不自由な恋を選んだ理由──“普通の女性”が献身を選ぶとき
第9章:誰かに説明しなくても、わたしはわかっている
マユミは、駅前のカフェで友人と久しぶりに会った。
大学時代の仲間で、今は結婚して子どももいる。
「旦那、最近ちょっと面倒でさ」
そう言って笑う友人の話を聞きながら、マユミは静かにコーヒーを飲んでいた。
「マユミは、ヒロさんとどうなの?」
そう聞かれて、少しだけ言葉に詰まった。
どうなの、と言われても、うまく説明できる気がしなかった。
「うーん……なんていうか、特別なことはないけど、ちゃんと一緒にいるって感じかな」
そう答えると、友人は少し首をかしげた。
「でもさ、体調とか大変なんでしょ? マユミって、昔から我慢強いよね」
その言葉に、マユミは笑った。
「我慢してるつもりはないのよ。わたしが選んでるだけだから」
帰り道、マユミはふと考えた。
“普通の恋”って、なんだろう。
誰かにとっては、週末のデートや記念日のプレゼントかもしれない。
でも、わたしにとっての“普通”は、ヒロと一緒にごはんを食べて、
夜に「おやすみ」と言って眠ること。
誰かに説明しなくても、わたしはわかっている。
この恋は、誰かの基準で測るものじゃない。
わたしが選んで、わたしが続けている。
それだけで、十分なのよ。
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