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『疲れた夜に寄り添う夫婦の時間!背中を撫でる優しさとおやすみの言葉』:過去日記141

『おやすみの手前で』

夕食が終わると、リビングにはゆっくりとした時間が流れ始めた。
マユミがキッチンに立ち、静かにお茶をいれてくれる。
湯気の立つ湯呑みを、ヒロとマキの前にひとつずつ、そっと置いた。

時計の針は夜8時を指していた。

「よし、そろそろ課題やらなくちゃ」
マキが小さく伸びをしながら、立ち上がる。

「えらいね」
マユミが笑いながら言うと、マキも照れたように笑って、手を振る。

「じゃ、マキ、おやすみ」
「おやすみ、ふたりとも」

マキが自分の部屋のドアを静かに閉めたあと、リビングには窓の外の風の音だけが残った。

ヒロはソファに寝転がって、マユミをぼんやりと見つめていた。
目元が少し重たくて、眠気がじわじわと押し寄せてくる。

「疲れた?」
マユミが隣に腰を下ろし、ヒロの背中をそっと撫でる。

「……うん、ちょっとだけね」
「明日から忙しくなるもんね」
「プロジェクト、もう終盤だし」

マユミの声は、いつもと変わらず、落ち着いていて、あたたかい。
その声に包まれていると、体の奥に溜まっていた疲れが、少しずつほどけていく気がした。

 

「でも……無理しすぎちゃダメだよ」
「うん」
「あなた、いつも自分のこと後回しにするから」

そう言いながら、マユミの手が、ヒロの背中をゆっくりと行ったり来たりする。
その優しさが、言葉よりずっと大きく響いてくる。

「ねぇ、ヒロ」
「ん……なに」
「今夜は、もうがんばらなくていいよ」

虚ろな目を閉じながら、ヒロはうなずいた。


言葉にはしないけれど、ありがとうの気持ちだけが、胸の奥でぽっと灯っていた。

そのまま、ふたりは静かに時を過ごす。

テレビの音も、スマホの通知も、今は必要なかった。

ただ、そっと撫でられる背中と、隣にいる誰かのあたたかさだけが、
一日の終わりを、やさしく包んでくれていた。

ImageFXマユミ

背中に残るぬくもりが、胸の奥にまで沁み込んでくるようで、ゆっくりとマユミの隣で目を閉じ、静かに眠っていった。

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