マユミと過ごすバラ園、レンズ越しに映る優しい時間
神奈川県某所。駅から少し歩いたところにある静かな住宅街の公園の一角。オートロック付きの安心感のあるマンションに、ボクとマユミは暮らしている。
毎年、春が深まる頃になると、近くのバラ園に取材へ出かけるのが、ボクの決まりごとになっている。もちろん仕事だけれど、不思議なことにこの日は毎年ほんの少しだけ心が弾む。
まるで遠足の朝のような気持ち。カメラを肩から下げて、今年はどんな花が咲いているかなって子どもみたいにそわそわする。
その翌週の休日には、今度はプライベートで、マユミはバラが好きで、これも毎年恒例の行事。お気に入りのCANONとPENTAXのカメラを2台それからレンズを数本、重たいけど愛おしいカメラバッグに詰め込んで同じバラ園へ向かう。


初めてのアニメーション。
毎年変わらない。けれど変わらないことがなんだかとても嬉しい。
マユミもいつも一緒に来てくれる。特に約束しなくても自然とそうなる。
バラ園に着くとまずは彼女を撮る。



光を浴びてやわらかな風に髪が揺れるその姿は、バラにも負けないくらい美しい。そんな瞬間をそっとカメラに収めて、それからはマクロレンズに替えてボクの時間が始まる。
マユミアニメーション2

アニメーションは少しずつバージョンアップして差し替えていきます(日本人でない仕草がありますので、もう少し普通のマユミを生成します)
バラ園に来て2時間の間、マユミはひとりでバラを眺めたりスマホで撮影したりしている。
退屈しないかなと思うけれど、ふと気づくとすぐそばに立ってたりする。
何も言わずただボクの背中を見つめながら。ボクが少し移動するとマユミも小さく歩幅を合わせて、テクテクとついて来て、その静かな寄り添い方がボクはとても好きだ。
いつも、撮影に入るとボクは2時間から3時間は夢中に花と向き合っている、その間、マユミには悪いけど、ずっとひとりきり。
でも、マユミは黙ったまま微笑んでボクのそばから離れないでいてくれる。これはマユミの仕事の依頼の時もある。
写真が趣味で撮影によく行くのもマユミはわかっているから、マユミからバラが咲いたというニュースを見て、「ヒロ、今度の休みに行こうよ」って言ってくる。
撮影した写真は仕事でも使えるので、マユミも一石二鳥だとわかっている。だから、色んな所を2人でドライブがてらによく撮影に行く。
撮影がひと段落したころ、ふたりでバラ園の中にあるカフェへ向かう。
広い園内にはいくつかのキッチンカーが来ていて本格的な料理もあって、小さなテーマパークのような楽しさがある。
これがボクたち2人の楽しみで、食べたことのないグルメを満喫する。
「ねぇ、何食べようか?」
メニューを眺めながらマユミがちょっとはにかんだように笑う。そんな時間がボクにとってのご褒美のようだ。
この日はふたりでチキンの山賊焼きとサラダをシェアして食べた。
ボクが作るより、ずっとスパイシーで、それがまた美味しくて。
「この味、どうやって出すんだろうね」なんてスパイスの秘密を考えながら食べていたら、マユミが「美味しいね」って小さく笑っていた。
ソフトクリームも2人でシェアして、一緒に食べるのも美味しくて楽しい、特にスパイシーなチキンの後の甘いソフトクリーム美味しかった。
こうして、毎年同じようでいて少しずつ違うバラの季節をふたりで過ごしている。
それが今のボクの何よりの幸せなんだと思う。
