以下の内容はhttps://rapidliner0.hatenablog.com/entry/2024/11/10/120000より取得しました。


公的医療保険と通信建設業界、それぞれの「第三者加害」の語の定義・用法

概要

一般の人が「第三者加害」という語を目にする可能性がある場面は、もっぱら公的医療保険の手続きに関わる場面です。「第三者加害」の語自体の一般的な定義も、「公的医療保険分野における定義を一般的な定義とする」として差し支えないでしょう。

一方で、通信建設業界においては、「第三者加害」の語に独自の定義が存在します。しかも、通信建設業界における「第三者加害」の語の独自定義は、公的医療保険分野における定義を基準とすると誤解を招く内容です。

この記事では、「第三者加害」の語について、「公的医療保険の分野における定義」と「通信建設業界における定義」をそれぞれ説明します。

公的医療保険の分野における「第三者加害」

公的医療保険の分野において、「第三者加害」の語は「三者による加害行為」という意味で用いられます。主に「本来加害者が補償すべき治療費等を、公的医療保険が立て替えて支払う」という文脈で用いられる語です。具体的な用例は例えば以下です。

「第三者行為災害」とは、労災保険の給付の原因である事故(災害)が第三者の行為などによって生じたものであって、労災保険の受給権者である被災労働者又は遺族に対して、第三者が損害賠償の義務を有しているものをいいます(交通事故等いわゆる加害者がいる場合)。

第三者行為災害【労災補償課】 - 厚生労働省 神奈川労働局 一部かっこ書きを省略。

三者加害行為災害とは、公務遂行中又は通勤の途上において第三者による加害行為によって身体に損害を加えられた場合で民法等に基づく損害賠償請求権が生ずるものをいいます。その典型的な災害例は、交通事故、殴打事故などです。第三者加害行為災害の場合には、被災職員は基金へ補償請求ができると同時に、第三者にも損害賠償の請求ができます。

第三者加害行為の災害について - 地方公務員災害補償基金千葉県支部

交通事故や喧嘩など、第三者の行為による負傷で、健康保険で治療を受けたときには「第三者行為による傷病届」のご提出をお願いします。

自動車事故等の第三者行為によりケガをしたときの治療費は、本来、加害者が負担するのが原則です。しかし、業務上や通勤災害によるものでなければ、健康保険を使って治療を受けることができますが、この場合、加害者が支払うべき治療費を健康保険が立て替えて支払うこととなります。

事故にあったとき(第三者行為による傷病届等について) - 全国健康保険協会

いずれにせよ、公的医療保険の分野における「第三者加害」の語の用法は、「加害行為の行為主体は第三者」というのがポイントです。

通信建設業界における「第三者加害」

一方、通信建設業界における「第三者加害」の語は、「工事従事者による、第三者に対する加害行為」という意味で用いられます。公的医療保険の分野における「第三者加害」とは、主体と客体が入れ替わっています。「主体客体関係が真逆」というのは、明らかに誤解を招く違いです。

具体的な用例は例えば以下です。

2018年度は人身事故では「転落・転倒」、「重機・電動工具」に起因する事故および「第三者加害」事故、また作業ミスによる通信設備関連事故についてはケーブル切断や抜去対象の「マーキング」に絞って、 重点化した事故防止に取り組みます。

社会|CSR活動|サステナビリティ|会社情報 - エクシオグループ

今年1年、全員が人身・設備・交通・セキュリティ事故、第三者加害を絶対発生させないという信念をもって業務にあたってください。

2020年 小畑社長年頭あいさつ - 株式会社アストエンジ ミライト・ワンの子会社。主にNTT東西発注の工事に係る業務のアウトソーシングを業務目的とする。

R3.12.21 和歌山県三者加害 車道上でMH新設の為試験掘りを実施していたところ、掘削箇所へ通行人(目の不自由な方)が誤って立ち入り、掘削構内(深さ1.5m)へ転落

Safety News 「きらめき」 2022年4月号(PDF) - 東北情報インフラユニオン

「安全の鉄則」における記述

rapidliner0.hatenablog.com

通信建設業界共通の安全作業ルールである「安全の鉄則」でも、「第三者加害」の語は、通信建設業界独自の定義に基づいて用いられています。関係する記述は以下です。

  • 鉄則第二十一条…「第三者加害防止」の鉄則(道路上作業)
  • 鉄則第二十一条…「第三者加害防止」の鉄則(道路上建柱作業)
  • 鉄則第二十一条…「第三者加害防止」の鉄則(構内開口部作業)
  • 鉄則第二十一条…「第三者加害防止」の鉄則(天井作業)

想定されている事故の内容は「道路上高所作業での機工具やケーブル等の落下により第三者が負傷する」「道路上掘削作業での掘削口転落、転倒により第三者が負傷する」といったものです。いずれも「工事従事者の行為により第三者が負傷する」というケースです。

代替表現「公衆災害」

一般的な建設業界には、「第三者加害」の通信建設業界独自の定義に対応する別の語が存在します。「公衆災害」という語がそれです。「公衆災害」の定義は、国土交通省が策定する建設工事公衆災害防止対策要綱にて以下の通りなされています。

当該工事の関係者以外の第三者の生命、身体及び財産に関する危害並びに迷惑

建設工事公衆災害防止対策要綱(土木工事編)(PDF) - 国土交通省

国土交通省が定めた要綱で定義された語であるゆえ、建設業界全体で通用すると考えて差し支えありません。

個人的感想

私自身は、当記事執筆時点では通信建設業界で働いており、業務上は「第三者加害の語について、通信建設業界の独自用法を用いなければならない」立場です。しかしながら、個人的には「『第三者加害』という語の使用は、業務上でも極力避ける」という方向性で業務に臨みたいと考えています。「より一般的な用法に対して、主体客体関係が入れ替わっており、業界外の人に誤解を招くことが明らかであると考える」「通信建設業界の独自用法の『第三者加害』には、建設業界一般で通用する代替表現が存在する」というのがその理由です。




以上の内容はhttps://rapidliner0.hatenablog.com/entry/2024/11/10/120000より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14