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今日のブログ記事の末尾に載せたように、毎日新聞が
「治安維持法施行100年 治安維持法を想起させるスパイ防止法案への懸念 安田浩一さんが語る」
という記事を掲載しました。
スパイ防止法に対する警鐘であると同時に、その立法化を進める参政党への警戒を呼び掛けるインタビューでもあります。
安田さんは現在のジャーナリストで反差別などにかけては当代随一のジャーナリスト。
この人に4000字以上のインタビューを刊行した毎日新聞は、先週も参政党特集を最終的に5本も記事を出してやりましたし、いま、参政党を最も警戒しているメディアの一つと言えるでしょう。
この記事の冒頭のリード文は
「いわくつきの法案の話題が今、再燃している。
<スパイ防止法が議論される際には、反対派が治安維持法を引き合いに出してくることが予想されます。皆さんも事前に歴史的背景を知っておいてください>
火付け役は7月13日にX(ツイッター)で注意喚起した参政党の神谷宗幣代表。同党は夏の参院選で大幅に議席を伸ばし、40年前の国会で廃案となったスパイ防止法案を秋の臨時国会に提出する構えでいる。」
から始まります。
今、石破政権崩壊の危機に当たって、解散総選挙もありうるという話になっていますが、今年中に衆議院選挙があったら、まだ化けの皮がはがれ切っていない参政党が現有3議席から数十議席を獲得して大躍進し、スパイ防止法にまい進することは確実でしょう。

参政党の秘密を暴く。毎日新聞が参政党分析4連発。『スクープ 参政党、地方で他党と連携拡大 自民が最多14議会 維新・立憲とも』『「GHQが洗脳」参政党に地方議会困惑 “数”優先で連携する他党も』。
差別と闘ってきた安田さんは
「差別する側のロジックは単純で『日本をおとしめるやつらがいるから排除や取り締まりが必要』というもの。似た理屈で弾圧対象を定めた治安維持法は私にとって今の問題なんです」。
「参政党の主張は既視感だらけで、目新しいものではありませんでした」
「泡沫候補が差別を助長する話題を口にすることはよくあります。
でも、参政党は治安維持法やスパイ防止法というワードを積極的に持ち出す姿を日本の選挙運動の景色に溶け込ませ、実際に議員を輩出しました。そこに危機感を覚えます」
と語ります。
スパイ防止法を作ろう。 https://t.co/hPrUArua8O
— 神谷宗幣【参政党】 (@jinkamiya) 2025年7月12日
治安維持法を肯定する参政党が参院選の公約にしたスパイ防止法について自民党、国民民主党、日本維新の会、日本保守党と協力し「私たちが是々非々で政策協力し政策を実現していく」と言い出した。
安田さんは、治安維持法について
「『あいつはアカだ』などと侮蔑する古典的な表現は今も使われ、治安維持法にみられたロジックは今世紀にも生きています。
目的遂行罪のように『敵はつるし上げろ』『片っ端から弾圧しろ』との発想です。
インターネット上で顕著ですが、現実社会でも差別的な運動の現場などで常態化しています」
と、現代にも生きていると話します。
そのうえで、参政党の危険性について
「私や、日本に暮らす外国人を地道に支援するような人々が差別と偏見に基づいて『工作員』扱いされ、弾圧の対象に仕立てあげられるのではないか」
と指摘しています。
是非お読みください。

参考記事
村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより
「スパイ防止法が絶対にダメな理由をメモします。
スパイ防止法の本当の目的はスパイではない自国民の監視と弾圧という、自由のない、思想統制の完成した暗黒国家をつくることだから。
スパイ防止法は統一教会の悲願だから。」
スパイ防止法を絶対に成立させてはいけない理由 (メモ) #スパイ防止法は現代の治安維持法 スパイ防止法制定は文鮮明の悲願
安田浩一さん関連の記事
アベノリスク5 ネトウヨ・ネオナチと化して、人が憎しみ合うヘイト社会を創る安倍極右政権
安倍自民党政権がヘイトスピーチ社会を作っている。安倍・麻生・伊吹・下村・高市・新藤・稲田・萩生田。
在特会の徳島教組襲撃事件。高裁が支援者日本人への攻撃でも人種差別と認定、地裁の倍額の賠償命令。
【祝】ヘイトスピーチ規制法案 参院法務委員会を全会一致で可決!今国会で成立予定に!!
「女は30歳で子宮を取れ」という百田尚樹氏の日本保守党と「アホみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう」という立花孝志氏のNHK党は実にお似合いのコンビだ。参政党と共に日本掃きだめ党を結成せよ
編集後記

毎日新聞はこのインタビューの前に
高市早苗議員と神谷宗幣代表の写真を冒頭に掲げた
『もう「新しい戦中」前夜なのか… 歴史に学ぶスパイ防止法下の社会とは 横行する当局の世論操作』
という記事も掲載しています。
その記事を末尾にご紹介したので併せてお読みください。
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いわくつきの法案の話題が今、再燃している。
<スパイ防止法が議論される際には、反対派が治安維持法を引き合いに出してくることが予想されます。皆さんも事前に歴史的背景を知っておいてください>
火付け役は7月13日にX(ツイッター)で注意喚起した参政党の神谷宗幣代表。同党は夏の参院選で大幅に議席を伸ばし、40年前の国会で廃案となったスパイ防止法案を秋の臨時国会に提出する構えでいる。
これに対し、「神谷さんこそ歴史を知ってください」と返すのは、ノンフィクションライターの安田浩一さん(60)だ。参院選直後の7月24日、出演するユーチューブのトーク番組「NO HATE TV」で治安維持法制定100年をテーマに取り上げ、これを「参政党研究の一環」と位置づけた。根底には、政権与党の自民党も積極的に触れてこなかった治安維持法の話題を自発的に持ち出し、正当化するかのように語る参政党への危機感がある。
参政党の主張「既視感だらけ」
「私は、治安維持法の時代に国やメディアが一緒になって共産主義者や社会に物言う人々を弾圧したのと同じような熱や空気を日々、感じてきました」。インタビュー冒頭から、安田さんの重々しい言葉が続いた。

21世紀初頭からのフリーライター生活で、差別を扇動する人たちから「治安維持法を復活させろ」「スパイ防止法をつくれ」と発せられるのを繰り返し耳にし、問題を取り上げた安田さん自身も「反日」「売国奴」「工作員」と吐かれることも日常茶飯事だという。
「差別する側のロジックは単純で『日本をおとしめるやつらがいるから排除や取り締まりが必要』というもの。似た理屈で弾圧対象を定めた治安維持法は私にとって今の問題なんです」。排外主義的風潮を強めると懸念される「日本人ファースト」のキャッチコピーを掲げる参政党を安田さんが厳しく監視するのも当然だ。「参政党の主張は既視感だらけで、目新しいものではありませんでした」
排除のパワーワードが選挙の景色に
安田さんが危惧するのは国政政党が選挙運動でも排他的な話題に触れ、一定の支持を集めている点だ。「泡沫(ほうまつ)候補が差別を助長する話題を口にすることはよくあります。でも、参政党は治安維持法やスパイ防止法というワードを積極的に持ち出す姿を日本の選挙運動の景色に溶け込ませ、実際に議員を輩出しました。そこに危機感を覚えます」
例えば、参院選さなかの7月12日に鹿児島市内であった神谷氏の街頭演説。制定100年を迎えた治安維持法に触れた。
「悪法だっていうけど、共産主義には悪法でしょうね。共産主義を取り締まるためのものですから。彼らは皇室を天皇制と呼び、打倒して日本の国体を変えようとしていたから」。さらに続けた。「でも自分たちだけでは変えられなかった。彼らは何をしようとしたか。政府の中枢に共産主義者とかを、スパイを送り込んでいくんですね。そして日本が中国、アメリカ、そういったところと戦争をするように仕向けていったんです」
参政党は神谷氏が編著を担った本などで、太平洋戦争は日本による侵略戦争との見方を否定し、米国などに抵抗した自衛の戦争だったとの主張を繰り返してきた。
安田さんは、神谷氏の指摘する共産主義者が「誰をイメージしているのか分からない」と前置きし、同党の戦争観の「ブレ」を指摘する。「共産主義者にスパイを送り込まれて勝手に起こされた戦争なのか、(アメリカ、イギリス、中国、オランダの)ABCD包囲網に対抗する自衛のための正しい戦争だったと肯定するのか、どっちなんだって話です」
「NO HATE TV」では日本の軍国主義が侵略と植民地支配を拡大したとし、それにあらがった共産党員や反戦主義者らが治安維持法違反容疑で逮捕された過程を説明したが、取材で次のように補足した。「共産党は弾圧の筆頭になりましたが、俳句会などの文化団体や宗教団体、朝鮮半島では独立運動に関わった人たちがことごとく逮捕されました。政府が植民地主義を守るには『異論の排除』が必要不可欠で、治安維持法が共産主義者にだけ網をかけた法律でなかったのは明らかです」
歴史誤認をもいとわず発信を続ける参政党。「自民党は曲がりなりにも『自由』と『民主』をうたい、治安維持法に多くの人がアレルギーを持つことを理解していました。だから、この話題を正面から打ち出すことはしませんでした」
参政党かいわいでは自分たちが気に入らない人物や言説を排除する「記号」として「治安維持法」などの「パワーワード」が用いられる傾向があるとみる。「神谷さんには聴衆を自分のマーケットに引きずり込む手段として『治安維持法』という言葉を使うのは効果的だ、との自信があったのだと思います」

治安維持法やスパイ防止法案についてインタビューに応じるノンフィクションライターの安田浩一さん=大阪市北区で2025年8月19日、中川祐一撮影
現代に生きる「目的遂行罪」の発想
安田さんは、旧ソ連・スターリンの「大粛清」や中国・毛沢東による「文化大革命」など多くの国民を犠牲にした共産主義国家の悲劇を「全否定する」と述べる。さらに「自分は共産主義者でもない」と断った上で、治安維持法が共産主義者以外をも取り締まったことを指摘し、特定の思想を弾圧した法制度そのものを批判する。
「さまざまなイデオロギーが混在する中で民主主義は発展します。当時、実際に国内の共産主義勢力が国家転覆を企てて暴力革命が起きていたかというと可能性は極めて低く、それほど浸透はしていなかったと思います。暴力革命を否定する議論はあってもよいですが、特定の思想を取り締まる法制度は必ず変容して民主主義社会を崩壊に導きます。それこそ危険な思想です」
同法の歴史が暴走を物語る。1928年の改正で、捜査当局が共産党員の「協力者」とみなせば党員でなくとも検挙できるとした「目的遂行罪」の規定が導入され、恣意(しい)的運用が横行。反戦主義者など国家の方針に背く者にも「アカ(共産主義者)」のレッテルが貼られた。
「『あいつはアカだ』などと侮蔑する古典的な表現は今も使われ、治安維持法にみられたロジックは今世紀にも生きています。目的遂行罪のように『敵はつるし上げろ』『片っ端から弾圧しろ』との発想です。インターネット上で顕著ですが、現実社会でも差別的な運動の現場などで常態化しています」
よみがえるニーメラー牧師の言葉
<治安維持法が後に拡大解釈され、思想弾圧などに用いられた事実は承知していますし、それを肯定するつもりは毛頭ありません。(略)だからといって「スパイ防止法=治安維持法」と決めつけて、国家の安全保障の議論を封じるのは違うと考えています>
神谷氏は冒頭のXの投稿で、自分は治安維持法に賛同していないと強調した。
これに歩調を合わせてきたのが自民党だ。85年、同党は議員立法を目指し、スパイ防止法案と呼ばれた国家秘密法案を国会に提出。当時の中曽根康弘首相も「日本はスパイ天国である」と繰り返し、法整備の重要性を訴えた。法案は防衛上の国家機密を漏らした場合に最高刑を死刑とする内容で、後に修正はされたが、野党や自民党の若手議員からも反対論が出て廃案となった。
「スパイ防止法は明らかに治安維持法と類似している」と安田さん。参政党のスパイ防止法案の詳細はこれからだが、「私や、日本に暮らす外国人を地道に支援するような人々が差別と偏見に基づいて『工作員』扱いされ、弾圧の対象に仕立てあげられるのではないか」と懸念する。
再び強調するのは、言葉が実体を伴わない空疎な「記号」と化している点だ。資本主義の矛盾をついたドイツの哲学者カール・マルクスの思想など共産主義の中身や歩んだ道のり、過去の弾圧被害に目を向けないまま、異論を排除する代名詞のように「共産主義」の言葉が使われている。それは「反日」「工作員」「売国奴」などの別の言葉でも同様だ。
「参政党のイメージする『スパイ』も記号的な言葉の延長でしかないと感じます。非常に手軽にスパイ防止法を適用しようとしているのではないか」。動機はカジュアルに、中身は深刻に――。これが安田さんが思い描く悪いシナリオだ。
思い出すのは、ドイツの牧師で反ナチス運動の指導者だったマルティン・ニーメラーの言葉だという。
<ナチが共産主義者を襲ったとき、自分はやや不安になった。けれども自分は共産主義者でなかったので何もしなかった。それからナチは社会主義者を攻撃した。不安はやや増大したが、私は社会主義者ではなかったから、やはり何もしなかった。それから学校が、新聞が、ユダヤ人が、と次々攻撃された。その度に自分の不安は増したが、なおも何事も行わなかった。ナチはついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した。しかし、それは遅すぎた>
安田さんはこう警鐘を鳴らす。「安全保障や治安を名目に権力が私たちの行動や表現に制約をかけることに慎重であるべきです。傍観していると、『自分は無関係』と思っていた人が取り締まられるかもしれません」【石川将来】

タレントのタモリさんが、日本の世相を「新しい戦前」と評したのは2022年末のこと。それから2年後の今、戦前ムードたっぷりの法律を作ろうという動きが永田町で広がっている。その名もスパイ防止法。戦前の歴史に学びつつ、未来の日本を考えた。
B級映画マニアの間で「怪作」と呼ばれる作品がある。
「暗号名 黒猫を追え!」(1987年)。映画の版元は「スパイ防止法制定促進国民会議」なる団体だ。主人公は公安刑事。彼とその3人の友人を軸にした物語だが、驚くことに友人全員が他国のスパイなのだ。しかも、である。友人の恋人も友人の妹の夫もみなスパイ。ひたすらスパイ行為を罰する法を求めたプロパガンダ映画だ。
映画の存在を教えてくれたのは80~90年代に統一教会で活動し、後に脱会したある宗教関係者。「制定運動の中心にいたのが勝共連合です。自民党に働きかけ、映画上映会も開いたらしい。世論の反対や冷戦終結で長らく運動は下火でしたが、安倍晋三氏の再登板後の17年ごろから中国を仮想敵国に据え、運動を活発化させています」
今や高市早苗・前経済安全保障担当相ら自民党の右派議員だけでなく、一部の野党もスパイ防止法の必要性を訴え、参政党に至っては秋の臨時国会で法案を出す可能性もあるのだ。

「歴史研究者の私からすると戦前にシンクロする世相です。もはや戦前ではなく、『新しい戦中』前夜の段階だと見ています」とは、戦前・戦後の治安体制に詳しい小樽商科大名誉教授の荻野富士夫さんの感想だ。
当時は安倍政権のもと、内心の自由を脅かしかねない特定秘密保護法や共謀罪法が相次いで施行された。後述するが、戦前も秘密保護を名目にさまざまな法律が作られた。その歴史に重ねた言葉だった。
教訓とは何か? その前に、スパイ防止法についておさらいしておこう。与野党とも法案を示していないので、自民党が85年に国会に提出した「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」を参考にする。
それによると、防衛や外交の情報を「外国に知らせるために、または不当な方法で探ったり、集めたりすること」をスパイ行為として罰し、最高刑は死刑だ。「知る権利を脅かす」といった批判が噴出して廃案になったが、40年を経て復活しようとしている。再び荻野さん。
「戦前も治安維持法を中核として、軍機保護法や軍用資源秘密保護法、国防保安法など、治安維持やスパイ防止を名目にした法律が続々と作られました。特に軍機保護法はスパイ防止の中心になった法律です」
日露戦争(04~05年)前の軍拡が進められていた1899年施行の法律だ。軍事機密と知りながら情報を探るものは「重懲役」に処す、とされた。「当時の新聞では、特に日露戦争中に同法での摘発が多く報じられ、『露探』『売国奴』といった言葉を用い、勧善懲悪的に報じたことが分かります」
戦時ムードが高まると脚光を浴びる奇妙な法律でもあった。ロシア公使館武官に軍港などの情報を教えたとされた男性が同法違反に問われたが、新聞は男性を「露犬」とまでののしり、反露感情をあおった。
だが戦争が終わると一転、こうした報道は姿を消す。第一次世界大戦は日本との関わりは薄く、大正デモクラシーのもと、法の廃止も議論された。
「状況が一変するのは30年代です。満州事変が31年に起き、やがて総力戦体制に移行していくのですが、36年から軍機保護法違反事件が立て続けに紙面を飾り、『日本はスパイ天国』といったキャンペーンが張られるのです」
36年6月にはマニア向けの軍事雑誌の読者らが機密を探ったとして同法違反に問われた。新聞は重大事件として大々的に報じた。だが実は関係者の多くは中学生で、2年後に不起訴になったというオチがつく。
「法改正してより広く法の網をかぶせ、厳罰化してスパイ防止体制を強化したい当局の世論操作です」と荻野さんは手厳しい。経済安保事件とされながら、全くの冤罪(えんざい)だった大川原化工機事件が頭をよぎる。
翌37年に日中戦争が始まるとついに軍機保護法が全面改正され、最高刑は死刑になり、何が機密なのかも政府が裁量する幅が広がった。「戦時中、同法違反として処罰された事件は数としては多くはありません。それでも高い建物から写真を撮っただけでしょっぴかれ、人々が萎縮する社会を招いたんです」
こんな法律がなぜ成立したか。実は、そもそもの軍機保護法もその改正法も、政府は成立前は「慎重に運用する」などと言明していた。
「特に改正軍機保護法は『言論弾圧ファッショ政治が出来る』(37年3月31日付朝日新聞)と世論は批判的でした。政府はこれを否定し、その旨の付帯決議まで盛り込んで世論を安心させようとしましたが……」
政府は約束を守らず、やがて帰還兵が戦況を話したり、新聞記者が軍の配置図を自室に貼ったりするだけで警察に引っ張られるようになる。「国民にもメディアにも、戦争や軍事は『知るな、見るな、話すな』という事なかれ主義におちいるとともに、スパイ防止という名目で、国民が戦争の現実を直視する機会を奪うことになったのです」と荻野さんは指摘する。
ちなみに米国では、71年にベトナム戦争の極秘文書を新聞社に提供した元国防次官補佐官、ダニエル・エルズバーグ氏が米スパイ防止法違反で起訴(後に公訴棄却)されている。スパイ防止法は、為政者が不都合な事実を隠すための「煙幕」になってきたことにも注意したい。
疑念だらけのスパイ防止法の制定に自民党右派などが前のめりなのは前述の通りだが、自民党内にはこの動きと距離を置く人もいる。
右派と目されるある参院議員も「法制定は中国政府が日本人ビジネスマンをスパイ扱いすることへの対抗措置だが、彼らと同じ土俵にのるべきなのか。国民の不安の声も無視できない」と首をひねる。法の成立を許すかどうかは世論しだいだ。
冒頭の映画で、主人公は「スパイになりたくてなるやつはいない」と独白する。スパイ防止を叫ぶより、歴史に学び、隣国との友好を深めることが最大の安全保障ではなかろうか。【吉井理記】
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