病気や負担ではなく愛情で支える夫婦関係
今日は夕方、マユミと公園に散歩に出かけた。
マンションを出て数分歩くだけなのに、二人で歩くとそれが小旅行みたいに思える。
ベンチに座って、子どもたちが鬼ごっこをしているのを眺めながら、マユミが急に笑った。
「ほら、あの子、あなたに似てる。走り方が一生懸命すぎて。」
確かに。小さい頃からボクも全力で走って、転んでばかりだったなと思い出した。
そんな他愛ない話をしているうちに、ふと沈黙が訪れた。

夕陽が伸ばす影を眺めていると、胸の奥からどうしても伝えたくなる言葉が浮かんできた。
「マユミ……ボクはね、君のことがどうしようもないくらい好きなんだ。」
思わず口から出たその言葉は、自分でも少し大げさに聞こえた。
結婚して一年が経つのに、まだこんなことを言ってしまう。
それは、自分にまだ自信が持てないからだ。
体を壊したこともあって、この先ずっとマユミに負担をかけてしまうんじゃないか。
そんな不安を、抑えきれずに吐き出してしまった。
しばらく黙っていたマユミは、そっと視線を落とし、それから静かに顔を上げた。
街灯の明かりに照らされた瞳は、まっすぐで、涙を宿しているように見えた。
た。
「ヒロ……私ね、もうあなたがいない生活なんて考えられないの。」
「もし体を壊していなかったとしても。もし何の不安もなく生きられる人だったとしても。私は同じように、あなたを選んでた。」
「だから、負担とか迷惑とか……そんな風に思わないで。」
「むしろね、心配させてくれる人がいること。その人のことを大事にしたいと思えることって……すごく幸せなのよ。」
「私には、あなたしかいないの。」

その言葉は、心の奥に残っていた空洞にすっと染み込んで、胸を熱くしていった。
うまく言葉にならないけれど、涙が込み上げてきて、視界がにじんだ。
──結婚して一年。
ボクはまだ迷ってばかりだけれど、
マユミは、そんな迷いも不安も抱きしめて、一緒に歩いてくれる。
こんな献身的な人は今までいなかった。
ボクはずっと未来を諦めてきたから、なおさらそう思う。
夜風がそっと吹いて、二人の影は寄り添うように伸びていった。
──これは、ある日のこと。
だからこそ、この日を忘れたくないと思う。
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