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少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げることに強く反対します。


「少年事件が凶悪化している」というのは本当か? 自民・稲田政調会長「発言」を検証より。

ここ30年、少年事件は少子化のスピード以上に減り続けている。

 

 

 2015年6月17日に公職選挙法の一部を改正する法律が可決・成立し、選挙権年齢が18歳に引き下げられることになりました。

 その附則11条は、

「民法,少年法その他の法令の規定について検討を加え,必要な法制上の措置を講ずるものとする」

と定めており,少年法の適用年齢について,18歳に引き下げる方向での議論が進められています。

 特に、自民党は,少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げること等について、「成年年齢に関する特命委員会」を設置して4月14日から検討を始めています。

 しかし、私は以下の理由から、少年法の適用年齢を18歳未満に下げて、18歳、19歳の少年には少年法を適用せず、成人と同様の扱いにすることには大反対です。

川崎中1殺害事件 稲田朋美政調会長「少年法改正を検討する」 こんな時、私たち大人は冷静になりましょうよ

少年審判には、通常の刑事手続きと違って、検察官は立ち会わないのが原則で、逆に心理学などを専門に勉強した調査官が必ず立ち会う。

 

 

1 選挙権と少年法の適用とは全く関係がない

 一見、選挙権を与えるならそれなりの責任を負わせるべきだという理屈は、なにか合理性がありそうですが、法律ごとに適用年齢は個別に定められるのが当たり前で、実はまったく関連性がありません。

 つまり、公職選挙法の改正によって選挙権が18歳から与えられたからといって、少年法がそれに連動すべきという理由はないのです。

 法律の適用区分はその法律ごとの目的に応じて個別に決められるべきものです。

 例えば、民法では法律行為の能力をもつのは20歳とされていますが、結婚ができるのは男子18歳、16歳。親の承諾なく養子縁組ができるのは15歳からとされています。遺言も15歳から書けます。

 さらに、パチンコ店の入店は18歳,サッカーくじの購入は19歳からになっています。喫煙、飲酒は20歳以上からですよね。

 世論調査でも、少年法の適用は18歳未満とする人が多数なのに、飲酒や喫煙の「権利」を18歳に与えるべきだという人は少ないのです。

 このように、これらはそれぞれ目的も性格も違う制度ですから、年齢がてんでばらばらなのは当たり前です。

 つまり、選挙権とは違う目的で定められている制度は18歳に統一する必要はないし、するべきでもないのです。

少年事件は全件送致主義と言って、すべて家庭裁判所に送られる。特に重い事件は検察官送致、いわゆる逆送によって大人と同じ刑事手続きに移行することができる。

 

 

2 少年犯罪は減少を続けている

 自民党特命委員会の議論においても、「続発する凶悪な少年犯罪」を踏まえ,少年法の成人年齢も引き下げるよう求める意見が相次いています。しかし、その認識は明らかに誤っています。

 少年犯罪も、少年凶悪犯罪も増加していないのです。

 少年による刑法犯の検挙人員は、ピークだった1983年は31万7438人でしたが,2013年は9万413人にまで減少しています。

 また、少年による殺人事件(未遂も含む。)は,1965年頃までは年間400件以上発生していたこともありましたが,近年まで減少傾向を明確に示しており,2014年は50件でした。

 もちろん、少子化で子どもの人数も減ってはいますが、その減り方よりも少年犯罪や少年による凶悪犯罪の減り方の方が急であり、少年事件は減り続けていると言えます。

 また、18歳以上20歳未満の年長少年の、2013年における一般刑法犯検挙人員の総数は1万1234人だったのですが、罪名別に見ると,殺人20人(0.2%)、強盗192人(1.7%)、強姦56人(0.5%)、放火18人(0.2%)など凶悪犯罪が占める割合は成人と比べて極めて低いのです。

 年長少年の犯した主な犯罪は、窃盗5320人(47.4%)、遺失物等横領2681人(23.9% 放置自転車を盗むような犯罪)など、大半は比較的軽微な犯罪で占められています。

 ですから、18歳、19歳の少年を厳罰に処すため、少年法の適用除外にする必要性が全くありません。

川崎中1殺害事件 週刊新潮が少年の実名と写真を掲載したことの問題点 社会的制裁では凶悪犯罪は減らない

少年事件は全般に減り続けているし、最近10年間でも少年凶悪犯罪もこれだけ減っている。


 


3 少年法は甘くないこと

 自民党特命委員会では、重大な少年事件の背景には少年法の甘さがあると主張されたとされているが、これも間違っています。

 まず、重大犯罪の場合には、家裁に送致された事件を家裁は検察庁に逆送致し、検察がこれを起訴して大人と同じ刑事裁判にかける手続きが整備されています。16歳以上の少年が故意に人を死亡させた場合には、原則として検察官に逆送致して刑事事件にすることになっています。

 またその中で、18歳、19歳の少年の場合には死刑にすることもでき、死刑判決も実際に出ていることは知られているのでしょうか。

 逆に、大人なら普通の犯罪の場合、初犯だと起訴猶予で刑事裁判にならなかったり、裁判になっても執行猶予で社会にいられることが多いのですが、少年の場合には大人なら実刑にならない事件でも、保護監督・教育のために、かえって少年院に入れられることもあります。

 少年院は刑罰を与える施設ではなく、あくまで少年を更生させるための施設だから、必要とあれば家庭裁判所は少年院送致にするのです。

 ですから、少年法では、犯罪を犯していない少年でも一定の事情が揃うと少年院に入れることがあります。

 そういう意味では、少年法は少年に甘いばかりだという理解は誤っています。

野口善國 著
株式会社共同通信社

少年Aは特異な存在か? 神戸連続児童殺傷事件弁護団長が初めて明かす、少年の実像。厳罰化を推進する少年法「改正」は、非行防止につながらないと批判する。

 

 

4 少年法と少年保護事件の処理の仕組みは、少年事件抑制に役立っていること

 成人と異なり、少年司法手続においては、18歳、19歳の少年は、罪を犯せばすべて家庭裁判所に送致されます。

 少年審判においては,少年法9条の定める科学主義に基づき、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識を駆使して、家裁の調査官や鑑別所の鑑別技官が少年自身の資質上の問題を詳細に調査します。

 また家裁調査官は、少年の家族や交友関係と少年との問題について生育歴にも深く踏み込み、少年の保護者も呼び出して面接し、事件が生じた原因を解明するための調査が徹底的になされます。

 そして、これらの調査に基づいて、これも少年事件を専門に扱う家裁の裁判官が、少年の再非行を防ぐために適切な処分を決定してきました。

 その結果、大人の再犯率は40%を超えるのに、少年の再犯率は25%であって、諸外国からも驚異の目で見られるほど、日本の少年司法はうまく行っています。

 このようなシステムで、前述のように少年犯罪は減少を続けてきたわけで、少年法の処遇は犯罪の減少に効果を上げてきているのです。

野口善國 著
共同通信社

子どもは社会の鏡。厳罰化は何も解決しない。神戸連続児童殺傷事件で少年Aの弁護を担当した弁護士が、「少年法」再改正の動きに疑問を呈し、愛とゆとりのある社会と家庭の再建を訴える。




5 適用年齢を引き下げた場合には、かえって少年の再犯リスクを高めるおそれがあること

 仮に少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げると、18歳及び19歳の少年は成人の刑事手続で処分されることになります。

 すると、その結果,少年鑑別所技官や家庭裁判所調査官によって非行原因の調査がなされることはなくなり、少年の保護者への関わりもなくなるのです。

 さらには、これらの少年に少年院で徹底した教育がなされることもなくなります。

 つまり、18歳、19歳の少年はほったらかしにされるのであって、このような変更は,少年の再犯リスクを高めて治安を悪化させる原因になりかねず、社会の防衛にとってもよろしくありません。

 ちなみに、検察統計によると、2013年の刑法犯の起訴率が16.9%に過ぎません。83%は不起訴になっています。

 つまり、少年扱いであれば、全件が家裁に送致されて保護観察処分を受けたり少年院に送致されたりしていた18歳と19歳の少年の事件が、成人後の初犯として起訴猶予とされて、むしろ「軽く」扱われることになります。

 また、少年法が適用されれば、前述のようにさまざまな専門家により更生が図られるのに、少年の問題性がそのままになったまま成人しかねません。

藤原正範 著
岩波書店

衝撃的な少年事件が報道されている。厳罰化や被害者への対応などが盛り込まれた二〇〇〇年改正少年法がさらに見直されようとしている今、家裁調査官として直接少年たちと向き合ってきた豊富な経験に耳を傾けることは、冷静な議論をつくすために不可欠だろう。調査や審判の実際、悩みをも率直に語りながら、「少年司法」のあり方を考える。

 

 

 このように、少年法と少年審判のあり方については、一般市民の間でも誤解があって、少年法の適用年齢を引き下げることに賛成の世論が多数になっていると思います。

 自民党の特命委員会も、事実に基づかないで、そのような世論に迎合しています。

 この20年というもの、少年法は厳罰に次ぐ厳罰の「改正」ばかりがされてきましたが、少年法の適用年齢を下げてしまうのは、これまでとは比較にならない改悪です。

 私も少年事件がライフワークだと思っているのですが、非行少年の場合、家庭で虐待を受けるなど愛情を受ける機会が乏しかったり、勉強ができないなど学校や地域で疎外されていたりするなど、自らの力ではどうにもならない事情により厳しい環境に置かれるケースも多々あります。

 他方で、 18歳、19歳で非行をするような少年は幼い子が多いです。一般に若年者は未だ人格形成の途上にあって、可塑性に富んでいます。可塑性とは、まだまだ変わっていける可能性があるということです。

 彼らは大人に比べて犯罪傾向は進んでいないことが多いのですから、犯罪の軽重だけではなく、少年の課題に沿った専門的な対応を行い、その立ち直りの機会を与えることが本人のためにも、社会のためにもなります。

 今の長寿時代には、なかなか成熟しない人も多いわけで、私などはかえって20歳過ぎても20代前半は少年法を適用できるようにしたほうがいいのではないかとさえ思っています。

 どうか、市民の皆さん、ここは落ち着いて考えていただいて、少年法を適用する年齢を下げて、年長少年のチャンスを摘むことだけは考え直していただきたいと思います。

武内謙治 著
日本評論社

少年法解説最新刊。

少年法の世界を生き生きと描き出す本格的な教科書。歴史的かつ実証的な視点から、法の理念、仕組み、体系を丁寧に説き起こす。



参考資料

日本弁護士連合会 

少年法の「成人」年齢引下げに関する意見書

 

関連記事

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「・・・・ちゃん、今のあなたは最低な子じゃないよ」 子ども未来法律事務所通信26

また来た少年法の厳罰化では、非行もいじめも虐待もなにも解決しない 求められるのは愛と寛容と理解

「死刑判決に勝者はなく、犯罪が起こった時点で、皆、敗者です」 光市母子殺害事件被害者遺族 本村洋さん

 

 

ロースクールでは少年法も教えていました。私たちの努力不足で、市民に正しい認識が広がっていないと感じます。

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2015.7.24 17:33 産経新聞

成人年齢、少年法適用年齢も引き下げ 自民部会方針

 自民党は24日、選挙権年齢の引き下げに伴う成人年齢引き下げなどを検討する特命委員会(委員長・今津寛衆院議員)を党本部で開き、民法が定める成人年齢を「18歳以上」に引き下げるよう求める提言を8月中にまとめる方針を確認した。

 民法の成人年齢については、平成21年に法相の諮問機関である法制審議会が「18歳に引き下げるのが適当」と答申しており、提言では速やかな法改正を求める方針だ。

 これに併せて、少年法の適用年齢についても現行の「20歳未満」から「18歳未満」に引き下げを求める考え。これまでの特命委の議論でも、ほとんど異論はなかった。

 ただ、少年法の適用外となる18、19歳については、「一定の保護措置が必要」との慎重論も多いことから、「若年成人」(仮称)として新たな保護策を設けることを盛り込む。ドイツの例を参考に、精神の成熟度などに応じて刑法適用の可否を判断する制度にするよう求める。

 

 

毎日新聞 2015年07月06日 20時20分(最終更新 07月06日 23時05分)

 毎日新聞が4、5両日に実施した全国世論調査で、選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法成立を踏まえ、少年法の適用年齢を「20歳未満」から「18歳未満」にすることへの賛否を聞いたところ、「賛成」との回答が80%に上り、「反対」は11%だった。民法の成人年齢の18歳への引き下げについては「賛成」が44%、「反対」が46%で拮抗(きっこう)した。

 6月に成立した改正公選法は付則で、民法の成人年齢や少年法の適用年齢の引き下げをあわせて検討し、必要な法制上の措置を講じると明記した。

 少年法では、20歳未満で罪を犯した場合、検察官から家庭裁判所に送られる(14歳以上は検察官への逆送あり)など一般の刑事事件とは別の手続きで扱われる。しかし、今年2月に川崎市中1男子殺害事件で17〜18歳の少年3人が逮捕されるなど少年が関わった凶悪事件が相次いだうえ、6月には1997年に神戸市で起きた連続児童殺傷事件の加害男性が匿名で手記を出版して波紋を広げており、こうしたことが今回の結果に影響したとみられる。

 民法の成人年齢を引き下げると、18歳や19歳でも親の同意なしに結婚したり契約を結んだりできる。

 内閣府が2013年10月に実施した世論調査では、親の同意なく契約を結べる年齢を18歳以上にすることに約79%が、親権に服さない年齢を18歳以上にすることに約69%がそれぞれ反対した。質問の仕方などが異なるため単純には比較できないが、賛否が拮抗した今回の結果は、「20歳未満は子ども」という意識が変わりつつあることを示しているといえそうだ。

 民法とは別の法律で20歳からと定められている喫煙や飲酒については、対象年齢の18歳への引き下げに70%が「反対」と答え、「賛成」は24%にとどまった。自民党の「成年年齢に関する特命委員会」では「酒とたばこは大人の象徴。年齢を引き下げていいのではないか」という意見も出ているが、若者の健康への配慮などから見直す方向にはなっていない。【野原大輔、和田武士】

 

 

毎日新聞 2015年04月20日 02時35分

 少年法の適用年齢引き下げをめぐる議論が自民党の特命委員会で本格化してきた。選挙で投票できる年齢の18歳以上への引き下げにあわせ、「20歳未満」の少年法の適用を「18歳未満」に引き下げるかが焦点だ。

 少年犯罪について、処罰よりも矯正や教育に重きをおく少年法は、非行少年の立ち直りに一定の役割を果たしてきた。だが、川崎の中1男子殺害事件を受け、見直しを求める声が党内で強まっている。5月中に提言をとりまとめるという。

 法や運用に問題点があるとすればどこなのか。少年保護の理念にかかわるだけに、丁寧に検討するのが筋だ。見直しありきで性急に事を進めるのは疑問だ。

 こうした議論の背景には、特に20歳に近い年長少年の犯罪に社会が厳しい目を向ける現実がある。少年犯罪だからといって被害者感情が薄らぐわけではない。犯罪の形態にかかわらず、少年法の規定に守られ、逮捕されても名前などが報道されないことへの違和感も強いようだ。

 警察白書によると、少年犯罪は増えていない。刑法を犯し検挙された少年の割合は1980年代をピークに減少傾向で、殺人など凶悪事件の検挙人数もピーク時の半分以下だ。

 経済格差の拡大に伴う貧困や虐待、いじめがきっかけで犯罪に走る例が多いのが今日的な傾向である。

 少年法に伴う保護処分の過程では、家庭裁判所や保護観察所が成育歴に踏み込んで調査をし、少年の立ち直りを手助けする。少年保護の実務に携わる専門家は、今の時代ゆえ現行制度が欠かせないと強調する。

 一方で、少年事件は原則非公開で審理が進められ実態が見えにくい。刑事処分は否定されておらず、重大事件は大人と同じ法廷で裁かれるが、そうした実情が広く社会に理解されていないのは確かだ。

 少年法は、97年の神戸連続児童殺傷事件、2004年の長崎県佐世保市の小6女児殺害事件など、世間の耳目を集めた事件を契機に厳罰化の方向で法改正が進められてきた。

 適用年齢引き下げは、過去の法改正よりはるかに影響が大きい。投票できる年齢が下がるから自動的に下げるという発想で見直すべき問題ではない。

 少年院などで保護処分を受けた少年の再犯率は約25%との調査がある。刑務所で刑事罰を受けた人の再犯率(4割台)よりかなり低く、更生教育は一定の効果が認められる。18、19歳を少年法の適用から外せばこの効果が得られず、社会にはマイナスになるとの指摘もある。

 自民党にとどまらず、広く国民が理解を共有すべきテーマだ。あらゆる面から時間をかけて検討してもらいたい。

 

 


2015.7.26 12:00

【討論】
少年法適用年齢引き下げは是か非か

(3/4ページ)

平成12年10月、衆院本会議で少年法改正案が賛成多数で可決された。このときの改正は刑事処分が可能となる年齢を「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げることなどが柱だった

更生の機会を奪い再犯増加 弁護士・斎藤義房氏

 --引き下げ反対の理由は

 「犯罪を起こす少年は、相手に共感する感情や想像力に乏しく、対人関係の築き方がわからない人が多い。非行少年に対しては、きちんと社会生活が送れるよう家庭裁判所で生育環境などを調べ、少年鑑別所で医師ら専門家が検査や支援をする。場合によっては少年院で教育プログラムを組む。更生の余地が大きいうちに適切に処遇することで再犯の芽を摘み、新たな被害者を生むのを防ぐことにつながる。適用年齢を『18歳未満』に引き下げれば18、19歳の立ち直りの機会を奪い、再犯を増やす。社会にとってマイナスだ」

 --18、19歳は未成熟な「少年」か

 「かつては中学を卒業して働き、20代前半で家庭を持つ人が多かった。今は18、19歳では経済的に自立していない人が大半だ。政府の『青少年育成施策大綱』(平成20年)には、0歳から30歳未満までは社会的自立の遅れが見られると書いてある。まして非行少年は家庭で虐待を受け、学校や地域で阻害されるといった厳しい環境で育ち、より未成熟である傾向が強い」

 --相応の刑罰を科すことが犯罪抑止につながるとの意見も根強い

 「刑罰が少年の立ち直りにとってプラスにならないことは、世界の常識になっている。法務省の研究結果では、20歳未満で1犯目の刑事判決を受けた場合、3犯以上の再犯者になる比率が高い。厳罰化の先頭を走る米国でも同様の研究結果がある。一部の州は、いったん保護対象を17歳や16歳に引き下げたものの、再び18歳未満に戻した」

 --自民党内で引き下げの議論が始まっている

 「年齢制限は、法律の目的ごとに定めるべきだ。ドイツは民法の成人年齢を18歳に引き下げたが、少年法の適用は21歳未満のままだ。『選挙権を引き下げたから少年法も』と単純に考えるべき話ではない。

 検察庁は、取り扱う被疑者のうち68・6%(平成24年)を起訴猶予としている。18、19歳も成人同様の扱いをすると、その相当数が起訴猶予となり、家裁での手当てを何ら受けずに社会に戻される。再犯増加を招くのは明白だ」

 --各種世論調査では引き下げ賛成が圧倒的多数だ

 「大勢の人が漠然と『日本は少年犯罪に甘い』と思っている。だが、現行の少年法でも16歳以上が故意に人を死亡させた場合、原則として刑事裁判所に送致し、18歳以上であれば死刑の言い渡しもある。

 また、少年犯罪が増加・凶悪化しているという誤った情報が流されている。昭和30年代半ばに殺人や殺人未遂で検挙された少年は400人台だが、近年は40~50人台だ。

 日本は世界的に見ても少年犯罪が少なく、少年法制は高く評価されている。マスコミには実態を正しく報道してもらいたい。私たちも国民の理解を広げる努力をしないといけない」

 

 
2015年03月04日 10時08分
「少年事件が凶悪化している」というのは本当か? 自民・稲田政調会長「発言」を検証
少年犯罪は減少傾向にある

川崎市の中学生殺害事件で、18歳少年ら3人の少年が逮捕されたことを受けて、少年法の改正を検討課題にすべきという声が与党幹部からあがっている。

報道によると、自民党の稲田朋美政調会長は2月27日、「少年事件が非常に凶悪化しており、犯罪を予防する観点から、少年法が今の在り方でいいのか課題になる」と述べた。現行の少年法が定めている対象年齢を20歳から引き下げたり、加害少年の氏名を報道することを禁じる規制を見直したりする可能性を示した。

近年、未成年が加害者となる刑事事件がクローズアップされることが多いが、その一方で、ネット上では「少年事件は凶悪化していない」「何を根拠にしているのか?」といった反論や疑問も多数見られる。はたして、少年事件は「凶悪化」しているのか、刑事政策にくわしい九州大学法学部の武内謙治准教授に聞いた。

●少年の検挙人員は「減少傾向」にある

『犯罪白書』がウェブでも無料で見られるようになっていますので、その2014年版を参照しながら話を進めます(http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/61/nfm/mokuji.html)。

遠回りのようですが、まず、少年犯罪一般の動向について確認をしておきます。『犯罪白書』の「少年による刑法犯・一般刑法犯 検挙人員・人口比の推移」というグラフ(http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/61/nfm/images/full/h3-1-1-01.jpg)によると、少年の検挙人員は、刑法犯(刑法と一定の特別法に定められた罪を犯した少年)、一般刑法犯(刑法犯から自動車運転過失致死傷等を除いた罪を犯した少年)ともに、減少傾向にあります。また、人口10万人あたりの検挙人員を算出した人口比も減少しています。

その上で確認しておく必要があるのは、この検挙人員のうちの多くが軽微な犯罪である、ということです。『犯罪白書』の「少年による刑法犯 検挙人員(罪名別)」というデータ(エクセルデータ http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/61/nfm/excel/shiryo3-03.xlsx)を見ると、2013年は、窃盗と遺失物等横領が、刑法犯検挙人員の約57%(一般刑法犯の約74%)を占めています。それに対して、「凶悪犯」が占める割合は、約1%(一般刑法犯の約1.3%)です。

●「凶悪犯」が増えているとは言いがたい

では、「凶悪犯」に関係する統計をみてみます。警察統計で「凶悪犯」とされている犯罪は、殺人、強盗、放火、強姦です。ここでいう「殺人」には、自殺関与・同意殺人のほか、未遂、予備、教唆・幇助も含まれています。

先に参照した「少年による刑法犯 検挙人員(罪名別)」によると、これらの犯罪はいずれも、長期的には減少傾向にあります。特に、殺人は2001年以降、減少を続けており、直近の5年間は50件前後で推移しています。統計でみる限り、「凶悪犯罪」が増えているとは言いがたいです。

なお、日本は、「国際犯罪被害実態調査」に参加しており、これまで法務総合研究所が4回の調査を行っています。直近の調査結果は、2012年版の『犯罪白書』(http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/59/nfm/mokuji.html)に掲載されています(「第5編 犯罪被害者」「第3章 犯罪被害についての実態調査」)。少年非行に特化した調査ではありませんが、犯罪被害の実態調査からみても、「凶悪犯罪」が増えている、とは考えることは難しいです。

以上のように、犯罪統計を手がかりにして考えてみると、少年事件の「凶悪化」を裏づけることは難しいでしょう。ただ、このような説明の仕方に対しては、「量や数ではなく質が問題である」という疑問が出てくるかもしれません。

非行や犯罪の「質」を証明することには難しい問題が数多くありますが、関心をお持ちの方は、戦後から1970年代終わりまでの新聞での事件報道を集めている赤塚行雄編『青少年非行・犯罪史資料(1)〜(3)』(刊々堂出版社、1982年・1983年)を図書館などで参照されるとよいかもしれません。私たちが今日「凶悪」だと感じるような事件は、当時も存在したことが分かります。

●少年法改正による「犯罪予防効果」は実証されていない

少年法の改正、特に少年に対して刑罰を科しやすくすることによる犯罪予防の効果は、実証されていない、といえます。

犯罪予防には、大雑把にいって、社会で暮らす市民が犯罪に及ばないようにする「一般予防」と、非行や犯罪を行った者が再び同様の行為に及ばないようにするための「特別予防」があります。

特に重大な犯罪や凶悪犯に関して、刑罰による一般予防の効果を積極的に裏づけた科学的・実証的な知見はありません。特別予防の効果に関しては、むしろ社会とのつながりを断ち切りやすい刑罰を科すことで、かえって将来における再犯のリスクが高まるという考えもあります。

「犯罪予防」を語る際には、前提として、その「予防」が誰を対象としており、またどのくらい先を見据えたものなのか、ということを、あらかじめはっきりさせておくことも必要なのではないでしょうか。

●これまでの法改正の「効果」をまず検証するべき

少年法は、2000年以降、4度、大きな改正をされています。そのうち2000年の法改正は、まさに少年事件が増加・凶悪化・低年齢化しているという認識の上で、少年に対して刑事処分を科しやすくするものでした。また、昨年に行われた法改正は、これまでの刑罰の重さでは対応できない犯罪に対応できるようにすることを目的として、少年に対して科すことができる刑の上限の引き上げを行っています。

こうした一連の法改正が前提とする事実認識が客観的に正しいものであったのかどうか、また、一般論を超えて具体的事件においてどのように対応すべきなのかということは、当然のことながら、別途、検討が必要になります。

しかし、いずれにしても、新たに法改正を行おうとするのであれば、その前提として、これまでの法改正によりどのような効果(と、場合によっては副作用)が生じているのかを科学的に検証することは、避けて通れません。その上で、どのような効果を見込んで、新たに法改正を行おうとするのか、印象論にとどまらない、客観的、科学的な議論を行うことが不可欠です。

これまで行ってきた法改正による効果の検証・評価も踏まえた上で、(1)前提として、法改正を支えるだけの事実が客観的に存在するかどうか、ということを確認した上で、(2)事実が客観的に存在するとして、犯罪予防の観点から法改正にどのような効果を期待できるのか、また副作用をも考えて、そうした手段が果たして望ましいのか、ということを、具体的かつ冷静に検討することが必要になる、ということになります。

【取材協力】

武内 謙治(たけうち・けんじ)九州大学法学部准教授

著書『少年法講義』(日本評論社、2015年)、『少年司法における保護の構造』(日本評論社、2014年)。編著『少年事件の裁判員裁判』(現代人文社、2014年)、訳書『ドイツ少年刑法改革のための諸提案』(現代人文社、2005年)。

(弁護士ドットコムニュース)



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