公園からの帰り道を歩いて、部屋に戻った夜のこと。
外の静けさとは違う、柔らかい灯りに包まれたリビング。
夜の灯りに包まれた部屋。
カモミールティの湯気がゆっくりと立ちのぼる。
マユミは少し黙ってから、落ち着いた声で言った。
「ヒロ……わたしはね、どんなに辛い環境からも逃げたりしない。離婚なんかしないから。」

その一言は、静かなのに、胸の奥に真っ直ぐ突き刺さった。
あまりに強くて、優しくて、ボクは息をのみそうになった。
「病気だからとか、弱いところがあるからって……あなたを置いていくなんて、絶対にしない。むしろ、そういう時こそ一緒にいたいと思えるの。だから、どうか自分を責めないで。」
言葉のひとつひとつが心に沁みて、胸の中心がグッと締めつけられる。
逃げ場もなく、ただ真正面からその想いを受け止めるしかなかった。
マユミはふっと笑みを浮かべた。
「私はね、あなたといることが幸せなの。だから……これからも、隣にいてほしい。」
その笑顔に、ボクの視界は滲んでいった。
涙を隠すことなんて、もうできなかった。