
ドイツで保守政党の国会議員を務めたこともあるユルゲン・トーデンヘーファー氏が、英紙ガーディアン2015年11月27日付で、
「西側の政治家たちはテロリストの仕掛けたワナに落ち込んでいる」
と指摘しています。
2014年には「イスラム国」で取材をしたこともある彼がこれまでも再三言ってきたのは
「アメリカとその同盟国がISISの拠点に対して行っている空爆は効果がなく、ISISの弱体化に何の影響も及ぼしていない。」
ということです。

2015年10月8日、米国を中心とする有志連合がシリア・コバニ付近で行なった空爆。ロイター。

結果としてこんな世界になってしまっている。
拡大の一途 イスラム国系過激派ネットワーク
今回のインタビューで同氏が語った
「対テロ戦争が推定100万人のイラク国民の命を奪った後、現在われわれが直面しているのは約10万人のテロリストだ。ISはブッシュの『申し子だ』」
「子どもが1人殺されるたびに新たなテロリストが生まれる。戦争はブーメランだ。後になってテロの形態をとってしっぺ返しがやってくる」
という指摘は、私も多くの識者も何度も指摘していること。
そして、同氏は、軍事的手段によらないIS打倒の方法として、
(1)湾岸諸国からの武器供給の停止
(2)トルコ国境封鎖による戦闘員流入の阻止
(3)シリアとイラクの国民的和解の促進
の3点を指摘しました。

明らかにトルコ国境に近いところに勢力を伸ばしている。
イラクがクウェートに侵攻した湾岸戦争のときも、経済封鎖でイラクを追い詰めるべきだったんです。
むしろ、イラク戦争時点では、経済封鎖のやりすぎでイラクが弱りすぎ、子どもたちにも犠牲者が出ていたくらいです。
南アフリカのアパルトヘイトを倒したのも、内側の反アパルトヘイト運動と外側からの経済封鎖。南アの「黒人」差別制度さえ打倒できるのですから、経済封鎖の威力は絶大です。
即効性を求めて、武力行使をするのは愚の骨頂なのです。



「ここはお前たちが来る所ではない」トルコ・シリア国境「イスラム国」への最前線はあまりに緩く、誰が敵か味方かも判別できず混沌が渦巻いていた
そもそも、「イスラム国」が闘えているのは、人がいて、武器があって、金があるから。
空爆など武力行使は「イスラム国」の兵士を作るばかりですから、まず止めます。
また、他国から「イスラム国」へ「義勇兵」的な人たちが流入しないように、国境を封鎖します。
これで、「イスラム国」の兵士はやがて漸減を始めます。
また、武器と原油の取引ができなくなれば、彼らの武器も資金源も途絶えるのです。
誰かが彼らから原油を買って、武器を売っているから彼らは闘い続けている。
空爆をしながら、彼らを援助しているのでは、まさにマッチポンプ(マッチで火をつけて、ポンプで水をかけているふりをすること)です。

原油を運ぶタンクローリーや武器を運ぶトラックではなく、市街地を攻撃する意味が解らない。
シリア政府を倒すために「イスラム国」を見過ごしてきたと言われる欧米諸国、クルド民族運動を牽制するために「イスラム国」と取引をしてきたというトルコも問われなければいけませんし、今、空爆で火に油を注ぎだしたロシアも責任重大です。
ヨルダンやレバノンなどの湾岸諸国の協力も必要不可欠です。
「イスラム国」支配地域と周辺各国の国境を封鎖することこそ、最大のテロ対策です。

逆国境封鎖。イスラム教の過激派組織「イスラム国」がシリア北部の21の村を襲撃したことを受け、何千というクルド人たちがトルコ国境付近まで避難した。しかし、夜がふけてもこれらの避難民はトルコ国境を越えられず、シリア側にとどまっているという。9月18日、ロイターなどが報じた。
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より根本的には、欧米諸国によるアラブへの支配と利用、イスラム地域の貧困や不平等、絶対王政の問題など、手を付けるべき問題はいっぱいあります。
もちろん、日本も「イスラム国」と貿易してはなりませんが、国境封鎖は軍事力を行使するので日本は参加できませんし、するべきではありません。
日本ができるのは、格差是正などの経済・社会政策や、外交で調停役に回ることです。
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ウォールストリートジャーナル
ENLARGE過激派組織「イスラム国」が西側の何千という人たちを引き付ける能力は現代史では前例がなく、最も恐ろしい成功と言えるかもしれない。このことが特に気がかりなのは、シリアに集まる女性や男性たちの大部分はイスラムへの新参者である。これはこの残忍な組織が超保守的な根幹をはるかに越えた魅力を高めていることの証左だ。
テロ研究者によると、キリスト教からの改宗者であれ、無神論の家で育った人たちであれ、彼らはしばしば便宜船籍の旗を探し求める反逆者たちだ。これらの現在社会とそのルールを拒否する、新しいジハーディストの多くは、それが西側への最も明確な対比だという理由だけで、イスラム国の大量虐殺狂信的集団を受け入れている。
仏トゥールーズ大学の西側外国人戦闘員の動向を調べているマシュー・ギデール氏は、半分以上は「幻滅した理想主義者と革命家だ」と推定。同氏は「彼らは世界を作り直したいと思い、ほかには何もないことから、ジハーディズムだけが代替イデオロギーだと判断している」とし、「彼らが本当に探しているのは武装闘争であり、彼らはそれをイスラム国で見いだした」と語った。
情報当局者によると、シリアとイラクに渡った2万人の外国人戦闘員の約4分の1は欧州、北米、それにオーストラリアの出身。そのほとんどは移民ではなく、その国生まれの市民だ。この西側からの流入の規模は、以前のジハードの戦闘地域であるアフガニスタン、ボスニア、チェチェン、あるいは米国占領時期のイラクでの数に比べるとはるかに大きい。
関係筋によれば、26日には、イスラム国の処刑の場面を映したビデオに何度か現れた、「ジハーディ・ジョン」として知られる覆面姿の戦闘員はロンドン出身の英国人ムハンマド・エムワジ容疑者と特定された。
これらの西側出身の戦闘員たちの動機は現在のシリアとはほとんど関係がない。米国が支援する自由シリア軍(FSA)の司令官ニダル・サレム氏は「彼らがここにやって来るのは自分たちの国を憎んでいるからだ」と話した。同氏はシリア北部のアレッポで何人かの欧州ジハーディストと遭遇した経験がある。
中東にまでやって来ないイスラム国信奉者たちはより危険な存在になり得る。その好例が、1月のパリでのテロ事件で5人―うち4人はユダヤ人向け食料品店内で―を殺害したアメディ・クリバリ容疑者だ。米当局は25日、ニューヨーク・ブルックリンに住むウズベキスタンとカザフスタン出身の男3人を、米国での襲撃とシリアのイスラム国への参加を計画したとして逮捕した。
ENLARGE
テロ専門家は、西側のイスラム国信奉者―しばしば裕福な育ちだ―と、1970、80年代のイタリアの「赤い旅団」や西独の「赤軍」などのホームグロウン・テログループを受け入れる若い男女との間には驚くほどの類似点があると指摘する。
当時の共産主義思想―実際の共産主義国家では生命の恐怖があったにもかかわらず―はより良い、より公平な、より純粋な社会を約束していたように見えた。イスラム国のプロパガンダの最大の力は、今日の独自のユートピア的ビジョンでかつての共産主義と同じような感覚を与える能力で、欧州全域のうんざりした理想主義者、不適応者、冒険主義者らを引き付けている。共産主義者と同様に、イスラム国は世界的な福祉、無料診療、社会正義の実現を約束している。
ノルウェー防衛研究所のテロ研究部門のトマス・ヘッグハマー部長は「それは極左活動家を生まれさせる不安感と基本的に同じだ」とし、「多くの若者は、資本主義中心の西側の制度は自分たちのためにあるのではなく、別の社会が作られているという同じ考えを持っている」と述べた。
ヘッグハマー氏は、彼らの多くにとっては現在のイスラム国は70年代のソ連やキューバと同じで、「それは異なった社会モデルを目にすることのできる、極端に異なった場所」だとしている。
イスラム世界から米国とその同盟国を排除するとのメッセージを出しているアルカイダとは異なり、イスラム国は世界征服というより野心的なプロジェクトを提示している。イスラム国はしばしばバチカンのサンピエトロ大聖堂をモスクに変えたイメージを用い、いずれ欧州をイスラム化するとの考えであからさまに同組織への勧誘を図っている。シリアとイラクにいる一部の欧州出身の戦闘員は、それほど遠くない将来、イスラムの征服部隊とともに自国に戻ると信じている。
恰幅(かっぷく)のいいドイツ人アブ・カタダさん(本名クリスティアン・エムデ)は昨年12月、ユルゲン・トーデンヘーファー氏とのインタビューで、「われわれは最終的に帰国する。それは丁寧なあいさつを伴うものではなく、武器と戦闘員を伴う帰国だ。われわれは誰であれ、イスラムを受け入れない者、保護税を払わない者を殺す」と語った。トーデンヘーファー氏はイスラム教徒以外でイスラム国に招待された唯一のジャーナリストだ。
イランラジオ

ドイツの元議員で、作家のユルゲン・トーデンヘーファー氏が、アメリカのイラク占領はテロ組織ISISを作り出した要因だとしました。
トーデンヘーファー氏は、ISISなどの地域におけるテロ組織の結成の責任はアメリカにあるとしています。
トーデンヘーファー氏はまた、「アメリカとその同盟国がISISの拠点に対して行っている空爆は効果がなく、ISISの弱体化に何の影響も及ぼしていない。ISISの問題の唯一の解決策とは、アメリカのイラク戦争がイラクの国軍を弱体化させ、人々の重要な役割を脇に追いやった要因を検討することだ」と語りました。
さらに、「アメリカは地域で過激派が創出されるのを助ける条件を整え、地域諸国に対する連続的な侵略や扇動、騒動を作り出しながら、政府機関、とりわけ軍や地域の治安部隊を攻撃することで、テロの拠点が出現するのに適した雰囲気を作りだすことに加担している」と述べました。
2015年12月5日(土) しんぶん赤旗
空爆はIS喜ばすだけ
軍事手段でない方法提言
現地取材の独記者が寄稿 英紙
11月13日のパリ同時テロ以後、フランスや英国などが相次いでシリア空爆への参加・強化に踏み切っています。これについて、西側のジャーナリストとして唯一過激組織ISから許可されて支配地域の取材をしたドイツ人記者が、「空爆はIS戦闘員を喜ばすだけだ」と批判する寄稿を英紙に寄せています。現地でIS戦闘員たちに直接インタビューし、彼らの行動を目撃しての結論として、空爆は新たなテロリストを生み出すだけだと警告しました。
この記者は、ドイツで保守政党の国会議員を務めたこともあるユルゲン・トーデンヘーファー氏。英紙ガーディアン11月27日付で、「西側の政治家たちはテロリストの仕掛けたワナに落ち込んでいる」と指摘しています。
同氏はアメリカのブッシュ前政権が始めた「対テロ戦争」について「対テロ戦争が推定100万人のイラク国民の命を奪った後、現在われわれが直面しているのは約10万人のテロリストだ。ISはブッシュの『申し子だ』」と告発しました。
その教訓を学ばないまま、欧米諸国が現在強化しているシリア空爆についても、「子どもが1人殺されるたびに新たなテロリストが生まれる。戦争はブーメランだ。後になってテロの形態をとってしっぺ返しがやってくる」と主張しました。
2014年10月にIS支配地域に滞在した同氏は、米国のジェット戦闘機や無人機の攻撃が迫るたびにISの護衛が素早く地元住民たちの中に消えていったことを紹介。空爆は、地元住民に被害を広げ、新たなテロリストをつくり出し、欧米との直接決戦をのぞんでいるIS戦闘員たちを「歓喜で満たすだろう」と述べています。
同氏は、軍事的手段によらないIS打倒の方法として、(1)湾岸諸国からの武器供給の停止(2)トルコ国境封鎖による戦闘員流入の阻止(3)シリアとイラクの国民的和解の促進―の3点を提言しています。
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