■■2015年7月2日更新:写真追加
病院の静かな一日——義母と過ごす検査の朝
朝のやわらかい光が、レースのカーテン越しにリビングを照らしていた。
ヒロは今日は会社を休んで、朝から家の近くの🏥○○市民病院に行く予定でMRI検査🩻をする。
この病院に掛かって15年以上経つ。
マユミも前の晩、「明日は仕事で付き添えなくてごめんね。でも、お母さんいるから大丈夫だよね?」と優しく言ってくれていた。
「うん、大丈夫」。
この病院には、あの明るくて👩⚕️優しいお義母さん(愛子)がいる。 自宅からは少し離れていても、病院はボクの家のすぐ近く🚶歩いて20分弱で近い。お義母さんは転職してこの地に来てくれたのは、家族としてもありがたいことだった。


マユミが、会社に行く途中まで送ってくれた。
午前9時前、病院の受付を済ませ、少し緊張しながら待合室のベンチに腰を下ろす。

受付を済ませて、診察待ちのソファに腰かけると、白衣姿のお義母さんが遠くから手を振ってきた。 忙しい合間を縫って、ちらっと顔を見に来てくれたらしい。
「来たのね、えらいえらい。マユミからLINEもらってるわよ」
「えっ……もう話してたの?」
「もちろん。“お母さん、よろしくお願いします”って、仕事行く前にLINEでね」 愛子さんが嬉しそうにスマホを見せてくる。
「あの子、本当は付き添いたかったのよ。でも今日は午後から大事なプレゼンがあるって言ってたから」
「そっか……」
ヒロはちょっと照れたように頷いた。
頭に手を当てて「熱はなさそうね。顔色も、良さそうよ」
「うん、ちょっとずつ良くなってる……かも」
「無理しないで。マユミちゃんに心配かけると、後が怖いでしょ?」
「……うん、それはほんとに」
ふたりでくすっと笑う。

診察室に呼ばれ、名前を呼ばれたヒロが立ち上がると、、愛子さんは「じゃあ検査、頑張って」、そばにいた別の看護師が小さく愛子さんに尋ねた。
「竹○さん、この方……もしかして?」
愛子さんは少し誇らしげに笑って、「うちの“息子”なの。まだ結婚してそんなに経ってないけど、真面目で優しい子なのよ」と紹介した。
ヒロはドギマギしながら、頭を下げた。
「……よろしくお願いします」
看護師さんが冗談まじりに言った。
「竹○さんの娘さんもきれいだけど、息子さんもイケメンなんですね」
すると愛子さんがすぐにかぶせるように言う。
「この子、ほんと謙虚なのよ。口数少ないけど、ちゃんと気づかいできるの」
その言葉がなんだかくすぐったくて、ボクは苦笑いしながら診察室へ入っていった。
検査と問診に時間がかかり、午後少し遅くの時間には帰宅し、静かな家のリビングで、ゆっくりとソファに横になる。 ベッドに移ると、風がカーテンをゆらゆらと揺らし、どこか遠くの風鈴の音が微かに聞こえていた。
検査結果も良かったし…
(ちょっと、寝ようかな)
そう思って目を閉じたその時、玄関のドアがふわっと開く音がした。
「ただいま〜」 マキの声だった。
廊下を歩く足音。 寝室のドアが少し開いて、マキの顔がひょっこりのぞいた。
「お兄ちゃん、……寝てる? ……そっか」 小さな声でつぶやいて、マキはそっとドアを閉めた。
そのあと、隣の部屋で机に向かう音がかすかに聞こえる。 ページをめくる音、ペンが走る音、マキの静かな咳払い。
なんてことのない音が、ヒロにとってはとてもあたたかかった。
日が傾き始めた頃、玄関が再び開く音がして、今度はマユミが帰ってきた。
「ヒロ、ただいま。……大丈夫?」
ヒロは目を覚まして、小さく「うん」と答えた。
「お母さんからもLINE来たよ。“ちゃんと診察受けましたよ”って」
「ふふ、さすがに逃げないよ」
マユミが微笑んで、そっとヒロの額に手を当てる。
「熱も無いみたい。……顔色もいいし、良かった」
その言葉に、ヒロは安心したように目を閉じた。
その静かな一日は、何よりもあたたかく、何よりもありがたいものだった。