2018年11月13日付けの日本経済新聞が
「国内総生産(GDP)など基幹統計の信頼性に日銀が不信を募らせ、独自に算出しようと元データの提供を迫っているのだ。内閣府は業務負担などを理由に一部拒否しているが、統計の精度をどう高めるかは、日本経済の行く末にも響きかねない大きな問題をはらんでいる。」
とスクープしたことが大きな波紋を呼んでいます。
なにしろ、日銀の黒田総裁は大規模な金融緩和でデフレを脱出するという「アベノミクス」の主役なのですから。
日経は続けて
「日銀の不信には一定の根拠がある。例えば厚生労働省が毎月まとめる賃金に関する統計。今年1月に統計手法を変えたところ前年同月比の伸び率が跳ね上がった。これには専門家から異議が噴出。統計委員会でも俎上(そじょう)に載り、この賃金データを基にまとめる内閣府の報酬統計も修正を迫られた。」
と書いています。

安倍首相の誇大宣伝と裏腹に日本経済の実態はひどいことになっている。
日本経済新聞 「成長率、7~9月期マイナスへ 年率1.0%減 民間予想」 より
この問題を真っ先に取り上げたのは西日本新聞でした。
2018年9月12日、西日本新聞は、厚労省が発表している賃金関連統計である「毎月勤労統計調査」が2018年に入ってからデータ作成手法を変えたことで、統計上の賃金が高くなっているとすっぱ抜きました。
この毎月勤労統計調査とは、厚労省が全国約3万3000の事業所から得た賃金や労働時間のデータをまとめたもので、従業員に支払われる「現金給与総額」(名目賃金)などが公表される統計です。
これが、2018年になってからというもの、月ごとに発表される前年比増加率が2017年の平均0.4%を大きく上回るようになり、とうとう8月に発表された6月の同調査では、労働者1人当たりの現金給与総額(名目賃金)の平均が前年同月比3.3%増を記録したのです。
さらに、内閣府の「雇用者報酬」も「毎月勤労統計」を用いているために、同様に上向きにぶれているというのです。
どんな専門家が見てもそんなに賃金が上がっている傾向は全くないと批判され、とうとう10月になって、内閣府は同統計を基に算出している統計「雇用者報酬」の実績値を異例の下方修正に踏み切ることにしました。

めちゃめちゃ高めに出ている現金給与総額。しかもこれは名目なので物価上昇を加味すると実質賃金はむしろ下がっている。
そもそも、安倍首相はアベノミクス第何弾とかで
「戦後最大のGDP600兆円を実現」
を目標に掲げていますが、このために安倍政権は2016年にGDPの推計方法を変更し、「研究開発投資」という項目を追加して加算するなどの見直しをおこなった結果、2015年度の名目GDPは、旧基準では500.6兆円にしかならないところが532.2兆円と、30兆円以上も水増しされています。
これは、安倍政権になってから一人当たりの名目GDPが統計史上最低になって、民主党政権時代より2割減になったからなんですね。


このように安倍首相が政権維持のために統計をいじり倒した結果、日銀が責任をもって金融政策を決められない事態となってしまい、内閣府に統計の元データを出せと要求せざるを得なくなったわけです。
ところが、内閣府は拒否。
そりゃあ、データを水増しした証拠が明らかになってしまいますから出せませんよね。
安倍首相の改憲の野望達成のために、一国の中央銀行が自国の経済がどうなっているのかわからなくなってしまっているという異常な状況。
あまりにも酷すぎます。
なぜ今も経済の停滞が続くのか、本当に雇用は回復したのか、金融緩和でデフレからの脱却は成功したのか、格差は広がっているのか……安倍政権と黒田日銀による経済政策を徹底検証。まやかしの「成果」のからくりを暴き、アベノミクスの実態を鋭く批判する。その先に見えてきた、経済学が果たすべき役割とは。
「国家意思」は、どのように政策として形作られ、貫徹していくのか。政府・日銀の歴史的な「共同声明」作成のプロセス、「二」並びの目標数値の出所など。官邸、経済省、財務省、金融庁、日銀、財界、有識者…誰が、どう動いたのか。圧倒的な取材力を誇る著者が、異例の政策の生成過程をつぶさに再現する。
経済統計だけはいじったらダメなんですよ。安倍首相が辞めた後の政権もおかしな統計に基づいて間違った経済政策をとることになりかねないのですから。
一政権だけの問題ではないので禁じ手、ご法度です。
安倍政権の罪は本当に重い。
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日本の現状を映す統計を巡り、内閣府と日銀が綱引きしている
国内総生産(GDP)など基幹統計の信頼性に日銀が不信を募らせ、独自に算出しようと元データの提供を迫っているのだ。内閣府は業務負担などを理由に一部拒否しているが、統計の精度をどう高めるかは、日本経済の行く末にも響きかねない大きな問題をはらんでいる。
「基礎データの提供を求めます」。10月11日、政府統計の改善策などを話し合う統計委員会の下部会合で、日銀の関根敏隆調査統計局長は内閣府の統計担当者に迫った。
統計委のGDPに関する会合は喧々囂々(けんけんごうごう)の議論が続く。中心テーマは内閣府が発表するGDPの精度だ。GDPは様々な統計を合成して作る「2次統計」で、元データの合成方法は非常に複雑だ。
日銀はこうした統計への不信を募らせ、原データなどを確認して自ら合成を試みたいと訴えている。だが、内閣府は「業務負担が大きい」などと反論。要請に応じて一部データを提供したものの決着は付いていない。
日銀の不信には一定の根拠がある。例えば厚生労働省が毎月まとめる賃金に関する統計。今年1月に統計手法を変えたところ前年同月比の伸び率が跳ね上がった。これには専門家から異議が噴出。統計委員会でも俎上(そじょう)に載り、この賃金データを基にまとめる内閣府の報酬統計も修正を迫られた。
日銀は早くから厚労省統計の賃金の異常な伸び率に着目し、7月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では統計方法変更の影響を除いた数字を採用した。経済実態を正確に映すために、GDP統計も合成比率を見直すべきだとの立場だ。関根氏は「消費増税前後の成長率の振れは内閣府の発表より小さかった」などとする検証結果も示し意見を戦わせている。
「1次統計の精度向上が最優先だ」。第一生命経済研究所の新家義貴氏はGDPの精度向上が重要課題だとした上で、その基となる統計の見直しをおろそかにすべきではないと指摘する。1次統計とは企業や消費者などから直接データを集めて作る統計のこと。2次統計であるGDPの揺らぎは1次統計の精度の問題をはらむ。
だがこうした議論がむなしく感じるのが、今の日本の統計作成現場の実態だ。総務省によると、日本の統計職員は今年4月時点で1940人。前年比で2%増えたものの09年比では半減した。
農林水産省で統計職員の算入方法を変えた影響も大きいが賃金データの正確性に疑問を持たれた厚労省も1割超減った。厚労省が国会に示した裁量労働制に関するデータが不適切だった問題も「統計に詳しい人材が足りなかったため」との指摘が漏れる。内閣府が業務負担を理由に日銀へのデータ提供を拒むのも無視できる状況ではない。
各国に比べ日本の統計人員は少ない。政府の統計改革推進会議が昨年まとめた統計機関の職員数は米国が1万4000人超に上る。人口が日本の半分程度のフランスも2500人超、カナダは約5000人だ。
職員増だけが解決策ではないものの、人的な制約が大きければ精度向上にも限界がある。総務省は一部統計を民間に委託するが、委託できる統計には限りがある。
予算も増えない。失業率などの基幹統計を抱える総務省の担当者は「統計は予算確保の優先順位が低くなりがち」と指摘する。消費動向を調べる同省の家計調査も単身世帯の増加で調査世帯の見直しが急務だが、予算の制約がこれを阻む。
日本では戦後間もない1947年に統計法ができ、以来、統計は国や自治体の政策を決める判断材料になってきた。少子高齢化など社会が大きく変革するなかで人口や雇用、消費や企業活動などの動向をはかる統計の精度向上は不可欠だ。統計の揺らぎはデフレ脱却への正念場を迎える政府と日銀の政策判断を誤らせる可能性もはらむ。
世界でも公的統計を含むデータは重要性を増している。データの集計・管理の覇者が世界を動かす時代。統計改革の遅れは政策の方向性に影響を与え、日本経済の競争力低下にもつながりかねない。(中村結)
2018/10/24 17:54 日本経済新聞
内閣府は働く人が受け取る報酬の推計値を下方修正する。4~6月期の伸び率は前年同期比で3.4%上昇と、従来の公表値から0.7ポイント下振れる。産業構造の変化などを加味して過去に遡って再計算したところ、過剰な伸び率だと分かり、異例の修正を加える。11月に発表する7~9月期の国内総生産(GDP)速報にあわせ、過去の推計値を修正し公表する。
1~3月期も2.7%と従来推計値から0.4ポイント下方修正する。2017年分もさかのぼって改定する。
働く人が受け取る報酬の推計値は「雇用者報酬」として四半期ごとに公表している。政府がデフレ脱却を判断する材料の一つになる。
雇用者報酬に原データとして組み込む厚生労働省の賃金データについて、統計方法を変えた今年1月以降に過剰な伸び率になっているとの指摘が専門家から相次いでいた。内閣府は厚労省のデータを精査したうえで伸び率が過大と判断し、雇用者報酬の伸び率の修正を決めた。
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