
ロシアが占領しているウクライナ領土どころか、まだ占領していないところまでロシアに引き渡すというのだから、この「停戦」協議はロシアによる侵略推進のための道具にすぎない。
トランプ大統領とプーチン大統領が来週にも米露首脳会談を開催すると発表。侵略したロシアが占領したウクライナの領土については「正式な認定を最長99年先送りにすることで事実上ロシアの支配を認める」(呆)。
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1日天下かもしれないので是非ご覧ください(笑)。
ロシアのプーチン政権が2025年2月24日からウクライナを侵略しているウクライナ戦争について、アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領による首脳会談が2025年8月15日にアメリカのアラスカ州で予定され、ロシア大統領府の高官は
「ウクライナ危機の長期的で平和的な解決に向けた議論に両首脳が集中する場になる」
としています。
しかしロシアの資源(アセット)と呼ばれるくらいロシア寄りの姿勢が露骨なトランプ氏に公平な仲介役などできるわけがありません。
どうせ、前から公言しているノーベル平和賞受賞という私欲が目的なのでしょう。

プーチン大統領が本音全開演説。「ロシア人とウクライナ人は1つの民族だ」「その意味ではウクライナ全土が我々のものだ」「我々には古くからのルールがある。ロシア兵が足を踏み入れた場所は我々の領土だ」(呆)
まず、この「停戦」協議が酷いのは、ウクライナのゼレンスキー大統領が自分も関与すべきだと主張しているのにそれを無視して、当事国であるウクライナの頭越しに行なわれることです。
これはイスラエルのネタニヤフ政権がガザ地区に侵攻しているガザ戦争でも、トランプ氏が自分と持ちつ持たれつで親しいネタニヤフ首相とだけ話してパレスチナ住民の意志は無視して何でも決めてしまおうとしているのと全く同じです。
トランプ大統領は国際法に違反して突然イランの核施設を攻撃してイランをねじ伏せようとしたように、力あるものが国際法に反して弱い国を力でねじ伏せて言うことを聞かせることをむしろ当然と考える「力の信奉者」なのですが、ガザでもウクライナでもその悪影響は甚大と言えるでしょう。

ガザで集団飢餓が拡大し住民1000人以上が飢餓により死亡。住民と共に飢えて力尽きる医師や記者が続出。「ガザ人道財団」をでっちあげて食料を求めるガザ市民を狙い撃ちにするネタニヤフとトランプを許すな。
もちろん、ウクライナという国家が停戦や和平に応じるか応じないか、その内容をどうするかはウクライナという国だけが決められることです。
この権能を国家主権といいます。
そしてウクライナという国家の最終方針を決められるのはウクライナの主権者であるウクライナ国民だけです。
この権利を国民主権と言います。
まあ、ウクライナの国家主権を無視して侵略しているロシアのプーチン大統領が、自分に都合のいい停戦条件を獲得するためにウクライナの意向を無視するのはむしろ当然です。
しかし、停戦の仲介役をしようというトランプ大統領がウクライナの頭越しにウクライナの政権と市民の意向を無視して停戦条件を決めようとしているのは言語道断で、トランプ大統領はノーベル平和賞どころかそもそもウクライナ停戦協議に関わる資格がないというべきです。

ロシアのプーチン大統領も親露派のアメリカのトランプ大統領もトルコでのウクライナ戦争の停戦協議に現れず。やはりウクライナ戦争の停戦を妨害しているのは侵略国であるロシアのプーチン大統領だ(当たり前)。
そこでその米露首脳会談を前にイギリスやフランス、ドイツなどヨーロッパ各国の首脳は8月9日に共同声明を発表し、「トランプ大統領の取り組みを歓迎する」と前振りした後で
「ウクライナの平和への道は、ウクライナ抜きでは決められない」
と指摘しましたが、これこそ外交や国際法の常識です。
そして欧州首脳は
「国境を力で変更してはならないという原則に引き続きコミットしていく」
として、米露首脳会談で、ロシアが主導する形でウクライナの領土をめぐる問題が一方的にアメリカと協議されないか警戒感を示しました。
また、アメリカの有力紙である「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)は同日、領土をめぐる問題などを話し合う前にまずは停戦すべきだという案をヨーロッパ各国がアメリカ側に伝えたと報じています。
これにはウクライナとロシアの和平を求める世界の誰も異論がないところでしょう。


欧州・ウクライナがトランプ米大統領に領土交渉や対露制裁緩和よりも停戦実現を優先する現実的な停戦案を提示。ウクライナに「たかが領土」だ、即時停戦しろと主張し続けてきた「今こそ停戦を」一派も納得の案だw
さてこの米露首脳会談に実はさらに酷い話があります。
米国のウィットコフ中東担当特使は8月6日にモスクワを訪問してプーチン大統領と会談したのですが、 WSJによると、プーチン大統領は ウィットコフ氏に対し、ウクライナ東部ドネツク州全域から軍を撤退させることに ウクライナが 合意すれば、完全な停戦に応じると述べたというのです。

ロシアのプーチン大統領は2025年8月6日、首都モスクワを訪問した米国のウィットコフ中東担当特使と会談した。
『ロシア、ウクライナに事実上の「降伏」を要求』(朝日)。『ロシアの和平案 事実上の「降伏勧告」で和平見通せず』(産経)。伊勢崎賢治氏らウクライナだけに「即時停戦」を求める「今こそ停戦を」派は降伏論者だ
ロシアが2022年9月にウクライナ4州の強制併合を宣言したのでそれらの州についてはロシア軍が全域を占領済みであるというイメージがありますが、実はロシアは2025年8月現在、ウクライナのドネツク州全体の占領を目指して攻勢を続けているものの、各州の全ては制圧できていません。
例えばロシア軍はドネツク州の中部拠点「アウディーイウカ」は制圧したものの、重要都市「ポクロフスク」も押し込まれているけれども、それら同州西部地域はウクライナ軍が防御を続けています。
米国のシンクタンク戦争研究所(ISW)によると、ロシアがドネツク州の残り約8559平方キロメートルの地域を占領するには、現状の進軍速度の場合さらに2年以上かかると分析しています。
ドネツク州の面積は全部で2万6517平方キロメートルであり、そのうち西部の約8500平方キロメートル程度はウクライナが持ちこたえているとされていて、ロシア軍は3割以上を占領できていないのです。
ですから、プーチン大統領の目論見はドネツク州でまだウクライナ軍が実効支配している8500平方キロメートルものウクライナ領を2年もの時間をかけず、自軍に損害を負わずに労せずして分捕ってしまおうというところにあるわけです。



トルコでの停戦協議でロシア側がウクライナを威嚇し「ロシアは永遠に戦争を続ける用意がある」 「この場にいる誰かがさらに多くの愛する人を失う」。ウクライナ戦争即時停戦の障害はプーチン政権の存在そのものだ
先ほどのISWによると、ロシア軍は2024年に、1平方キロ当たり58人前後の死傷者を出しています。
ウクライナ大統領府のパウロ・パリサ副長官によると、ロシア軍は2025年半ばまでに1平方キロ当たり167人の死傷者を出していると報告しています。
もしロシア軍がそのペースでドネツク州全域を我が物にしようとすれば、1平方キロ当たり100人の兵士が死傷するとしても85万人の兵士を新たに失うことになります。
米戦争研究所(ISW)のデータに基づくAFPの分析によると、ウクライナに侵攻するロシア軍の月間制圧面積は2025年7月に、2024年11月以来最大の634平方キロとなったそうですが、その成果が今後全部ドネツク州で得られたとしても、ロシアによるドネツク州全域の制覇には1年以上がかかります。
そもそも、ウクライナの国土の総面積はおよそ60万3500平方kmで、今もうそのうちの19%ほどがロシアの占領下にあるのですが、現在の進軍ペースと損耗率が続くと仮定すれば、ロシア軍がウクライナ全土を占領するのは200年以上かかって2256年になり、その人員の損耗は1億100万人に達する計算になるとのことです。
ちなみにロシアの現在の人口は1億4400万人です。

自国兵士の命を顧みない「肉ひき器」戦術でロシア軍がチャシウヤールの東端地区を制圧したが、3カ月で10万人損耗。自国民の命さえ一顧だにしないプーチン政権が占領地でウクライナ人を犠牲にするのは必然だ。
これは計算上のことですが、このように米露首脳会談でプーチン・トランプ両大統領がもくろんでいるのは、米露の協議でロシアがまだ占領していない地域までロシアに与えるという、ロシア軍による侵略の促進です。
ロシア軍は我々の想像以上にウクライナ戦争で苦労しており、ロシアの支配地域2割をウクライナ軍が力で奪還するのも無理ですが、ロシアがウクライナの領土残り8割を占領して支配するのもロシア軍の力だけでは無理なのは確かです。
だから米露の協議でウクライナから領土をロシアに渡させてしまおうというのですからむごい話です。
それでも、米露首脳会談の内容でも停戦をしたいとウクライナの主権者であるウクライナ人が求めれば、それは即時に停戦をすべきです。
しかし、ロシア軍に占領されると住民には拷問・強姦・処刑や子どもたちの強制連行が待っている今の現状で、ウクライナに米露の言う通りの停戦=降伏をしろと言ってもウクライナ市民のほとんどがそっぽを向くでしょう。
実際には、プーチン政権がそんな犠牲を払わなくてもドネツク州からウクライナ軍を一掃してロシア軍が占領できるようになる、ウクライナ市民を犠牲にしてロシアだけが得をする、それがプーチン大統領とトランプ大統領とで決めようとしている「停戦」協議なのです。
ウクライナ市民の意向を完全に無視する欲得づくの酷い話だとは思いませんか。

トランプ大統領のウクライナ戦争和平構想がロシアの侵略を是認し、ロシアが侵略したクリミア半島併合を承認し、ウクライナのNATO加盟を排除するという親露派丸出し。ゼレンスキー大統領が呑めなくても仕方がない
参考記事
フォーブス
現在のペースならウクライナ全土占領は230年後、ロシアの軍資金と戦意はいつまで持つか
フォーサイト
2025年、ロシア・ウクライナ戦争の停戦をめぐる注目点 その1:戦線の現状と両国の継戦能力
編集後記
それでもなにがなんでもウクライナはトランプ大統領の停戦案を飲むべきだという親露派トランプ信者もいるのですが、
「トランプ支持者に共通する“ダークな性格”?──米研究が明かす驚きの心理傾向」
「トランプ支持者は、マキャベリズム(目的のためには手段を選ばない)、ナルシシズム、サイコパシーといった性格特徴が強く、これらは他人を操作する傾向、自分への特権意識、感情的な冷淡さ、反社会的行動などを意味する」
とあって、なるほどなと思わずにはいられませんでした(-_-;)。
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【モスクワ=桑本太、ワシントン=飛田臨太郎】トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が15日、米国のアラスカ州で会談することになった。トランプ氏が8日、自身のSNSで明らかにした。トランプ氏はロシアとウクライナの「領土交換」を提起しているが、米ロ首脳会談で停戦への道筋をつけられるかは見通せない。
米ロ首脳が会談するのは2021年6月の当時のバイデン大統領とプーチン氏以来、およそ4年ぶり。22年2月に始まったロシアのウクライナ侵略後は初めてとなる。
トランプ氏は8月8日までにロシアが停戦に応じなければ追加制裁を科すと表明していたが、会談の開催決定を受けて発動を見送った。7月以降はウクライナへの攻撃を激化させたロシアに厳しい姿勢をみせていたが、再び融和姿勢に転じつつある。
トランプ氏は8日に「いくつかの領土を交換し、両者にとってより良いものにするつもりだ」と言及した。「非常に複雑だ」とも述べ、停戦条件を巡る協議は容易でないとの見方を示した。

条件闘争はすでに始まっている。
米ブルームバーグ通信は8日、関係筋の話として、プーチン氏がウクライナ東部ドンバス地域(ドネツク、ルハンスク両州)や南部クリミア半島の領土割譲を求めていると伝えた。
ロシアが一方的に併合したウクライナ東・南部4州(ドネツク、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージャ)のうち、ヘルソン、ザポリージャ両州については現在の前線で攻撃を停止することを停戦案として検討しているという。
ロシアはこれまで、制圧を進めるウクライナ東・南部4州について、ウクライナ軍の撤退と国際的な承認を求めていた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、領土交換案を含め「占領者に土地を明け渡すことはない」と反発し、ロシアへの一部領土の引き渡しを拒んだ。
ウクライナ侵略は8月で3年半となり長期化している。米ロ首脳会談で停戦を仲介する米国がロシアとウクライナの双方にとって受け入れ可能な停戦条件を示せるかが最初のハードルとなる。

早期停戦を急ぐトランプ氏に対し、プーチン氏の狙いは時間稼ぎだという指摘はある。
プーチン氏は1日の記者会見で停戦条件で譲歩しない方針を改めて示した。ロシアとウクライナは7月に3回目の直接協議を開いたが、ウクライナが無条件での即時停戦を訴え、ロシアは「危機の根本原因の除去」を求めて議論は平行線をたどった。
その間にもロシア軍はウクライナ東部ドネツク州などで攻勢をかけており、ロシア国防省は7月31日、同州の要衝であるチャシフヤールを制圧したと発表した。戦況面で優位に立つロシアからは停戦協議で時間を稼いで、自国に優位な状況での決着をめざしたいとの思惑が透ける。
ロシアは米国との経済協力もちらつかせ、融和姿勢をみせるトランプ政権との外交関係の改善も探る。ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は9日、アラスカや北極圏で「相互に利益をもたらすプロジェクトが見込まれる」とも言及した。
停戦合意が実効性あるものになるかは戦争の当事者であるウクライナを含めた首脳会談を開くかどうかにかかる。ウクライナは自国の頭越しに米ロ間で話し合いが進み、ロシアに有利な停戦条件になりかねないと警戒する。
ゼレンスキー氏は9日、「ウクライナを排除した解決策は機能しない」と強調した。7日にはロシアを含む3首脳の会談について「ウクライナは会談を恐れていない」と話し、プーチン氏に直接会談の開催を迫った。
プーチン氏はゼレンスキー氏との首脳会談に慎重な姿勢を崩さない。7日の記者会見で「一定の条件が整う必要がある」と述べるにとどめた。
ロシア側は米ロ両国が主導する形で停戦条件を詰める狙いとみられる。ウシャコフ氏は9日、早くも15日に予定する会談に続く次回の会談について触れ、ロシアで開催される見通しで「トランプ氏に招待状を送付した」と語った。
米ロ間の協議が物別れに終わり、停戦が実現しない可能性はある。
その場合はトランプ氏がいったん延期した追加制裁を発動することが見込まれる。ロシアからの輸入品に100%といった高い関税をかけ、ロシアから石油を購入する第三国にも同様に高い関税を課す案がある。
それでも進展が見込めないときはトランプ氏が停戦仲介への関心を失い、再びロシアに圧力をかける路線に転じるとの見方がある。ロシア産原油の主要な買い手である中国とインドを念頭にロシアの戦費調達に打撃を与える目的がある。
2025年8月10日
画像提供,Reuters / EPA
アメリカとロシアの両政府がウクライナでの戦争をめぐり15日に米アラスカ州で首脳会談を開くと発表し、交渉にはロシアとウクライナの「領土交換」が関係するとトランプ米大統領が言及したことについて、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は9日夜、「ウクライナのための和平への道は、ウクライナと一緒に決められなくてはならない」と強調。トランプ氏が自分に本物の持続的な和平の必要性を伝えたとも明らかにし、自分たちはアメリカの停戦案を支持し続けてきたと述べた。イギリスなど欧州諸国首脳は同日夜、どのような和平交渉にもウクライナの参加が不可欠だと強調する共同声明を出した。
ゼレンスキー大統領は9日夜のビデオメッセージで、「アメリカが終戦を確保する能力について、協力国が疑問視するのは耳にしていない。合衆国大統領は、必要な手段と決意のほどを備えている。ウクライナはこれまで、今年2月から始まり、トランプ大統領のあらゆる提案を支持してきた。あらゆる形式の停戦を支持してきた」と述べた。
そのうえでゼレンスキー氏は「いま必要なのは殺害の一時中止ではなく、本物の、持続的な平和だ。いつかの将来的な、数カ月後の停戦ではなく、直ちに。トランプ大統領は私にそう告げたし、私はこれを全面的に支援する」と話した。
またゼレンスキー氏は、停戦に反対しているのはロシアのプーチン大統領ただ一人だと非難。「戦争と殺りくの一時停止と引き換えに、我々の領土の占領を合法化し、二度目の領土獲得を実現したいのだ」と指摘した。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は停戦に合意するよう圧力をかけられている。100万人規模の死傷者を出し、完全勝利が不可能と思われる戦争を続ける指導者はほとんどいない。しかし、プーチン大統領はロシアの石油・天然ガス施設に甚大な被害をもたらしているドローン(無人機)攻撃の応酬の終結には同意するかもしれないが、血みどろの地上戦は続ける可能性が高い。
ロシア軍では1日1000人の死傷者が出ているとも言われているが、この厳しい数字は、プーチン大統領がこれだけの損失を受け入れ、結果を勝利と見なせることを意味している。なぜなら同大統領の計算では、人間の苦しみは考慮されないからだ。
ロシア軍の死傷者数はウクライナ軍をはるかに超える
ロシア軍の前進は遅々としており、莫大な費用がかかっている。ロシア軍が6月に占領したのは約490平方キロで、ウクライナ領土の0.1%にも満たない。
米カーネギー国際平和基金のマイケル・カウフマン上級特別研究員が最近ウクライナを訪れた際に指摘したように、現在では装甲車による大規模な攻撃はほとんど見られない。戦場ではドローンによる監視が行き届いているため、どんな動きも前線に到達する何キロも手前で察知され、ウクライナ軍の視界に入る前にドローンの大群が突撃部隊を襲うからだ。むしろ、ロシア軍はドローンの集中砲火を突破しようと徒歩で密かに前進し、ウクライナ軍の軽微な防衛線に侵入しようとしている。
カウフマン研究員は、ロシア軍の攻撃は4~6人ずつのグループで行われることもあるが、多くの場合は2~3人ずつの小隊に分かれてウクライナ軍陣地の間を突破しようとしていると指摘。「ロシアの歩兵部隊はウクライナ軍の初期線を越えて可能な限り前進し、そこに塹壕(ざんごう)を築こうとしている。多くは失敗するだろうが、何人かは突破し、塹壕を築いて援軍を待つ。オートバイやバギー車による襲撃についてもほぼ同じことが言える。ほとんどは失敗するが、すべてではなく、戦略的には小さな前進につながる」と説明した。このように、多大な損失の割には成功の確率は低い。しかし、指揮官が十分な兵力を長い間前線に投入すれば、最終的には前線を動かすことができる。
一部報道によると、犠牲者の数はロシア軍の指揮官の誇りであり、地位を得るために失った兵士の数を自慢しているという。あるロシア人ブロガーによると、「この村を占領するために5人の隊員を殺した」と誇ることが典型的な指揮官の態度だ。
突撃部隊の死傷率は80%以上が当たり前だとも伝えられており、負傷した生存者は集められ、松葉づえをついてでも次の攻撃に強制的に参加させられる。さらには、技術専門家やその他の部隊まで突撃部隊に駆り出されるという。2024年にはロシア唯一の航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」の乗組員全員が地上に送られ、海軍歩兵部隊として再編成され、ウクライナ東部ドネツィク州の要衝ポクロウシクに配備された。
ウクライナ側の死傷者数は不明だが、恐らくかなり少ないものとみられる。通常、守備側が失う兵士の数は攻撃側の数分の一だ。特にドローンが戦闘の多くを担うようになって以降、ウクライナ軍の兵士が敵と接触することはほとんどなくなった。
他方で、ロシア軍が新たな兵士を供給され続ける限り、同軍は前進し続けることができる。米シンクタンク戦争研究所(ISW)によると、ロシア軍は昨年、1平方キロ当たり58人前後の死傷者を出した。ウクライナ大統領府のパウロ・パリサ副長官は、同軍は今年半ばまでに1平方キロ当たり167人の死傷者を出していると報告した。実に高くつく領土だが、プーチン大統領はそれを欲しているのだ。
甚大だがロシアにとっては持続可能な死傷者数
これだけの数の犠牲者を出すことは西側諸国では考えられないかもしれないが、ロシアでは、少なくとも国民が認識している限りでは、損失の規模に困惑している人はほとんどいないようだ。ロシア情勢を専門とするサミュエル・ベンデットは筆者の取材に対し、同国では実際、犠牲者の規模を認識していない人が多いと指摘した。さらに、政府の公式プロパガンダや政府支持派のソーシャルメディア(SNS)アカウントは、戦争には犠牲が必要だと主張していると語った。
ロシアは大祖国戦争と呼ばれる第二次世界大戦で戦死した2000万人以上のソビエト軍兵士を追悼する数多くの広大な墓地を誇りにしている。ロシアにとっての戦争とは、祖国のために犠牲を払い、個人が命を落とし、大義のために栄光を勝ち取ることなのだ。
プーチン大統領は2022年、死亡した兵士の母親とのテレビ会談で、まさにこの点に触れた。同大統領は母親に対し、「交通事故で死亡する人もいれば、アルコールが原因で死ぬ人もいる」とした上で、「あなたのご子息は自身の目的を果たしたのだ」とたたえた。
世間が騒がない主な理由の1つは、死んでいく男性たちが徴兵された若い兵士(ロシア語で「モビク」と呼ばれる)ではなく、ある一定期間、自発的に契約を結んで戦地に赴く契約兵(「コントラクトニク」)であることだ。通常、恐らく部隊の25%程度を占めるモビクは後方に控え、コントラクトニクが前線に出る。
兵士に提示される報酬は、一般的なロシア人にとっては破格の金額だ。ある地方では、新兵に月額100万ルーブル(約186万円)が支給され、中央政府はさらに40万ルーブル(約74万円)を上乗せする。だが、同じロシアでもカフカス地方のような貧しい地域では、平均月額はわずか3万5000ルーブル(約6万5000円)だ。
軍隊に入隊するのはクイズ番組で優勝するようなものだ。一度に数年分の給料が手に入り、周囲からは愛国的な英雄として尊敬されるからだ。新兵が戦死した場合、少なくとも理論上は、遺族に多額の給付金が支給される。
軍事アナリストのキリル・シャミエフはX(旧ツイッター)への投稿で、「恵まれない男性の多くは、軍隊に入隊することはお金を稼ぐ手段であるとともに、自身の惨めな生活の中で真に素晴らしいことをする機会だと捉えている」と指摘した。新兵の多くは貧困地域の出身で、ロシア経済が徐々に崩壊していく中、軍が支払う大金がますます魅力的に見えているようだ。
ロシア軍は質の高い兵士を求めているわけではなく、誰でも受け入れている。同軍の採用担当者が浮浪者の避難所を訪れ、精神疾患や薬物中毒、アルコール中毒などを患っている否かに関係なく、新兵を探している様子も報じられた。そこでは「少しでも興味を示せば、直ちに兵役契約に署名させられる」という。
ウクライナ侵攻の初期、ロシアには刑務所から直接徴兵された数千人の囚人と、ワグネル・グループのような民間軍事会社が提供する傭兵がいた。これらの兵士は戦場で使い捨てにされても世論に影響することはなかったため、数多くの犠牲者を出した。これらの兵士が枯渇しつつある今、ロシアは北朝鮮軍にも頼っている。北朝鮮兵は最も激しい戦闘に投入され、死傷率は高い。
しかし、激しい戦闘に駆り出される兵士の大半はコントラクトニクで、ロシア軍は毎月約3万人を採用しては失っている。このペースで兵士を失っても、1億4000万人の人口を擁する同国は、相当の期間にわたって損失に耐えることができるだろう。そして、兵士が大義のために命を落とす愛国者と見なされる限り、つまりプーチン大統領が言うように「目的を果たしている」限り、世論の反発はない。
プーチン大統領にとっては、このゆっくりとした前進こそが勝利への道筋なのだ。同大統領はウクライナが数カ月以内に政治危機に陥ることを期待しながら領土を拡大し続けている。将来の停戦によって現場の現状が確定されるのであれば、戦闘の日々は前進の日々となる。これを変える可能性のあるものはいくつかある。ロシア経済の崩壊の加速やウクライナへの軍事支援の増大、ウクライナ軍の攻勢の成功などだ。それが起きなければ、流血は続くだろう。
ロシアの進軍、4か月連続で加速 7月の制圧面積は昨年11月以来最大


【8月2日 AFP】米戦争研究所(ISW)のデータに基づくAFPの分析によると、ウクライナに侵攻するロシア軍の月間制圧面積は7月、昨年11月以来最大の634平方キロとなった。
ロシア軍が713平方キロを制圧する一方、ウクライナ軍は79平方キロを奪還した。
ロシア軍の月間制圧面積は、3月が240平方キロ、4月が379平方キロ、5月が507平方キロ、6月が588平方キロと着実に増加している。ロシア軍の進撃は冬の間減速していたが、ここ4か月連続で加速している。
これらの数字には、ロシアが完全または部分的に支配している地域と、ロシアが領有権を主張している地域が含まれている。
2022年2月に始まった侵攻初期の数か月を除けば、7月の制圧面積は昨年11月の725平方キロに次いで2番目に大きい。
7月の制圧面積の4分の3近くは、主戦場となっているウクライナ東部ドネツク州東部で奪取したもの。
ロシアは7月末時点でドネツク州の78%を完全または部分的に制圧しており、1年前の62%から占領地を拡大している。
ドネツク州の約31%は、ロシア軍の全面攻勢開始以前から親ロシア派分離主義勢力の支配下にあった。
ドネツク州には要衝チャシフヤールがある。ロシア軍は7月31日に同地を制圧したと発表したが、ウクライナは直ちに否定した。
ロシア軍の年間制圧面積は、2023年8月~2024年7月が1360平方キロ、2024年8月~2025年7月が5900平方キロで、年間ベースでも進撃が加速している。
7月末時点で、クリミア半島とドンバス地方を含むウクライナの総面積およそ60万3500平方キロのうち、約19%がロシアに完全または部分的に制圧されている。(c)AFP
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