護の在り方として、刑罰で強制することが適当かという根本的な問題があるほか、他人が所有する国旗の損壊などについては器物損壊罪が適用されることなども考慮されていると考えられる」との答弁書を閣議決定(6月11日付)していたのだ。
栗木氏が続ける。「この時の政府答弁書の見解は現在も変わっていません。今の刑法は1907年に制定されましたが、当時から日本国旗の損壊を処罰する規定はないんです」
付け加えれば、刑法は戦後、大逆罪(天皇などに危害を加えようとした者は死刑)などを削除したり、95年にカタカナ書きだった条文をひらがなの口語体に改めるなどの一部改正はあったが、1907年の制定当時と大枠は変わっていない。
さて、高市氏によると「法務省刑事局に確認して下さった」という奥野氏。第2次安倍晋三政権以降は副法務相や衆院法務委員長を務め、現在も党法務部会長である。刑法に詳しいはずだが、高市氏の言う通り、本当に「敗戦国だから……」という説明を法務省はしたのか?
栗木さんはここでも明快だった。
「国旗損壊罪に限らず、法務省が所管する法令については、要請があれば議員の方々に説明しています。奥野議員直接なのか、あるいは他の議員の方から聞かれたのかはさておき、(法務省から)何らかの説明がなされたとは思います。ですが『敗戦国なのでこのような形になっている』という趣旨の説明はしていません。前述の通り、刑法制定当時から日本国旗の損壊を罰する規定はないんです。その理由については、繰り返しになりますが、99年6月11日付政府答弁書の見解をそのまま有している、ということです」
これで刑法改正?
当の法務省が高市氏らの言う「法務省の見解」なるものを全否定しているのだ。少なくとも「法務省刑事局によれば『敗戦国なので、このような形になり、そのままになっている』ということだった」は誤りである。なぜそんな話になったのか?
まず奥野氏本人に経緯を確認した。
「私の理解するところでは、旧憲法には日本国旗を損壊することを罰する条文があった、と。それが敗戦で新憲法の時になくなった。法務省刑事局の幹部にそう聞いたと記憶している。間違っているかもしれないが、そういう話を(高市さんらに)したと思う」
旧憲法は全76条からなるが、そのような条文はない。さらに言えば、99年の国旗・国歌法の制定まで、大日本帝国時代を含め、日本に国旗を規定した法律はない。31年の帝国議会で、日の丸を国旗と位置づけ、「国旗の取扱は厳粛を旨とし、いやしくも尊厳を汚瀆(おとく)すべからず」とする「大日本帝国国旗法案」が議員提案されたが、審議未了で廃案になった。もちろん「敗戦」とは何の関係もない。

インタビューに答える高市早苗前総務相=東京都千代田区の衆院第一議員会館で2020年11月25日、滝川大貴撮影
ただ、奥野氏のために付言しておくと、奥野氏は「今、日本国旗を破いたり、燃やしたりすることが社会問題になっているわけではない。常識で判断する話ではないか」として、国旗損壊罪の新設には反対の立場だ。つまり、この問題に深い関心を抱いている様子はない。
ならば実際に法律を作ろう、と動いている高市氏はどうか。高市氏の事務所の担当者によると「直接、奥野議員から聞いた話ではなく、(保守団結の会代表世話人の)城内実衆院議員に奥野議員に聞いてもらったところ、『敗戦国だから……』という話だったそうです。つまり伝聞です」とのこと。高市氏の事務所は毎日新聞が取材した13日午後以降、ホームページ上のコラムから問題の記述を削除した。
うーむ。繰り返すが、高市氏やここに登場する城内氏は、刑法を改正して国旗損壊罪を作ろう、という立場である。刑法の歴史や最低限の事実を踏まえていれば、記者ですら首をひねった「敗戦国だから……」論のおかしさに気づくはずだ。人権に直接関わる刑法の議論をしている国会議員として、あまりにお粗末ではないか。
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