「どこか行こうよ」と誘って手を握った思い出

付き合いはじめの頃って、ただ会えるだけでうれしかった。
でも、会社ではお互いに距離を置き、よそよそしくしていた。
そのせいで、何とも言えないストレスが溜まっていった。
マユミの手を触りたくて、触りたくて仕方がなかったけれど、
会社ではきっちりと境界線を引き、ニコリともしないまま1日を過ごすことも多かった。
その時間は、本当に息が詰まりそうなくらいのストレスだった。
目を合わせたいけれど、それもできず、せいぜいチラ見。
だから、遠くからそっと目で追いかけるだけだった。
だからこそ、心の中ではいつも、「ずっと手を握っていたい」という思いが募っていったのだ。
まだ別々に暮らしていたから、仕事が終わって家に帰ると、すぐにメールを送った。
「今日はどうしてる?」とか、「今、何してる?」なんて、他愛もないことばかり。
夜遅く電話するのは迷惑だろうと思って、電話は我慢。
だから、メールをバンバン送るしかなかった。
でも、返事がこない時が続くと、どうしてるのかな…と心配になったりもして、一晩悶々として。
次の日の朝、ポンと届く返信を見てホッとする。
そのたびに、「ああ、良かった」って安心した。

若い頃のボクは、とにかくマユミと一緒にいたくて仕方なかった。
平日の夜だって、休日でも「どこか行こうよ」と誘っては、手を握ったりして。
あの頃のボクにとって、手を握ることは、言葉よりも大きな「好き」のサインだった。
別に用もないのに地元の駅前に呼び出して手を握って歩く。
会社から離れているけど、ふたりで見つからないかドキドキしながら歩いてた。
今思えば、あの時のウキウキした気持ちも、メールのやりとりにドキドキした夜も、全部がかけがえのない恋の記憶だ。
そして、それは今もボクたちの中に、ちゃんと生きている。
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