
原子力規制委員会は、敷地内に活断層が隠れている疑いなどが浮上した原発6カ所の現地調査に着手しました。その第1弾が、国内で唯一稼働している関西電力大飯原発で、2012年11月2日に現地調査が行われました。
調査は1、2号機と、3、4号機の間をほぼ南北に走る「破砕帯」という小さな断層が調査の対象です。近くの活断層と連動して地盤をずらす危険性が、再稼働させる前から指摘されていたのです。
規制委が6原発だけを調査の対象にしたのも疑問です。今の原発耐震指針では、設計上考慮する活断層は「13万~12万年前以降に活動した断層」としており、主に想定してきたのは長さ数十キロに及び、自ら地震を起こすような巨大な活断層だけで、小さな破砕帯は重視してこなかったのです。
約2千の活断層がある日本列島に、54基もの原発が立ち並ぶのが日本です。破砕帯の調査は全原発を対象にするべきでしょう。

(ただのパフォーマンスではないのか。11月2日に行われた大飯原発周辺での断層調査)
規制委は2012年10月末、原子力災害対策の新たな指針を打ち出し、福島第1原発事故を教訓に、災害対策重点区域を30キロ圏内に拡大したうえで、事故が起きた際、住民の被ばくを最小限に食い止める対応策を自治体に義務付けました。
ところが、大飯原発はこのような対策がされないうちに、暫定的な安全基準で再稼働しています。そもそも、大飯原発がこの手順を踏まずに稼働を続けさせることで、規制委の指針そのものに論理矛盾が生じているのです。
大飯原発を稼働しながら、断層調査をすること自体がおかしいのです。まず、大飯原発を停止させるのが先のはずです。
原子力規制委の原発事故放射性物質拡散シミュレーションでわかる防災計画の困難と原発廃炉計画の必要性

(しかも公表した放射性物質拡散シミュレーションは間違いだらけだった)
さらに、この調査を行う規制専門家が、また、原子力ムラから多額のお金を受け取っていることが明らかになりました。
規制委専門家、6人中4人が寄付金や報酬
2012/11/3 1:32 日本経済新聞
原子力規制委員会(田中俊一委員長)は2日、原発の新たな安全基準検討チームの専門家6人について、電力会社などからの報酬や寄付金などの受け取り状況を公表した。4人が直近3~4年間にそれぞれ300万~2714万円を得ていた。
4人のうち大阪大大学院の山口彰教授は関西電力関連会社の原子力エンジニアリングから、名古屋大の山本章夫教授も同社などから、年間50万 円以上の報酬や謝礼を受け取った。寄付金や研究費は、山本教授が原発メーカーの三菱重工業などから少なくとも計2714万円、山口教授は日本原子力発電などから計1010万円を得ていた。
阿部豊筑波大教授は東京電力技術開発研究所などから計約500万円、日本原子力研究開発機構の杉山智之研究主幹も原子燃料工業から計約300万円を受け取った。
規制委は、対象が限定されない原発の安全基準などの策定に関わる専門家は、報酬や寄付金などを公開するよう求めているが、メンバーから除外する規定は設けていない。原子力機構の渡辺憲夫研究主席と明治大の勝田忠広専任准教授は受け取っていなかった。〔共同〕
安全基準を作る専門家がこんなに原発利権にまみれているようでは、規制委から出てくる安全基準が公正なものであると信頼できるわけがありません。
そもそも、田中俊一委員長を含む、規制委の委員の多くも、原子力ムラ出身です。そして、2012年8月1日の参院議院運営委員会の所信聴取の質疑の中では、田中氏は、
「人類が原子力はコントロールできる」
「今後、より安全な原子炉の研究開発に力を注いでいってもらいたい」
と語り、原発を規制するというより、まだ推進するとはっきり述べています。
また、以下のように、5名の委員中4名が原発関連のお金を受け取っていました。

原子力規制委員会の委員長・委員候補が原子力ムラ現役村民で、いったん決めたら3年も5年もかえられない!
こんな規制委ですから、人事について国会で同意を得ることすらもままなりません。規制委員会人事について、先の通常国会に政府が田中委員長など4委員の人事案を提出しましたが、しかし、原発推進論者をすえた人事に対する批判の高まりに民主党内からも異論があがり、国会での同意にあたり「造反」を恐れた民主党執行部が採決を見送りました、
それにもかかわらず野田首相は、国会が閉会中だとして、次の国会で事後承認を受けるという「例外規定」を使って同意なしの任命を強行しました。
ところが今国会では、政府は11月2日の閣議で、原子力規制委員会設置法の例外規定に基づき「原子力緊急事態宣言」が発令中であるとする通知を決定、衆参両院に伝え、今国会での事後承認さえ先送りしてしまいました。つまり、規制委員会の委員はいまだに国会で同意さえされていないのです。
これでは、緊急事態宣言を出し続けておけば、規制委人事はずっと国会での同意が要らないことになります。原子力規制委への民主的コントロールがまるで効かない異常事態です。
そもそも、野田内閣は福島原発事故は「収束」したと言いながら、都合が悪くなると緊急事態宣言に逃げ込むというのが矛盾でしょう。

上の表のように、原子力規制委の役割は重要です。その人事にあたっては、まず、原子力安全・保安院や原子力安全委員会ではどうして原発事故を招いてしまったかを徹底的に洗いなおしたうえで、規制委の人事をやり直し、原子力利権にまみれていない人から選ぶこと。そして、国会の同意を得ることが大前提です。
専門性に加え、客観性、公正性を持った原子力規制委員が選ばれれば、日本で原発を持つこと自体が危険で不可能であることが明らかになるはずです。全原発を安全に廃炉にしていくことこそ、原子力発電所規制委員会に求められる仕事です。
いつまで無理して原発にしがみつくのか。
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過去の活動示す粘土層 規制委「破砕帯」で確認
原子力規制委員会が2日に関西電力大飯原子力発電所(おおい町)で行った現地調査。問題となった断層「F―6破砕帯」が活断層かどうかの結論は出 なかったが、活断層にもある「軟らかい粘土層」が新たに見つかるなど、関電が先月末に規制委に提出した中間報告との食い違いが鮮明になった。規制委の評価 会合は4日に開かれる予定で、調査団の判断が注目される。(島田喜行、布江田嘉一、藤戸健志)
調査団は、午前10時から、関電の担当者に説明を求めながら、断層面を掘り出した溝(トレンチ)や、深い穴を掘って採取した地層試料などを丹念に観察した。
関電が「確認できなかった」としていた粘土層は、1、2号機北側のトレンチで見つかった。調査後の会見では、メンバー5人全員が、断層活動によって生じたと認めた。
ただ、活動した年代については、立命館大の岡田篤正教授は「まだこれから資料を寄せ集めて考えるべき」、信州大の廣内大助准教授は「いつ動いたのかや、どう連続するのかについてはもう少し調べる必要がある」などと明言を避けた。
現地調査で得られた資料を精査し、今後判断するという。
一方、敷地北部の海岸に近い斜面で掘られたトレンチでは、関電が「F―6破砕帯は確認できなかった」としていたが、東洋大の渡辺満久教授が「関電 が従来示していた位置とは違うが、はっきりした破砕帯があった。F―6破砕帯の延長と考えられる」と指摘。「地層の年代ははっきりしないが、過去に動いた ことは確認できた」と付け加えた。
◇「大飯運転停止 国に申し入れを」
京都府の市民団体のメンバーら3人が2日、県庁を訪れ、関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)の運転停止を国に申し入れるよう求める声明文を提出した。
声明文は、関西広域連合が「大飯原発の再稼働がなくても今夏の電力は足りた」とする検証結果を公表したことなどをきっかけに10月、市民団体がまとめた。全国167の市民団体と607人の個人が賛同したという。
メンバーの一人で、南丹市に住む児玉正人さん(69)は「冬は、原発事故時に放射性物質が北風で広く拡散するうえ、積雪で避難が難しくなる。電力が安定供給できる今、積極的に原発を動かす理由はない」と話した。
◇原発事故時の避難 近隣住民優先的に
首相官邸で2日に開かれた全国知事会議で、西川知事は、原発事故時の住民避難に触れ「被害のリスクや大きさなどを考えると、発電所に近い地域が大 事だ」と述べ、原発近くの避難対策について自衛隊や海上保安庁などとの協議を優先的に進め、その後に周辺地域の住民らの避難を考えるべきとの考えを示し た。
これに対し、野田首相は「万が一の事故を想定し、各省庁の垣根を越えた防災体制を築き上げることが重要だ。原子力規制委員会が策定する指針に基づき、地域防災対策の充実に取り組む」と答えた。
また、西川知事は、政府と原子力規制委員会のどちらが原発の再稼働の最終判断をするかがはっきりしていない現状について「再稼働の判断基準や手続きをあいまいなまま放置せず、政府として決断して」と、野田首相に苦言を呈した。
活断層と原子力規制委 リスク評価は最大限に
2012年11月3日 中国新聞社説
原発の安全性をチェックする「番人」として、力量と本気度が試されそうだ。
原子力規制委員会は、敷地内に活断層が隠れている疑いなどが浮上した原発6カ所の現地調査に着手した。その第1弾が、国内で唯一稼働している関西電力大飯原発(福井県)である。
1、2号機と、3、4号機の間をほぼ南北に走る「破砕帯」という小さな断層が調査の対象だ。近くの活断層と連動して地盤をずらす危険性が、再稼働させる前から指摘されていた。
規制委は、警告を発してきた専門家も調査団のメンバーに迎え入れた。客観的で正確な調査を目指す意気込みが伝わる。その姿勢は評価したい。
調査ではボーリングで採取した試料を調べた。4日に開く会合で結果を検討するが、早速、活断層ではないかと疑う指摘が出た。判断が注目される。
一方、関西電力は先手を打って独自調査に基づく中間報告を規制委に提出した。「活断層があると示唆する結果は得られていない」。規制委の動きをけん制するかのようだ。
田中俊一委員長は、今回の調査について「(疑いが)黒や濃いグレーの時には(運転を)止めてもらう」と明言している。その方針を貫いてもらいたい。調査結果も国民にも分かりやすく開示すべきである。
ただ、大飯原発は暫定的な安全基準で再稼働した経緯がある。今回の調査がたとえ「白」であっても、このまま運転を続けていいのだろうか。
なぜなら規制委が先月末、原子力災害対策の新たな指針を打ち出したからだ。福島第1原発事故を教訓に、災害対策重点区域を30キロ圏内に拡大。事故が起きた際、住民の被曝(ひばく)を最小限に食い止める対応策を自治体に義務付けた。
このような備えが整って初めて、再稼働の議論ができるのだろう。大飯がこの手順を踏まずに稼働を続ければ、規制委の指針そのものに矛盾が生じよう。
これまで国や電力会社は、活断層や破砕帯のリスクを低く見積もってきたきらいがある。
いまの原発耐震指針では、設計上考慮する活断層は「13万~12万年前以降に活動した断層」としている。主に想定してきたのは長さ数十キロに及び、自ら地震を起こすような巨大な活断層である。小さな破砕帯は重視してこなかった。
ところが、国際原子力機関(IAEA)の指針では、「地震を起こす断層につられて動き、地盤をずらす断層も注意が必要」などと、重視している。今回、大飯原発の調査で破砕帯に目が向けられたのは、国際的な常識でもあるのだろう。
福島の事故を体験した今、リスクは最大限に見積もることこそ安全への新たな常識である。
規制委の現地調査を、6カ所だけで終わらせるべきではない。約2千の活断層がある国内に54基もの原発を有しているのだ。全原発を対象に広げ周辺の点検を徹底する必要がある。
島根原発も例外ではない。沖合には三つの活断層がある。加えて原発近くの宍道断層のリスクを指摘する声もある。
電力会社が主体となる調査だけでは十分とはいえない。第三者機関なども活用しながら、規制委には徹底した監視機能を求めたい。



