「本人そっくり」にしない工夫と、“雰囲気再現”という落とし所
マユミが、よく言っていた。
ボクがまだ若かった頃、オフィスで、みんながワイワイしている空間の中で――
「ヒロは女好きだから」とか、「私、体に自信ないもん」なんて、冗談めかして言ってきた。

たぶん、場の空気をやわらげようとしてたんだと思う。
その場のノリに合わせて、ボクをネタにして、みんなを笑わせるように。

当時のボクはというと、完全にマユミに一目惚れしていて、そんなことはどうでもいい。
なんとか気を引きたくて、誰もいない所で「好きだよ」「惚れたかも」なんて、冗談っぽく言ってた。
だから、マユミのそういう返しは、たぶん笑い話に見せかけて、周囲に悟られないようにしてたんだと思う。
でも実際、マユミは身長も165cmあり、ヒールを履くと170cmと背が高くてスラッとした痩せ型で、ちょっとガーリーな雰囲気がある。
「体に自信ない」なんて、どう考えても見当違いだった。
ボクはそもそも、いわゆる“肉感的な人”とか、“胸の大きな人”がタイプだったわけじゃない。
でも今のSNSを見ると、生成AIで作られた女性の画像があふれていて、その多くが極端に胸が大きかったり、体のバランスが現実離れしていたりする、お色気ムンムンの女性だらけです。
そういう画像のほうが注目されやすくて、インプレッションも稼げて、結果的にお金につながる仕組みなんだろう。
SNSやnoteのブログを見ていると、「男性の何かをくすぐる」ような、そんな意図を感じることがある。
たしかに、ボクだって最初からインプレッション狙いで、そういう方向で作ろうと思えば作れた。
そうすれば、興味本位でもっと多くの人に見てもらえたのかもしれない。いや、正直、それはわからないけれど。
でも――ボクがやりたかったのは、そういうことじゃない。
ボクが描きたかったのは、“若い頃の思い出の再現”だった。
ガリガリで、痩せっぽちで、でもどこかスマートでスラッとした、スタイリッシュな若い頃のマユミ。
その頃の記憶を、もう一度カタチにして残しておきたい。
ただ、それだけなんです。

動画で表現するにはコストもかかる。
それなら静止画で再現してみようと試行錯誤した。
もしかすると、生成された写真の中にマユミにそっくりな姿が現れるんじゃないか――そんな期待も少しあった。
ただ、あまりにも似すぎると問題もあるかもしれない。
最初はそんな期待もありました。
だから一度、生成写真をイラストに変換して、その上で使っていた時期もある。
でも当初のイラスト化は、顔が毎回違ったり、ポーズや表情がストーリーと合わなかったりで、かなり違和感が出てきた。
結果、イラスト化は中止。写真のままで雰囲気を寄せていく方向に切り替えた。
デジカメで撮影した実物のマユミの過去写真をChatGPTやGemini、プロンプト抽出サイトにアップして、抽出したプロンプトでImageFXや、ChatGPT、Copilotなどで生成すると、全く違う顔が生成AI毎に生成されて、これは面倒だと感じました。
ImageFXでプロンプト組む時もエラーが出るくらいの長くて詳しいプロンプト組めば、もしかしたら、1人だけの1枚出しの写真なら、まぐれで出るかもしれない。
顔は、そっくりにはできないように制限があるようで、生成の精度も不安定。
同じプロンプトでも毎回違う顔が出てきたり、急に“アイドル顔”になったりする。
どうやら、肖像権やプライバシー保護の観点から、完全一致を避ける設計になっているらしい。
そこでボクとマユミの中でこう決めた。
ボクが考えたプロンプトで、「この髪型、この目、このスタイル、この雰囲気なら“マユミ”として採用する」。
その条件を満たした一枚をベース設定にして、ストーリーの中では“同じ演者”として登場してもらう。
毎回顔やスタイルがブレないように気をつけて、生成AIにも“ある程度の演技”をしてもらう、という感じ。
それでも毎回、アップデートしていますが、いかに普通に出力してもらえるか、CGに見えないように気を付ける。
たとえ会社の誰かがブログを見ても、「あれ、雰囲気は似てるけど、本人じゃないよね?」くらいで収まる。だけど、日記の内容を読めば分かってしまう。
それがボクにとって、ギリギリのラインだった。
それでも日々、生成AIの顔が変わっていくのには悩まされた。
テストするたびにズレていき、ときには目が異様に大きくなって、人間離れした“マユミもどき”が登場する。
似ても似つかないマユミ。コレが良いという人も中にはいるかも。
さすがに、あれはしんどかった。
【あとがき】
「そっくりにしない」ことが、いまの生成AI活用のポイントかもしれません。
大切なのは、“誰に見せたいのか”と、“どこまで再現したいのか”のバランス。
ボクは今も、あの頃のマユミとの思い出を、静かに、少しずつ再現していきたいと思っています。
それは、もしかしたらただの自己満足かもしれません。
でも――そんな小さな再現のひとつひとつを、ここでみなさんと共有できたらうれしいなと思っています。