これからしばらくのあいだ、イラストや写真ではなく、文字だけの物語をお届けしたいと思います。
拙い綴りではありますが、言葉だけだからこそ残せる温度や余韻があるのではないかと思い、筆をとりました。
マユミが、なぜ困難な恋を選んだのか。ボクは日記に、そのことを繰り返し綴ってきました。
周りからは「なぜそんな道を」と不思議に見られているだろうし、過去にも似た視線を浴びて戸惑ったことがありました。
それでも結局のところ、彼女がボクを選んだという事実がすべてで、その重さをどう受けとめるかがボクの課題なのだと思います。
不自由な恋を選んだ理由──“普通の女性”が献身を選ぶとき:過去日記番外編
第1章:献身は“美談”ではない──マユミが選んだ生き方
「マユミって、すごく献身的だね」
そう言われることがある。
ヒロのために時間を使い、気を配り、予定をずらしてまで支えようとする姿は、たしかに“美しい”と思われるかもしれない。
でも、マユミ自身は、そんなふうに考えていない。
「好きな人が困ってたら、自然に動いちゃうんです」
そう言って、少し照れたように笑う。
それは、誰かに褒められたいからでも、我慢しているからでもない。
むしろ、誰かの役に立てるとき、自分が“自分らしく”いられる気がする。
それが、マユミにとっての自然な感覚だった。
もちろん、周りから心配されることもある。
「そんなに尽くして、あなたは幸せなの?」
「もっと自分を大事にしたほうがいいんじゃない?」
そんな言葉をかけられるたびに、マユミは少しだけ考える。
でも、答えはいつも同じだった。
「ヒロが笑ってくれると、私も嬉しいんです。
それだけで、十分なんです。」
献身という言葉には、どこか“耐える”とか“犠牲になる”という響きがある。
でも、マユミのそれは、もっと柔らかくて、もっと静かで、
まるで朝の光がカーテン越しに差し込むような、そんな優しさだった。